①上海市における労働関係に関する通知
上海市の人社局から、コロナ禍での操業停止に関連する人事労務関連の各種事項についての通知が出ていました。
- 労働報酬、業務方式、労働時間などの変更については、メールやチャットアプリでの意見徴求と協議による変更も「コロナ禍期間のみに適用」とすれば可能とする。(二)
- 政府による外出制限によって一つの賃金支払周期(例えば月給制なら一ヶ月)を超えて業務に従事できない場合(テレワークできる場合は除く)、労働者側との協議を経て、一ヶ月を超えた後は生活費のみ支給することができる。(九)
②ドローン輸出と《輸出管制法》
ドローン大手のDJI(大疆)がロシアとウクライナでの商業活動を暫定的に停止したとのこと。
《輸出管制法》を含む関連法令のコンプライアンスを改めて自社内で見直すためというコメントも出ているようです。
これまで、中国の《輸出管制法》に関心を払うべき場面は多くはなかったように思いますが、民用技術が戦争にもかかわってしまうことが増えているのかもしれないと思いました。
③職業に関する民間資格
江蘇省のとある民間の試験認証センター(資格学校?)が「全国」で「職業資格」として認められるかのような「登録職業資格証書」を勝手に作っていたようで、問題になっています。今回、人社部から、このセンターの資格証書は国家資格に関するものではなく、採用や昇級、個人所得税優遇などの如何なる職業資格に関する優遇もありません、という声明が出ていました。
コロナ禍で外出できない時間を自己研鑽に、と考える前向きな方々を騙すような話でもありますので、お気をつけいただければと思います。
④中国学術文献データベース(「知網」)をめぐる紛争
精華大学が主導する「知網」という学術文献を一括して大きなデジタル図書館のようなものを作るプロジェクトがあります。CNKIとも略称されます。教育部や国家版権局などの協力のもと推進されており、学校や研究機関が会員になってデータベースを利用するのですが、その費用が高すぎるということで、反独占法違反の市場支配的地位の濫用行為があるとの訴訟を起こされています。実はこのプロジェクトは、単に利用者から費用を取るだけではなく、逆に、利用される論文などを掲載した人たちに対しては収益を分配するということになっているのですが、徴収される費用と分配される収益のバランスが取れていないということも問題視されているようです。
郭兵氏という浙江理工大学法政学院の特任副教授の方がいらっしゃいまして、今回の訴訟ではこの方が原告になっているのですが、実はこの方、杭州野生動物園を訴えて顔認証に関する中国初の裁判事例とされる事例の原告にもなった方です。単に発生した裁判事例だけを観察して分析・論評するだけではなく、自分で原告になってこういった新たな事例を作ってしまうというのは、本当に仕事が好きな方なのだろうなと思います。
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