注目の投稿

2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2021年11月3日水曜日

10月第4週:①個人情報保護法の施行を迎えての対応、②不動産税の試行拡大、③中小企業に対する段階的納税猶予、④データ安全法に基づく出国安全評価弁法の意見募集

①個人情報保護法の施行を迎えての対応

11月1日、《個人情報保護法》の施行日を迎えました。成立・公布後、国慶節休暇を挟んだこともあり、準備万端とはいかない部分もありますが、施行日が近づくにつれ、各企業における取り組みも進みつつあるようです。ただ、《個人情報保護法》による規制は多岐にわたりますので、11月1日までに全ての対応を終えた企業は少ないものと思われ、何に優先して取り組むのかという悩みもあるようです。
この点について、今回、中国消費者協会からは、企業に対して5点、消費者に対して5点、それぞれに向けた注意喚起が発表されており、企業における取り組みの参考になるかと思われます。
但し、私個人としては、各企業の優先順位は一律ではないはずであろうと考えています。事業活動の状況によって事実上問題になりやすい部分とそうでない部分を分けてみて、それによって優先順位を決めて対応した方が現実的でしょう。

②不動産税の試行拡大

5月にご紹介したとおり、「住宅は住むために用いるものであり、投機のために用いるものではない」(「房子是用来住的,不是用来炒的」)ということで、中国では不動産の価格抑制政策が打ち出されています。
今回は、一部地域における不動産税改革の試行についての政策が出て、日本でも報道されています。建物については「房産税(建物税)」、土地については「城鎮土地使用税」が以前から存在していましたが、さらに「房地産税(不動産税)」が課されるということになるようです。既に2011年から、上海では2件目以降の住居、重慶では別荘や高級住宅について課税されていたようですので、まったく新たな税というわけでもなく課税範囲が拡大されるだけのようではあります。土地払下収入に依存していた地方財政からの脱却ということも背景の一つにあるようです。
日本でバブル崩壊に至ったきっかけとしては、不動産向け融資の総量規制と、いわゆる地価税の導入が挙げられることがあります。今の中国の施策を見ると、ついつい日本のバブル崩壊を連想してしまうのですが、中国政府の方々は当然ながら、日本の経験を十分研究したうえで施策を決定しているはずですから、歴史の新たな経験則が生み出されていくのか、興味が湧くところです。
脱線ですが、日本でバブル経済と税金に関する記事を見ていると、明治時代の「ウサギ税」という税金のことが紹介されていました。中国では古酒や骨董品も高値で取引されているようですが、もしかすると今後は何か変わった税金が誕生するのかも?と想像してみたりもします。

③中小企業に対する段階的納税猶予

国際商品市況の高騰、生産コスト上昇などによる影響は製造業について特に大きなものとなっています。そのため、国務院は第4四半期につき中小企業に対して企業所得税や増値税などの納税猶予措置を打ち出しています。年間売上高2000万元以下の製造業の小型・零細企業(個人事業者を含む)については全額の納税猶予、年間売上高2000万元から4億元の製造業の中型企業については50%の納税猶予、特別困難企業については全額猶予となっています。納税猶予は11月1日から来年1月の申告期終了までとなっています。
また、同じ記事で、国外機関投資家が国内債券市場で得た利息収入について企業所得税と増値税を徴収免除する政策が2025年12月31日まで延長されたことが発表されていました。最近話題になっている社債市場でのデフォルトをめぐる不安を解消するための措置と思われます。

④データ安全法に基づく出国安全評価弁法の意見募集

国家インターネット情報弁公室から、重要データの国外移転時に必要となる出国安全評価の細則の意見募集が出ています。《データ安全法》第31条に基づき別途制定することとされていたものです。
「重要データ」については先日もお伝えしたとおり工業データ一般についてのデータ安全管理弁法も意見募集中です。
また、この意見募集稿では、個人情報保護法により国外移転時に必要となる安全評価についても対象としています(意見募集稿の第2条)。《個人情報保護法》第40条では一定数量以上の個人情報処理者に国外移転時の安全評価を求めているのですが、この意見募集稿では、100万人以上の個人情報処理者がその一部を国外提供する場合か、「累計で」10万人以上の個人情報又は1万人以上の機微な個人情報を国外提供する場合を対象としているようです(同第4条)。(なお、《個人情報保護法》第55条で個人情報の国外移転の場面一般に求められる「個人情報保護影響評価」と混同してしまわないようにご留意ください。)


0 件のコメント:

コメントを投稿