新年あけましておめでとうございます。
毎年、年末は駆け込みで多数の法令が出てくる時期なのですが、今年はそれほどでもなく、平穏なスタートとなった印象です。
いつもどおり、毎週のワークショップ資料作成の過程で見ていた法令の中から、いくつかピックアップしてコメントいたします。
①外資参入のネガティブリスト改正
年末に外資参入許可ネガティブリストが改正されました。他にもさまざまなところで紹介されているので詳しくは省略しますが、自動車業界は外資規制の撤廃で再編が加速するかもしれません。
「中国内での投資禁止」分野が「中国国外での上場許可」と表裏一体のように紐づけられた部分があります。昔ながらのいわゆるVIEスキームによって海外に上場している会社はいわば既存不適格のような状態になってしまうものも出てくるのでは?という気がしますが、ニューヨーク上場を廃止して香港市場での上場に移るような例が促進されていくのでしょうか。
②要素市場化配置改革
「要素市場化配置」に関する新たな通知が出ています。
土地、労働力、資本、技術など、生産活動や経済活動に用いられるリソース(要素)の配置について、中国に存在する構造的な問題を市場メカニズムを通じて解消していこうということで、各要素を市場で取引しやすくする政策が推し進められています。
これらの従来からある要素に加えて、最近ではデータも重要な要素として市場化を進めることが志向されていることは各位もご存じのとおりです。「原始データは国外に出ない、データは利用可能だが不可視である」というキャッチフレーズは、目指されている取引モデルを分かりやすく示していると言えるでしょう。
その他、資源や環境も「要素」に含まれます。大きな政策方向性に関する文書であり、直ちに各企業の活動に影響するものではなさそうですが、技術やデータが取引所で取引される商品として流通していく時代に入ったということを示すものとして、新年にふさわしい話題でもあろうかと思います。
③動産と権利担保の統一登記弁法
昨年から、動産担保の登記は債権担保登記と同じく中国人民銀行のプラットフォーム上に統一して登記されることになっているのですが、これについて新しい登記弁法が発布されています。
以前も触れたことがありますが、これら登記については基本的に登記機関では真実性についてのチェックが行われていないばかりか、さらに、「共同申請ではなく担保権者側が」単独でオンライン登記申請ができるということになっている部分があり、間違いがあるときには担保設定者側が自ら異議登記を出さなければならないという、日本の方々から見ると少し違和感のある設計になっているところがあります。
ですから、実は与信管理や債権回収の面では非常に重要な規定ですので、詳しくはまた何かの機会にご紹介したいと思っています。
④企業抹消手続の手引き改訂
企業の閉鎖に伴う登記抹消については近年、規制緩和が進んでいますが、これに伴って抹消手続の手引きが改訂されました。2019年版からの改訂ということで、最後の図表も大きく変わっています。
簡易抹消手続や、プラットフォームでのワンストップ処理など、新たな仕組みが導入されていることが見て取れますし、それ以外の項目でも、解散清算活動の中で処理すべき項目などが細かく記載されています。
数年経つと状況が一変していますので、検討の際には改めて最新版を見ていただくことをお勧めします。
それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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