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2023年9月21日木曜日

逮捕と勾留、拘留と逮捕(捜査段階での身柄拘束制度) + 居住監視

ニュース・報道を見るとき、私自身もよく用語で混乱してしまうので、この機会に書き留めておきます。

日本の「刑事訴訟法」では、ある個人について犯罪の嫌疑があって身柄拘束を要する場合、通常まずは逮捕状により警察機関により「逮捕」され(第199条以下)、その後、72時間のうちに検察官により勾留請求が行われて(第205条)、裁判所が勾留状を発することで引き続き「勾留」されることになります。勾留の期間は延長を含め20日間です(第208条)。つまり、逮捕と勾留の期間を合わせると、最長で23日間(3+20)となります。

一方、中国の《刑事訴訟法》ではどうかと言うと、まず公安機関が「拘留」(※中国語ママ)し(第82条)、「拘留」後3日以内に(延長可)人民検察院に「逮捕」の請求をします(第91条)。「逮捕」されるのは懲役以上の刑罰に処する可能性のある被疑者又は被告人に限られます(第81条)。「逮捕」による身柄拘束の期間は2ヶ月(これも延長可で、最長では7ヶ月)となっています(第156条~第159条)。

つまり、起訴される前の捜査段階の身柄拘束としては、日本が「逮捕」→「勾留」の順番なのに対して、中国は「拘留」→「逮捕」の順となっており、日本にいう「勾留」が中国では「逮捕」と称しているので、とてもややこしいです。また、「拘留」も、日本で「拘留」といえば刑事罰の一種(30日未満の刑事施設での拘置)ですから(日本「刑法」第16条)、これも用語がとても混乱しやすいです。(「こうりゅう」という読み方も重複してしまっていますし...)





ちなみに、中国ではこの「拘留」(日本にいう「逮捕」)の前に、さらに、
取保候审」(保釈)(中国《刑事訴訟法》第67条、第71条)という制度と、
监视居住」(居宅監視)(同第74条、第77条)という制度があります。
期間はそれぞれ前者が最長12ヶ月、後者が最長6ヶ月となっています(同第79条第1項)。
保釈の場合は、市・県を離れてはならないという制限であり比較的緩やかですが、
居宅監視の場合は、監視場所(原則は自宅や居所)を離れてはならないという制限になります。
いわゆる自宅軟禁のようなイメージですが、テロ活動など国の安全に関する犯罪の嫌疑がある場合は別の場所が監視場所となることもあります(中国《刑事訴訟法》第75条)。

制度が似ているところ、違っているところが混在しており、用語もとても紛らわしいので、ご参考になりましたら幸いです。

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