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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2024年2月26日月曜日

2月第2週、第3週: ①罰款(行政罰としての罰金)の規範化、②中国共産党の巡視業務条例、党史学習教育業務条例、③低炭素技術の集積・普及実施方案

①罰款(行政罰としての罰金)の規範化

行政罰としての罰金の設定について、みだりに高額の罰金を科したり処罰の範囲を拡大したりすることがないように、という指導意見が国務院から出ています。
公民の生命・健康の安全や金融安全にかかわるもの以外、最低額と最高額の差は10倍までとすべきこと、《行政処罰法》第32条、第33条に定められている処罰の軽減や不処罰に関する事情について各地の実情に応じて具体化すべきことなどが規定されています。

②中国共産党の巡視業務条例、党史学習教育業務条例

上級の党組織による下級党組織に対する指導監督のための巡視業務についての条例が改正されたそうです。
国有企業も、それぞれ、中央直轄の中央企業は中央の、省レベルの国有企業は省の巡視対象となっています。
中央紀律検査委員会の中に巡視工作指導チーム事務室という組織があって、実際に巡視業務を行う巡視組の活動を手配していること、一つの任期の間に管轄下の党組織全ての巡察をカバーすることなどが規定されています。
また、同時期に党史学習に関する党の条例も出ていました。
https://www.gov.cn/zhengce/202402/content_6932025.htm
各レベルの党組織で党史を学ぶことを指導することなどが書かれていますので、中国現地法人の社内ではそのような学習を目にする機会も増えるのかもしれません。

③低炭素技術の集積・普及実施方案

カーボンニュートラルに向けた取り組みということで、さまざまな低炭素技術を集積するべく、生態環境部から方案が出ています。
https://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk05/202402/t20240222_1066647.html
単に二酸化炭素の排出を減らす技術だけではなく、再生可能エネルギーや蓄熱・蓄冷技術など幅広い技術を対象に、《国家が重点的に普及する低炭素技術目録》として集積・選別・評価を行うとのこと。
目録にある技術については、中央の国有企業をはじめ各単位が金融支援や環境資金プロジェクトの申請をすることが奨励されています。
日系企業の有する技術を活用したい中国国内の企業も出てくるのではないでしょうか。


2024年2月23日金曜日

中国《会社法》改正:定款の拘束力と増資の払込

中国《会社法》が改正されましたので、この機会に改めて、いくつかの話題について、備忘を兼ねて書き留めておきたいと思います。


会社の定款は株主に対して拘束力があります。
定款制定時にサインをしていない、後から入ってきた株主であっても定款には拘束されますので、その点ではイメージとしてはマンションの管理組合の規約に似ているように思います。
ですから、もし合弁パートナーの持分が売却・担保実行・差押競売などによって第三者に取得されてしまって、期せずして見知らぬ第三者が株主として入ってきてしまったとしても、定款に定めを置いておけば新株主に対しても拘束力を持たせることができます。
(この点が、合弁契約とはまったく違う特徴です。)

しかし、会社定款に定めがあれば、株主に対して何らかの行為を強制できるのかといえば、それはそうではありません。

例えば増資の決議については、中国の《会社法》上は、3分の2以上の出資比率を占める支配株主の場合であれば少数株主の反対を押し切って決議することができます。
しかし、これによって直ちに少数株主に増資払込が強制されるわけではありません。少数株主には優先的に割当を受ける権利があるだけで、割当を受ける義務はありません。この点は日本と同じです。(2020年8月24日福建省福州市中級人民法院判決など、裁判例を見ていてもそのように扱われています。)

ただ、増資を引き受けない少数株主においては、出資比率が低下(いわゆる「希釈化」)してしまう不利益が生じます。ですので、そのような希釈化をもたらすような増資の決議が反対株主の意向に反して行うと、増資決議そのものが株主権の濫用として無効と判断されることもあり得ますし、もしかすると少数株主の持分買取請求権の行使を許すことにもなり得ます。

普通に合弁会社を運営しているときにはこのような問題が意識されることはないと思われますが、環境も人も常に変わっていく部分はありますので、なかなか難しいところがあると感じます。


2024年2月19日月曜日

外国ビジネスパーソン向けの中国での暮らしの手引き

商務部の外国投資管理司のWebサイトに、《外国商务人士在华工作生活指引(2024年版)》という文書が公表されていましした。
http://wzs.mofcom.gov.cn/article/ztxx/

入国後の臨時住宿登記から、銀行口座、携帯電話、タクシーなど、さまざまな事項についての案内が書かれています。
支付宝(Alipay)や微信(WeChat)など、民間のアプリを使うことを推奨しているなど、なかなか実用的な内容ですが、残念ながら中国語のみのようです。
ビザの更新や個人所得税の申告などについても紹介されています。いずれも比較的簡潔な内容ですので、詳細まで分かるわけではありませんが、チェックリスト的にお使いいただくのが便利かもしれません。

2月第1週: ①廃棄物循環利用体系、②突発事態の対応、③アマチュア無線の管理弁法改正

①廃棄物循環利用体系

国務院弁公庁から、リサイクル促進に関する意見が出ていました。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202402/content_6931079.htm
工業のみならず農業の廃棄物、さらには生活ゴミも対象に、金属、紙、プラスチックなどの再生資源、さらには水の再生利用についても述べられています。新エネルギー車の電池についても回収分解の技術規範の制定が検討されるようです。その他、かなり幅広い分野にかかわる内容になっています。

②突発事態の対応

同じく国務院弁公庁から、突発事態の緊急対応プランについての弁法が出ています。
地震、台風などの自然災害の起きやすい地域のライフライン関連企業や、爆発しやすい物品や化学品などを扱う企業などにおいて、緊急対応プランの演習を行うことなどが求められています。

③アマチュア無線の管理弁法改正

工業情報化部の発布している、非商業用、研究や娯楽目的の無線利用についての管理弁法が改正されました。
行政許可の条件や手続、資料についての条文などが改正されたようです。
また、技術能力に応じた分類管理(A、B、C類)などの規定も設けられたとのことです。

④春節休暇により休載

先週は春節により休載いたしました。(事後報告で失礼いたしました。)



2024年2月14日水曜日

セミナー登壇を終えての御礼

本日セミナーにご参加いただきました皆様、春節休暇中にもかかわらず多くの方々にお時間いただき、誠にありがとうございました。

内容盛りだくさんになり過ぎてしまい、本当に駆け足であまり格好のよくないセミナーになってしまったのですが、ご参加いただいた方々からは暖かい励ましのお言葉を頂戴しまして、本当に嬉しく、ありがたく感じています。
今後も「こんなセミナーを探していた」「また聞いてみたい」と言っていただけるように、精進していきたいと思います。

中国の改正会社法、お正月休みの間に翻訳チームが頑張って日本語訳を作成してくれましたので、是非、さまざまな場面で皆様に知っていただけるように情報発信に努めていきたいとも思っております。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。


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【オンラインセミナー】2024年2月14日(水)
中国「会社法」改正と合弁契約・定款変更実務(参加無料)

2024年2月9日金曜日

2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。

下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦ください。(資料には全部入れておきます。)


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【オンラインセミナー】2024年2月14日(水)
「会社法」改正と合弁契約・定款変更実務


復習: 外商投資法対応
Q1 昔と今とでは、定款に記載すべき事項は違っているのでしょうか。
Q2 古い中外合弁会社の定款を、現行《会社法》に合わせるには、どのような修正が必要なのでしょうか。
Q3 《外商投資法》では、全ての事項について《会社法》に準拠することを求めているのでしょうか。

総論:定款と合弁契約の関係
Q4 中国の会社法のもとで、定款に記載すべき事項にはどのようなものがありますか。
Q5 定款に記載すべき事項は、合弁契約に定めてもよいのでしょうか。
Q6 合弁契約は不要になったのでしょうか。
Q7 合弁契約と定款に不一致がある場合、どちらが優先されるのでしょうか。
Q8 定款において、合弁契約など別途の株主間での合意や契約を参照・引用することは有効でしょうか。それとも、定款においても逐一、合弁契約の内容と同じ内容を定款の条項として記入する必要があるでしょうか。
Q9 合弁契約で定める場合と、定款で定める場合、他にどのような差がありますか。

持分譲渡や出資者変更に関する条項
Q10 会社法改正で、「持分譲渡について他の株主の同意を得る必要がなくなった」と聞きました。当社は、当社の同意なく合弁パートナーが変わると困ってしまうのですが、従来どおり持分譲渡に当社の同意を必要とする旨を規定したい場合、どのように規定すればよいでしょうか。
Q11 《外商投資法》施行に伴って、増資についても全株主の同意なく株主会の3分の2で決議できるようになったと聞いています。増資の決議がなされた場合、反対株主も増資の払い込みをする義務を負いますか。 払込をせず出資比率が低下することを避ける方法はありますか。
Q12 全会一致決議の要求(拒否権の設定)以外に、少数株主の権利を保護するための条項としては、どのようなものが考えられますか。
Q13 支配株主の株主権濫用について、何か定めを置いておくことは必要でしょうか。
Q14 持分の質入(担保設定)については、どのように規定すべきでしょうか。

会社の機関・決議事項に関する条項
Q15 当社はこれまで、全ての事項を董事会での全会一致で決めてきました。今後も同様の運営をしていきたいと希望しています。その場合、どのような対応が必要でしょうか。
Q16 株主会や董事会の決議事項は、今回の改正に応じて変更が必要でしょうか。
Q17 《会社法》所定の株主会の決議事項の一部を、董事会決議事項とすることは可能でしょうか。
Q18 では、逆に、《会社法》所定の董事会の決議事項の一部を、株主会決議事項とすることは可能でしょうか。
Q19 董事の選任については、どのように規定すべきでしょうか。
Q20 総経理についての条項は、何か変える必要があるでしょうか。
Q21 改正法では、小規模な会社では監事を設置しなくてよくなったと聞きました。監事を廃止しても良いのでしょうか。
Q22 現状、当社では2名の監事を置いて、合弁当事者それぞれが1名を任命派遣することになっています。今回の改正で、監事は1名でなければならないことになったと聞きました。定款変更をする必要があるでしょうか。

その他
Q23 日本本社との取引に関して、特に定款に記載しておいた方がよい事項があるでしょうか。
Q24 中国現地法人の董事や監事に就任する際に、従来とは異なる配慮が必要な部分はあるでしょうか。
Q25 解散・清算の場面について、何か従来と異なる定めを置くことは検討すべきでしょうか。
Q26 減資について、特別の定めを置いておくことは必要でしょうか。
Q27 その他に、今回の改正について対応が必要な項目はありますか。


2024年2月7日水曜日

中国《会社法》改正: 少数株主からの持分買取請求のできる場面の拡大

中国《会社法》が改正されましたので、この機会に改めて、いくつかの話題について、備忘を兼ねて書き留めておきたいと思います。


今回の改正《会社法》でも、株主会決議について全会一致決議事項は設けられておらず、従来どおり、定款変更等の重要事項についても3分の2以上の議決権を有していれば決議ができます。
ただ、「落とし穴」として、少数株主からの持分買取請求がありますので、そのような請求を受けないように留意いただきたい旨、以前にご紹介していました。
 (2023年8月31日《外商投資法》施行による《会社法》準拠対応: 株主会の全会一致決議事項)

今回の改正《会社法》では、この持分買取請求ができる場面がさらに拡大されて、
「会社の株式支配株主が株主としての権利を濫用し、会社又は他の株主の利益を重大に損なった場合」に、
他の株主から会社に対して持分買取請求ができることが新たに規定されました。

何が「濫用」なのか、何が「重大」なのかは、個別の場面で異なりますので、裁判例などを参照しながら考慮する必要があるわけですが、
文言上はかなり幅広く適用されそうな条文でもありますので、
マジョリティを占めている多数派株主の立場にある場合こそ、意思決定の手続については万全を期していただくようにしていただくのがよさそうです。


2024年2月5日月曜日

1月第5週: ①発票管理弁法実施細則の改正、②不動産登記の利便性向上、③家電・家具の回収体系

①発票管理弁法実施細則の改正

国家税務総局から、発票管理に関する細則規定の改正が発布されています。3月1日から施行です。
・ 電子発票について紙の発票と同様の効力があるのでその受領を断ってはならないこと。
・ 「実際の経営業務状況と一致しない」発票発行は発票の虚偽発行となり犯罪行為となるところ、この行為には取引がない又はあっても内容が異なる場合が含まれること。
・ 電子発票情報システムの開発のための発票データのダウンロード等に関する規制。
など、改正内容は電子発票に関するものが多いようですが、紙の発票に関する規定も補充されています。
発票の虚偽発行については重大な問題に発展しやすいため、この規定も参照する機会は比較的よくありそうです。

②不動産登記の利便性向上

自然資源部など4部門から、不動産登記の利便性を高めることに関する通知が出ています。
http://gi.mnr.gov.cn/202402/t20240201_2836868.html
頻度の高い事項は全過程オンラインでの処理率を高めること、オンラインでの情報照会の改善、企業再編時の手続効率化、商品建物の予告登記の推進などが挙げられています。
死亡証明や親族証明などについて告知承諾制を模索するという記述もあります。

③家電・家具の回収体系

商務部など9部門から、廃棄される家電や家具の回収ネットワークの合理化などに関する通知が出ています。
http://www.mofcom.gov.cn/article/zwgk/gkzcfb/202401/20240103470314.shtml
回収企業のフランチャイズや協議合作等の方式による組織化、回収センターなどによる回収の大規模化・集約化といった項目があり、メーカーや物流企業とつながった回収の仕組みなども挙げられています。新しい業態も出てくるのかもしれません。