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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2024年3月29日金曜日

個人への貸付金と、使途不明金(役員への貸付か、担当者への貸付か)

中国の会社の帳簿を見ていると、見知らぬ個人に対して多額の貸付金(※)が計上されていることがあります。
(※)中国の一般の会社は金融活動ができないので、「貸付金」ではなく、「その他未収金」の項目に計上されていることが多いです。
日本の場合、とりわけ中小企業では、代表者など役員に対して多額の貸付金が計上されているのを見かけることがあります。これは、代表者のプライベートな支出を会社のお金から出したような場合や、会社業務ではあるが経費で落ちないお金を出した場合などに生じる現象です。
もちろん中国でも同じような状況はあるのですが、代表者でも役員でもない、単なる一従業員(会計・経理の担当者など)に対して多額の貸付金が計上されている場合があります。

ご存じのとおり、中国国内では各種経費支出について企業所得税の申告上の損金として算入するには「発票」(税務局所定の領収書、インボイス)が必要ですし、用途が会社の事業活動の一環として対外的に説明できることも必要です。しかし、ときには発票が取得できず経費として算入できない支出や、そもそも対外的に説明することが難しい支出(グレーな接待交際費など)が生じることもあります。そのような場合に、現金が支出されたことを埋め合わせるために使われる科目の一つとして、「その他未収金」として誰かに貸した又は立て替えた扱いにして会計処理をします。
もちろん、このような支出は会計・経理の一担当者が決めたものではなく、会社の経営者(老板)が決めているわけですので、そのような一担当者が自分が借りたことにする理由など全くないのですが、担当者としては経営者から「このおカネ、会社で処理しといてね」と言われて、処理しようがなく困ってしまい、他の人に迷惑をかけられないので自分で借りたことにして計上してしまう。そのような景色が目に浮かびます。

心の中では、「誰か見つけて欲しい」と思っておられるのかもしれません。

日中合弁の中国現地法人がある場合には、財務諸表を見るときに一つ、興味を持って見比べてみていただければと思います。


2024年3月26日火曜日

3月第3週: ①データの国外流通の促進、②消費者権益保護法実施条例、③用水節約条例

①データの国外流通の促進

重要データや個人情報の中国国内から国外への移転に関しての新しい規定が発布されました。
重要データや個人情報についての認可・届出の手続が不要となる場面が規定されるなど、ようやく、実務での対応が分かりやすくなる具体的な法令が出た印象です。
「重要データ」とは、各種法令によって厳格な管理が要求され、中国国外への出国についても所定の手続を経ることが求められているデータです。
どのデータが「重要データ」なのか?という点について、重要データであると告知・公表されていない場合には国外移転のための安全評価をする必要がないという規定が盛り込まれており、これは一つ、地味ではあるものの、とてもありがたい条文と思います。
タイトルからして、データ・情報関連の流通については規制一辺倒ではなく促進もしましょうということで、外国企業や中国国内の外資系企業、国境を跨ぐ各種の商業活動にも配慮したところがあるのだろうと思います。
詳細内容については、既にさまざまなところで紹介されているので、ここでは省略します。

②消費者権益保護法実施条例

消費者保護の基本法である《消費者権益保護法》の実施細則が、消費者保護デーに合わせて公布されていました。
《消費者権益保護法》は2013年に公布されて翌年の同じく消費者保護デーから施行されたのですが、その当時にはなかった様々な問題もあります。
レビューの改ざん・捏造、自動更新、ライブコマース、デフォルトでの同意など、消費者保護関連のキーワードが多数登場しますので、よりビジネスに身近な内容と言えるかと思います。

③用水節約条例

水資源の不足を防止するための節水に関する条例が出ています。
用水については従来から各地方ごとに割当枠による管理が行われており、総量規制・計画管理が行われていましたが、さらに、節水型農業の普及や工業企業での節水技術の導入などを進めることが分かる内容となっています。原則的な規定が多い印象ですが、工業企業における水資源の重複利用率の向上など、生産活動に関する追加投資が必要になりそうな項目もあります。




2024年3月20日水曜日

中国《会社法》改正: 二人の監事(よくよく見比べてみると)

中国《会社法》が改正されましたので、この機会に改めて、いくつかの話題について、備忘を兼ねて書き留めておきたいと思います。


先日、セミナーでお話した内容について、下記ご質問をいただきました。

Q:「監事が2名いる会社の場合、今回の会社法改正で影響があるとお聞きしましたが、会社法の条文のどこを見ればよいのでしょうか。」

A:下記のとおりです。

現行法第51条第1項:
有限責任会社は監事会を置き、その成員は3名を下回ってはならない。株主の人数が比較的少なく、又は規模が比較的小さい有限責任会社は、1名ないし2名の監事を置き、監事会を置かないことができる。
  ↓
改正法第83条:
規模が比較的小さく、又は株主の人数が比較的少ない有限責任会社は、監事会を置かず、1名の監事を置き、この法律所定の監事会の職権を行使させることができる。株主全体の一致した同意を経て、監事を置かないこともできる。

「1名ないし2名」の部分が「1名」に変わりました。また、末尾の下線を付した一文が追加されましたので、「1~2名」→「0~1名」になりました。
監事会を置く場合は3名以上(改正前後で変わらず。)ですから、文言上は、「2名の場合はどうなる?」という空白が生まれてしまいました。


このご相談の方によればですが、
「他の事務所から出ているニュースレターやセミナー資料などを見ても、この点について書かれているものがなかったので...」
とのことで、もしかするとこの変化に気づいておられる方は少ないのかもしれません。
中外合弁の場合、「双方1名ずつ出しましょう」というのは比較的よく見かける事項でもありますので、ご参考までにて。


2024年3月18日月曜日

3月第2週: ①CCTV315晩会(2024年)、②上場に関する規制の強化、③国務院組織法の改正

①CCTV315晩会(2024年)

今年も3月15日の消費者保護デーの「315晩会」が放送されました。
「3・15晩会」とは、毎年3月15日に放送されるCCTVの特別番組で、さまざまな劣悪な商品・サービスや詐欺まがいの商法、さらには消費者に対する対応の悪い会社などを取り上げて紹介する番組です。
今年取り上げられたのは以下のような商品・サービスでした。
(1)サクラを製造する「主板機」
 スマホのマザーボードを何十個も搭載した機械です。何十倍もの効率で「いいね」を押せるそうです。
(2)防火ガラス
 防火性能のない防火ガラス。火事で窓ガラスが燃え落ちていました。製造から検査まで一連の虚偽で成り立っています。
(3)手抜き材料の消火器
 火災関係で続けてもう一つ。一本30元の消火器、中に入っている粉が国家基準を満たしておらず、消化できないとのこと。昔ながらの粗悪品です。
(4)梅菜扣肉の中の「糟心肉」
 豚肉を精肉する際に、リンパや甲状腺などの腺体を取り除くことが国家基準で定められているのに、そのまま販売されている粗悪品が処罰されていました。
(5)不思議な白酒
 食品安全法や広告法により、健康に関する効能をうたうことは禁止されているにもかかわらず、アンチエイジングや抗がんなどの効用をうたった白酒が売られているとのこと。
(6)顔を変える詐欺
 スマホのテレビ通話で勤務先の社長になりすまして振込を指示する詐欺があるそうです。声も顔も社長と同じだったので振り込んでしまったとのこと。
(7)マッチングアプリの罠
 マッチングアプリで架空の人物になりすまして経済力など様々な個人情報を聞き出し、「期待値」の高いユーザーを選別して罠にかけるような研修が紹介されていました。殺し文句は「私を信じてください」だそうです。
(8)自動車のシャフトから異音
 BMWのシャフトから異音がするとのことで、ユーザーが安全に不安を感じているのに解決してもらえないという不安が紹介されていました。
(9)ギフトカードを使ったネット高利貸し
 一部のネット金融では、融資と偽って借主にギフトカードを換金させ、法定制限利息を大きく超える利息を収受しているとのこと。Financial Inclusionと言われますが、従来なら金融を受けられない人たちが被害に遭うのは困ったことです。

②上場に関する規制の強化

中国証券監督管理委員会から、上場会社の質を高めるための8つの面からの措置が公表されています。
上場会社に対する監督管理の強化に関する意見も出ています。
上場しようとする会社につき粉飾決算などの行為がないよう監査強化を求める、仲介機構(証券会社、会計事務所、法律事務所など)の「門番」としての責任を確実にするなど、上場前の部分から規制を強めるようです。
また、既に上場している会社についても、ファクタリングや手形取引、融資性貿易などを用いた粉飾についての取締や、会社内部人員からの通報に対する奨励金額の向上などの措置が掲げられ、一般投資家からの信用を維持することが重視されているようです。

③国務院組織法の改正

《国務院組織法》が改正されました。もともと1982年に制定された、11ヶ条しかない法律だったところ、20ヶ条まで条文が増えています。
ただ、内容としては新たに追加された条文は原則的なものが多いようで、実務に影響がありそうな条文は特に見当たらない印象でした。



2024年3月15日金曜日

Mビザの有効期間: 恥ずかしながら、初めて知りました。

中国に行くためのMビザの期限が切れましたので、改めて取得するためにビザの申請に行ってきました。

いつもどおり、窓口で「招聘状はありますか?」「パスポートのコピーは?」といった感じで手続をしていましたが、その過程で、窓口の方から「じゃあ、2年のマルチで申請しておきますね」という言葉が出ました。
恥ずかしながら、Mビザはこれまで何度も申請していたものの、1年ごとに申請するものだと思い込んでいましたので、「あれ? 記入する数字を間違えたかな?」と少し慌てましたが、そうではなく、窓口の方が親切でそのように取り計らってくださったようです。
ビザは毎年更新と思い込んでいたので、思いがけず親切にしてもらったことと合わせて、とてもありがたく感じました。

事務所に戻ってから調べてみたところ、確かに、以前からMビザでも複数年の有効期間とすることは可能であったようです。ただ、これまでのMビザの申請回数や中国との往来回数などを考慮して、何か基準は存在しているものの、それは正式に公表されているわけではないようでもあります。
ですので、今後も今までどおり慎ましく1年で申請をしてみて、窓口の方が「2年でもできますよ?」と温かいお言葉をかけてくださるのを待とうかと思っています。

商用短期でのノービザ入国ができなくなって久しいですので、中国ビジネスにかかわる皆様はMビザを申請されることが多くなっていると思われます。マルチビザの申請自体もそうなのですが、従来の実績によって優遇してもらえるところがあります。見えないところでランクアップしているようで、少し楽しみが増えたかと思っています。



2024年3月14日木曜日

企業の倒産と未払賃金

日本では、企業が倒産すると、労働者は国から未払賃金の立替払を受けることができます(日本「賃金の支払の確保等に関する法律」第7条)。原資は労災保険料です。立替ですから、雇用主の賃金支払義務がなくなるわけではないのですが、実際には雇用者は倒産しているわけですから、支払うことができない場合が多いだろうと思います。(法的倒産の場合はそれなりに回収ができますが、事実上の倒産ですと回収は難しい場合が多いようです。)
この制度の利用は、バブル崩壊後の時期に最も多かったのですが、現在はピーク時に比べると件数、支給額ともに少なくなっています。

この制度が利用されるのは破産や民事再生といった法的手続に入った場合が多く、そうでない事実上の倒産の場合は「労働基準監督署長の認定」が必要となります。それ以外に、労働者かどうか、未払の有無・金額など、事実関係の確認にはそれなりのハードルがあります。
余談ですが、従業員でも何でもなかった人を従業員であったかのように書類等を捏造して申請する詐欺事件も発生しているためです。近年では外国人労働者に対する立替払が必要になる場合も多いので、なかなか大変と聞いています。

一方、中国はと言うと、残念ながら、そのような公的な立替払制度はありません。ですので、従業員は企業が倒産して賃金が未払になると、人力資源社会保障局(昔の労働局)に通報する(※)、企業や地元政府の庁舎の前に座り込んで陳情する、企業の株主や経営者・管理者を取り囲んで責め立てるなど、相当深刻な事態が起こることになります。
しかたなく、倒産した会社の取引先の方で一部の給与を立て替えてあげないといけないような場面もあります。
(※)中国には「労働報酬支払拒絶罪」という犯罪があり、賃金不払に対しては刑事処罰が行われることもあります。中国《刑法》第276条の1参照。
そもそも中国では、(もはや昔の話かもしれませんが)失業保険そのものの申請も容易には認めてもらえないような場合もあります。そのような場面に出遭うたび、やはり日本は労働者に対する保護が手厚い良い国だと感じます。

ちなみに、日本でも、労働関連の債務については破産前に払えるならば払う、ということが実務上は推奨されています。さらに、解雇予告手当と、直近月の給与と、どちらかしか支払えないという場面では、解雇予告手当の方だけでも支払っておいた方が良い、ということになっています。解雇予告手当はこの未払賃金立替払制度の対象にならないからです。
ですので、立替払制度があるから賃金未払になっても安心とは簡単には言えず、それなりに手間もかかるものですが、それでも、制度があるか無いかでは大きな違いがあります。



2024年3月11日月曜日

3月第1週:①政府業務報告、②最高人民法院の業務報告、③支払決済の利便性向上

①政府業務報告

毎年、3月には最初にこのニュースに目がいきます。普段の業務では木ばかり見て森を見ないですので、一年に一度は全体を眺めてみようと思う時期でもあります。
今年の任務としては、まず第一に製造業を重点とした「产业链(産業チェーン)」のアップグレードを推し進めることとされています。それに続いては教育政策、農村と都市の一体化や職業教育の強化などと続きます。ずっと下の方ですが、外国人員の業務、学習、観光の利便性を高めるという一文もありました。不動産市場については企業の責任のほかに部門監督管理責任や地方属地責任を確実にするとありますので、引き続き厳しい対応が続きそうです。台湾については、一つの中国の原則を堅持するとしつつ、両岸関係と平和的発展を推進するとありました。

②最高人民法院の業務報告

最高人民法院の方の業務報告は、どちらかと言えば統計の数値に興味を持っています。
まず、破産案件の審理終結件数が2.9万件、これは前年同期比68.8%増とのこと。破産事件の手続処理についての経験が蓄積されてきていることが分かります。
渉外民商事案件の審理終結件数は2.4万件。こちらは3.6%増でほぼ前年並みとのこと。
執行案件については審理終結件数976万件、非常に多いですが、ただ、確実に履行能力がないことが分かった場合には信用失墜名簿(いわゆるブラックリスト)に掲載しないということで、少し執行に関する考え方も変化が見られるように思います。

③支払決済の利便性向上

今週は多くが全人代関連の情報となっていたのですが、一つ、国務院弁公庁から各種支払決済の利便性向上に関する意見が出ていました。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202403/content_6937623.htm
特に、主要任務の最初に、「高齢者及び外国訪中人員など」の銀行カード使用の利便性を不断に高めるという記述が見られるなど、外国から中国を訪れる方々の中国国内での支払決済についての利便性を高めていく方向が見て取れます。


2024年3月7日木曜日

差押・仮差押の申立てのハードル(債務者の財産の調査)

中国では、裁判所と登記機関、銀行や証券会社などがネットワークでつながっており、仮差押でも本差押でも、債権者が相手方の財産を探す必要はなく、裁判所がこのネットワークを使って差押対象となる財産を探してくれるようになっています。
このシステムを「ネットワーク執行調査統制システム」(网络执行查控系统)といいます。
本差押(強制執行)の場合は、必ずこのシステムを使って債務者の財産の状況がチェックされます。

《民事執行における財産調査にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定(2020年)》
第1条  執行過程において、執行申立人は被執行人の財産の手がかりを提供しなければならず、被執行人は財産をありのままに報告しなければならず、人民法院はネットワーク執行調査統制システムを通じて調査をしなければならないものとし、事件の必要に基づき他の方式を通じて調査をするべき場合には、同時に他の調査方式を採用しなければならない。

一方で、仮差押(民事保全)の場合は、必ずではなくて、裁判所の裁量によって、調査してくれたりしてくれなかったりします。
《人民法院が財産保全事件を取り扱う際の若干の問題に関する最高人民法院の規定(2020年)》
第10条  当事者及び利害関係人は、財産保全を申し立てるにあたり、人民法院に対し被保全財産の明確な情報を提供しなければならない。
  当事者が訴訟において財産保全を申し立て、確かに客観的な原因により被保全財産の明確な情報を提供することができないけれども、財産の具体的な手がかりを提供する場合には、人民法院は、財産保全措置を講ずる旨を法により裁定することができる。
第11条  人民法院が前条第2項の規定により保全裁定をした場合には、当該裁定の執行過程において、保全申立人は、既にネットワーク執行調査統制システムを確立している執行法院に対し、当該システムを通じた被保全人の財産の照会を書面により申請することができる。
  保全申立人が照会申請を提出した場合には、執行法院は、ネットワーク執行調査統制システムを利用して、保全裁定を受けた財産又は保全金額範囲内の財産に対し照会をし、かつ、相応する封印、差押え又は凍結措置を講ずることができる。
  人民法院は、ネットワーク執行調査統制システムを利用しても提供可能な保全財産を照会し得なかった場合には、保全申立人に書面により告知しなければならない。


日本では、債権者が差押対象財産を自分で見つけてきて指定しないといけないのですが、それに比べると、債権を取り立てようとする債権者にとっては、とても便利な仕組みです。
どこの銀行に預金口座があるか見てくれるだけではなく、その時点での残高があるかどうかまで見てもらえます。
日本では、差押の対象になる財産を探すために、弁護士会を通じた照会などの方法による必要があるので、調査すること自体に時間がかかってしまい、また、差押をしても空振りになることがよくあります。ですので、「紛争になる前に平素から」、取引先の状況をよく把握し、どの銀行に口座があるのか、どの会社と取引があるのか、不動産などの固定資産はどこにあるか、会社名義か代表者名義かなどを掴んでおくことが求められます。
中国では、(現地に赴任したご経験のある方々はお分かりいただけるかと思いますが)それほどきめ細かな対応は実際上困難ですから、そのこともあって、上記のような便利なシステムが用意されることになったのかもしれません。


2024年3月4日月曜日

2月第4週:①国家秘密保護法の改正、②司法への不当な干渉に関する事例紹介、③信用懲戒措置のリスト(2024年版)

①国家秘密保護法の改正

国家秘密保護法が改正されました。2010年以来の改正となっています。
もともと改正前から、インターネットやその他の公共情報ネットワーク、有線・無線通信での国家秘密の伝達や、プライベートな通信で国家秘密を扱うことは禁止されていました。
今回の改正では国家秘密を扱う情報システムについての全過程での管理に関する条文などが盛り込まれたとのことです。
いつも気になる「何が国家秘密なのか」、「どうやって取扱注意の国家秘密かどうか見分けるのか」という点については、各国家機関が定めるものとされており、国家秘密を含む媒体にはその旨の表示を付すことなど、概ね従来どおり変わりない内容のようです。

②司法への不当な干渉に関する事例紹介

最高人民法院から、司法への不当な干渉に関する事例の紹介が出ていました。法令ではないですが、よく話題になる部分ですので、ご紹介しておきます。
https://www.chinacourt.org/article/detail/2024/02/id/7814408.shtml
6つの事例が紹介されていますが、最初の事例は、贈答を受けた後に所属機関に報告して、ルールを説明のうえで返却したという事例になっています。それ以外は、裁判所の幹部が長年にわたり弁護士や民営企業から財物の贈答を受けていたことで処分された事例や、特定の事件の審理過程で現金や接待を受けたことで職権乱用罪や収賄罪で処罰された事例などが紹介されています。

③信用懲戒措置のリスト(2024年版)

各種の信用失墜行為に対するペナルティを列挙したリストが改訂されました。
https://www.ndrc.gov.cn/xxgk/zcfb/ghxwj/202402/t20240228_1364264.html
このリストは全国版で、これをベースにして各地方でリストを補充することになっています。
業種別の営業許可取得の制限や飛行機・高速鉄道の利用制限、出入国の制限など、14種類の制裁措置が列挙されている点については従来と変わりないようです。





2024年3月2日土曜日

連載全6回、完結しました。(中国現法“攻め”と“守り”の組織作り)

一般社団法人 東海日中貿易センター様の月刊会報誌にて掲載いただいておりました連載が、無事に全6回の連載を終えて完結となりました。

第1回は一年ほど前の古い記事になってしまいましたが、この機会に改めて、第1回から第6回までのURLを改めて掲載しておきます。


第1回:“攻め”と“守り”両面を見据えた体質改善
第2回:“攻め”(内販強化、新規事業)で直面する課題とその対処法
第3回:“守り”(事業売却・縮小、リストラ、外注化など)で直面する課題とその対処法
第4回:組織作りのポイント~組織・人員
第5回:組織作りのポイント~組織・人員(続き)
第6回:組織作りのポイント~資産、取引、その他


中国でも経済・市場環境がなかなか厳しい部分も出てきていますが、どのような環境にあっても対応できるように、少し普段から考えてみていただくことは、将来に向けて有益に働くこともあるでしょうし、今の自社の強みを認識できる機会にもなるだろうと思います。

JETRO(日本貿易振興機構)様にて、BCP(事業継続計画)作成のポイントに関する資料を作成くださっていますので、私も引き続きこのような資料など拝見しながら勉強していこうと思います。