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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

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2024年3月26日火曜日

3月第3週: ①データの国外流通の促進、②消費者権益保護法実施条例、③用水節約条例

①データの国外流通の促進

重要データや個人情報の中国国内から国外への移転に関しての新しい規定が発布されました。
重要データや個人情報についての認可・届出の手続が不要となる場面が規定されるなど、ようやく、実務での対応が分かりやすくなる具体的な法令が出た印象です。
「重要データ」とは何かについて、重要データであると告知・公表されていない場合には国外移転のための安全評価をする必要がないという規定が盛り込まれており、これは一つ、地味ではあるものの、とてもありがたい条文と思います。
タイトルからして、データ・情報関連の流通については規制一辺倒ではなく促進もしましょうということで、外国企業や中国国内の外資系企業、国境を跨ぐ各種の商業活動にも配慮したところがあるのだろうと思います。
詳細内容については、既にさまざまなところで紹介されているので、ここでは省略します。

②消費者権益保護法実施条例

消費者保護の基本法である《消費者権益保護法》の実施細則が、消費者保護デーに合わせて公布されていました。
《消費者権益保護法》は2013年に公布されて翌年の同じく消費者保護デーから施行されたのですが、その当時にはなかった様々な問題もあります。
レビューの改ざん・捏造、自動更新、ライブコマース、デフォルトでの同意など、消費者保護関連のキーワードが多数登場しますので、よりビジネスに身近な内容と言えるかと思います。

③用水節約条例

水資源の不足を防止するための節水に関する条例が出ています。
用水については従来から各地方ごとに割当枠による管理が行われており、総量規制・計画管理が行われていましたが、さらに、節水型農業の普及や工業企業での節水技術の導入などを進めることが分かる内容となっています。原則的な規定が多い印象ですが、工業企業における水資源の重複利用率の向上など、生産活動に関する追加投資が必要になりそうな項目もあります。




2024年3月18日月曜日

3月第2週: ①315晩会、②上場に関する規制の強化、③国務院組織法の改正

①315晩会

今年も3月15日の消費者保護デーの「315晩会」が放送されました。今年取り上げられたのは以下のような商品・サービスでした。
(1)サクラを製造する「主板機」
 スマホのマザーボードを何十個も搭載した機械です。何十倍もの効率で「いいね」を押せるそうです。
(2)防火ガラス
 防火性能のない防火ガラス。火事で窓ガラスが燃え落ちていました。製造から検査まで一連の虚偽で成り立っています。
(3)手抜き材料の消火器
 火災関係で続けてもう一つ。一本30元の消火器、中に入っている粉が国家基準を満たしておらず、消化できないとのこと。昔ながらの粗悪品です。
(4)梅菜扣肉の中の「糟心肉」
 豚肉を精肉する際に、リンパや甲状腺などの腺体を取り除くことが国家基準で定められているのに、そのまま販売されている粗悪品が処罰されていました。
(5)不思議な白酒
 食品安全法や広告法により、健康に関する効能をうたうことは禁止されているにもかかわらず、アンチエイジングや抗がんなどの効用をうたった白酒が売られているとのこと。
(6)顔を変える詐欺
 スマホのテレビ通話で勤務先の社長になりすまして振込を指示する詐欺があるそうです。声も顔も社長と同じだったので振り込んでしまったとのこと。
(7)マッチングアプリの罠
 マッチングアプリで架空の人物になりすまして経済力など様々な個人情報を聞き出し、「期待値」の高いユーザーを選別して罠にかけるような研修が紹介されていました。殺し文句は「私を信じてください」だそうです。
(8)自動車のシャフトから異音
 BMWのシャフトから異音がするとのことで、ユーザーが安全に不安を感じているのに解決してもらえないという不安が紹介されていました。
(9)ギフトカードを使ったネット高利貸し
 一部のネット金融では、融資と偽って借主にギフトカードを換金させ、法定制限利息を大きく超える利息を収受しているとのこと。Financial Inclusionと言われますが、従来なら金融を受けられない人たちが被害に遭うのは困ったことです。

②上場に関する規制の強化

中国証券監督管理委員会から、上場会社の質を高めるための8つの面からの措置が公表されています。
上場会社に対する監督管理の強化に関する意見も出ています。
上場しようとする会社につき粉飾決算などの行為がないよう監査強化を求める、仲介機構(証券会社、会計事務所、法律事務所など)の「門番」としての責任を確実にするなど、上場前の部分から規制を強めるようです。
また、既に上場している会社についても、ファクタリングや手形取引、融資性貿易などを用いた粉飾についての取締や、会社内部人員からの通報に対する奨励金額の向上などの措置が掲げられ、一般投資家からの信用を維持することが重視されているようです。

③国務院組織法の改正

《国務院組織法》が改正されました。もともと1982年に制定された、11ヶ条しかない法律だったところ、20ヶ条まで条文が増えています。
ただ、内容としては新たに追加された条文は原則的なものが多いようで、実務に影響がありそうな条文は特に見当たらない印象でした。



2024年3月11日月曜日

3月第1週:①政府業務報告、②最高人民法院の業務報告、③支払決済の利便性向上

①政府業務報告

毎年、3月には最初にこのニュースに目がいきます。普段の業務では木ばかり見て森を見ないですので、一年に一度は全体を眺めてみようと思う時期でもあります。
今年の任務としては、まず第一に製造業を重点とした「产业链(産業チェーン)」のアップグレードを推し進めることとされています。それに続いては教育政策、農村と都市の一体化や職業教育の強化などと続きます。ずっと下の方ですが、外国人員の業務、学習、観光の利便性を高めるという一文もありました。不動産市場については企業の責任のほかに部門監督管理責任や地方属地責任を確実にするとありますので、引き続き厳しい対応が続きそうです。台湾については、一つの中国の原則を堅持するとしつつ、両岸関係と平和的発展を推進するとありました。

②最高人民法院の業務報告

最高人民法院の方の業務報告は、どちらかと言えば統計の数値に興味を持っています。
まず、破産案件の審理終結件数が2.9万件、これは前年同期比68.8%増とのこと。破産事件の手続処理についての経験が蓄積されてきていることが分かります。
渉外民商事案件の審理終結件数は2.4万件。こちらは3.6%増でほぼ前年並みとのこと。
執行案件については審理終結件数976万件、非常に多いですが、ただ、確実に履行能力がないことが分かった場合には信用失墜名簿(いわゆるブラックリスト)に掲載しないということで、少し執行に関する考え方も変化が見られるように思います。

③支払決済の利便性向上

今週は多くが全人代関連の情報となっていたのですが、一つ、国務院弁公庁から各種支払決済の利便性向上に関する意見が出ていました。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202403/content_6937623.htm
特に、主要任務の最初に、「高齢者及び外国訪中人員など」の銀行カード使用の利便性を不断に高めるという記述が見られるなど、外国から中国を訪れる方々の中国国内での支払決済についての利便性を高めていく方向が見て取れます。


2024年3月4日月曜日

2月第4週:①国家秘密保護法の改正、②司法への不当な干渉に関する事例紹介、③信用懲戒措置のリスト(2024年版)

①国家秘密保護法の改正

国家秘密保護法が改正されました。2010年以来の改正となっています。
もともと改正前から、インターネットやその他の公共情報ネットワーク、有線・無線通信での国家秘密の伝達や、プライベートな通信で国家秘密を扱うことは禁止されていました。
今回の改正では国家秘密を扱う情報システムについての全過程での管理に関する条文などが盛り込まれたとのことです。
いつも気になる「何が国家秘密なのか」、「どうやって取扱注意の国家秘密かどうか見分けるのか」という点については、各国家機関が定めるものとされており、国家秘密を含む媒体にはその旨の表示を付すことなど、概ね従来どおり変わりない内容のようです。

②司法への不当な干渉に関する事例紹介

最高人民法院から、司法への不当な干渉に関する事例の紹介が出ていました。法令ではないですが、よく話題になる部分ですので、ご紹介しておきます。
https://www.chinacourt.org/article/detail/2024/02/id/7814408.shtml
6つの事例が紹介されていますが、最初の事例は、贈答を受けた後に所属機関に報告して、ルールを説明のうえで返却したという事例になっています。それ以外は、裁判所の幹部が長年にわたり弁護士や民営企業から財物の贈答を受けていたことで処分された事例や、特定の事件の審理過程で現金や接待を受けたことで職権乱用罪や収賄罪で処罰された事例などが紹介されています。

③信用懲戒措置のリスト(2024年版)

各種の信用失墜行為に対するペナルティを列挙したリストが改訂されました。
https://www.ndrc.gov.cn/xxgk/zcfb/ghxwj/202402/t20240228_1364264.html
このリストは全国版で、これをベースにして各地方でリストを補充することになっています。
業種別の営業許可取得の制限や飛行機・高速鉄道の利用制限、出入国の制限など、14種類の制裁措置が列挙されている点については従来と変わりないようです。





2024年2月26日月曜日

2月第2週、第3週: ①罰款(行政罰としての罰金)の規範化、②中国共産党の巡視業務条例、党史学習教育業務条例、③低炭素技術の集積・普及実施方案

①罰款(行政罰としての罰金)の規範化

行政罰としての罰金の設定について、みだりに高額の罰金を科したり処罰の範囲を拡大したりすることがないように、という指導意見が国務院から出ています。
公民の生命・健康の安全や金融安全にかかわるもの以外、最低額と最高額の差は10倍までとすべきこと、《行政処罰法》第32条、第33条に定められている処罰の軽減や不処罰に関する事情について各地の実情に応じて具体化すべきことなどが規定されています。

②中国共産党の巡視業務条例、党史学習教育業務条例

上級の党組織による下級党組織に対する指導監督のための巡視業務についての条例が改正されたそうです。
国有企業も、それぞれ、中央直轄の中央企業は中央の、省レベルの国有企業は省の巡視対象となっています。
中央紀律検査委員会の中に巡視工作指導チーム事務室という組織があって、実際に巡視業務を行う巡視組の活動を手配していること、一つの任期の間に管轄下の党組織全ての巡察をカバーすることなどが規定されています。
また、同時期に党史学習に関する党の条例も出ていました。
https://www.gov.cn/zhengce/202402/content_6932025.htm
各レベルの党組織で党史を学ぶことを指導することなどが書かれていますので、中国現地法人の社内ではそのような学習を目にする機会も増えるのかもしれません。

③低炭素技術の集積・普及実施方案

カーボンニュートラルに向けた取り組みということで、さまざまな低炭素技術を集積するべく、生態環境部から方案が出ています。
https://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk05/202402/t20240222_1066647.html
単に二酸化炭素の排出を減らす技術だけではなく、再生可能エネルギーや蓄熱・蓄冷技術など幅広い技術を対象に、《国家が重点的に普及する低炭素技術目録》として集積・選別・評価を行うとのこと。
目録にある技術については、中央の国有企業をはじめ各単位が金融支援や環境資金プロジェクトの申請をすることが奨励されています。
日系企業の有する技術を活用したい中国国内の企業も出てくるのではないでしょうか。


2024年2月19日月曜日

外国ビジネスパーソン向けの中国での暮らしの手引き

商務部の外国投資管理司のWebサイトに、《外国商务人士在华工作生活指引(2024年版)》という文書が公表されていましした。
http://wzs.mofcom.gov.cn/article/ztxx/

入国後の臨時住宿登記から、銀行口座、携帯電話、タクシーなど、さまざまな事項についての案内が書かれています。
支付宝(Alipay)や微信(WeChat)など、民間のアプリを使うことを推奨しているなど、なかなか実用的な内容ですが、残念ながら中国語のみのようです。
ビザの更新や個人所得税の申告などについても紹介されています。いずれも比較的簡潔な内容ですので、詳細まで分かるわけではありませんが、チェックリスト的にお使いいただくのが便利かもしれません。

2月第1週: ①廃棄物循環利用体系、②突発事態の対応、③アマチュア無線の管理弁法改正

①廃棄物循環利用体系

国務院弁公庁から、リサイクル促進に関する意見が出ていました。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202402/content_6931079.htm
工業のみならず農業の廃棄物、さらには生活ゴミも対象に、金属、紙、プラスチックなどの再生資源、さらには水の再生利用についても述べられています。新エネルギー車の電池についても回収分解の技術規範の制定が検討されるようです。その他、かなり幅広い分野にかかわる内容になっています。

②突発事態の対応

同じく国務院弁公庁から、突発事態の緊急対応プランについての弁法が出ています。
地震、台風などの自然災害の起きやすい地域のライフライン関連企業や、爆発しやすい物品や化学品などを扱う企業などにおいて、緊急対応プランの演習を行うことなどが求められています。

③アマチュア無線の管理弁法改正

工業情報化部の発布している、非商業用、研究や娯楽目的の無線利用についての管理弁法が改正されました。
行政許可の条件や手続、資料についての条文などが改正されたようです。
また、技術能力に応じた分類管理(A、B、C類)などの規定も設けられたとのことです。

④春節休暇により休載

先週は春節により休載いたしました。(事後報告で失礼いたしました。)



2024年2月5日月曜日

1月第5週: ①発票管理弁法実施細則の改正、②不動産登記の利便性向上、③家電・家具の回収体系

①発票管理弁法実施細則の改正

国家税務総局から、発票管理に関する細則規定の改正が発布されています。3月1日から施行です。
・ 電子発票について紙の発票と同様の効力があるのでその受領を断ってはならないこと。
・ 「実際の経営業務状況と一致しない」発票発行は発票の虚偽発行となり犯罪行為となるところ、この行為には取引がない又はあっても内容が異なる場合が含まれること。
・ 電子発票情報システムの開発のための発票データのダウンロード等に関する規制。
など、改正内容は電子発票に関するものが多いようですが、紙の発票に関する規定も補充されています。
発票の虚偽発行については重大な問題に発展しやすいため、この規定も参照する機会は比較的よくありそうです。

②不動産登記の利便性向上

自然資源部など4部門から、不動産登記の利便性を高めることに関する通知が出ています。
http://gi.mnr.gov.cn/202402/t20240201_2836868.html
頻度の高い事項は全過程オンラインでの処理率を高めること、オンラインでの情報照会の改善、企業再編時の手続効率化、商品建物の予告登記の推進などが挙げられています。
死亡証明や親族証明などについて告知承諾制を模索するという記述もあります。

③家電・家具の回収体系

商務部など9部門から、廃棄される家電や家具の回収ネットワークの合理化などに関する通知が出ています。
http://www.mofcom.gov.cn/article/zwgk/gkzcfb/202401/20240103470314.shtml
回収企業のフランチャイズや協議合作等の方式による組織化、回収センターなどによる回収の大規模化・集約化といった項目があり、メーカーや物流企業とつながった回収の仕組みなども挙げられています。新しい業態も出てくるのかもしれません。


2024年1月29日月曜日

1月第4週: ①経営者集中申告(企業結合届出)の基準改訂、②档案法実施条例、③製造業の「中試」

①経営者集中申告(企業結合届出)の基準改訂

M&Aや新合弁会社設立に関して、中国《反独占法》(日本の独禁法に相当)に基づき届出を行う必要があるかどうかを定める基準が改訂され、1月22日に公布されました。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202401/content_6928387.htm
公布と同日に施行となっています。

これまで:
 経営者集中にかかわる当事者の
 1-1: 全世界における前年度の営業額(売上高)合計が100億元超、又は
 1-2: 中国国内における同合計が20億元超
  且つ、
 2: うち2名の当事者の前年度の中国国内の営業額がいずれも4億元超
今後:
 上記の各金額について、それぞれ、
  1-1: 100億元→120億元超、
  1-2: 20億元→40億元超、
  2: 4億元→8億元超
 に変更されています。

2022年6月に意見募集が出ていて、同年8月1日の改正《反独占法》施行に合わせて発布されるかと思っていたのですが、
それがようやく正式発布に至ったということになります。

②档案法実施条例

「档案」について新しい規定が出ていました。従来の《档案法実施弁法》を廃止して、新たにこの条例となったようです。
政府機関における档案の管理に関する内容であり、档案関連業務の職責や収集管理、保管制度などについて規定されています。デジタル化に対応した規定もあります。

③製造業の「中試」

工業情報化部と国家発展改革委員会から、製造業の「中試」、すなわち量産段階に至る前の試作段階での小規模・過渡的な試験について、その能力を高めるための実施意見が出ています。
https://www.gov.cn/govweb/zhengce/zhengceku/202401/content_6927680.htm
デジタル化、ネットワーク化、スマート化、ハイエンド化といった各面からの措置が挙げられており、検査・測定機器やソフトウェアについても改善していくことで、ボトルネック解消を図っていくとされています。


2024年1月23日火曜日

1月第3週:①生産安全事故罰金処罰規定、②手続のワンストップ・一括処理、③業界団体に関する反独占ガイドライン

①生産安全事故罰金処罰規定

生産安全事故(工場での人身事故、火災など)についての罰金処罰に関する規定が改正されました。
http://mem.gov.cn/gk/zfxxgkpt/fdzdgknr/202401/t20240115_475152.shtml
2021年に改正された《安全生産法》を受けての改正とのことで、どのような事故のときにどのような処罰を行うのか、比較的細かく基準が定められています。
例えば、事故発生時に主たる責任者が政府機関への報告を怠ると、前年の年収の40~60%の罰金が科されます。重大な悪影響が生じた場合などは60~80%となっています。前年の年収が不明な場合は現地の平均賃金の5~10倍で計算されます。
会社に対する罰金はもちろん、その他の責任者や安全管理人員についての処罰についての規定もありますので、事故が起きたときには参照ください。

②手続のワンストップ・一括処理

国務院から各種の手続について窓口を統一して一件の事項については一つの申請をすれば足りるように便利にするということで、新しい指導意見が出ています。
後ろには重要事項リストというのが付いていまして、企業については、会社の破産情報や登記抹消や、物流業や飲食業に関する手続などが挙げられています。

③業界団体に関する反独占ガイドライン

業界団体に関する反独占ガイドラインが出ています。
従来から業界団体の価格行為に関するガイドラインはあったのですが、今回は価格面に限らず市場分割などの問題についても言及しています。現場の方々は業界団体の活動に参加する機会も多いかと思われますので、社内教育などに活用いただいては如何でしょうか。


2024年1月15日月曜日

1月第1~2週:①データ資産管理、②「美麗中国」(美しい中国)、③外国籍人員の訪中便利化

①データ資産管理

財政部からデータ資産管理の強化に関する指導意見が出ました。
いわゆる「データ三法」(この呼び方は中国ではしないようですが。)に基づき制定されたとのことで、データをデジタル経済発展のための重要な戦略資源と位置づけ、データの収集・生成・保存・管理の全過程での権益保護を求めています。
2022年末頃の中共中央・国務院意見でも提唱されていたことですが、「原始データは外に出さず、データは利活用はできるが見ることはできない」形式でデータ資産の運用を進めること、データ資産について「投入・貢献・受益」の対応を原則としてデータに関する収益分配メカニズムを改善することなどが記載されています。
データ資産の資本化及び証券化についても言及されていますが、仲介機構の支援を得てその潜在リスクについて制御することも求められています。

②「美麗中国」(美しい中国)

中共中央・国務院から、生態環境向上のための新しい意見が出ています。
https://www.gov.cn/zhengce/202401/content_6925405.htm
18億ムー(約1.2億ha)の耕地を最低線として、長期・安定利用できる耕地をこれ以上は減らさないとのことです。日本の耕地面積は432万ha(昭和30年代で600万ha)ほどだそうですから、20~30倍の耕地があるようで、農業関連市場のすそ野は広そうです。
2027年までに新エネルギー自動車の比率を45%まで高める(古い内燃機関の自動車は基本的に淘汰)、大気中の微細顆粒物質濃度を2027年までに28μg/㎥、2035年までに25μg/㎥まで下げて大気を刷新して青空にする、といった目標が掲げられています。

③外国籍人員の訪中便利化

外国人の訪中について、5つの便利化措置が発表されました。
国外でのビザ申請手続が間に合わない場合の中国の空港や港でビザ申請や、北京首都空港などでのトランジット時の24時間ビザ免除、短期滞在者の中国国内でのビザ更新、反復して入国する場合の再入国ビザ、他の情報で確認可能な場合に紙の資料の提出を省略とっいった細かい内容に見えますが、少しずつ緩和されてはいるようです。

2024年1月9日火曜日

2023年12月第5週: ①会社法改正、②刑法改正、③企業の抹消に関するガイドライン、④その他

※ これまでは記事を書いた月の週をタイトルにしていましたが、法令が出た時期とずれてしまって誤解が生じやすかったですので、今回から、法令が出た時期を書くように改めます。

①会社法改正

12月29日、会社法の改正が可決・公布に至りました。
12月第4週のブログ記事でも書いていたとおり、珍しく第四次審議稿まで審議が長引いていましたので、ようやくの成立となります。
第三次審議稿と見比べると、まず最後の第266条(施行時期)の条文に第2項が追加されて、出資の払込期限(第47条、第228条)について既存の会社も新法に合わせるよう「徐々に調整」することとなっている点が目につきます。
これ以外には既存の会社についての記述はないので、他の部分は、既存の会社にあっては現行法のままで良いのか、今後の関連法令を待つことになります。
「解散」「破産」について事前に労働組合や従業員代表の意見聴取をしなければならないことが追加で明記されたこと(第17条第3項)も、実務的には、上場会社の場合の適時開示規制とどう整合させるか、悩ましいことになりそうです。
その他、第三次審議稿と比べて、条文の順番が入れ替わって条文番号が変更になっている箇所や、文言の変更・調整が行われた箇所があるようですが、詳細は私自身も比較しきれていませんので、おって寄稿など別の機会にご紹介したいと思います。

②刑法改正

同じく12月29日、刑法の改正も公布されました。
腐敗(社内での不正)及び贈賄についての7つの条文が改正されたもので、親族・知人の会社との取引を通じて所属企業の利益を損なう行為などにつき、従来は国有企業のみに適用されていたいくつかの条文が民間企業にも適用されることになります。
従来から他の条文でカバーされる場合が多かったものの、より適用しやすい条文が活用できることになり、社内での不正行為の抑止に寄与することが期待できます。
贈賄に関する条文の改正と合わせて、不正な資金の流れを絶ってコンプライアンス上の問題に巻き込まれることを予防するために活用できればと考えています。

③企業の抹消に関するガイドライン

市場監督管理総局・税関総署・国家税務総局から、企業の抹消に関するガイドラインが公表されました。2021年版からの改訂となります。
注目すべき点として、株主が音信不通になってしまった場合や、株主が既に死亡してしまっている場合、営業許可証や公印を紛失してしまった場合など、各種の手続困難についての指針を示しているので、今後、清算すべき状況にあるのに清算手続ができていない出資先の処理などに活用できるように思われます。

④その他

年末でしたので、その他、糧食安全保障法、慈善法、加工貿易発展のための10部門意見、速配市場管理弁法など多数の法令が出ていましたが、多忙ゆえご紹介できないこと、ご容赦ください。
来週以降、もし目立った法令等なければ、思い出して改めてご紹介したく。

それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


2023年12月27日水曜日

12月第4週:①会社法改正の第4次審議(途中)、②特許法実施細則の改正成立、③人体器官提供及び移植条例、④来週休載

①会社法改正の第4次審議(途中)

全人代のWebサイトを見ていましたら、会社法改正について、第4次審議稿の審議に入ったとの記事がありました。
http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202312/t20231226_433775.html
第3次改正草案で終わりかと思っていたのですが、またいくつかの点で修正があるようです。
出資者の出資責任の強化、払込未了持分の失権制度、さらに解散清算の検討段階での従業員の意見聴取、といった内容が列挙されています。
詳細は全文を見てから分析しようと思います。

②特許法実施細則の改正成立

少し前にご紹介していた、特許法実施細則の改正が成立に至りました。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202312/content_6921633.htm
まず最初に目に入ってくるのは、電子申請に関する規定が拡充されている部分です。
また、2020年の改正特許法で導入された「開放許諾」の制度について、公告すべき事項などが明確化されました。
その他、国際出願に関する優先権など手続に関する規定もあるようです。

③人体器官提供及び移植条例

国務院から臓器提供と移植に関する行政法規が出ています。
2007年に既に《人体器官移植条例》という法令があったようなのですが、今回は「臓器提供」の部分についての重要性を強調するということで、臓器提供は自発的・無償を原則にすることや、生体移植は配偶者や近親者への移植に限ること、近親者が死後臓器提供をしたことがある人は移植手術において優先されることなどが規定されています。
移植に関する医療技術の向上を求めている部分もありますので、これに用いられる技術や器具等については、今後、需要が増してくるのかもしれません。

④来週休載

来週はお正月休みのため休載いたします。あしからずご容赦ください。
2024年は中国建国75周年だそうです。良い年になることを期待したいと思います。

2023年12月19日火曜日

12月第3週:①上場会社の内部統制評価、②政府調達の透明性、③独禁法違反の警告書

①上場会社の内部統制評価

上場会社及び上場予定の会社の内部統制についての内部統制評価及び監査の強化に関する通知が財政部と証監会から出ています。
中国ではここ数年、証券法改正など上場会社に対する管理を厳しくしてきています。今年も会計事務所企業自身の会計監査等の管理強化が求められてきていました。
今回は、内部統制の有効性向上のために、企業自身が内部統制評価を行い、会計事務所による監査を受けることが求められています。
取引先や合弁パートナーの側で、このような内部統制との関係でさまざまな制約を受ける場面がありますので、留意ください。

②政府調達の透明性

財政部関係でもう一つ、政府調達の関係で透明性を高めるための通知が出ています。
http://gks.mof.gov.cn/guizhangzhidu/202312/t20231214_3922192.htm
入札で落札が決まった後にこっそり契約条件を変更してしまう例があるようで、そのような行為を禁じることや、全過程において電子プラットフォームでの取引実施を推進することなどが挙げられています。

③独禁法違反の警告書

反独占・反不正競争委員会と市場監督管理総局から、《反独占法》違反に関する「三書一函」(3つの書面と1つのレター)についての通知が出ました。
これら書面のうち、一番最初の段階のものは「注意喚起・督促レター」(提醒敦促函)という書面です。この書面は早期に予防及び是正の目的で発行されるもので、これを受け取った企業は直ちに状況報告とともに是正措置をとる必要がありそうです。

2023年12月11日月曜日

12月第2週:①民法典・契約編通則の司法解釈、②外国法の調査費用、③大気汚染改善

①民法典・契約編通則の司法解釈

民法典の契約編のうち通則部分についての司法解釈が出ました。
https://www.chinacourt.org/article/detail/2023/12/id/7681709.shtml
《民法典》の契約編として統合される前の《契約法》に関する司法解釈(一)及び(二)は、民法典の施行(契約法の廃止)に伴って廃止されており、《民法典》の条文に取り込まれた部分以外は空白が生じていたのですが、今回のこの司法解釈でその部分がアップデートされて補われる形になります。
条文数はそれほど多くないのですが、
  • 意向書や備忘録の形式で意向を示しただけで将来の契約締結を約束していないような場合には契約が成立したものとは認めない(第6条)、
  • 政治・経済・軍事など国家安全に悪影響を及ぼす契約、社会の安定を損なう契約、社会の善良な風俗に反する契約などは、法律・行政法規の強制性規定に違反していなくても無効とする(第17条)、
などなど、実際の取引に影響しそうな重要な内容もかなり含まれているようです。
債権譲渡についての規定も大幅に拡充されていますので、細かく読み込んでみる必要がありそうに思っています。

②外国法の調査費用

《渉外民事関係法律適用法》という国際私法のルールに関する法律(日本の「法の適用に関する通則法」、昔の「法例」に相当する法律)の司法解釈(二)が出ました。
https://www.chinacourt.org/law/detail/2023/12/id/150495.shtml
人民法院が外国法を適用しようとするとき、その調査方法はいくつかあるのですが、そのうち一つとして「中国・外国の法律専門家により提供されたもの」があります。このとき、人民法院はその専門家に対して出廷して質問を受けるように通知することができるのですが、現地での出廷が確実な困難な場合はオンラインで質問を受けることもできます。もっとも、単に外国法についての理解を述べるだけで、その他の法廷活動に関与することはできません。
ちなみに、このような外国法の調査のための費用については、「当事者間に約定があれば」その約定に従うものとされています。約定がない場合、裁判所が判決時に合理的負担を定めることができることとされていますので、思わぬ費用負担を生じないように、契約書の準拠法条項には「外国法調査費用は各自負担、裁判所による調査費用は敗訴者負担」など、何らかの約定を追加しておいた方がよさそうです。

③大気汚染改善

国務院から空気品質持続的改善行動計画が公表されています。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202312/content_6919000.htm
PM2.5の削減や非化石燃料へのシフトなど、それぞれ具体的な数値目標が示されています。鉄鋼や自動車などの産業分野についての記述もあり、私には技術的な事項はよく分からないのですが、環境関連の事業には影響する部分があるのかもしれません。


2023年12月4日月曜日

12月第1週:①中小企業の長期未収債権、②郷村振興と都市再開発の土地政策指南、③男女間でのトラブル

①中小企業の長期未収債権

例年どおり、今年も《中小企業代金支払保障条例》に基づく特別活動が行われています。12月10日まで継続予定とのこと。新法令ではありませんが、もともと年末は長期未収債権の回収に関しては重要なタイミングですので、ここでご紹介しておきます。
各地の市場監督管理局から大型企業向けにサンプリング調査などが行われており、支払遅延の状況などについて隠していた場合には経営異常リストに掲載されて公表されるなどのペナルティがあります。

②郷村振興と都市再開発の土地政策指南

自然資源部弁公庁から、「郷村」、つまり農村の住宅・産業用地などに関する活用のための政策指南が公表されています。
農村に関するものですので直接に事業にかかわることはあまり無さそうですが、建設用地関連の認可や都市計画上の許可、不動産登記その他土地利用に関する各種事項について比較的網羅的に根拠規定を引用しながら説明されていますので、不動産関連の業務を行う際には参考になる部分がありそうに思います。
また、これよりも少し前に、いわゆるスマートシティなど利便性や生活環境を向上させるための都市再開発に関する政策指南も公表されていました。
こちらでも巻末に関連する政策は列挙されていますが、それぞれの説明の箇所ではなく巻末にまとめられていますので、その点は少し体裁が違います。

③男女間でのトラブル

最高人民法院から、家庭内暴力に関する典型事例が発表されていました。第1集と第2集、相次いで発表されています。
https://www.chinacourt.org/article/detail/2023/11/id/7657177.shtml
業務上、中国法のかかわる離婚事件を扱う機会もあり、普段から「日本と中国では随分と違うな」と感じているテーマでしたので、少し見てみました。
第1集は婚姻前を含めた男女間での事例など、さまざまな事例が集められています。
恋愛関係の別れ話から暴力・付きまといなどの嫌がらせに発展した事例、夫婦間での感情のもつれから自殺をほのめかしたり職場に押しかけたりする行為のあった事例などが紹介されています。
第2集は未成年者(子女)に関する事例です。未成年の子の連れ去り、虐待防止のための措置などをめぐる事例となっています。
日本の感覚でごく普通に過ごしていても、文化・風習の違いによってセクハラ、パワハラになってしまうこともあります。もちろん、日本の方々だけでなく、中国の方々にも同じことが言えるのではありますが、感情もかかわる微妙な話題ですので、気にしておくに越したことはなかろうと思います。

2023年12月1日金曜日

ドローンに関する国務院令、2024年1月1日から施行です。


今年も師走の時期に入り、そろそろ来年のことを考える時期になってきています。
いつもご紹介している中国の法令・政策の関係でも、来年から規制が変わるもの、いろいろとありますが、あれこれ見ていると、ご紹介が漏れていたものも多々あります。

そのうちの一つ、ドローンに関する国務院と中央軍事委員会の暫定規定が6月28日に出ていたものがありましたので、随分と遅くなってしまいましたが、遅まきながらご紹介しておきます。
https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202306/content_6888800.htm
民用ドローンには実名登録が必要であること、管制区域では微小型のものを含めて一律にドローン飛行は禁止(許可制)であること、一定の仕様以上のものについては識別情報発信機能が必要であることなどが規定されています。
ドローンの輸出規制の方はニュースでも大きく取り上げられていましたが、こちらは中国国内のことですので、あまり注目されていないかもしれません。
中国に赴任・出張でいらっしゃる日本の方々、最近は《反スパイ法》違反の嫌疑など敏感な時期ですので、不用意にドローンを飛ばして処罰を受けることがないように、中国でドローンを飛ばすには諸々の規制があること、しっかり覚えておき、さまざまな意味で気をつけていただければと思います。



2023年11月27日月曜日

11月第4週:①6ヶ国に対して一方的なノービザ入国(査証免除)措置、②銀行業のカントリー・リスク管理、③化学工業園区のリスク評価

①6ヶ国に対して一方的なノービザ入国(査証免除)措置

中国外交部の報道官の定例会見で、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、マレーシアの6ヶ国を対象に商用(中国語「经商」)、旅行、親族訪問、トランジットを対象に「一方的」に15日以内のノービザ入国を認めるとの発表がありました。
日本が対象国に含まれていないことは残念ですが、「一方的」措置、つまりその国が中国との関係でノービザ入国を認めていなくても、ノービザ入国の措置を認めてもらうことができるということで、これであれば日本との関係でもノービザ入国を再開いただけるのでは?という期待もできるように感じています。
人民日報日本語版にも記事が出ていました。(下記URLご参照ください。)

②銀行業のカントリー・リスク管理

国家金融監督管理総局から、銀行業の「国別リスク管理」に関する規定の改正が発布されています。
銀行業については、銀行がカントリー・リスクに対して適切に引当がなされているか監督当局が国別に適切な最低引当額を設定するなどの管理がなされており、今回の改正は13年前に設定されたガイドラインを「弁法」として修正したものです。
銀行が内部・外部のリソースを利用して評価をすることなどが求められています。

③化学工業園区のリスク評価

応急管理部から、化学工業園区のリスク評価に関するガイドラインの改訂が公表されています。
化学工業園区については以前から管理が強化されてきているところですが、今回も全国に640あるとされる化学工業園区について全面的にリスク評価を行って、整理を進めていくとのこと。
省レベルで3年ごとに全面的に安全リスク等級の確認を行い、高リスクと判断された場合には是正期間中は新たなプロジェクトや既存プロジェクトの拡張を禁じることなどが定められています。


2023年11月20日月曜日

11月第3週: ①危険廃棄物管理の変更、②中小企業向け公共サービス、③会計事務所の監査報酬

①危険廃棄物管理の変更

危険廃棄物管理についての新しい通知が生態環境部弁公庁から発布され、2024年1月1日からの変更点もいくつか言及されています。
2024年1月1日から、リスク評価について全国固体廃棄物管理情報システムを通じて行うこと、重点監督管理単位についてはこのシステムで電子ラベルのQRコードを生成取得して電子管理を行うこと、危険廃棄物の移転も同様にこのシステム及びアプリなどを使ってリアルタイムで記録することなどが規定されています。

②中小企業向け公共サービス

工業情報化部から、中小企業向け公共サービスに関する指導意見が出ています。
中小企業向けのサービスについて全国統一ネットワークを構築し、地方レベルでもワンストップでのサービスを提供すること、そこではサービス項目やサービス内容など6項目を公開するなど情報公開を進めることなどが規定されています。研修や職業訓練などサービス人材の面での保障についても言及しています。

③会計事務所の監査報酬

とても当たり前のことだと思うのですが、財政部から、会計事務所の監査費用について、金額と監査結果を関連付けてはならないという通知が出ています。
「上場インセンティブ」として、上場が実現できるか否か、社債発行ができるか否かなどによって、監査費用が増減するような方式があるようですが、このような費用決定方法は禁止とされています。
その他、会計事務所側が違法な報酬を支払おうとする顧客のリスクを慎重に評価しなければならないこと、財政部門が会計事務所の報酬基準の問題を監督検査の重点事項としていることが記載されています。

過去にラッキンコーヒー(luckin coffee、瑞幸咖啡)の粉飾決算事件についてご紹介したこともありましたが、投資にかかわる場面では、監査法人との間の報酬の取り決めのしかたについても見ておく方が良いということかと思います。
【参考】キャストグローバル中国ビジネス2020年4月17日記事
 ラッキンコーヒー(luckin coffee)粉飾決算事件から(無料公開)

2023年11月13日月曜日

11月第2週: ①外資に対する差別待遇、②入札分野での地方保護・市場分割、③政府と社会資本の合作(PPP)

①外資に対する差別待遇

商務部から、各地方・各部門が発布している政策措置や、事業単位や社会団体が制定している各種措置について、外資企業に対する差別待遇がないか特別整理活動が行われることが公表されています。
例えば、以下のような状況があるとのこと。
・ ある業界で外資企業の行政許可申請について内資企業よりも申請に時間がかかる、求められる資料が多い、審査が厳しい。
・ 新エネルギー車の消費促進政策につき、国内メーカー車を購入・使用した消費者のみに補助を与える。
・ 業種協会の制定した工事プロジェクトの評価で内資1点、合弁0.5点、外資独資0点という評価項目を設ける。
・ 地方での財政補助について国有・民営企業にのみ個別に通知するなどして外資系企業が公平に政策を享受することができていない。
・ 業種協会での登録表示について、明文規定はないが実際の運用においては外資系企業の申請を受理しない扱いとなっている。

②入札分野での地方保護・市場分割

国家中央が全国統一市場の形成を促しているのに対して、地方では入札における信用評価の面で、現地での支店設立有無や社保納付実績などを評価基準に加えることで「形を変えて」参入障壁が設けられている例が見られるということで、国家発展改革委員会から通知が出ています。
https://www.ndrc.gov.cn/xwdt/tzgg/202311/t20231108_1361858.html
ごく短い通知ですが、各地の関係部門とともに全面的な調査を行うこと、入札分野での信用評価の運用におけるモニタリングの強化、「信用中国」Webサイトや全国公共資源取引プラットフォームなどでの公表を行っていくことが規定されています。

③政府と社会資本の合作(PPP)

官民連携(PPP・Public Private Partnership)に関する新しい指導意見が国務院弁公庁から発布されています。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202311/content_6914161.htm
受益者負担プロジェクトについて採算性があるかどうかのチェックなどによる地方政府の隠れた負債の防止などについて言及されており、見るべき内容は多そうですが、詳細のご紹介は別の機会に譲りたいと思います。