以前から様々な場でご紹介しているのですが、日本の不動産賃貸借に関する制度は、中国の人たちから見ると非常に特殊です。しかも、そのことに気付いていないまま過ごしている方々も多く、いつも不思議に感じています。
従来から、借家人が賃料を滞納しているような場合に、賃貸人(家主)やその委託を受けた管理会社がカギを交換するなどの方法で無理に立ち退きをさせる事例はあり、それぞれ80~100万円の慰謝料が認められるなど、違法に立ち退きを迫るような行為には賠償を命じる判決も多々ありました。
ここで、いくつかの裁判例をご紹介しておきたいと思います。
大阪高裁平成23年(2011年)6月10日判決:
管理会社が実力で賃借人を退去させ、鍵を交換するなどした事案です。家主と管理会社が連帯して165万円(うち慰謝料80万円)を支払うよう命じられています。
東京地裁平成24年(2012年)3月9日判決:
管理会社らによる各種の嫌がらせを受けて、賃借人が転居先も決まっておらず所持金もわずかで家財等も持たずに立ち退きを承諾してしまった事案で、管理会社らが連帯して220万円(うち慰謝料100万円)を支払うよう命じられています。
大阪地裁平成25年(2013年)10月17日判決:
家主(会社)従業員などから暴言を浴びせられ、実力で賃借物件を追い出されて約8ヶ月もの間にわたり居住を妨げられた事案で、家主と関係者らが連帯して約137万円(うち慰謝料80万円)を支払うよう命じられています。
これら事案の特徴は、いずれも、「既に立ち退かされてしまった賃借人の方々」が、その後に慰謝料などの損賠賠償を求めて訴えを起こし、勝訴している事例だということです。
これら事案の特徴は、いずれも、「既に立ち退かされてしまった賃借人の方々」が、その後に慰謝料などの損賠賠償を求めて訴えを起こし、勝訴している事例だということです。
つまり、今現在、賃料値上げなどを求められて困っている方々はもちろんのこと、既に渋々ながら立ち退くことになってしまった方々においても参考にしていただくことができるのではないかと思い、ここでご紹介しておくことにしました。
日本では日本のルールを守っていただけるように、普段から「小紅書」という中国語SNSでも記事を書いて配信していますが、今回の板橋区のマンションの事例を見ても、やはり賃貸借については日本と外国の制度の差が大きく、軋轢やトラブルが生じやすいことを改めて感じています。
微力ではありますが、今後も引き続き情報発信に努めていきたいと思います。
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