注目の投稿

2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2022年9月19日月曜日

9月第2週:①科学研究の信用失墜行為、②自動車業界標準必須特許許諾指針(2022年版)、③市場主体の制度性取引コスト低減

①科学研究の信用失墜行為

科学研究における準則及び規範に対する違反があった場合に、「科研失信行為」として処罰する際の調査処理規則が発布されています。
https://www.most.gov.cn/xxgk/xinxifenlei/fdzdgknr/fgzc/gfxwj/gfxwj2022/202209/t20220907_182313.html
他人の研究成果の剽窃や研究データの改ざん、賄賂等の不正な手段による奨励・栄誉の取得などの行為を対象に、学位の取消や一定期間の財政性資金プロジェクトへの参与禁止などの処罰を科すこと、及びその処罰に至るまでの通報や調査などの規則が規定されています。
科学技術活動に従事するにあたっては、科学技術活動管理規範を遵守しなければならず、重大な違反がある場合は科学研究信義誠実重大信用失墜行為データベースに掲載されます(《科学技術進歩法》第107条第2項)。このデータベースへの組入れも処罰の一つとして列挙されています。

②自動車業界標準必須特許許諾指針(2022年版)

中国汽車技術研究中心(CATARC)と中国通信院(CAICT)が共同で、自動車業界の標準必須特許のライセンスに関するガイドライン(2022年版)を公表しています。
「標準必須特許」(SEP:Standard-Essential Patent)とは、日本でも目にする言葉ですが、ある技術標準・規格を実施するときに必ず使用することになる特許のことです。
内容としてはそれほど分厚いものではなく、原則的なルールが書かれているものですが、合理的なロイヤリティの計算のしかたとして、まず必要になる必須特許の全てのライセンスを受けるためのロイヤリティ上限を決めて、そこから実際に必要になる特許の割合を計算して決めるなどの考え方が示されています。

③市場主体の制度性取引コスト低減

国務院弁公庁から、ビジネス環境改善のための各種の取引コスト低減のための意見が出ています。
今年10月末までに市場参入障壁につき隠れた障壁を含めて整理すること、全国版のクロスボーダーサービス貿易のネガティブリストを公表すること、同じく10月末までに工事建設分野の入札等の業務の全過程オンライン処理及びデジタル証書の地区を跨ぐ相互承認を実現することなど、近い将来に各種の制度変更が予定されています。
2022年末までとされている項目も多数あるため、今後、年末にかけて取引に関する制度が変わる部分が多くなってくる見込みです。


2022年9月12日月曜日

9月第1週:①業種協会・商会の改革発展のための連席会議、②5G全連接工場、③ポップアップ情報のプッシュ送信、④中秋節・国慶節期間の省を跨ぐ移動

①業種協会・商会の改革発展のための連席会議

業種協会・商会の改革発展のための、省庁を跨いだ横断的な連席会議が設置されています。
もともと2007年に業種協会・商会の改革発展に関する指導意見が出ており、そこでは政府機関と業種協会・商会の分離という方針が示されていました。
http://www.gov.cn/gongbao/content/2007/content_663678.htm
2015年には、この分離のための工作組(ワーキングチーム)も設置されていましたが、今回はこの従来の工作組を廃止して、連席会議に切り替えるようです。
http://www.gov.cn/gongbao/content/2015/content_2901370.htm
http://www.gov.cn/gongbao/content/2015/content_2909259.htm
メンバーを見比べてみると、招集者となっている国家発展改革員会と民政部からは主任と部長がそれぞれ副主任、副部長となっており、参加する省庁も少し減り、必要に応じて参加する形に変更されています。
より個別の課題に機動的に対応できるように、ということかと思われます。

②5G全連接工場

《5G全連接工場建設指南》という文書が工業情報化部から公表されました。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-09/08/content_5708854.htm
各企業の工場の現場で、スタンドアローンで稼働している機器をネットワーク化していくことをサポートするとのことです。また、5Gによってリアルタイムで収集される膨大なデータの分析・活用のためのAIなどを活用したサービスについても言及されています。
分級分類建設ということで、「5G全連接」と一言でいっても作業場レベル、工場レベルで異なる類型のものであっても良いようです。また、業種ごとに重点項目がリスト化されています。

③ポップアップ情報のプッシュ送信

インターネットのサイトやアプリ、その他のシステムにおいてポップアップ情報をプッシュ送信するサービスに関する新しい管理規定が出ました。
ゴシップ情報(八卦、绯闻)や贅沢の見せびらかしなどの公序良俗に反する内容や、新聞でない「旧聞」を繰り返し送信することは禁止されています。
また、日本でもアフィリエイト広告の規制が話題になっていますが、広告情報については明確に『広告』と表示し、ワンクリックで閉じることができるようにすることなども求められています。

④中秋節・国慶節期間の省を跨ぐ移動

中秋節・国慶節の連休期間について、今年も連休は現地で過ごすことが提唱されています。
http://www.gov.cn/xinwen/2022-09/09/content_5709149.htm
飛行機や高速鉄道に乗るには48時間以内の陰性証明が必要であるほか、(強制ではなく任意で、移動を制限しない原則のもと)到着地での検査を行うことが奨励されています。
期間は9月10日~10月31日と書かれていますので、連休期間の前後も対象のようです。


2022年9月5日月曜日

8月第5週:①データ出国安全評価申請指南、②反電信ネットワーク詐欺法、③公安機関の反組織犯罪業務規定、④違法嫌疑社会組織リスト

①データ出国安全評価申請指南

《データ出国安全評価管理弁法》が9月1日から施行されました。これに合わせて、国家インターネット情報弁公室から、「データ出国安全評価申請指南(第一版)」という文書が公表されています。
申請書類のリストや申請資料の書式も掲載されています。

②反電信ネットワーク詐欺法

電信ネットワークの技術的手段を通じて、リモート・非接触などの方式で公私の財物を詐取する行為に対する各種の対策について横断的に定めた法律が出ました。
対策の根幹をなすユーザーの実名登録制度から始まり、電話の大量発信や自動切換などの機能を持つ機器設備やソフトウェア、プラットフォームなどの提供についても禁止しています。また、金融機関における顧客デューディリジェンスや、ネットに関しても仮想通貨を使ったマネーロンダリングなどの幇助行為を含めて禁止しています。

③公安機関の反組織犯罪業務規定

昨年末に公布され、今年5月1日から施行されている《反組織犯罪法》(中国語「反有组织犯罪法」)に関する業務規定が出ています。
国際協力の部分では詳細な規定は特に置かれていないようですし、全体としても《反組織犯罪法》に関する公安機関における対応を具体化したもので特に目新しいところはなさそうですが、①の電信ネットワーク詐欺に関する規定でも国外における活動についても対象とすることが規定されていますので、機会があればよく見ておこうと思います。

④違法嫌疑社会組織リスト

民政部から、2022年の第2回違法嫌疑社会組織リストが発表されています。
国际信用与能力认证协会(国際信用及び能力認証協会)など、いかにも公的な団体のような名称の社会組織が列挙されています。
参考までに、2022年第1回は以下のとおり、「全国企业联盟发展中心」(全国企業連盟発展センター)といった団体も挙げられていました。
似たような名称でも騙されてしまうことがないように、きちんとご確認ください。

2022年8月29日月曜日

8月第4週:①国産ブランド振興に関する指導意見、②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例、③法律援助手当の免税

①国産ブランド振興に関する指導意見

新時代のブランド建設の推進というテーマで、国家発展改革委員会など7部門からの7月29日付の指導意見が公表されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-08/25/content_5706856.htm
2025年までに一群の産業ブランド、地域ブランドを形成するなど初歩的な成果を挙げ、2035年には中国ブランドが世界のブランドの上位に入るようにするという目標を掲げています。
農業・工業・サービスの各分野と地域のブランドについてそれぞれブランド育成を進めるようですが、とりわけ、各企業においてブランドの国際化運営能力を高める、そのために国際的視野とブランド管理の素養を有する企業家や管理人材を育成する、といったことも言及されています。

②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例

最高人民法院では今年4月から、高齢者をターゲットとした各種詐欺犯罪に対して、各種の手口を公開して詐欺犯罪を打撃するための特別活動を展開しています。
今回は、このような高齢者を対象にした「養老」を名目にした詐欺について、6種の典型事例が公表されています。
(一)「養老基地」の優先入居権と毎月1~3%の固定収益をうたい文句にした投資勧誘
(二)高齢者向けマンションの優遇と高額の返戻をうたった投資勧誘
(三)書画・玉石などの買戻保証や値上がり保証をうたった商品販売
(四)高齢者の住宅抵当融資(以房養老)の名目をかたった融資金詐取
(五)養老保険の手続代行やより有利な待遇享受をうたった保険料詐取
(六)健康講座や無料相談活動を通じた保健品の高額販売

③法律援助手当の免税

法律援助機構が弁護士に対して支払う法律援助手当について増値税と個人所得税を免税にする旨の公告が出ていました。
日本の法律扶助のような仕組みが中国にもあるようで、以前からある《法律援助条例》に加えて、今年1月1日から新たに《法律援助法》という法律が施行されています。
労働組合や婦女連合会などが行う法律援助業務についても同様の免税措置が享受できるようです。中国でも法律が身近な話題になってくるのでしょうか。


2022年8月22日月曜日

8月第3週:①行政裁量権基準の制定・管理、②新型消費モデルプロジェクト、③農村での公衆トイレ建設強化、④過剰包装・高額販売の取締

①行政裁量権基準の制定・管理

国務院から行政裁量権基準の制定・管理に関する業務のさらなる規範化を求める意見が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-08/17/content_5705729.htm
行政裁量権の基準は、地方や部門の実際の状況に合わせて具体化・定量化して社会に対して公表することが求められています。
中国は経済面に限らず地域ごとの差が大きいですので、行政裁量権の基準も地方ごとに定めなければならない必要性は高そうです。
地方や部門ごとに基準を作っているため、基準が多すぎて混乱を生じているのではないか、という問題もあるようで、これについては下級機関は原則として上級機関の基準をそのまま適用するなど、重複・矛盾が生じないようにすべきとされています。
また、「以罰代管」(行政が違法行為を放任しておきながら処罰だけを行うこと)という問題も見られるので、違法行為の発生を予防するよう違反者への教育を重視することなども述べられています。
さらに、ビッグデータやAI、クラウドなどの情報システムを使って、行政人員に適切な指針を与えることも一つの措置として挙げられています。
何らかの行政規制の違反の懸念があるときにも、行政裁量権の基準を見てみると参考になるかもしれません。

②新型消費モデルプロジェクト

情報消費+農村振興による内需拡大のために、4月から新型消費モデルプロジェクトの申請が行われていたのですが、今回、そのリストが工業情報化部から公表されました。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2022/art_358fca6b535f42b1b09a9800750a05cc.html
中身を見てみると、「情報消費体験センター」と分類されているものがあり、これは展示・体験と販売・教育を一体化させた活動を行う場所で、有名な観光地のデジタル旅行が体験できる、メタバースが体験できる、といった場所があるようです。
また、オーダーメイド家具の「透明工場」(消費者が自分が注文した商品の生産進捗状況を知ることができる)、複雑な地形でもドローンを操作できるアプリケーション、といったものも入選しているようです。

③農村での公衆トイレ建設強化

農村での生活環境改善の施策の一環として、公衆トイレの建設を強化することについての通知が出ています。
技術的には、環境保護に適した、低コストでメンテナンスが容易な成熟した技術や、節水・省エネ、凍結防止、防臭などの新技術・新材料の採用が奨励されています。
経費を確保し、定期的な清掃、臭気を生じさせないことなど、建設するだけでなく正常に運営されることも重視されているようです。

④月餅の過剰包装・高額販売の取締

中秋節が近づいてきたので、市場監督管理総局が「月餅」の過剰包装や高額販売の集中取締を2ヶ月にわたり行うとの発表がありました。
https://www.samr.gov.cn/xw/zj/202208/t20220817_349322.html
食品・化粧品の販売を行う企業への指導なども行われるようです。

2022年8月15日月曜日

8月第2週:①市・県レベルの法治強化、②文化(コンテンツ)貿易の推進に関する27部門意見、③一部の罰金規定の撤廃・調整、④「一つの中国」に違反する地図の取締

①市・県レベルの法治強化

中央全面依法治国委員会という共産党機関から、市・県レベルの法治強化に関する意見が発布されています。
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-368761.html
習主席の法治思想を党の学校や幹部学院の重点カリキュラムとする(四)、郷鎮(街道)の党委員会においても党政の主要責任者を法治建設の責任者とする(八)、各地の実情に応じた立法が行えるようにする(十二)などの項目が列挙されています。
その中で、市・県レベルの党政機関の政策決定において「公職律師、法律顧問」の意見を取り入れる(十三)という項目があります。
「公職律師」とは、政府機関に雇用された公務員となっている中国弁護士のことで、行政機関が法律に依拠した行政をするレベルを高める立場にあります。法律専門職の活躍の場は中国でも広がっているようです。

②文化(コンテンツ)貿易の推進に関する27部門意見

商務部など27部門から、ネット動画やネット音楽、ネットゲーム、デジタル出版などのコンテンツの輸出についての意見が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-07/30/content_5703621.htm
世界に向けて中華文化を発信し、中国のコンテンツ面でのソフトパワーと中華文化の影響力を高めるための各種の措置とその担当部門が定められています。
著作物の輸出のみならず版権の輸出も拡大すること(九)、中国の伝統文化についての文化遺産をデジタル化して国外に提供すること(十一)、コンテンツを提供するプラットフォームの海外での影響力を高めること(十五)などが列挙されています。

③一部の罰金規定の撤廃・調整

国務院から、53項目の罰金の撤廃・調整に関する決定が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-08/12/content_5705137.htm
調整については、ビジネス環境の改善のために、各政府部門に対して罰金額の引き下げを行うことを要請しており、各部門の部門規則について60日以内に改正案を報告するように求めています。
一方で、撤廃になったものは、事前認可制から事中事後管理制への変更に伴って該当する罰金が適用される場面がなくなったものや、上位法令にも罰則規定があってこれと不一致になってしまっていたものなどがあります。
法改正といえば罰則強化が取り上げられがちですが、このように緩和されるものもあります。

④「一つの中国」に違反する地図の取締

新しい法令が出たわけではありませんが、米国下院議長の台湾訪問に関連して、税関は「一つの中国」原則に違反する地図の取締を行っているようで、各地の税関での活動が報道されています。
「中国台湾省」の表示が誤っていることはもちろん、魚釣島、大正島などの重要な島嶼の書き漏らしなどが《地図管理条例》などの関係規定に違反しているとのこと。
過去からときどき話題になる地図の件、ことあるごとに注目されるテーマであることを改めて認識しました。

2022年8月6日土曜日

8月第1週:①新型コロナ治癒後の就労差別の禁止、②証券違法行為による罰金・没収金の民事賠償への充当、③レストランでの調理済食品の提供

①新型コロナ治癒後の就労差別の禁止

中国の一部地域で「健康コード」(新型コロナ流行地域への立入履歴等を確認するツール)などを利用した就労差別があるということで、人力資源社会保障部と国家衛生健康委員会から緊急通知が出ています。
http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/laodongguanxi_/zcwj/202208/t20220801_480012.html
「阳过」(陽性になったことがある人)に対して、求人募集のときに差別する内容を掲載することや、労働者使用の過程での就業差別を禁止する旨が改めて述べられています。
中国ではもともと《伝染病予防法》第16条で感染者に対する差別を禁止しており、新たな規制ではないのですが、社会的に問題になったテーマに対して素早く対応しているということかと思います。

②証券違法行為による罰金・没収金の民事賠償への充当

粉飾決算など《証券法》違反の行為によって投資家に損害を与えた場合に課される罰金や没収金について、残りの財産が民事賠償責任を負担するのに不足する場合には、既に政府機関が徴収した罰金や没収金をこの民事賠償に充てることができるという規定が出ています。
http://www.csrc.gov.cn/csrc/c101954/c4914991/content.shtml
ただ、請求するには強制執行終結又は破産手続終結まで手続が進まなければならず、その後1年に限って請求を認めるということのようです。証監会が財政部に半年に一回、国庫からの資金返還を得て賠償に充てるということで、被害回復には有益と思われますが時間はかかりそうにも見えます。

③レストランでの調理済食品の提供

中国消費者協会の2022年上半期の消費者クレーム受理状況の発表がありました。
新鮮な豚肉だというので購入したところ冷凍肉であった、副作用の説明なしに眉のアートメイク施術を受けたら赤く腫れた、といった日常生活の身近な事例が色々と紹介されています。また、事例の紹介のほかに、レストランで提供する料理(出前を含む。)が事前に調理済みのものである場合、それを事前に告知しておかないと消費者の知る権利と選択権を害するという記述がありました。
チェーン店で提供されている料理はセントラルキッチンで調理されて店舗に運ばれるなど、事前に調理されているものも多いようで、とある企業では95%が事前調理済みとのこと。
何をどこまで説明すればよいのか明確であればよいのですが。

2022年8月1日月曜日

7月第4週:①脱炭素関連の国家基準の外国語版、②知的財産権鑑定業務の強化に関する指導意見、③「十四五」環境健康業務計画

①脱炭素関連の国家基準の外国語版

国家標準化管理委員会から、カーボンピークアウト(碳达峰)、カーボンニュートラル(碳中和)に関する国家基準の外国語版計画(44項目)が公表されています。
自動車の燃費改善製品使用の技術条件や、建設機械のエネルギー消費基礎データの測定・計算方法など、製品の脱炭素性能に関わるものも英語にしていくようです。

②知的財産権鑑定業務の強化

国家知的財産権局から、知的財産権の鑑定業務を強化するということで、指導意見が出ています。
https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/7/27/art_75_176870.html
主には知的財産権関連の専門的な事実面での問題について鑑定と分析を行うものであり、このような知的財産権鑑定の適用場面を広げていく方向性も示されています。

③「十四五」環境健康業務計画

生態環境部からは、第14次5ヶ年計画期間における環境健康面での業務計画が出ていました。
公衆の健康を保障するために、環境と健康のモニタリング・調査・リスク評価の制度を構築していくことなど、環境と健康をつなぎ合わせた環境保護活動について述べられています。




2022年7月25日月曜日

7月第3週: ①経営者集中の審査が地方でも、②展覧会への出展と知的財産権、③全国統一市場建設に寄与する30ヶ条

①経営者集中の審査が地方でも

中国のM&Aや新合弁会社設立に関して《反独占法》により要求されている経営者集中申告(独禁法上の企業結合届出)について、
8月1日から、簡易案件の審査を北京、上海、広東、重慶、陝西の5つの省・市に分散して行うことになるようです。

手続のルートが変わることで便利になる部分もあると思われますが、手続が従来どおり進まなくなることも出てくるかもしれません。

②展覧会への出展と知的財産権

展覧会や博覧会に出展される展示品が特許や商標などの知的財産権を侵害している場合、展覧会主催者はこれを撤去する措置を講じる義務があります。
この展覧会などにおける知的財産権の保護に関するガイドラインが公表されました。
展覧会参加前に出展企業が自ら展示品や包装・設計などについて他社の知的財産権を侵害していないことの承諾を提出すること、
主催者は政府機関と協力して、技術・法律の専門人員を配した「工作站」を設置して、その場で知的財産侵害等のクレームを受け付けて処理すること、
といった仕組みが規定されています。


【7/26追記】

③全国統一市場建設に寄与する最高人民法院の30ヶ条

《最高人民法院关于为加快建设全国统一大市场提供司法服务和保障的意见》(法发〔2022〕22号)
https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-367241.html
外国企業も平等に扱う(5.)、市場退出メカニズムを整備する(6.)といったような項目が並んでおり、
渉外案件の指導性案例を多言語で発信する(16.)といったような興味深い項目もあります。

合わせて、典型案例も公表されていました。
《人民法院助力全国统一大市场建设典型案例》
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-367251.html
事例四、名義株について実質株主による名義変更請求を認めた事例、
事例六、力帆股份という上場企業とその子会社10社の「重整」による再生事例、
事例十、許可証無しでの非法経営罪についての無罪事例、
といった事例が並んでいます。


2022年7月18日月曜日

7月第2週: ①天津濱海新区法院の十大ファイナンスリース典型事例、②職業分類の改訂(意見募集)、③ビットコインのマイニングに関する契約

①天津濱海新区法院の十大ファイナンスリース典型事例

天津濱海新区では比較的早くからファイナンスリースについて特区を設けて奨励しています。その濱海新区の人民法院からファイナンスリースについての十大事例が紹介されていました。
電子署名のみで締結された契約について資質のある第三者認証機関が発行した証明書をもって契約が有効に成立したものと認めた事例(事例二)、実際には被告本人に到達していなくても契約書上に記載された送達場所への送達をもって送達されたとみなした事例(事例三)など契約書の管理について参考になる事例もあります。
少し変わった事例では、誤った支払遅延情報(信用不良情報)の削除請求に関する事例(事例十)もあります。

②職業分類の改訂(意見募集)

《職業分類大典》という職業分類の一覧表があり、その改訂に関する意見募集が行われています。職業訓練や就労支援などの分野で使用されるものです。
「电子商务师」(eコマース師)、「互联网营销师」(インターネットマーケティング師)といったデジタル関係の職業が追加されたことや、「森林資源評価専業人員」といった環境保護関連の職業が追加されたことがポイントとして挙げられています。

③ビットコインのマイニングに関する契約

北京市第三中級人民法院から、ビットコインのマイニングを委託する契約の有効性に関する裁判例の発表がありました。
某会社がブロックチェーン事業を行う会社にマイニングを委託し、管理費用を支払う代わりに、マイニングされたビットコインを取得するという契約で、1000万元を支払った後、約18ビットコインの収益が支払われた後、その後ビットコインの引渡しがなされなくなったため、マイニングにより得られた残りのビットコインの引渡しを求めた事例でした。
裁判所は、仮装通貨(暗号資産)のマイニングは経済金融秩序を乱し、電力資源を浪費するなど公共利益に反するものとして、マイニングに関する契約を無効と認定しました。





2022年7月11日月曜日

7月第1週: ①データ出国安全評価弁法、②労働関係の指導案例7件、③北京への移動制限

①データ出国安全評価弁法

《データ安全法》による重要データの国外移転規制についての具体的規定が新たに一つ発布されました。
先週に引き続いて、《個人情報保護法》第38条第1項各号による個人情報の国外移転に関する話題でもあります。
データ出国安全評価を申請しなければならない場面は、以下の4つです(第4条)。
 (1)データ処理者が重要データを国外提供する場合。
 (2)基幹情報インフラストラクチャー運営者と100万人以上の個人情報を処理するデータ処理者が国外に対して個人情報を提供する場合。
 (3)前年1月1日から累計で国外に対して10万人の個人情報又は1万人の機微な個人情報を提供したデータ処理者が個人情報を国外に対して提供する場合。
 (4)国家ネットワーク情報部門が定める、データ出国安全評価の申請が必要なその他の状況。
施行日は9月1日からですが、既にデータの国外移転を行っており、この弁法の規定に適合していない場合でも、施行日から6ヶ月以内に是正すれば良いそうです(第20条)。
ですので、申請が必要になる場合でも、過去に遡って処罰されることもなさそうですし、また施行前に慌てて申請しなくても大丈夫なようですが、来年の2月末までには申請が必要となります。日本のお正月休みに加えて中国の春節休暇もありますので、年内を目途と考えておく方がよさそうです。

②労働関係の指導案例7件

最高人民法院から、新たな指導案例7件(179号~185号)が公表されました。今回は珍しく、労働法関連の事例が紹介されています。
合作契約名目での偽装請負に関する事例、賞与支給前に離職した従業員の賞与に関する事例、戸籍所在地による就職差別の事例など、人事労務管理に関する参考になる事例となっています。

③北京への移動制限

北京との正常な往来を保障するということで、北京との往来制限が見直されています。
他都市から北京への移動制限について、「14日のうちに1例以上の感染者が発生した県(市、区)」への立ち寄り履歴があると制限を受けていたところ、「14日」が「7日」に短縮されるなど緩和されます。
一方、7月11日から、人が集まる場所に入るときはワクチン接種済みであることが求められるようです。もっとも、ワクチン接種に適しない人などは不要ですし、PCR検査証明での代用なども可能という情報もあり、中国での規制も日々変化している様子です。

2022年7月4日月曜日

6月第5週:①個人情報の国外移転のための標準契約書式、②個人情報の国外移転のための認証実践指針、③《反独占法》改正に関する意見募集6件

①個人情報の国外移転のための標準契約書式

《個人情報保護法》第38条第1項第3号に定める標準契約の書式について、現在まで発布されておらず実務上「ルールを守りたくても守れない」困難を生じていたのですが、標準契約の具体的なイメージが持てる文案が公表されたことで、ようやく問題が解消されそうです。
この標準書式を見ると、同法同条第3項からすると受領者側も中国のルールを知らなければならないので当たり前のことではありますが、中国国内の提供者側が、外国の受領者側の求めに応じて、中国国内の関連法令及び技術基準の副本を提供しなければならないということも書いてあります。(書式第2条(五)部分)
もちろん、外国の受領者側の義務(書式第3条部分)も詳細に規定されており、この書式自体が、《個人情報保護法》対応のために何をしなければならないのかについてのマニュアル、チェックリストとして使えそうな内容になっています。もちろん、この書式を使って実際に個人情報の国外への提供を行おうとすれば、当然、守らなければならない内容でもあります。
現在はまだ意見募集段階であり、正式発布ではありませんが、事前に見て準備しておいた方がよい事項もありそうな気もいたします。

②個人情報の国外移転のための認証実践指針

もう一つ《個人情報保護法》第38条第1項各号の関係では、国のネットワーク安全・情報化部門の規定に従い専門業務機構の実施する国外移転に関する個人情報保護認証について、指針が公表されました。こちらは意見募集ではなく正式に公表されたものです。
《情報安全技術 個人情報安全規範》(GB/T 35273)に基づき認証機関が個人情報のクロスボーダー処理活動につき個人情報保護認証を行う際の実践指針ですので、これでようやく、認証機関に委託してこの認証を得る道も実際に開かれてくることになりそうに思います。
上記の①と合わせて、今までは「まだルールが決まっていないから」と言えたところ、ルールが整備されてきています。中国の《個人情報保護法》による国外移転についての規制の本格化に向けての地ならしが進んでいるのかもしれません。

③《反独占法》改正に関する意見募集6件

改正《反独占法》が8月1日から施行されますが、それに向けて、6つの関連する細則規定の改正についての意見募集が行われています。
《反独占法》の改正内容自体は直接に実務に影響するのか分かりづらい部分があるのですが、こちらの細則規定については、直接、実務を左右する部分が含まれています。

2022年6月28日火曜日

6月第4週: ①応急管理部の安全生産通報システム、②中国共産党の指導者・幹部親族による企業経営、③反独占法改正

①応急管理部の安全生産通報システム

企業の生産活動において安全面でのリスクがあるときや、事故があったのに隠匿・虚偽報告がなされているときに、誰でも通報できるシステムがリリースされました。
実名と匿名、両方の通報が可能であり、通報後の進捗状況を見ることも可能になっています。
(ちなみに、匿名通報の方を選ぶと、「もし事実が確認されても奨励金を受領することができませんが、よろしいですか?」というポップアップが表示されます。)
匿名でも連絡先は記入しないといけませんし、中国は電話もネットも実名制ですから、結局は身分が分かるのでは?とも思いますが、場所を選んで通報内容を記載すれば手軽に通報できるようになっています。
通報をきっかけにした調査等が入ることもあり得ますので、生産安全管理には引き続きご留意ください。

②中国共産党の指導者・幹部親族による企業経営

中国共産党の指導者・幹部の配偶者、子女とその配偶者が企業を経営することについての管理を強化するという通知が出ていました。
局レベル以上の指導者・幹部のこれら親族の方々については、企業を設立すること、私営企業や外資系企業の高級職位に就くこと、私募ファンドでの投資・就業、有償の社会仲介及び法律サービスなどの行為が制限の対象となります。
レベルの高い指導者・幹部であるほど制限も厳しくなるそうです。親族が事業をやめるか、本人の職位を調整するか、という対応になるとのこと。

③反独占法改正

《反独占法》が改正され、8月1日から施行となっています。
実務上よく問題になる取引相手方との間での転売価格に関する合意については、「安全港(セーフ・ハーバー)」制度が設けられ、「関係市場における市場占有率が反独占法律執行機構の規定する基準より低いことを証明できる場合」には、禁止対象にならないことが明文化されました。
ただ、具体的な市場占有率の基準がまだ明示されていませんので、基準が速やかに示されることを期待したいと思います。


2022年6月25日土曜日

(日本の話題)商法第512条、ご存じですか? (『サービス』の有償・無償について)

日本の商法には、商法第512条という規定があり、商人の行為は原則として有償である、つまり商人に何かを頼めば費用が発生するのが原則、ということになっています。
--------
日本「商法」
第五百十二条(報酬請求権) 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。
--------
ちなみに、細かい説明は省きますが、会社の行為は通常は「商人がその営業の範囲内において」行ったものと推定されます。

これは日本の商法上のルールですから、一般の消費者の方々や外国人の方々はご存じでなくても当然なのですが、ご相談を受けてお聞きしている話からすると、どうやら商法が適用されることが当然であるビジネスの場面でも、稀に、「合意がない限り何を頼んでも無償」という誤ったご認識を持たれている取引先や顧客の方々もいらっしゃるようです。

ちなみに、取引先に「『サービスで』これもやってよ!」と無償で何かをさせるというのは、下請法が適用される場面では、不当な経済上の利益の提供要請ということで下請法違反になります。
また、下請法が適用される場面でなくても、優越的地位の濫用(独禁法違反)に該当する場合もあります。


この商法第512条が適用された裁判例というと、例えば、 仙台高等裁判所昭和48年1月24日判決があります。
 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/997/023997_hanrei.pdf
この事例は、不動産仲介業者に対して、不動産の購入を希望する者が場所、広さ、価格などの自己の希望条件を示し、これに適合する物件を探すように依頼して、現場案内まで受けたにもかかわらず、結局はこの不動産仲介業者を通さずに(仲介費用も払わずに)、あろうことか別の業者を通じてその物件を購入してしまったという事例でした。
もちろん、この最初に物件を案内した不動産仲介業者には一定の報酬をもらう権利があるという判決になっています。
不動産仲介の場面ではよくあるトラブルと言えると思いますが、もちろん、他の様々な業務の場面でも同じ道理が成り立ちます。
似たようなお話はビジネスの日常でもたくさんあると思いますが、裁判例としてはあまり数は多くないように思います。日本では暗黙の常識として、不義理なことはしないという商売上のルールを皆さんが守っておられるからかもしれません。


私が社会人になった当時はまだビジネス上の常識として、「タダより高いものはない」といいますか、他人・他社に何かお願いするときは気持ちだけでも何か費用をお支払する意識があったと思うのですが、もしかするとそういう意識も薄れてきてしまっている部分もあるのかも?というように感じました。
(たまたま私が一緒にお仕事をさせてもらった方々が常識をわきまえた方々だったから、ということでもあるでしょうけれど。)
日本の会社にもそこにお勤めの方々にも余裕がなくなってしまっているからなのか、寂しい気持ちもしますが、共存共栄でお仕事を円滑に進めていただくことを少しでもお手伝いできることがあればと思っています。

2022年6月24日金曜日

「健康コード」に関する職権濫用事件

河南省鄭州市で起きた、感染の疑いがある方々の移動制限に使われている「健康コード」が濫用され、感染の疑いがない市民の方々の移動が制限された事件について、中国共産党中央紀律検査委員会でも処分に関する記事を掲載していました。

とある銀行の預金者の方々の「健康コード」を赤色(移動制限)にしたとのことです。
「健康コード」については、《個人情報保護法》成立の背景となった個人情報保護に関する意識の高まりの一つのきっかけにもなった面があるように思われます。当時から指摘されていた濫用の懸念が現実のものになったという意味で、なかなか重要な事件のように感じましたので、備忘のため書き留めておきます。

ちなみに、処分内容については、主犯格の疾病対策部門の部長は職務取消処分、副部長は降級処分になりましたが、ほか3名は過失記録(昇級・昇格停止など)の処分とのこと。いろいろと情状酌量すべき事情があったのかもしれません。

2022年6月21日火曜日

6月第3週:①応急管理部の「一案双罰」典型事例、②モバイルアプリ情報サービス管理規定の改正、③「COD除去剤」を用いた環境規制の潜脱

①応急管理部の「一案双罰」典型事例

応急管理部から、安全生産に関する処罰事例が公表されました。今回は、法人と責任者個人、双方に対する処罰(いわゆる両罰規定)の適用が大きく取り上げられています。
発生した事故について、法人と責任者個人の双方がそれぞれ処罰を受けるのはごく一般的な処理なのですが、今回、興味深いのは、これらの事例はいずれも検査によって安全生産管理体制の不備が指摘されたことで処罰が行われた事例であることです。
事故が起こったときの対応はもちろんですが、事故が起きていなくても管理不備で責任者の処罰につながってしまうことがあります。

②モバイルアプリ情報サービス管理規定の改正

スマホアプリなどに関する管理規定が改正されました。アプリ提供者がコンテンツがもたらす結果に対して責任を負うこと、したがって違法な情報が伝播しないよう自覚的に不良な情報に対して予防することを求めています。また、いわゆるボットを使ったアクセス水増しや高評価の捏造などによってユーザーをダウンロードするよう誘導することを禁止することなども規定されています。

③「COD除去剤」を用いた環境規制の潜脱

水質汚濁の指標の一つとして化学的酸素要求量(COD)という指標があるところ、この指標を下げることを目的とした「COD除去剤」という商品があるそうです。実際には排水の水質を向上させる効果がないのに、環境モニタリング設備で検出されるCODの数値だけを下げるということで、環境汚染の規制を不正に逃れるための手段と認定されて、会社に罰金20万元、主たる責任者であった被告に執行猶予付きの懲役刑が言い渡された事例が紹介されていました。便利過ぎる商品にはお気をつけください。

2022年6月15日水曜日

(日本の話題)日本国内で外国人間で交わされた契約の解釈(当事者間に周知の外国法の法理)

仕事柄、日本にお住まいの中国人の方々からのご相談を承ることもありますが、基本的なことでも、よく考えるとまだまだ知らないことも多いなと感じることがあります。


ともに日本に居住し、同じ国から来ている外国人の方々が、外国人同士で契約を締結しているとき、果たして、その契約に細かい定めがない部分について、どう解釈するべきなのでしょうか。

契約解釈は当事者の合理的意思によるべきと言いますが、外国人の方々が同じ国から来られている場合、その合理的意思は、よく知らない日本法ではなく、慣れ親しんだ本国法の発想に近い場合が多いのでは?という気がします。
この点、私も詳しく研究したことはなかったのですが、判例百選にも掲載された裁判事例があり、以下のような判示がなされていたようです。
-------------
大阪高裁昭和37年10月19日判決
...わが法律(日本法)を準拠法とする場合においても、契約自由の原則の範囲内において、契約の内容の細目の定めをなさないで、その部分につき外国法の規定ないし当事者間に周知の外国法の法理に委ねることも許される。また現実にかかる明示的の指定がなくとも、契約の性質その他の諸般の事情から推定される当事者の合理的意思により定まる法律ないし法理により右契約を規律しうるものと解されている。...
-------------


離婚や相続の場合は、法の適用に関する通則法で本国法になる場合が多いので分かりやすいのですが(外国国籍のご夫妻が夫婦喧嘩をしているとき、日本法を考えているとは到底思えませんので)、契約の場合は、多種多様でありケースバイケースで異なるところもあるので、なかなか奥が深いなと感じます。

このブログはあまり中国から来られた方々がご覧になることは無いと思いますが、一つ、何かのときにはご参考になればと思います。


2022年6月14日火曜日

6月第2週:①上海市の経済回復・復興加速行動方案に関する100のQ&A、②反独占法執行の年度報告、③契約モデル文書ライブラリ

①上海市の経済回復・復興加速行動方案に関する100のQ&A

5月末に上海市が発表した、封鎖解除後の経済回復・復興加速に関する行動方案について、6月3日に100のQ&Aが公表されていました。
従来から報道等でも紹介されているような税制優遇や政策補助などについて、実際に申請しようとするときに気になる具体的な事項が記載されており、分かりやすくなっていると思います。
例えば、
  • 飲食業などを対象とした特定業種向けの支援に自社が該当するかどうかにつき、業種を知るために経営範囲の照会システムで検索することができる。
  • 自社が政策補助の対象となる小規模零細企業に該当するのかどうかにつき、小規模零細企業の名簿が作成されており、企業信用情報公示システムで関連データを入力すれば自動的に判定されて名簿に掲載される(判定プロセス無し)。
といったような、最新のシステムを活用した実務上役立つ知識が掲載されています。

②反独占法執行の年度報告

国家反独占局が2021年の反独占法関連の法執行状況についての年度報告を発表しました。市場支配的地位の濫用や企業結合規制などに関してインターネット、公共事業、医薬、建築材料、半導体、物流、新エネ車、化学工業の各業界で多くの典型事例が紹介されており、最近の反独占法の重点的なトピックを振り返って頭を整理するには便利かと思います。

③契約モデル文書ライブラリ

国家市場監督管理総局のWebサイト上に、「契約モデル文書ライブラリ」が掲載されました。
https://www.samr.gov.cn/(首頁→服務→合同示範文本庫)
従来から建築工事請負契約や土地使用権払下契約などは中央政府所定の書式で統一的に運用されていましたが、そういった実務上必ず使われる書式が一つのところに集められているので、便利に活用いただけるかと思います。
但し、中国国内の各種取引に関するものであるため海外から見る必要はそもそも無いだろうということなのか、日本からのアクセスはうまくできない場合があるようです。

2022年6月6日月曜日

6月第1週:①経済安定のための33項目の政策措置、②中小企業からの購買の強化、③GB 23350-2021改正

①経済安定のための33項目の政策措置

国務院から包括的経済対策として33項目の政策措置が発表されました。
増値税の還付政策や中小企業向け金融支援、国有建物の賃料減免など、従来から既に実施されているものが多い印象ですが、中には、「エネルギー分野で基本的条件が整っていて今年の着工が可能な重大プロジェクトについてはなるべく早く実施することを推進する」といったように、ニュースで見るような出来事の政策的背景が改めて分かるようなものもあります。

②中小企業からの購買の強化

政府調達の分野でも中小企業からの購買を強化する施策が財政部から打ち出されています。
上記の33項目の包括的経済対策にも含まれていますが、400万元以下の工事プロジェクトは可能な限り中小企業から調達することなどが規定されています。
また、大企業が小規模零細企業とコンソーシアムを組成することも奨励されており、入札評価において加点事由として考慮されるとのこと。
自社及び主要な取引先が企業規模の分類上どのランクに分類されるのか、政策によって異なる場合もありますが、こまめにご覧いただくことをお勧めいたします。

③GB 23350-2021改正

2021年9月に食品・化粧品の包装に関する強制性国家基準についてご紹介しました。施行期日は2023年9月1日からとご紹介していました。
ところが、今回、月餅と粽子(中華ちまき)の過剰包装問題が突出しているということで、「第1号修正書」が発布されました。
月餅と粽子については包装の上限を4層から3層にスリム化させ、包装コストも100元以上の月餅と粽子の場合は上限を20%から15%へと制限を厳しくする内容で、2022年8月15日から施行することになったとのことです。
今後も、来年9月を待たず、一部の商品について先行して規制が強化される可能性もありますので、商品を企画される際は包装をスリム化することもご検討ください