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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2022年8月29日月曜日

8月第4週:①国産ブランド振興に関する指導意見、②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例、③法律援助手当の免税

①国産ブランド振興に関する指導意見

新時代のブランド建設の推進というテーマで、国家発展改革委員会など7部門からの7月29日付の指導意見が公表されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-08/25/content_5706856.htm
2025年までに一群の産業ブランド、地域ブランドを形成するなど初歩的な成果を挙げ、2035年には中国ブランドが世界のブランドの上位に入るようにするという目標を掲げています。
農業・工業・サービスの各分野と地域のブランドについてそれぞれブランド育成を進めるようですが、とりわけ、各企業においてブランドの国際化運営能力を高める、そのために国際的視野とブランド管理の素養を有する企業家や管理人材を育成する、といったことも言及されています。

②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例

最高人民法院では今年4月から、高齢者をターゲットとした各種詐欺犯罪に対して、各種の手口を公開して詐欺犯罪を打撃するための特別活動を展開しています。
今回は、このような高齢者を対象にした「養老」を名目にした詐欺について、6種の典型事例が公表されています。
(一)「養老基地」の優先入居権と毎月1~3%の固定収益をうたい文句にした投資勧誘
(二)高齢者向けマンションの優遇と高額の返戻をうたった投資勧誘
(三)書画・玉石などの買戻保証や値上がり保証をうたった商品販売
(四)高齢者の住宅抵当融資(以房養老)の名目をかたった融資金詐取
(五)養老保険の手続代行やより有利な待遇享受をうたった保険料詐取
(六)健康講座や無料相談活動を通じた保健品の高額販売

③法律援助手当の免税

法律援助機構が弁護士に対して支払う法律援助手当について増値税と個人所得税を免税にする旨の公告が出ていました。
日本の法律扶助のような仕組みが中国にもあるようで、以前からある《法律援助条例》に加えて、今年1月1日から新たに《法律援助法》という法律が施行されています。
労働組合や婦女連合会などが行う法律援助業務についても同様の免税措置が享受できるようです。中国でも法律が身近な話題になってくるのでしょうか。


2022年8月22日月曜日

8月第3週:①行政裁量権基準の制定・管理、②新型消費モデルプロジェクト、③農村での公衆トイレ建設強化、④過剰包装・高額販売の取締

①行政裁量権基準の制定・管理

国務院から行政裁量権基準の制定・管理に関する業務のさらなる規範化を求める意見が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-08/17/content_5705729.htm
行政裁量権の基準は、地方や部門の実際の状況に合わせて具体化・定量化して社会に対して公表することが求められています。
中国は経済面に限らず地域ごとの差が大きいですので、行政裁量権の基準も地方ごとに定めなければならない必要性は高そうです。
地方や部門ごとに基準を作っているため、基準が多すぎて混乱を生じているのではないか、という問題もあるようで、これについては下級機関は原則として上級機関の基準をそのまま適用するなど、重複・矛盾が生じないようにすべきとされています。
また、「以罰代管」(行政が違法行為を放任しておきながら処罰だけを行うこと)という問題も見られるので、違法行為の発生を予防するよう違反者への教育を重視することなども述べられています。
さらに、ビッグデータやAI、クラウドなどの情報システムを使って、行政人員に適切な指針を与えることも一つの措置として挙げられています。
何らかの行政規制の違反の懸念があるときにも、行政裁量権の基準を見てみると参考になるかもしれません。

②新型消費モデルプロジェクト

情報消費+農村振興による内需拡大のために、4月から新型消費モデルプロジェクトの申請が行われていたのですが、今回、そのリストが工業情報化部から公表されました。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2022/art_358fca6b535f42b1b09a9800750a05cc.html
中身を見てみると、「情報消費体験センター」と分類されているものがあり、これは展示・体験と販売・教育を一体化させた活動を行う場所で、有名な観光地のデジタル旅行が体験できる、メタバースが体験できる、といった場所があるようです。
また、オーダーメイド家具の「透明工場」(消費者が自分が注文した商品の生産進捗状況を知ることができる)、複雑な地形でもドローンを操作できるアプリケーション、といったものも入選しているようです。

③農村での公衆トイレ建設強化

農村での生活環境改善の施策の一環として、公衆トイレの建設を強化することについての通知が出ています。
技術的には、環境保護に適した、低コストでメンテナンスが容易な成熟した技術や、節水・省エネ、凍結防止、防臭などの新技術・新材料の採用が奨励されています。
経費を確保し、定期的な清掃、臭気を生じさせないことなど、建設するだけでなく正常に運営されることも重視されているようです。

④月餅の過剰包装・高額販売の取締

中秋節が近づいてきたので、市場監督管理総局が「月餅」の過剰包装や高額販売の集中取締を2ヶ月にわたり行うとの発表がありました。
https://www.samr.gov.cn/xw/zj/202208/t20220817_349322.html
食品・化粧品の販売を行う企業への指導なども行われるようです。

2022年8月15日月曜日

8月第2週:①市・県レベルの法治強化、②文化(コンテンツ)貿易の推進に関する27部門意見、③一部の罰金規定の撤廃・調整、④「一つの中国」に違反する地図の取締

①市・県レベルの法治強化

中央全面依法治国委員会という共産党機関から、市・県レベルの法治強化に関する意見が発布されています。
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-368761.html
習主席の法治思想を党の学校や幹部学院の重点カリキュラムとする(四)、郷鎮(街道)の党委員会においても党政の主要責任者を法治建設の責任者とする(八)、各地の実情に応じた立法が行えるようにする(十二)などの項目が列挙されています。
その中で、市・県レベルの党政機関の政策決定において「公職律師、法律顧問」の意見を取り入れる(十三)という項目があります。
「公職律師」とは、政府機関に雇用された公務員となっている中国弁護士のことで、行政機関が法律に依拠した行政をするレベルを高める立場にあります。法律専門職の活躍の場は中国でも広がっているようです。

②文化(コンテンツ)貿易の推進に関する27部門意見

商務部など27部門から、ネット動画やネット音楽、ネットゲーム、デジタル出版などのコンテンツの輸出についての意見が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-07/30/content_5703621.htm
世界に向けて中華文化を発信し、中国のコンテンツ面でのソフトパワーと中華文化の影響力を高めるための各種の措置とその担当部門が定められています。
著作物の輸出のみならず版権の輸出も拡大すること(九)、中国の伝統文化についての文化遺産をデジタル化して国外に提供すること(十一)、コンテンツを提供するプラットフォームの海外での影響力を高めること(十五)などが列挙されています。

③一部の罰金規定の撤廃・調整

国務院から、53項目の罰金の撤廃・調整に関する決定が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-08/12/content_5705137.htm
調整については、ビジネス環境の改善のために、各政府部門に対して罰金額の引き下げを行うことを要請しており、各部門の部門規則について60日以内に改正案を報告するように求めています。
一方で、撤廃になったものは、事前認可制から事中事後管理制への変更に伴って該当する罰金が適用される場面がなくなったものや、上位法令にも罰則規定があってこれと不一致になってしまっていたものなどがあります。
法改正といえば罰則強化が取り上げられがちですが、このように緩和されるものもあります。

④「一つの中国」に違反する地図の取締

新しい法令が出たわけではありませんが、米国下院議長の台湾訪問に関連して、税関は「一つの中国」原則に違反する地図の取締を行っているようで、各地の税関での活動が報道されています。
「中国台湾省」の表示が誤っていることはもちろん、魚釣島、大正島などの重要な島嶼の書き漏らしなどが《地図管理条例》などの関係規定に違反しているとのこと。
過去からときどき話題になる地図の件、ことあるごとに注目されるテーマであることを改めて認識しました。

2022年8月6日土曜日

8月第1週:①新型コロナ治癒後の就労差別の禁止、②証券違法行為による罰金・没収金の民事賠償への充当、③レストランでの調理済食品の提供

①新型コロナ治癒後の就労差別の禁止

中国の一部地域で「健康コード」(新型コロナ流行地域への立入履歴等を確認するツール)などを利用した就労差別があるということで、人力資源社会保障部と国家衛生健康委員会から緊急通知が出ています。
http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/laodongguanxi_/zcwj/202208/t20220801_480012.html
「阳过」(陽性になったことがある人)に対して、求人募集のときに差別する内容を掲載することや、労働者使用の過程での就業差別を禁止する旨が改めて述べられています。
中国ではもともと《伝染病予防法》第16条で感染者に対する差別を禁止しており、新たな規制ではないのですが、社会的に問題になったテーマに対して素早く対応しているということかと思います。

②証券違法行為による罰金・没収金の民事賠償への充当

粉飾決算など《証券法》違反の行為によって投資家に損害を与えた場合に課される罰金や没収金について、残りの財産が民事賠償責任を負担するのに不足する場合には、既に政府機関が徴収した罰金や没収金をこの民事賠償に充てることができるという規定が出ています。
http://www.csrc.gov.cn/csrc/c101954/c4914991/content.shtml
ただ、請求するには強制執行終結又は破産手続終結まで手続が進まなければならず、その後1年に限って請求を認めるということのようです。証監会が財政部に半年に一回、国庫からの資金返還を得て賠償に充てるということで、被害回復には有益と思われますが時間はかかりそうにも見えます。

③レストランでの調理済食品の提供

中国消費者協会の2022年上半期の消費者クレーム受理状況の発表がありました。
新鮮な豚肉だというので購入したところ冷凍肉であった、副作用の説明なしに眉のアートメイク施術を受けたら赤く腫れた、といった日常生活の身近な事例が色々と紹介されています。また、事例の紹介のほかに、レストランで提供する料理(出前を含む。)が事前に調理済みのものである場合、それを事前に告知しておかないと消費者の知る権利と選択権を害するという記述がありました。
チェーン店で提供されている料理はセントラルキッチンで調理されて店舗に運ばれるなど、事前に調理されているものも多いようで、とある企業では95%が事前調理済みとのこと。
何をどこまで説明すればよいのか明確であればよいのですが。

2022年8月1日月曜日

7月第4週:①脱炭素関連の国家基準の外国語版、②知的財産権鑑定業務の強化に関する指導意見、③「十四五」環境健康業務計画

①脱炭素関連の国家基準の外国語版

国家標準化管理委員会から、カーボンピークアウト(碳达峰)、カーボンニュートラル(碳中和)に関する国家基準の外国語版計画(44項目)が公表されています。
自動車の燃費改善製品使用の技術条件や、建設機械のエネルギー消費基礎データの測定・計算方法など、製品の脱炭素性能に関わるものも英語にしていくようです。

②知的財産権鑑定業務の強化

国家知的財産権局から、知的財産権の鑑定業務を強化するということで、指導意見が出ています。
https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/7/27/art_75_176870.html
主には知的財産権関連の専門的な事実面での問題について鑑定と分析を行うものであり、このような知的財産権鑑定の適用場面を広げていく方向性も示されています。

③「十四五」環境健康業務計画

生態環境部からは、第14次5ヶ年計画期間における環境健康面での業務計画が出ていました。
公衆の健康を保障するために、環境と健康のモニタリング・調査・リスク評価の制度を構築していくことなど、環境と健康をつなぎ合わせた環境保護活動について述べられています。