注目の投稿

【日本の話題】家主や管理会社が賃借人を違法に立ち退かせた場合の賠償義務

以前から様々な場でご紹介しているのですが、日本の不動産賃貸借に関する制度は、中国の人たちから見ると非常に特殊です。しかも、そのことに気付いていないまま過ごしている方々も多く、いつも不思議に感じています。 今回話題になっているのは東京都板橋区のマンションの一件ですが、1年ほど前には...

2025年9月1日月曜日

8月第4週: ①「人工知能+」行動、②犯罪収益偽装・隠蔽罪についての司法解釈改正、③データに関する権益保護

①「人工知能+」行動

国務院から、人工知能の活用についての新しい政策意見が出ています。https://www.gov.cn/zhengce/content/202508/content_7037861.htm
科学技術、産業、消費、民生、ガバナンス、国際連携を6大重点分野として挙げてAIの活用を促進していくことが述べられています。
このうち、「ガバナンス(治理)」の項目では、安全生産監督管理、防災・減災・災害救助、公共安全警報、社会治安管理などにおけるAIの応用や、環境保護の面におけるAIが推進する監視・予測、シミュレーションなどが挙げられています。また、国際連携(全球合作)の項目では、AI技術のオープンソース化、グローバルサウス諸国への支援などについても述べられています。

②犯罪収益偽装・隠蔽罪についての司法解釈改正

最高人民法院、最高人民検察院から、犯罪収益の偽装や隠蔽などに関する罪についての司法解釈の改正が発布されています。
2015年の司法解釈を改正するものとなっています。
https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202508/t20250825_704537.shtml#2
合わせて掲載されている解説によると、中国《刑法》では第191条のマネーロンダリング罪を中核条項、第312条の犯罪収益等隠蔽罪を一般条項、第349条の麻薬・麻薬密売資金の隠匿・移転・隠蔽罪を補充条項としている中で、マネーロンダリング罪については2024年に司法解釈が改正されていること、また、反マネーロンダリング法も改正されて2025年1月1日から施行されていることを踏まえたものとのこと。
内容面では、従来は金額で区分されていた部分を総合的な判断へと変更することや、前提犯罪(上游犯罪)の種類によって処罰の軽重を分けることなどの変更がなされています。

③データに関する権益保護

最高人民法院から、データ権益保護に関する指導性案例6件が公表されています。
 ※ 相変わらず最高人民法院のWebサイトへの接続不調のため新華網のURLを紹介しています。
事例1(指導性案例262号)は甲アプリにユーザーが投稿した動画を乙アプリが甲アプリに無断で転載していた事例、事例2(指導性案例263号)は甲Webサイトをはじめ各種の求人サイトにユーザーが提出・掲載した履歴書を一括管理できる機能を乙Webサイトが提供した事例です。似たような感じにも見えますが、結論は分かれていますので、他のサイトやアプリと連携するようなサービスを提供する場合に、何が適法で何が違法かの判断の参考になりそうです。
また、事例3(指導性案例264号)は、各種鋼材の「価格指数」を提供するサービスを運営していた会社が、鉄鋼会社からの価格情報(チャット及び電話で連絡される)をサービス上で提供していたことについて、商業秘密侵害に該当するか否かが争われた事例です。もしこの行為が商業秘密侵害ということになると、そのサービスを利用して情報を取得したユーザーも商業秘密の不正取得の罪に問われる可能性も心配になりますが、結論としては、このサービスの提供は適法とされています。
ほか3つの事例が紹介されており、データを扱う事業を営むときには参考になるものと思われます。


0 件のコメント:

コメントを投稿