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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2023年7月3日月曜日

6月第4週:①《対外関係法》、②バリアフリー環境建設法、③知的財産権の濫用による競争制限・排除行為の禁止規定

①《対外関係法》

各国との外交関係及び経済・文化等の各分野での交流など、外国との関係に関する法整備について、国家主権・安全・発展利益などの面でまだ不備・不足の部分があるということで、憲法に基づく基本法となる《対外関係法》という法律が制定されました。
全人代、国務院、中央軍事委員会、外交部など、各政府機関における対外関係での職権が述べられています。地方政府も、中央の授権した特定の範囲内で対外交流・協力を行うと書かれています。
対外関係の目標としては、国家主権・統一、領土の完全性の維持、経済社会の発展への貢献が挙げられています。記者発表では、交流と協力、友好的な付き合い、国際協力といった内容が特徴として紹介されています。
続いて「国内法治」と「渉外法治」を統一的に推進し渉外分野の立法を強化すること、国際法の基本原則や国際関係の基本準則を遵守することをベースに渉外分野の法律法規の施行と適用を強化して、法により法律執行などの措置を講じることされています。
中国公民及び組織の海外での安全及び正当な権益を保護し、国家の海外利益を威嚇・侵害されないよう保護することも規定されていますので、中国国内の取引でなくても中国法が関係してくる場面が増えるのかもしれません。

②バリアフリー環境建設法

障害者や高齢者などのためのバリアフリー環境の構築のための法律が制定・公布されました。
https://www.gov.cn/yaowen/liebiao/202306/content_6888910.htm
対象となる建物としては、居住建築、居住区、公共建築、公共場所、交通運輸施設、都市道路などとなっています。既存のバリアフリーではない建物については、各地の人民政府が状況に応じて個別の改造計画等を定めることになっています。
また、法律の名前に「建設」とついているので建設関連の法律かと思いきや、そうではなく、情報交流や社会サービスの環境整備に関する内容も含まれています。
例えば、事故災害情報は音声・大きな文字・点字・手話などで伝えることや、スマートフォンなどのメディア端末にも同様のバリアフリー機能を持たせることなどが規定されています。
さらには、教育・医療、公共交通はもちろん裁判所などの司法機関でのバリアフリー確保や、法律事務所などのサービス提供におけるバリアフリーの奨励、郵便局や宅配企業による訪問サービスの奨励なども規定されています。

③知的財産権の濫用による競争制限・排除行為の禁止規定

知的財産権の濫用と反独占法(独禁法)との関係についての規定が改正されました。
https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/fgs/art/2023/art_e155397fbe5c4c05ad3c1838c1322ad2.html
国家基準や業界標準の制定にあたって知的財産権を十分に開示していない場合や、必須特許についていわゆるFRAND条件での許諾をしない場合などに関する規定が拡充されています。
また、一定のシェアを下回る場合を禁止対象としない、いわゆるセーフハーバー・ルールについて、改正前は具体的なシェアが数値により規定されている部分があったのですが、今回はその部分が「知的財産権分野における反独占指南」に委ねられています。
その他の改正箇所もありますが、比較的実務にかかわるものでもありますので、後日改めて検討したいと思います。


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