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2021年11月16日火曜日

11月第2週:①外国人の養老保険(年金)受領問題に関する通達、②個人の破産事件と初の「破産人」、③虚偽訴訟の典型事例、④原料薬産業の発展

①外国人の養老保険(年金)受領問題に関する通達

外国籍で中国の社会保険に加入している方々について、養老保険待遇を受ける(年金を受給する)ときの条件についての通達が出ていました。
定年退職年齢に達したとき、その地方での社会保険加入年数が10年に満たない場合には、前に10年以上の納付実績がある地方で養老保険待遇を受けることなどが示されています。ちなみに、中国での永住権を取得している場合には、中国籍の方々と同じく、納付年数が足りなくても最低年数に達するまで納付を延長して、年金を受給することができるそうです。
日本は年金が地方ごとに分かれておらず、全国で統一的に運用されていますから、何の規定なのかピンと来ない方が多いと思われますが、中国では日本とは異なり地方ごとに社会保険の取扱いが異なるために、どの地方で年金を受け取れるのかという問題が生じます。
ちなみに、実はこの問題は外国人に限ったことではありません。多くの日系企業で、定年退職する従業員が増えてきていますが、これも年金を受給できない従業員が発生するなど、トラブルが多くなっています。中国赴任歴が長い方々でもこれまで出遭わなかった新たな問題ですので、是非、「我が社で定年に近い人はどれくらいいるだろうか?」と一度興味を持って見てみていただければと思います。

②個人の破産事件と初の「破産人」

pptには目次のみ挙げていますが、個人破産の事例について。
「中国で初めての個人破産制度が深センで先行開始」という記事をキャスト中国ビジネスで3月に掲載しましたが、その後、第1号の事件については7月16日に再生(重整)計画が債権者集会で採択されて裁判所に認可され、初の個人再生事例となっていました。
ワークショップでは7月第4週に「全国初の個人破産事件の裁定が確定: 男性が75万元の負債を負って再生を申請」という記事をご紹介していましたが、これは個人再生の事例でした。クレジットカード会社など10社からの負債約56万元について、破産清算では弁済率が33.34%にしかならないところ、再建計画では36ヶ月かけて元本全額を弁済するという計画となったようです。
一方、今回は新たに、上記のような再生ではなく、「破産宣告」を受けた事例が発生して、初めての「破産人」(個人の破産者)として報道等で取り上げられています。
中国の「破産宣告」(中国語でもそのまま「破产宣告」です。)は、申立て受理後に破産要件を満たすときに宣告され、受理が決定された次のステップとなります。破産宣告によって個人は破産者となり、その財産は破産財産となります。
破産宣告に先立って、破産者が引き続き持つことができる財産や支出することができる生活費の金額などにつき管財人が意見を述べ、債権者集会で採択されました。こうして、破産宣告の日から3年間の「考察期間」が始まり、この期間は財産状況の報告義務や高額消費の制限などが引き続き課されることになります。
今後、おそらく全国にも展開される参考になる事例と思われますので、与信管理のご担当者の方々などは一度ご覧いただくと具体的なイメージがつかめて良いのではないかと思います。

③虚偽訴訟の典型事例

虚偽訴訟についての典型事例が紹介されています。債務逃れのために債務を仮装することは犯罪行為でもあります。裁判所も、まっとうな債権者が害されることがないように、執行逃れのための担保設定などには厳しく対応するようですから、裁判所への情報提供なども考えていただくのが良いかと思います。

④原料薬産業の発展

原料薬(原薬)の発展に関する実施方案が出ています。
その解説を見てみると、現状としては、(1)企業のR&Dの能力が不足しており、国際市場では全世界の原料薬貿易額の4分の1程度を占めているものの大部分は付加価値の低いものである、(2)都市化によって原料薬生産企業の移転が必要なのに環境容量不足などの問題がある、(3)生産過程中で用いる溶剤・試薬などの種類が多く、排出量が大きく成分が複雑なため処理が難しい、といった問題が指摘されています。
先端技術を駆使した新薬開発の促進などが方向性として挙げられており、高性能な生産設備や生産過程で用いられる消耗材料を導入していくことを重視するとされていますので、医薬業界に限らず幅広い分野に関係するかもしれません。


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