日々仕事をしていて、依頼者から頂戴して嬉しいお言葉、いろいろあります。
今回は(私ではなく)北京の同僚である中国弁護士が本当に良い仕事をしてくれまして、依頼者からとてもありがたいお言葉を頂戴することができた件がありましたので、ここに書き留めておきたいと思います。
「功夫」は努力や苦労、「有心人」は志のある人という意味で、
「负(負)」はここでは勝ち負けの意味ではなく「裏切る」の意味だそうです。
つまり、努力は人を裏切らないという意味なのですが、
「雨垂れ石を穿つ」のように、ずっと継続して努力していればいつか報われるという意味合いもあります。
このお言葉を頂戴できたのは、以下のようななりゆきでした。
何年も前のことですが、北京でこの同僚が原告側の代理人として起こした訴訟で、勝訴判決を得ました。
判決では原告の請求が認められ、訴訟費用についても「訴訟費用は被告の負担とする」となっていましたので、訴え提起時に納付した訴訟費用を還付してもらえるよう裁判所に申請をしました。(※)
(※)日本では訴訟費用確定手続を経て金額を確定したうえで、相手方から支払を受ける必要がありますが、中国では裁判所が原告宛てに訴え提起手数料を還付してくれます。《「訴訟費用納付弁法」の適用に関する最高人民法院の通知》(法発[2007]16号)第3条参照。
ただ、今回の場合、被告が既に倒産状態になってしまっており、被告からこの訴訟費用を取り立てることができそうにないことなどから、裁判所はなかなかこの還付をしてくれませんでした。
ここまではよくあるお話です。
その後、もう随分時間が経ったので、私もすっかり忘れてしまっていたところ、急に「裁判所から訴訟費用還付の連絡がありました」との報告があり、そこから数日、実際に無事還付を受けることができました。
何年も放置されていたのに今になって急に何故?と思って同僚に聞きましたところ...
なんと...
この同僚、なんと2年以上もの間、ずっと毎週のように裁判所に催促し続けていました。その結果、最近になって、めでたく訴訟費用を還付してもらうことができたのだそうです。
そうして、冒頭ご紹介した、「まさに『功夫不负有心人』ですね!」というありがたいお言葉を依頼者から頂戴したという次第でした。
裁判官相手に催促し続けた粘り強さもさることながら、勝訴判決を得た後もずっと手を離さずにフォローし続けていたことに驚きました。
この話があって、
「成功するまであきらめない」、会社にいたとき朝礼で学んだ、そんな言葉を思い出しました。
高い熱意やエネルギーをもって一つのことを続けるのは難しいですが、淡々と同じことを静かに続けることもそれと同じように難しいことです。
一時的に頑張るのではなくて、平常運転で続けることが成功につながる、そのことを改めて教えられた一件でした。
ちなみに、私がもう一つ、似たような言葉で、とても印象深かった案件で頂戴して思い出に残っている言葉があります。
「死马当做活马医」
死んだウマを生きていると思って治療すること。
死んだウマを生きていると思って治療すること。
転じて、見込みがないときにも絶望せず最後まで手を尽くし続けることを指します。
徐々に年齢と経験を重ねると、若い頃よりもさまざまな場面で見通しが立ちやすくなるのですが、今は見通しが悪くとも、続けていれば状況が好転することもあります。
自戒と反省を込めまして...。
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