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2023年8月9日水曜日

外国人の雇用と、刑法の国外犯処罰(国外での行為は罪に問えない?)

ちょうど《対外関係法》も成立・公布されましたので、少し、日本の経営者・人事労務管理者の方々に知っておいていただきたい話題を一つご紹介します。
「刑法犯の国外処罰」についてです。

日本も中国も、それぞれ自国内で犯罪行為が行われた場合には、自国民であろうが外国人であろうが、当然、刑法による処罰対象となります。
一方、【国外で】犯罪行為が行われた場合については、「自国民でも外国人でも処罰する」場合と、「自国民のみ処罰する」場合、そして「我が国での処罰対象とはしない」場合があります。
 (注意事項として、日本の場合、「国民」かどうかは国籍で判断されます。住民登録や永住権の有無は関係しないようです。)

日本の「刑法」では、第1条から第4条の2まで、それぞれどの場合に当たるのか、犯罪行為によって詳しく規定されています。
一方、中国《刑法》では、第6条から第11条までに規定がありますが、日本ほど細かく規定されておらず、概ね最高刑・最低刑が3年の有期懲役になるかどうかで分けているようです。

ここで、日本の経営者・人事労務管理者の方々に知っておいていただきたいのは、社内で行われる不正行為についてよく問題になる窃盗、詐欺、横領、背任といった犯罪については、「自国民(=日本国民)のみ処罰する」という類型に分類されていることです(※)
つまり、(日本国外で)同じ行為をしても、日本人従業員なら日本の刑法で処罰できるのに、外国人従業員の場合は日本の刑法では処罰できない、ということが起こり得ることになります。
 (※) 但し、会社法上の特別背任罪の場合は、別途、国外犯処罰の規定が設けられているので(日本「会社法」第960条、第971条)、外国人による国外犯の場合でもなお処罰対象となります。念のため。

私(金藤)、個人的には、日本国内においては少子化の続く中で日本国内の企業でも外国人の募集・採用は積極的に進めていただく方がよいと思っており、様々な機会でそういったお話もさせていただいていますし、また、そもそも国籍を理由にして雇用差別をすることは違法でもあります。
しかし、だからといって無防備・無造作に従来の日本人の方々に対するのと同じ方法で外国人の方々を雇用することは、必ずしも適切ではない部分もあると感じます。
日本人従業員と外国人従業員に差がないわけではなく、実際にはこういった社内での重大な問題を起こした場合の処遇など、かなり重要な部分で日本人従業員とは異なる部分もあります。
普段そういった問題に遭遇することはほとんど無いはずではありますが、外国人従業員の方々の雇用管理について、一つの知識として、考慮しておいていただければと思います。

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