作ってみました

中国定年年齢計算器
中国の法定定年退職年齢は、2025年1月1日から段階的に延長されています。
確認・計算の手間を省けるよう、計算器を作ってみました。

2026年8月21日金曜日

中国の会社との契約における合意管轄条項(意外な「落とし穴」)

最近、なぜか連続して同じような問題を目にしましたので、ここでご紹介しておきます。


日本国内の企業が、中国(香港・マカオ・台湾を除く)の会社と契約するときに、契約の最後の方に、以下のような条項が入っていることがあります。---------------
本契約に起因又は関連して生じた一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
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英語でこんなふうに書かれていることもあります。
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Any and all disputes arising out of or in connection with this Agreement shall be subject to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court.
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これらの条項は、「合意管轄条項」と呼ばれ、日本国内の取引ではテンプレート的に入っている一般的な条項です。また、海外との取引の契約でも、それなりによく見かけるように思います。
単純に日本国内で使っている契約書式を英語に訳して使っているような場合にも、このような条項がそのまま組み込まれていることがあります。
但し、こと中国(香港・マカオ・台湾を除く)と日本との間の契約の場合には、上記の条項は、いざというとき機能しないばかりか、おおいに邪魔になってしまうことすらあります。

というのは、私の知る限り、日本と中国の裁判所は、それぞれ相手国の裁判所の判決について承認しない運用になっています。
ですので、もし何かトラブルが起きて、契約に基づいて相手方の中国の会社を訴えたいと思ったとしても、相手の会社が日本国内に十分な資産を持っていない限り、
(1) 日本の裁判所の判決は中国では承認されない(中国国内では執行ができない)、
(2) 中国で訴えようとしても管轄違いになり受理してもらえない、
という状況になり、結果的に、どちらの裁判所に助けを求めても救済が得られないということになってしまいます。
 ※ 相手方の会社が日本に十分な資産を持っていれば、日本で執行可能なので、問題はありません。念のため。


ですので、中国の会社との契約においては、他の外国企業と取引するときとは少し違って、
①管轄条項を「敢えて」置かない。
②仲裁条項にする。(仲裁判断はニューヨーク条約に基づき日中両国とも執行可能です。)
③日本か中国どちらかの裁判所を指定する。
の選択肢のうち、③だけが不正解で「落第」の回答となってしまうことがあり、
むしろ、①の「意図的に書かない」という選択が正解になることがあります。

中国法に関して解説されている書籍等では、主に「地方保護主義」(地元びいき)の弊害を避ける観点から②の仲裁条項(それも第三国での仲裁?)をお勧めしていることが多いような印象もありますが、紛争解決のためのコストのことなどを考えますと、常に仲裁が最善の選択であるとも言い難い場合がありますから、少しご留意いただければと思います。


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