注目の投稿

2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2024年2月23日金曜日

中国《会社法》改正:定款の拘束力と増資の払込

中国《会社法》が改正されましたので、この機会に改めて、いくつかの話題について、備忘を兼ねて書き留めておきたいと思います。


会社の定款は株主に対して拘束力があります。
定款制定時にサインをしていない、後から入ってきた株主であっても定款には拘束されますので、その点ではイメージとしてはマンションの管理組合の規約に似ているように思います。
ですから、もし合弁パートナーの持分が売却・担保実行・差押競売などによって第三者に取得されてしまって、期せずして見知らぬ第三者が株主として入ってきてしまったとしても、定款に定めを置いておけば新株主に対しても拘束力を持たせることができます。
(この点が、合弁契約とはまったく違う特徴です。)

しかし、会社定款に定めがあれば、株主に対して何らかの行為を強制できるのかといえば、それはそうではありません。

例えば増資の決議については、中国の《会社法》上は、3分の2以上の出資比率を占める支配株主の場合であれば少数株主の反対を押し切って決議することができます。
しかし、これによって直ちに少数株主に増資払込が強制されるわけではありません。少数株主には優先的に割当を受ける権利があるだけで、割当を受ける義務はありません。この点は日本と同じです。(2020年8月24日福建省福州市中級人民法院判決など、裁判例を見ていてもそのように扱われています。)

ただ、増資を引き受けない少数株主においては、出資比率が低下(いわゆる「希釈化」)してしまう不利益が生じます。ですので、そのような希釈化をもたらすような増資の決議が反対株主の意向に反して行うと、増資決議そのものが株主権の濫用として無効と判断されることもあり得ますし、もしかすると少数株主の持分買取請求権の行使を許すことにもなり得ます。

普通に合弁会社を運営しているときにはこのような問題が意識されることはないと思われますが、環境も人も常に変わっていく部分はありますので、なかなか難しいところがあると感じます。


0 件のコメント:

コメントを投稿