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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2023年7月31日月曜日

7月第4週: ①「車聯網」(クルマのインターネット)産業標準体系、②サイバーセキュリティ保険、③税制優遇のガイドラインとリスト

①「車聯網」(クルマのインターネット)産業標準体系

スマート・コネクテッドカーに関する各種の標準(規格・基準)の制定についてのガイドラインが公表されています。
https://wap.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2023/art_32a82e4b38564e0586d587919a2fa782.html
センサー・レーダーや通信に関するもの、決定・操作に関するもの、アプリケーションやインターフェースに関するもの、といったように各種の規格が必要になりますので、これらを2025年、2030年と区切りを定めて整備していくことが記載されています。
末尾別紙一に、現在既にある又は現在検討中の基準・規格や、それと対応する国際規格をまとめた表がついていますので、この表だけでもご覧になると、開発の場面などで参考になるかもしれないと思います。

②サイバーセキュリティ保険

ネットワーク安全に関するリスク管理の促進などのためにネットワーク安全保険を健全に発展させていくことに関する意見が、工業情報化部と国家金融監督管理総局から発布されています。
https://wap.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/yj/art/2023/art_0cc1cefdb4e74a169e0a98649c427153.html
業界や場面に応じたリスクに応じた豊富な保険商品を開発していくことなど、保険会社に関する内容が主ですが、リスク評価やモニタリング技術を向上させること、中小企業のネットワーク安全の防護自能力を高めることなど、保険の普及を通じて企業の安全対策を向上させていくことも意識されているようです。

③税制優遇のガイドラインとリスト

国家税務総局から、各種の税制優遇について、享受主体、優遇内容、享受条件、根拠規定の4つの面から整理したガイドラインが公表されています。
別紙として税制優遇に関連する法令や通達のリストが添付されています。

2023年7月26日水曜日

中国における問題発生時の広報対応(2つの対照的な事例。従業員を処罰すべきか否か)


ニュースなど見ていますと、「日本でも中国でも同じなのだな」と感じることもたくさんあります。

2018年にセミナーをしたときにご紹介した事例ですが、同じように衛生上の問題が大きく報道された2つの会社で、会社側の応対によって評価が大きく分かれたケースがありました。

(1)飲食業H社の事例
  厨房にネズミが繁殖している2店舗の動画が公開された。
  報道から4時間のうちに「事実に相違ない」「改善する」と謝罪。
  問題店舗の従業員を処罰せず、「責任は董事会が負う」と言明。
⇒ 従業員に責任を転嫁しない態度で、大衆に好意的に受け止められる。

(2)ホテル業Q社の事例
  顔を洗うミニタオルで清掃員がトイレを清掃している等の報道。
  同じく事実を認め謝罪したものの、その内容で「問題を起こした従業員を処罰した」
との部分があったために、かえって批判の的に。
⇒ 問題を一部の従業員の範囲に限定しようとしたことが逆効果に。


今は日本で発信した情報が直ちに中国でも報道されるような時代です。
中国で事業展開なさっている企業の方々においては、中国での受け取られ方についても少し気にしてみていただけると、より良い対応になる場面もあるかもしれないと思います。




2023年7月24日月曜日

7月第3週:①レンタル工場・倉庫の消防安全、②3つの消費促進政策、③領事保護・協力条例

①レンタル工場・倉庫の消防安全

賃借工場・倉庫の消防安全管理についての管理弁法が国家消防救援局から出ています。
工場・倉庫の賃貸人と賃借人は、各々の消防安全責任を書面で明確にしなければならず、そうでない場合は賃貸人が避難口(非常口)や消防施設など、賃借人は建物についての消防安全の責任を負うとされます。
それぞれの当事者が履行すべき事項も列挙されていますので、一読いただくと参考になる部分もあるかもしれません。

②3つの消費促進政策

家電や家具、インテリアなどに関する13部門共同での消費促進に関する措置が打ち出されています。
インターネットの活用やリフォームの促進などが述べられています。
このほか、発改委ほかいくつかの部門から、電子製品と自動車の消費促進に関する措置が発布されています。
それぞれあまり具体的な事項は書かれていないようですが、重点とされる項目を確認する参考にはなりそうに思います。

③領事保護・協力条例

国外の中国公民・法人・非法人組織の正当な権益が侵害を受けた場合や支援を要する場合に、在外中国公館が権益保護や支援を提供することに関する新しい条例が公布されています。
政府の各機関が国外に赴く旅行者などに対して危険に関する情報を事前に告知することなどが規定されています。
現地での法律・翻訳・医療などの情報についても必要に応じて相談に対応することとなっています。



2023年7月17日月曜日

7月第2週:①生成AIサービス管理暫定弁法、②「自媒体」(自社サイト、ブログなど)の管理強化、③食品経営許可及び届出管理弁法

①生成AIサービス管理暫定弁法

中国でチャットGPTなど生成AIに関する管理弁法が国家インターネット情報弁公室など7部門共同(もちろん公安部も入っています)で発布されています。
見てみると、中国国外から提供されるサービスであっても、この弁法その他中国の法令違反があれば、中国の政府機関による技術的措置その他の措置の対象となるようです。
生成AIを利用して作成されるテキスト、画像、音源などコンテンツを提供するサービスが対象です。
サービス提供者には、データ及び基礎モデルの由来が適法であること、他者の知的財産権を侵害しないことなどが求められているほか、先日ご紹介した「深度合成(ディープフェイク)」に関する管理規定に基づく表示を付す義務や、ユーザーによる違法な活動への利用を発見した場合の通報義務などが課されています。
一方、公衆へのサービス提供を行っていない、企業内部での研究開発などに利用する場合はこの弁法による規制の対象ではなく、むしろ生成AIを使って各分野で新サービスを生み出していくことは奨励されています。

②「自媒体」(自社サイト、ブログなど)の管理強化

企業や個人が自ら情報を発信できる「自媒体」(owned mediaとかself-mediaと呼ばれます。SNSなども該当します。)について、国家インターネット情報弁公室から管理強化の通知が出ています。
国内外にかかわることや公共政策・社会的事件に関する情報を発信するときは目立つ位置に情報源を記載するようにすること、自ら撮影した動画や写真を掲載するときは撮影日時や場所などを記載することなど、情報の由来についての管理にも言及されています。
いわゆるインフルエンサーのマネジメント等を行うMCN(multi-channel network)機構についても違法行為があった場合にはサービス提供制限などの措置を講じること、デマや違法情報を流す「自媒体」については一律に閉鎖することなども改めて規定されています。

③食品経営許可及び届出管理弁法

食品経営許可に関する管理弁法が改正されました。
食品販売や飲食サービスに適用されるもので、食用農産品や事前包装済食品を販売するだけの場合は適用対象ではありません。
既に《食品安全法》の改正などによって許可制から届出制に変わっていた部分を反映したことや、届出・報告事項への規制緩和、許可手続を簡素化したこと等が改正点として紹介されています。

2023年7月13日木曜日

賞与(ボーナス)の位置づけ・支給水準


日本のボーナスは年に2回か3回、夏と冬(場合によっては春も)に賞与があり、合計すると基本給の2~5ヶ月分くらいが支給されると思います。住宅ローンの返済も、ボーナス月は返済が多くなるようになっている場合が多いでしょう。つまり、賞与が生活給の一部になっています。
一方、中国では季節によるボーナスは年一回だけ、概ね基本給の1ヶ月分です。
中国では春節前には「双薪」、つまり春節前だけ2ヶ月分の給料がもらえるという言葉になっています。税制上もこの年一回のボーナスだけが優遇対象でした。
したがって、日本とはボーナスの重みが全然異なります。ボーナスを減らすと住宅ローンの返済が行き詰まるといったような最低限の金額を保障してあげる必要性も小さいですし、逆に言えば、もともとの金額が小さいので上積み余地も大きいです。
ボーナスを柔軟に活用して、従業員のモチベーション向上などに活用いただければと思います。


2023年7月10日月曜日

7月第1週:①製造業の信頼性向上についての実施意見、②人材サービス機構、③中央企業の法的紛争

①製造業の信頼性向上についての実施意見

工業情報化部など5部門から、製造業の信頼性向上に関する実施意見が発布されています。
https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202307/content_6889718.htm
PDCAモデルによる品質・信頼性管理の強化など一般的な内容のほかに、機械、電子、自動車の3分野で、重点的に向上させていくべき品目を具体的に列挙しています。
これらの分野では、中国メーカーは日本からの技術導入もより積極的に進めていくことになると思われますし、逆に日系企業各社においてもより一層の技術情報の保護が求められるかと思います。
是非一度お目通しいただくことをお勧めします。

②人材サービス機構

企業による求人や労働者の求職に関する仲介サービスを提供する職業仲介活動を行う事業者の管理に関する新しい規定が出ました。
http://www.mohrss.gov.cn/xxgk2020/gzk/gz/202306/t20230630_502242.html?fromModule=lemma_middle-info
就職説明会(オンラインを含む)やヘッドハンティングなどの活動を行う場合に行政許可の申請を求めるものとなっています。
事業者からの委託を受けてサービスを提供する際に、求人企業側の提供する材料の真実性・適法性について審査すること等が義務付けられています。
フリーランスの方々も増えている中、求人に応募したら外国に連れていかれて強制労働させたというような怖い話も以前ありましたので(2022年2月の記事参照)、日本でも話題になっている「闇バイト」のような違法な活動に使われないようにという目的も含んでいるのかなと思います。

③中央企業の法的紛争

中央の国有資産監督管理委員会から、中央企業における法的紛争事件の管理に関する弁法が出ています。
18年前に発布された暫定規定からの改正とのこと。
5000万元以上の金額や、影響の大きい集団性事件になる可能性がある場合には、重大事件として届出を求めています。
法律事務所など外部専門家の起用に関する規定もいくつか置いています。


2023年7月3日月曜日

6月第4週:①《対外関係法》、②バリアフリー環境建設法、③知的財産権の濫用による競争制限・排除行為の禁止規定

①《対外関係法》

各国との外交関係及び経済・文化等の各分野での交流など、外国との関係に関する法整備について、国家主権・安全・発展利益などの面でまだ不備・不足の部分があるということで、憲法に基づく基本法となる《対外関係法》という法律が制定されました。
全人代、国務院、中央軍事委員会、外交部など、各政府機関における対外関係での職権が述べられています。地方政府も、中央の授権した特定の範囲内で対外交流・協力を行うと書かれています。
対外関係の目標としては、国家主権・統一、領土の完全性の維持、経済社会の発展への貢献が挙げられています。記者発表では、交流と協力、友好的な付き合い、国際協力といった内容が特徴として紹介されています。
続いて「国内法治」と「渉外法治」を統一的に推進し渉外分野の立法を強化すること、国際法の基本原則や国際関係の基本準則を遵守することをベースに渉外分野の法律法規の施行と適用を強化して、法により法律執行などの措置を講じることされています。
中国公民及び組織の海外での安全及び正当な権益を保護し、国家の海外利益を威嚇・侵害されないよう保護することも規定されていますので、中国国内の取引でなくても中国法が関係してくる場面が増えるのかもしれません。

②バリアフリー環境建設法

障害者や高齢者などのためのバリアフリー環境の構築のための法律が制定・公布されました。
https://www.gov.cn/yaowen/liebiao/202306/content_6888910.htm
対象となる建物としては、居住建築、居住区、公共建築、公共場所、交通運輸施設、都市道路などとなっています。既存のバリアフリーではない建物については、各地の人民政府が状況に応じて個別の改造計画等を定めることになっています。
また、法律の名前に「建設」とついているので建設関連の法律かと思いきや、そうではなく、情報交流や社会サービスの環境整備に関する内容も含まれています。
例えば、事故災害情報は音声・大きな文字・点字・手話などで伝えることや、スマートフォンなどのメディア端末にも同様のバリアフリー機能を持たせることなどが規定されています。
さらには、教育・医療、公共交通はもちろん裁判所などの司法機関でのバリアフリー確保や、法律事務所などのサービス提供におけるバリアフリーの奨励、郵便局や宅配企業による訪問サービスの奨励なども規定されています。

③知的財産権の濫用による競争制限・排除行為の禁止規定

知的財産権の濫用と反独占法(独禁法)との関係についての規定が改正されました。
https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/fgs/art/2023/art_e155397fbe5c4c05ad3c1838c1322ad2.html
国家基準や業界標準の制定にあたって知的財産権を十分に開示していない場合や、必須特許についていわゆるFRAND条件での許諾をしない場合などに関する規定が拡充されています。
また、一定のシェアを下回る場合を禁止対象としない、いわゆるセーフハーバー・ルールについて、改正前は具体的なシェアが数値により規定されている部分があったのですが、今回はその部分が「知的財産権分野における反独占指南」に委ねられています。
その他の改正箇所もありますが、比較的実務にかかわるものでもありますので、後日改めて検討したいと思います。