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公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...

2022年6月15日水曜日

(日本の話題)日本国内で外国人間で交わされた契約の解釈(当事者間に周知の外国法の法理)

仕事柄、日本にお住まいの中国人の方々からのご相談を承ることもありますが、基本的なことでも、よく考えるとまだまだ知らないことも多いなと感じることがあります。


ともに日本に居住し、同じ国から来ている外国人の方々が、外国人同士で契約を締結しているとき、果たして、その契約に細かい定めがない部分について、どう解釈するべきなのでしょうか。

契約解釈は当事者の合理的意思によるべきと言いますが、外国人の方々が同じ国から来られている場合、その合理的意思は、よく知らない日本法ではなく、慣れ親しんだ本国法の発想に近い場合が多いのでは?という気がします。
この点、私も詳しく研究したことはなかったのですが、判例百選にも掲載された裁判事例があり、以下のような判示がなされていたようです。
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大阪高裁昭和37年10月19日判決
...わが法律(日本法)を準拠法とする場合においても、契約自由の原則の範囲内において、契約の内容の細目の定めをなさないで、その部分につき外国法の規定ないし当事者間に周知の外国法の法理に委ねることも許される。また現実にかかる明示的の指定がなくとも、契約の性質その他の諸般の事情から推定される当事者の合理的意思により定まる法律ないし法理により右契約を規律しうるものと解されている。...
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離婚や相続の場合は、法の適用に関する通則法で本国法になる場合が多いので分かりやすいのですが(外国国籍のご夫妻が夫婦喧嘩をしているとき、日本法を考えているとは到底思えませんので)、契約の場合は、多種多様でありケースバイケースで異なるところもあるので、なかなか奥が深いなと感じます。

このブログはあまり中国から来られた方々がご覧になることは無いと思いますが、一つ、何かのときにはご参考になればと思います。


2022年6月14日火曜日

6月第2週:①上海市の経済回復・復興加速行動方案に関する100のQ&A、②反独占法執行の年度報告、③契約モデル文書ライブラリ

①上海市の経済回復・復興加速行動方案に関する100のQ&A

5月末に上海市が発表した、封鎖解除後の経済回復・復興加速に関する行動方案について、6月3日に100のQ&Aが公表されていました。
従来から報道等でも紹介されているような税制優遇や政策補助などについて、実際に申請しようとするときに気になる具体的な事項が記載されており、分かりやすくなっていると思います。
例えば、
  • 飲食業などを対象とした特定業種向けの支援に自社が該当するかどうかにつき、業種を知るために経営範囲の照会システムで検索することができる。
  • 自社が政策補助の対象となる小規模零細企業に該当するのかどうかにつき、小規模零細企業の名簿が作成されており、企業信用情報公示システムで関連データを入力すれば自動的に判定されて名簿に掲載される(判定プロセス無し)。
といったような、最新のシステムを活用した実務上役立つ知識が掲載されています。

②反独占法執行の年度報告

国家反独占局が2021年の反独占法関連の法執行状況についての年度報告を発表しました。市場支配的地位の濫用や企業結合規制などに関してインターネット、公共事業、医薬、建築材料、半導体、物流、新エネ車、化学工業の各業界で多くの典型事例が紹介されており、最近の反独占法の重点的なトピックを振り返って頭を整理するには便利かと思います。

③契約モデル文書ライブラリ

国家市場監督管理総局のWebサイト上に、「契約モデル文書ライブラリ」が掲載されました。
https://www.samr.gov.cn/(首頁→服務→合同示範文本庫)
従来から建築工事請負契約や土地使用権払下契約などは中央政府所定の書式で統一的に運用されていましたが、そういった実務上必ず使われる書式が一つのところに集められているので、便利に活用いただけるかと思います。
但し、中国国内の各種取引に関するものであるため海外から見る必要はそもそも無いだろうということなのか、日本からのアクセスはうまくできない場合があるようです。

2022年6月6日月曜日

6月第1週:①経済安定のための33項目の政策措置、②中小企業からの購買の強化、③GB 23350-2021改正

①経済安定のための33項目の政策措置

国務院から包括的経済対策として33項目の政策措置が発表されました。
増値税の還付政策や中小企業向け金融支援、国有建物の賃料減免など、従来から既に実施されているものが多い印象ですが、中には、「エネルギー分野で基本的条件が整っていて今年の着工が可能な重大プロジェクトについてはなるべく早く実施することを推進する」といったように、ニュースで見るような出来事の政策的背景が改めて分かるようなものもあります。

②中小企業からの購買の強化

政府調達の分野でも中小企業からの購買を強化する施策が財政部から打ち出されています。
上記の33項目の包括的経済対策にも含まれていますが、400万元以下の工事プロジェクトは可能な限り中小企業から調達することなどが規定されています。
また、大企業が小規模零細企業とコンソーシアムを組成することも奨励されており、入札評価において加点事由として考慮されるとのこと。
自社及び主要な取引先が企業規模の分類上どのランクに分類されるのか、政策によって異なる場合もありますが、こまめにご覧いただくことをお勧めいたします。

③GB 23350-2021改正

2021年9月に食品・化粧品の包装に関する強制性国家基準についてご紹介しました。施行期日は2023年9月1日からとご紹介していました。
ところが、今回、月餅と粽子(中華ちまき)の過剰包装問題が突出しているということで、「第1号修正書」が発布されました。
月餅と粽子については包装の上限を4層から3層にスリム化させ、包装コストも100元以上の月餅と粽子の場合は上限を20%から15%へと制限を厳しくする内容で、2022年8月15日から施行することになったとのことです。
今後も、来年9月を待たず、一部の商品について先行して規制が強化される可能性もありますので、商品を企画される際は包装をスリム化することもご検討ください




2022年5月31日火曜日

5月第4週:①安全生産の重点取締活動、②上海市工会条例の改正、③離職証明書の発行時期

①安全生産の重点取締活動

安全生産の重点取締「百日清零行動」が6月初めから9月上旬にかけて行われます。
2021年11月第3週にご紹介していたとおり、この3月までの間を自主検査・是正期間と位置付けて特定業種や特定の職業資格などいくつかのテーマを重点項目とした取締に関する通知が出ていましたが、今回は2022年3月第1週に重点取締対象とされた旨をご紹介していた鉄鋼、アルミ加工、粉塵作業などが重点範囲として挙げられています。

②上海市工会条例の改正

上海市で労働組合(工会)に関する条例が改正されました。
報道では、個人で宅配業務を請け負ういわゆるフリーランスの人たちにも労働組合に参加する権利があることに言及するなど、労働組合の都市の運行安全保障に関する機能を強化したものと紹介されています。
上海ではもともと労災死亡事故や従業員の健康問題への重大危害に対する調査処理には必ず労働組合が参加しなければならないとされていましたが、生産安全事故もこのような労働組合が調査処理に参加すべき場面の一つであることが明記されるなど、企業活動に影響がありそうな内容も含まれています。

③離職証明書の発行時期

裁判事例で、退職した従業員について、次に新しい会社に就職するために離職証明書を求められたところ、前の会社の方が直ちに離職証明書を発行しなかったため、再就職機会を失ったとして賠償を命じられた事例が紹介されていました。
離職証明書には、離職に至った事由(自己都合か会社都合かなど)が記載されるほか、離職後における制限事項などが記載されることがあります(2021年9月第4週ppt資料参照)。ですので、どのように記載すべきか迷う場面もあるかもしれませんが、発行時期が遅れてしまうとそれ自体が別のトラブルを招くことになります。

2022年5月24日火曜日

5月第3週:①上海市でのコロナ禍対応に関する法律問題FAQ、②公平競争審査制度の改善、③生態環境損害賠償管理規定

①上海市でのコロナ禍対応に関する法律問題FAQ

上海市司法局から、コロナ禍における法律問題に関するFAQの第4集が公表されていました。
政府機関が実施している各種の制限措置については、《伝染病防止法》や《突発事件対応法》は「授権性立法」であり、重大な社会的危害をできるだけ早く制御・軽減・除去できるように政府関係部門に一連の緊急対応措置をとる比較的大きな権限・裁量の余地が付与されていることなどが説明されています。
第1集から第3集はいずれも3月末に相次いで発表されていたので、少し間隔が空きましたが、内容的には第1集から第3週の方が、従業員関連の人事労務対応や取引先との契約の処理に関する事項が対象となっていたので、企業活動にとっては参考になる内容であったかと思います。

②公平競争審査制度の改善

市場監督管理総局から、公平競争審査制度について、4つの面からそれぞれテスト地域を選定して改善の検討を行うことが発表されています。
例えば、江蘇省と重慶市では情報の自動収集やビッグデータ分析による審査レベルの向上、安徽省と広東省では市場主体からの通報に対する処理の改善など、各地で異なる改善項目がテスト対象となっているようです。
ちなみに、「公平競争審査制度」とは、市場主体の経済活動にかかわる法令や政策の制定にあたり、市場競争に対する影響を評価し、競争排除・制限効果を有するような法令については調整をしたうえで発布するという制度です。
詳細は2021年6月に発布された《公平競争審査制度実施細則》などをご参照ください。

③生態環境損害賠償管理規定

環境汚染があった場合の損害賠償に関する新しい規定が発布されています。
環境汚染が修復できる場合と修復できない場合の2つに分けて、修復できる場合には修復する、修復できない場合は損失を賠償又は代替措置により環境機能を同等に回復する、といったことが規定されています。
環境汚染に関しては司法と行政の重なり合う部分があるため、手続についても細かく規定されています。
引き続き環境汚染については関心の高い政策テーマということになりそうです。

2022年5月17日火曜日

5月第2週:①先週休載のお詫びとお知らせ、②職業資格の「ニセモノ証書」にご注意、③企業のコスト負担軽減の各種政策、④民間企業における職務侵奪犯罪の典型事例

①先週休載のお詫びとお知らせ

先週はブログの更新を怠っておりました。ご覧いただいている皆様にお詫び申し上げます。
先週、会員制Webサイト「キャスト中国ビジネス」のサイトがリニューアルになりました。
15年ぶりの大幅刷新で、スマホからも見られるようになり、画面もとても見やすくなっています。私も新しい動画コンテンツを掲載してもらっています。
人事異動の時期です。中国にこれから赴任される方々、既に中国事業に長らくかかわっておられる方々、どちらにも是非お役立ていただければと思っています。
機会がございましたら、どうぞ一度ご覧ください。

②職業資格の「ニセモノ証書」にご注意

人力資源社会保障部とネットワーク情報弁公室から、技能類「山寨」証書の取締活動に関する通達が出ていました。
「山寨」というのは、海賊版や模倣品といった意味の言葉ですが、職業資格まで海賊版が作られているのかと驚きました。
ネット上では、「政府推奨」、「合格保証」、「好待遇就職」などの宣伝文句で、「職業資格」「職業技能鑑定」など如何にも就職に有利なように見える資格が取得できるように見せて受講者を集める悪質な業者がいるようですので、個人でスキルアップを目指す方々はお気をつけください。
逆に、事業者の立場で言うと、国家が定めた職業資格以外に、何らかの職業資格と紛らわしいような制度を作ってしまうと、これら悪質業者と同列に扱われてしまうかもしれないと言えるかと思います。
コロナ禍で出勤できない間に自己研鑽に励もうという熱心な方々が、かえって思いがけないトラブルに遭ってしまわないように願っています。

③企業のコスト負担軽減の各種政策

国家発展改革委員会、工業情報化部、財政部、人民銀行が連名で、企業のコスト負担軽減のための政策メニューに関する通達(2022年版)を出しています。
小規模零細企業向けの税還付など税制優遇、貸し渋り(限贷)や貸し剥がし(抽贷)の防止などの金融施策、行政許可事項の削減などによる制度性コストの低減、失業保険・労災保険の納付猶予などの人件費負担軽減、賃料減免などコスト低減、通行料免除など物流コスト低減、中小企業への代金支払遅延の取締、IT活用支援など、見慣れた項目が並んでいます。
概略のみの箇条書きのような内容ですので、具体的な内容はそれぞれ各企業の所在地のルールを見る必要がありますが、自社で活用可能なメニューを見落としていないかどうか、全体を見渡してみるチェックリスト的に使うにはよさそうに思います。

④民間企業における職務侵奪犯罪の典型事例

最高人民検察院から、職務侵奪罪(日本で言えば横領や背任)に関する典型事例6件が新たに公表されました。
昔からある経費精算をめぐる不正行為や商流への親族・知人の介在などの事例ですが、Eコマースの世界で「発票」が無い支出が増えている状況を反映した事例や、コロナ禍で現地捜査がしづらい中でチャット履歴などの証拠で犯罪行為を立証した事例などがあります。
昔からある類型の不正行為でも、時代に合わせて手口も対策も少しずつ変わってきていますので、ときどきは勉強しておこうと思っています。


2022年5月2日月曜日

4月第4週:①上海市における労働関係に関する通知、②ドローン輸出と《輸出管制法》、③職業に関する民間資格、④中国学術文献データベース(「知網」)をめぐる紛争

①上海市における労働関係に関する通知

上海市の人社局から、コロナ禍での操業停止に関連する人事労務関連の各種事項についての通知が出ていました。
  • 労働報酬、業務方式、労働時間などの変更については、メールやチャットアプリでの意見徴求と協議による変更も「コロナ禍期間のみに適用」とすれば可能とする。(二)
  • 政府による外出制限によって一つの賃金支払周期(例えば月給制なら一ヶ月)を超えて業務に従事できない場合(テレワークできる場合は除く)、労働者側との協議を経て、一ヶ月を超えた後は生活費のみ支給することができる。(九)
といったような、上海での現地法人の人事労務管理に携わっている方々は必ずご覧いただくべき内容が含まれておりますので、現地法人の人事労務のご担当者には是非一度、見ていただくようにお伝えいただければと思います。

②ドローン輸出と《輸出管制法》

ドローン大手のDJI(大疆)がロシアとウクライナでの商業活動を暫定的に停止したとのこと。
《輸出管制法》を含む関連法令のコンプライアンスを改めて自社内で見直すためというコメントも出ているようです。
これまで、中国の《輸出管制法》に関心を払うべき場面は多くはなかったように思いますが、民用技術が戦争にもかかわってしまうことが増えているのかもしれないと思いました。

③職業に関する民間資格

江蘇省のとある民間の試験認証センター(資格学校?)が「全国」で「職業資格」として認められるかのような「登録職業資格証書」を勝手に作っていたようで、問題になっています。今回、人社部から、このセンターの資格証書は国家資格に関するものではなく、採用や昇級、個人所得税優遇などの如何なる職業資格に関する優遇もありません、という声明が出ていました。
コロナ禍で外出できない時間を自己研鑽に、と考える前向きな方々を騙すような話でもありますので、お気をつけいただければと思います。

④中国学術文献データベース(「知網」)をめぐる紛争

精華大学が主導する「知網」という学術文献を一括して大きなデジタル図書館のようなものを作るプロジェクトがあります。CNKIとも略称されます。教育部や国家版権局などの協力のもと推進されており、学校や研究機関が会員になってデータベースを利用するのですが、その費用が高すぎるということで、反独占法違反の市場支配的地位の濫用行為があるとの訴訟を起こされています。実はこのプロジェクトは、単に利用者から費用を取るだけではなく、逆に、利用される論文などを掲載した人たちに対しては収益を分配するということになっているのですが、徴収される費用と分配される収益のバランスが取れていないということも問題視されているようです。
郭兵氏という浙江理工大学法政学院の特任副教授の方がいらっしゃいまして、今回の訴訟ではこの方が原告になっているのですが、実はこの方、杭州野生動物園を訴えて顔認証に関する中国初の裁判事例とされる事例の原告にもなった方です。単に発生した裁判事例だけを観察して分析・論評するだけではなく、自分で原告になってこういった新たな事例を作ってしまうというのは、本当に仕事が好きな方なのだろうなと思います。

2022年4月27日水曜日

4月第3週:①中国版iDeCo?、②中国向けEMSがサービス停止に、③操業再開と移動制限

①中国版iDeCo?

個人が任意に加入する個人養老金に関する新たな政策意見が出ていました。
専用口座を開設すること、年間の上限額が決まっていること、年金受給年齢に達するまで引き出せないこと、さらに、どの金融商品で運用するかは個人が決められることからすると、中国版iDeCoに相当するものかなと思います。銀行の理財商品や年金型の生命保険など、さまざまな金融商品が対象になるようです。
節税メリットがどの程度あるのかにもよりますが、中国の皆さんが何十年も先にならないとおろせないようなものに積立をするというのは、一昔前のイメージではちょっと考えづらいような気もしますが、私自身も一昔前のイメージから脱却しなければならないのかもしれません。

②中国向けEMSがサービス停止に

  (※ こちらは4月22日時点でのコメントです。)
日本の新聞に出ているのを見逃して、中国の新聞の記事を見て日本での変化に気づくというのもお恥ずかしい話ですが、日本から中国に向けたEMSと小包の取扱いが停止になったようです。
日本郵政のWebサイトでも確認してみました。(4月22日現在)
中国の記事を見ていると、一時的なもののようですが、再開時間未定とのこと。
業務に支障が予想されますので、事前の確認と早めのご準備をお勧めします。

③操業再開と移動制限

上海で企業の操業再開が進んでいるとの記事を目にして、「家から出られないのに、どうやって再開するのだろうか?」と不思議に思っていましたら、ちょうど、「15のよくある質問への回答」という記事が出ていました。
このうち問14部分で、「操業再開のために小区を出て職場に戻る申請をしたものの、小区がそれを許してくれません。どうすれば良いですか?」との質問があります。
基本的に企業側で人員の補充をして対応せよということですが、一部のキーになる職位の従業員の方については一定の条件で職場復帰を許すという仕組みも作るようです。工場の操業は一定の人数は必要ですし、リモートワークというわけにもいかず、工場に行くには当然ながら交通手段も必要ですから、ちょっと想像もつかないですが、早めの正常化を願うばかりです。





2022年4月20日水曜日

4月第2週:①商標の悪意による登録行為の10類型、②アカウントのIPアドレス所在地を表示、③大量のユーザーが育てるAIキャラクター

①商標の悪意による登録行為の10類型

悪意による商標登録行為、最近では冬季オリンピックが北京で行われましたので、そのオリンピックのキャラクターである「ビン・ドゥンドゥン(氷墩墩)」も人気です。パンダに似たかわいいキャラクターですね。これに便乗して、「雪墩墩」(氷→雪に変えただけ。)とか、「餅敦敦」(中国語の発音では「氷」と「餅」は声調が違うだけで同じbing。)といった商標登録が申請されているとのこと。
もちろん、話題になったオリンピック選手の名前を勝手に商標登録してしまう例もあります。
これは昔からある例なのですが、今回、国家知的財産権局が発布した通知で悪意の商標登録とされる10類型には、「出願数が多すぎる」、「大量に譲渡している」といったように、商標出願の内容そのものではなく申請者の行為を全体的に観察した類型も挙げられています。
悪意による商標登録の取締、以前から何度も言われていることですが、それでも後を絶たないのは、訴訟などで争って取り消すよりも買ってしまった方が早いということが多いからだとも思えます。定型的且つ大量に処理できるようになればコストも下がるはずなのですが、普通の企業が頻繁に出遭う問題でもないので、なかなか難しいところがあるようにも感じます。

②アカウントのIPアドレス所在地を表示

中国のいくつかのSNSで、事件の関係者になりすまして投稿することで閲覧数を増やそうとするような不正行為が目立つということで、その対策として、アカウントのIPアドレスの所在地を公表するようにしようという話が出ています。
いたちごっこと言えばいたちごっこですが、アプリの仕様が変わったときには、なぜそのように変わったのか、背景を見てみると面白いこともあるかもしれないと思いました。

③大量のユーザーが育てるAIキャラクター

スマホアプリ上でAIのキャラクターと会話をすることができ、且つ、その会話内容は多くのユーザーがアップロードする内容に従って決定されるというアプリがあるそうです。
今回の裁判事例では、実在の人物を基にしてしまったために、その人物の人格権を侵害しているとして賠償を命じられた事例を紹介しましたが、多数の方々の認識が集約されて一つのAIキャラクターが形成されるというのは、なかなか興味深いように思いました。
「一億総クリエイター時代」とも言われますが、誰かがクリエイターになると意識しなくても一人一人の日々の活動から何かが生み出されていく、なんとなくロマンを感じるところもあります。