お知らせが遅くなってしまいましたが、以前にお伝えしていた中国国内から国外への個人情報移転・提供のときに締結が求められる標準契約書式、正式発布になりました。6月1日から施行だそうです。
弁護士 金藤力(かねふじ ちから)のブログです。 毎週1回、中国で公布・発布された各種の法令や通達、ガイドラインなどの情報をご紹介しています。また、業務で接することのある日中両国間の制度や運用の比較などついても、ときどき投稿しています。
注目の投稿
公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)
最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...
2023年3月10日金曜日
2023年3月6日月曜日
3月第1週:①政府業務報告、②ネットアプリのサービス能力向上、③刑事事件における弁護士の業務執行、④安全生産重大リスク検査
①政府業務報告
李国克首相による政府業務報告が活字でも公開されています。
今年は政府が変わる年ということで、この5年間の振り返りがあり、そのうちでは3年にわたった新型コロナウイルス対応についても述べられていました。
住宅については、「住宅は住むために用いるものであり、投機のために用いるものではない」と不動産価格の抑制について述べていた昨年に比べ、今年は若者向けの住宅問題の解決を挙げているなど、少し変化も見られます。
②ネットアプリのサービス能力向上
ネットアプリについて、ダウンロード・インストールや個人情報保護などを含む各種措置に関する通知が出ています。
プラットフォームでの動態的な監視の強化、SDK(ソフトウェア開発ツール)の仕様管理などの方針も見られます。
カスタマーサービスの月平均の反応期限30秒、人手による応答率85%とすることなど、数値を掲げている部分もあります。
③刑事事件における弁護士の業務執行
刑事事件での律師(中国弁護士)の活動に関する10ヶ条の意見が出ています。https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202303/t20230302_605005.shtml#2
被疑者との面会が阻害された場合の対応などについて、律師協会も関与して弁護士の業務執行上の権利が確保されるべきことなどが規定されています。
④安全生産重大リスク検査
国務院の安全生産委員会が全国で重大リスクの検査活動を行っています。20の総合検査チームが河北省、上海市、江蘇省などに入って検査活動を行っているとのことです。
2023年2月28日火曜日
2月第4週:①中国企業の国外上場の届出制、②財務不正・粉飾決算などに関する取締強化、③物流に関する統計
①中国企業の国外上場の届出制
日本でも報道されていましたが、中国企業の国外での上場に関する届出制が導入されました。http://www.csrc.gov.cn/csrc/c100028/c7124479/content.shtml
従来は国外上場は許可制だったのですが、実際には、中国企業の株式そのものを上場させるのではなく、その国外の支配企業の株式の預託証券を上場させるなどのスキームが取られていました。
今回の弁法では、そのような間接的な上場も対象となっているものの、既に上場している企業については、今後改めて届出対象事項が発生するまでは届出をしなくて良いようです。
既存の状態は尊重されつつも、資本の面でもデカップリングが進むのかもしれません。
②財務不正・粉飾決算などに関する取締強化
中共中央弁公庁・国務院弁公庁から、財務・会計の監督業務の強化に関する意見が出ています。
企業自身に主たる責任があることは当然ですが、会計事務所などを含めた立体的な規制が提唱されており、今後、従来どおりにしていても管理レベルが不足と指摘される場面が出てくるかもしれない話題と思います。
③物流に関する統計
国家発展改革委員会・国家統計局弁公室から、物流統計・モニタリング業務の強化に関する通知が出ています。
コールドチェーン物流の強化などの政策が従来から打ち出されている中で、各地で物流景気調査などを行い、また情報共有を進めるなどして、統計の情報量と精度を高めようということのようです。
2023年2月19日日曜日
2月第3週:①部門を跨いだ総合監督体制、②2022年ブロックチェーン活用事例リスト
①部門を跨いだ総合監督体制
国務院弁公庁から、食品・薬品、医療機器、危険化学品、ガス、特殊設備、建設工事、不法金融活動などの直接的に市民の生命財産にかかわる分野で、部門を跨いだ総合監督を積極的に行うことなどを定めた指導意見が出ました。
インターネットを用いた情報収集や部門を跨いだ信用失墜懲戒などについて言及されています。
②2022年ブロックチェーン活用事例リスト
ブロックチェーン技術を実際に事業等に活用している事例のリスト、2022年版です。https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2023/art_61ebb423b7f64bb0bfdd15a4a1b77b9f.html
著作権登録や取引のできるプラットフォーム、食品・薬品のトレーサビリティに関するプロジェクトなどのほか、納税申告や国有資産監督管理などの政務サービスについてもブロックチェーンを活用している例があるようです。
2023年2月13日月曜日
2月第2週:①入札保証金負担の軽減、②養老サービスの標準化、③香港・マカオの人材移動
①入札保証金負担の軽減
入札保証金制度の改善に関する通知が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/06/content_5740317.htm
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/06/content_5740317.htm
政府投資プロジェクトの入札保証金の減免を奨励するということで、2023年3月末までに各地区で減免に関する制度を出すこととされています。
②養老サービスの標準化
養老・家事代行サービスの標準化に関する方案が国家標準化管理員会、民生部、商務部の連名で発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/08/content_5740634.htm
養老サービスのサービス品質や研修規範などの各種標準を整備して人員の素養とスキルを高めることなどが述べられています。
養老サービスのサービス品質や研修規範などの各種標準を整備して人員の素養とスキルを高めることなどが述べられています。
また、位置情報やビッグデータ、AIなどを用いたスマート養老についての標準も制定・改訂していくとのこと。
③香港・マカオの人材移動
傑出、科学研究、文化教育、衛生保健、法律、その他の6種の内地人材について、香港・マカオとの間でのビザ(厳密には他国との往来のビザとは異なりますが。)の申請に関する公告が出ています。
日本から中国への往来は残念ながら、ビザ発給は再開されたもののビザセンターの予約が常に埋まっていて予約が取れず、航空便も少ないような状況ですので、早く便利になって欲しいものだと思います。
2023年2月6日月曜日
2月第1週:①老舗屋号(老字号)の管理、②公共車両の電動化、③本土と香港・マカオとの往来の全面回復
①老舗屋号(老字号)の管理
老舗屋号(老字号)の管理に関する新しい弁法が商務部等5部門から出ています。http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/01/content_5739600.htm
ブランド創立から50年以上、事業継続30年以上などの条件を満たした企業が登録され、老舗屋号としての表示を付すことなどが認められています。
とかく新しいものに目が行きがちな昨今ですが、時間と実績はおカネでは買えない、新興企業がキャッチアップできないものですので、そういった価値に目が向く傾向もあるかと思います。
②公共車両の電動化
公共分野の車両(公務車両、都市交通、タクシー、環境、郵便、都市物流など)について、2023年~2025年を試行期間として、電動化を推し進める通知が出ています。http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-02/03/content_5739955.htm
都市交通分野における新規・更新車両における新エネルギー車両の比率を高めること、公共充電スタンドの整備などが述べられています。
③本土と香港・マカオとの往来の全面回復
中国内地と香港・マカオとの往来について、新しい通知が出ていました。
出入国・通関の予約制を廃止して、通関・人数の上限を設けないこと(一)、7日以内に他の国・地域への往来歴がなければ、事前のPCR検査での陰性証明を不要とすること(二)などの内容です。
2023年1月29日日曜日
2023年1月21日土曜日
1月第2週、第3週:①国家標準の外国語版計画、②工業情報化分野データ安全管理弁法(試行)(12月分)、③外商投資R&Dセンターの奨励
春節休暇前の繁忙により更新が追いつかなかったため、2週間ぶりの更新となります。
次週は春節休暇ですのでお休みいたします。
①国家標準の外国語版計画
国家標準化管理委員会から、各種の国家基準の外国語版計画が公表されています。脱炭素関連のものは以前にご紹介しましたが、今回は各方面にかかわる360項目ということで、機械、自動車、ロボット、さらには衣服、食品、建材など、幅広い分野の国家標準を外国語にしていく計画となっています。
360項目のうち、346項目が英語ですが、日本語版も4項目予定されているようです。
②工業情報化分野データ安全管理弁法(試行)(12月分)
こちらは12月に出ていたのですが、ご案内できていなかったので、1ヶ月遅れてのご紹介となります。
2021年9月の《データ安全法》施行直後から意見募集が行われていたものですが、2度の意見募集を経て正式発布となりました。
各企業において自社内のデータを整理し、重要データ・核心データを識別のうえ、それを目録として各地の業種主管部門に提出することを求めるなど、比較的重要な内容が含まれています。
③外商投資R&Dセンターの奨励
外商投資の研究開発センター設立の奨励についての通知が出ています。
総論としては産学連携や金融支援など、各論では「研究開発データの国境を跨ぐ流動を支持」「知的財産の対外譲渡及び技術輸出入管理の改善」という項目が挙げられています。
2023年1月10日火曜日
1月第1週:①対外貿易経営者届出の廃止、②入国する外国人に関する措置、③小規模納税人の減免税に関する公告
①対外貿易経営者届出の廃止
《対外貿易法》第9条を削除します、という改正決定が年末に出ていました。
第9条というのは、対外貿易経営者の備案登記手続についての条文ですので、この備案制度は廃止になるようです。
中国企業の英語社名の確認のためにこの備案登記表を確認していたところ、今後は英文名称はどの書類で確認するのか気になりました。
②入国する外国人に関する措置
本日(1月10日)一部報道で、中国が日本と韓国でのビザ発給を暫定的に停止したとの情報が出ていました。先ほど在中国日本大使館のお知らせにも掲載されていることが確認できました。
日本の水際規制(1月8日から中国からの入国時にPCR検査証明書の提示を求める。下記URL参照)に対応して中国側でも日本からの入国にPCR検査証明書が必要になることは予想していましたが、それを超えてもしビザ発給そのものが停止されるとすれば、対等な措置というよりは「倍返し」のようにも思えます。
③小規模納税人の減免税に関する公告
月の売上が10万元に満たないような零細事業者については増値税が免税になるなど、2023年の小規模納税人に関する減免税の処理に関する公告が出ていました。
小規模納税人が減免税を放棄して増値税専用発票を発行することもできること等の説明もあります。
2023年1月4日水曜日
12月後半分:①第35&36号指導性案例、②雇用安定に関する最高人民法院の意見、③データをめぐる制度の整備
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年の年末はお休みの方々が多かったからか、静かにお正月を迎えました。
業務多忙により更新を怠っていましたが、12月後半の2週間分をご紹介しておきます。
①第35&36号指導性案例
最高人民法院から第35号と第36号の指導性案例が相次いで公表されました。
第35号はいずれも個人情報の侵害に関する刑事事件のもので、スマホ内部に保存された写真を窃取するアプリやSNSアカウント情報の不正利用などの行為が処罰されています。
第36号は仲裁に関するもので、持分譲渡契約における仲裁条項の成立過程をめぐる紛争に関する事案や、仮想通貨(ビットコイン)の引渡しをめぐる仲裁裁決を取り消した事案などが紹介されています。
②雇用安定に関する最高人民法院の意見
同じく最高人民法院から、雇用安定に関する意見も発布されています。https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-384301.html
労働紛争案件の審理において、賃金や労働時間の調整、会社都合での交代休業や職場研修などの雇用安定措置を積極的にリードする方針が示されています。
③データをめぐる制度の整備
このうち、国境を跨ぐデータ流通については、越境EC、越境決済、サプライチェーン管理、サービスアウトソーシングといった4つの場面を典型的場面の例示として挙げて、データの越境流動方式を模索していくとされています。
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中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。
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