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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2022年7月25日月曜日

7月第3週: ①経営者集中の審査が地方でも、②展覧会への出展と知的財産権、③全国統一市場建設に寄与する30ヶ条

①経営者集中の審査が地方でも

中国のM&Aや新合弁会社設立に関して《反独占法》により要求されている経営者集中申告(独禁法上の企業結合届出)について、
8月1日から、簡易案件の審査を北京、上海、広東、重慶、陝西の5つの省・市に分散して行うことになるようです。

手続のルートが変わることで便利になる部分もあると思われますが、手続が従来どおり進まなくなることも出てくるかもしれません。

②展覧会への出展と知的財産権

展覧会や博覧会に出展される展示品が特許や商標などの知的財産権を侵害している場合、展覧会主催者はこれを撤去する措置を講じる義務があります。
この展覧会などにおける知的財産権の保護に関するガイドラインが公表されました。
展覧会参加前に出展企業が自ら展示品や包装・設計などについて他社の知的財産権を侵害していないことの承諾を提出すること、
主催者は政府機関と協力して、技術・法律の専門人員を配した「工作站」を設置して、その場で知的財産侵害等のクレームを受け付けて処理すること、
といった仕組みが規定されています。


【7/26追記】

③全国統一市場建設に寄与する最高人民法院の30ヶ条

《最高人民法院关于为加快建设全国统一大市场提供司法服务和保障的意见》(法发〔2022〕22号)
https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-367241.html
外国企業も平等に扱う(5.)、市場退出メカニズムを整備する(6.)といったような項目が並んでおり、
渉外案件の指導性案例を多言語で発信する(16.)といったような興味深い項目もあります。

合わせて、典型案例も公表されていました。
《人民法院助力全国统一大市场建设典型案例》
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-367251.html
事例四、名義株について実質株主による名義変更請求を認めた事例、
事例六、力帆股份という上場企業とその子会社10社の「重整」による再生事例、
事例十、許可証無しでの非法経営罪についての無罪事例、
といった事例が並んでいます。


2022年7月18日月曜日

7月第2週: ①天津濱海新区法院の十大ファイナンスリース典型事例、②職業分類の改訂(意見募集)、③ビットコインのマイニングに関する契約

①天津濱海新区法院の十大ファイナンスリース典型事例

天津濱海新区では比較的早くからファイナンスリースについて特区を設けて奨励しています。その濱海新区の人民法院からファイナンスリースについての十大事例が紹介されていました。
電子署名のみで締結された契約について資質のある第三者認証機関が発行した証明書をもって契約が有効に成立したものと認めた事例(事例二)、実際には被告本人に到達していなくても契約書上に記載された送達場所への送達をもって送達されたとみなした事例(事例三)など契約書の管理について参考になる事例もあります。
少し変わった事例では、誤った支払遅延情報(信用不良情報)の削除請求に関する事例(事例十)もあります。

②職業分類の改訂(意見募集)

《職業分類大典》という職業分類の一覧表があり、その改訂に関する意見募集が行われています。職業訓練や就労支援などの分野で使用されるものです。
「电子商务师」(eコマース師)、「互联网营销师」(インターネットマーケティング師)といったデジタル関係の職業が追加されたことや、「森林資源評価専業人員」といった環境保護関連の職業が追加されたことがポイントとして挙げられています。

③ビットコインのマイニングに関する契約

北京市第三中級人民法院から、ビットコインのマイニングを委託する契約の有効性に関する裁判例の発表がありました。
某会社がブロックチェーン事業を行う会社にマイニングを委託し、管理費用を支払う代わりに、マイニングされたビットコインを取得するという契約で、1000万元を支払った後、約18ビットコインの収益が支払われた後、その後ビットコインの引渡しがなされなくなったため、マイニングにより得られた残りのビットコインの引渡しを求めた事例でした。
裁判所は、仮装通貨(暗号資産)のマイニングは経済金融秩序を乱し、電力資源を浪費するなど公共利益に反するものとして、マイニングに関する契約を無効と認定しました。





2022年7月11日月曜日

7月第1週: ①データ出国安全評価弁法、②労働関係の指導案例7件、③北京への移動制限

①データ出国安全評価弁法

《データ安全法》による重要データの国外移転規制についての具体的規定が新たに一つ発布されました。
先週に引き続いて、《個人情報保護法》第38条第1項各号による個人情報の国外移転に関する話題でもあります。
データ出国安全評価を申請しなければならない場面は、以下の4つです(第4条)。
 (1)データ処理者が重要データを国外提供する場合。
 (2)基幹情報インフラストラクチャー運営者と100万人以上の個人情報を処理するデータ処理者が国外に対して個人情報を提供する場合。
 (3)前年1月1日から累計で国外に対して10万人の個人情報又は1万人の機微な個人情報を提供したデータ処理者が個人情報を国外に対して提供する場合。
 (4)国家ネットワーク情報部門が定める、データ出国安全評価の申請が必要なその他の状況。
施行日は9月1日からですが、既にデータの国外移転を行っており、この弁法の規定に適合していない場合でも、施行日から6ヶ月以内に是正すれば良いそうです(第20条)。
ですので、申請が必要になる場合でも、過去に遡って処罰されることもなさそうですし、また施行前に慌てて申請しなくても大丈夫なようですが、来年の2月末までには申請が必要となります。日本のお正月休みに加えて中国の春節休暇もありますので、年内を目途と考えておく方がよさそうです。

②労働関係の指導案例7件

最高人民法院から、新たな指導案例7件(179号~185号)が公表されました。今回は珍しく、労働法関連の事例が紹介されています。
合作契約名目での偽装請負に関する事例、賞与支給前に離職した従業員の賞与に関する事例、戸籍所在地による就職差別の事例など、人事労務管理に関する参考になる事例となっています。

③北京への移動制限

北京との正常な往来を保障するということで、北京との往来制限が見直されています。
他都市から北京への移動制限について、「14日のうちに1例以上の感染者が発生した県(市、区)」への立ち寄り履歴があると制限を受けていたところ、「14日」が「7日」に短縮されるなど緩和されます。
一方、7月11日から、人が集まる場所に入るときはワクチン接種済みであることが求められるようです。もっとも、ワクチン接種に適しない人などは不要ですし、PCR検査証明での代用なども可能という情報もあり、中国での規制も日々変化している様子です。

2022年7月4日月曜日

6月第5週:①個人情報の国外移転のための標準契約書式、②個人情報の国外移転のための認証実践指針、③《反独占法》改正に関する意見募集6件

①個人情報の国外移転のための標準契約書式

《個人情報保護法》第38条第1項第3号に定める標準契約の書式について、現在まで発布されておらず実務上「ルールを守りたくても守れない」困難を生じていたのですが、標準契約の具体的なイメージが持てる文案が公表されたことで、ようやく問題が解消されそうです。
この標準書式を見ると、同法同条第3項からすると受領者側も中国のルールを知らなければならないので当たり前のことではありますが、中国国内の提供者側が、外国の受領者側の求めに応じて、中国国内の関連法令及び技術基準の副本を提供しなければならないということも書いてあります。(書式第2条(五)部分)
もちろん、外国の受領者側の義務(書式第3条部分)も詳細に規定されており、この書式自体が、《個人情報保護法》対応のために何をしなければならないのかについてのマニュアル、チェックリストとして使えそうな内容になっています。もちろん、この書式を使って実際に個人情報の国外への提供を行おうとすれば、当然、守らなければならない内容でもあります。
現在はまだ意見募集段階であり、正式発布ではありませんが、事前に見て準備しておいた方がよい事項もありそうな気もいたします。

②個人情報の国外移転のための認証実践指針

もう一つ《個人情報保護法》第38条第1項各号の関係では、国のネットワーク安全・情報化部門の規定に従い専門業務機構の実施する国外移転に関する個人情報保護認証について、指針が公表されました。こちらは意見募集ではなく正式に公表されたものです。
《情報安全技術 個人情報安全規範》(GB/T 35273)に基づき認証機関が個人情報のクロスボーダー処理活動につき個人情報保護認証を行う際の実践指針ですので、これでようやく、認証機関に委託してこの認証を得る道も実際に開かれてくることになりそうに思います。
上記の①と合わせて、今までは「まだルールが決まっていないから」と言えたところ、ルールが整備されてきています。中国の《個人情報保護法》による国外移転についての規制の本格化に向けての地ならしが進んでいるのかもしれません。

③《反独占法》改正に関する意見募集6件

改正《反独占法》が8月1日から施行されますが、それに向けて、6つの関連する細則規定の改正についての意見募集が行われています。
《反独占法》の改正内容自体は直接に実務に影響するのか分かりづらい部分があるのですが、こちらの細則規定については、直接、実務を左右する部分が含まれています。