注目の投稿

2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2023年6月5日月曜日

5月第5週:①2023年立法計画(会社法改正は8月の予定)、②個人情報出国標準契約の届出指南(第一版)、③消費品の標準化推進

①2023年立法計画

全人代常務委員会から、2023年の立法計画が公表されています。
継続審議中の法案17件については、何月に公布予定か記載されています。
《会社法》改正は8月となっています。
長らく《暫定条例》であった増値税についても、同じく8月に《増値税法》の予定とのこと。
その前の6月に《対外関係法》、12月に《金融安定法》と《民事強制執行法》など、気になる項目は色々ありますが、それぞれ公布に至ったときに改めてご紹介したいと思います。

②個人情報出国標準契約の届出指南(第一版)

《個人情報出国標準契約弁法》が6月1日から施行ということで、実際の届出手続に関する指南が公表されています。
データが国内にある状態でも、国外から照会、閲覧、ダウンロード、エクスポート可能な状態になっていると、やはり個人情報の国外提供として届出が必要になるとのこと。
手続を処理する担当者の委任状や、申請内容に虚偽がないことなどを記載した承諾書のフォーマットが添付されています。
個人情報保護影響評価をしてから届出まで3ヶ月以内であること、その間に重大な変化がないことも、承諾書の内容に含まれています。

③消費品の標準化推進

国家標準化管理委員会、工業情報化部、商務部の3部門が共同で、消費品標準化建設の強化についての行動方案を公表しました。
消費品の国家基準について、重要技術指標における国際基準との一致の程度を95%以上にするという目標が掲げられています。
重点領域としては、家電製品、電子製品などが挙げられており、スマート化に対応するインターフェースなども対象となっています。
また、塗料や壁紙等の内装用建材や、アパレル製品についても、安全性向上や高機能化に対応した標準化などが掲げられているようです。

2023年6月1日木曜日

日本の話題: ショートメッセージ(SMS)データの編集(変造・捏造)

過去にセミナーでもお話したことがある話題ですが、最近改めて同じような話題を目にしたので、この機会に改めてブログに掲載しておきます。










この写真は、何年か前にとある事件で、【携帯に保存されているショートメッセージのデータを編集できるかどうか】が争点になったとき、詳しい業者さんに相談して実験してみたときの写真です。
私もその作業に立ち会って見せてもらったのですが、結果として、「送信元」も「メッセージの内容」も、きれいに入れ替えることができました。画像を加工することは当然、簡単ですが、携帯電話に入っているテキストデータも、技術的には書き換えることができる場合があるということです。
このときの実験では、送信元はもともとメールのアドレスだったのですが、それが特定の電話番号から届いたという表示に変わり、メッセージの内容の文字も違うものに変わっていました。私も知識としては、そういうことが可能だとは抽象的には知っていたのですが、実際に目にしてみると、やはり驚きでした。

チャットアプリのLINEやWeChatで同じことができるのかどうかは私も試したことがなく知らないですし、SMSについても端末によって異なるのかもしれないのですが、データである以上、同じようなことがあり得るのかもしれません。
場合によっては鑑定が必要になると思われますので、スクリーンショットやバックアップデータがあれば可と考えるのではなく、端末の元データを保存しておく(機種変更しても元の端末を保管しておく)ということも大切になってくるかと思います。

最近ではAIを活用したディープフェイクという技術も話題になっています。
なんであれ本物「らしく」見えてしまう世の中ですから、証拠は一つ何かがあれば良いというわけではなく、複数あるべきだと言えそうに思います。


2023年5月29日月曜日

5月第4週:①契約行政監督管理弁法、②新就業形態の典型案例(第3弾)、③《商用暗号管理条例》改正

①契約行政監督管理弁法

国家市場監督管理総局から、契約についての行政監督管理に関する弁法が発布されています。
従来は《契約違法行為監督処理弁法》という別の法令があったのですが、《民法典》の施行もあったので名称が変わったようです。
従来から、消費者との間の契約における不平等な条項などについては罰金の処罰をすることなどが定められていましたが、その罰金額の上限が3万元から10万元になりました。
また、省級以上の市場監督管理部門が特定の業界又は分野について契約モデル文書を制定することができる旨の規定も追加されています。もちろんその書式に準拠することが強制されるものではありませんが、事業を行ううえでは、関係する地域において、該当する業界・分野についての契約モデル文書があるかどうかを確認いただく方がよさそうです。

②新就業形態の典型案例(第3弾)

人力資源社会保障部と最高人民法院から、新就業形態の労働争議の典型案例(第3弾)が公表されました。
「新就業形態」での就労者は8400万人にのぼるとのことで、これにはトラックの運転手、配車アプリの運転手、出前配送員などが含まれます。
これらの就労者とプラットフォーム企業との間で、労働関係(=《労働契約法》による労働者保護や労災補償が適用される関係)が認定されるかどうか?という事例が6つ紹介されています。
労働関係が認められた事例、認められなかった事例、両方がありますが、やはり契約の名称や文言ではなく、実質的に労働管理がなされていたか否か等が考慮されているようです。

③《商用暗号管理条例》改正

《商用暗号管理条例》が改正されました。1999年の古い規定でしたが、改正で《暗号法》などに整合するようになりました。
一部の記事では「商業パスワード管理条例」と紹介されていましたので、「パスワード?」と思う方々もいらっしゃるかもしれませんが、中国語「密码」、いわゆる暗号化技術のことです。メール送受信でも、無線LANを使った通信でも、デジタルデータを安全に通信するために暗号化は常に随所で用いられています。
商用暗号製品の輸出はもともと輸出管理の対象でしたし、大衆消費類製品に用いられる暗号については輸入・輸出許可制度の対象ではないことも従来から明文で規定されていました(《暗号法》第28条)。
商用暗号製品の生産・販売許可、製品登録の制度に関する条文がなくなり、検測認証制度に関する条文が増えたようですが、これも概ね《暗号法》(同第26条など)の規定に沿うものかと思います。

過去の寄稿一覧(SMBCチャイナマンスリー)


SMBCチャイナマンスリーに寄稿させていただいた記事の一覧です。
一般公開されていますので、機会があればご覧ください。


2023年5月 中国《反スパイ法》改正について(限定公開)
2023年3月 個人情報の国外への提供・移転のための標準契約
2023年1月 工業および情報化分野データ安全管理弁法(試行)
2022年10月 国家標準管理弁法の改正
2022年9月 個人情報の中国国外への提供・移転について
2022年7月 正札価格表示および価格欺罔禁止にかかる規定
2022年5月 中国 《反不正競争法》に関する司法解釈と関連事例
2022年3月 中国 ファイナンスリース会社非現場監督管理規程
2022年1月 中国 安全生産研修の「形骸化」に対する特別取締活動
2021年11月 中国における個人情報保護法
2021年9月 市場監督管理分野における3つの新法令(行政処罰情報の公示、信用失墜名簿、信用修復)
2021年7月 中国《データ安全法》(データセキュリティ法)
2021年5月 経営用途貸付の不動産分野への流入防止に関する通知
2021年3月 インターネット販売消費品のリコール監督管理の強化に関する市場監督管理総局の公告
2021年1月 《建設工事企業資質管理制度改革方案》
2020年12月 《販売促進行為規範化暫定施行規定》、《ネットワークライブ配信マーケティング活動の監督管理を強化することに関する市場監督管理総局の指導意見》
2020年9月 市場監督管理分野の部門連合抽出検査事項リスト(第一版)
2020年7月 《民法典》で契約の実務はどう変わる?
2020年5月 新型コロナウイルス肺炎の感染症流行にかかわる民事案件を法により適切に審理することにかかる若干の問題に関する最高人民法院の指導意見(一)
2020年4月 薬品、医療機器、保健食品、特殊医療用途調整食品の広告審査管理暫定施行弁法
2020年3月 ネットワーク情報コンテンツ生態統治規定



2023年5月22日月曜日

5月第3週:①生態環境行政処罰弁法、②「企業商業秘密保護能力向上サービス月間」、③能動的司法の典型案例10事例

①生態環境行政処罰弁法

生態環境部から、環境関連の行政処罰を行う際の手続を定めた新しい弁法が出ています。
改正により、名称も2010年の《環境行政処罰弁法》という名称から変更されました。
自動モニタリングデータ設備のデータを毎日12時にマーキングして、モニタリングデータの有効性について異議がないことを確認するという手続などが新たに規定されています。

②「企業商業秘密保護能力向上サービス月間」

国家市場監督管理総局にて、今年6月に初めての「企業商業秘密保護能力向上サービス月間」活動を行うとのこと。ここにいう商業秘密には、技術情報が含まれます。
各企業へのヒアリング等を行って1対1のサービスを提供すること、政策法規の普及活動を行うこと、企業の内部管理制度などにつき行政指導を行うこと、侵害行為の取締を強化すること、とあります。
重点分野では司法部門と協力して大規模・重要事案の調査処理を推進するとのこと。

③能動的司法の典型案例10事例

最高人民法院から、執行案件における「能動的司法」の典型事例10事例が公表されています。
中国の執行をめぐっては日本と違うところも多々ありますが、今回紹介されている各事例は、まさに強制執行の案件を手掛けている身としては非常に実感のある、分かりやすい事例が紹介されていると感じられます。
詳しくは別の機会にご紹介できればと思います。


2023年5月18日木曜日

《反スパイ法》改正に関する記事を掲載いただきました。

SMBC Global Informationにて、下記記事を掲載いただきました。

SMBC・中国レポート~法務編
【中国】反スパイ法の改正 について


2023年5月15日月曜日

5月第2週:①不動産仲介業の規範化、②出入国管理の緩和、③重大事故リスク判定基準解読

①不動産仲介業の規範化

住宅都市建設部と国家市場監督管理総局から、不動産仲介業に関するルールの徹底を求める意見が出ています。
仲介業務は基本業務(物件情報提供や物件内覧、契約締結など)のほか、住宅ローン手続代行費用など別途料金が必要な業務もあります。いずれも料金を明示する必要があります。
契約書式は各住宅都市建設部門が制定することなどが規定されています。

②出入国管理の緩和

国家移民管理局から、5月15日以降の出入国管理の緩和についての公告が出ています。
香港・マカオへの団体旅行の手続が全国でできるようになったとのこと。
外国人については、永久居留証や電子パスポートを持っている場合は「快捷通道」を通れるそうです。

③重大事故リスク判定基準解読

応急管理部から、3月に出ていた重大事故リスク判定基準についての解説が出ています。
図なども入って細かく説明されています。自社に関係する箇所だけ見ればよいものかと思います。

2023年5月11日木曜日

コンサルティング会社のマッチングサービスと国家機密の不正取得

5月8日のCCTVの報道で、Capvision(凯盛融英)というコンサルティング会社の国家機密不正取得事件が報道されていました。
--------
CCTV《焦点访谈》 20230508 别有用心的咨询
--------

報道によれば、この会社は「各分野の専門家と企業をつなぐ」サービスを展開しており、政府や国有企業で勤務している個人を「専門家」として登録して企業をマッチングさせていたそうで、専門家として登録されていた個人のデータベースは30万人にのぼり、国防・軍事工業の分野だけでも1000名以上にのぼっていたと紹介されています。
建前上はマッチングするだけのサービスということだったようですが、実際には専門家が顧客企業に対して国家機密を理由に情報提供を断ると顧客からのクレームとして提示するとともに、高額の報酬を提示して情報提供を求めるというアメとムチのようなやり方で、個人から企業に国家機密を提供させていたようです。

中国の国家秘密をめぐる話題は、《反スパイ法》改正もありましたし、日本でも報道等で最近よく取り上げられています。
ここ最近、アメリカ系の調査会社やコンサルティング会社への調査が報じられていますし、日本企業だけに限らず、外国企業全般にとって敏感な話題にもなっているようです。
上記のケースですと、コンサルティング会社のサービスを通じて国家秘密を取得した側のユーザー企業も処罰を受ける可能性がありそうですので、情報収集活動においては十分ご留意いただいた方がよさそうです。

2023年5月9日火曜日

5月第1週:①国有企業・上場会社の会計事務所選任、②演出(公演・興行)市場秩序の管理強化

①国有企業・上場会社の会計事務所選任

財政部、国有資産監督管理委員会、証監会の3部門連合で、国有企業・上場会社の会計事務所選任についての通知が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-05/05/content_5754176.htm
選定のための評点をつけるときに、品質管理水準の比重を40%以上にすること、費用見積の比重を15%にすること、といった記載があります。
8年以上連続して同じ会計事務所を起用してはいけないということも規定されています。
日系企業には直接の影響はなさそうですが、合弁会社の中国側パートナーや取引先の上場会社などで会計監査が厳しくなり、これまでどおりの資金調達や取引ができなくなることもあり得ますので、少し気になる話題ではあります。

②演出(公演・興行)市場秩序の管理強化

新型コロナウイルスの流行による行動制限が緩和され、コンサートなどのイベントも活発になってくるということで、「黄牛(ダフ屋)」によるチケット高値転売の取締などに関する通知が出ています。
事業主体については従来から行政上の許認可の規制が厳しい分野ですが、出演者を主催者が勝手に変更してはいけないこと、雑技などの危険性が高い演目では安全管理や保険付保を促すことなども規定されています。
「口パク」は不可、ということなども書いてあるので、なかなかに規制が細かいです。


2023年5月2日火曜日

4月第4週:①《反スパイ法》改正、②対外貿易促進、③中国への渡航前の検査緩和

①《反スパイ法》改正

中国で邦人がスパイ容疑で身柄拘束される事例が少し前に話題になりましたが、これに関する《反スパイ法》という2014年にできた法律が改正されました。
これに先立って2021年4月に《反スパイ安全・防止業務規定》という国家安全部の規定があり、反スパイの教育・研修などを実施して安全・防止意識と対応能力の向上が求められ、重点単位リストによる管理なども定められていました。
今回の改正法では、従来からあった国外追放の規定のほかに、国外送還に関する規定が追加されるなどの変更があります。
詳しくは別の機会にご紹介予定です。

②対外貿易促進

対外貿易促進に関する新たな政策意見が公表されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2023-04/25/content_5753130.htm
展覧会の強化や自動車輸出の支援、先進技術設備の輸入奨励などが挙げられています。

③中国への渡航前の検査緩和

日本から中国に渡航する際の手続がさらに緩和されるそうです。
従来はPCR検査が必要でしたが、4月29日から、自前の抗原検査キットでの検査でOKとなります。
(日本語ではよく読み取れませんが、中国語原文を見ると「自行使用抗原试剂盒」と書いてあります。)
税関アプリでの健康表明カードの記入は引き続き必要となっています。
また、残念ながら、ノービザ入国の復活はまだですので、引き続き、ビザの手配はお早めにお願いします。




2023年4月25日火曜日

4月第3週:①党内法規制定業務計画綱要、②2022年の十大知的財産権事件、③美容医療サービスのモデル契約書式

①党内法規制定業務計画綱要

中国共産党中央委員会から共産党内のさまざまなルールの制定に関する計画(2023~2027年)が公表されたということで、国務院のWebサイトでも紹介されていました。
http://www.gov.cn/zhengce/2023-04/18/content_5752088.htm
共産党内における党員規則や政治思想、党の歴史の教育など、さまざまなルールの制定が計画されています。党の紀律処分に関する条例の改正など、反腐敗に関するルールも更新が見込まれているようです。

②2022年の十大知的財産権事件

最高人民法院から、2022年の知的財産権関連の十大事件と、50件の典型案例が公表されています。
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-397162.html
よく使われる検索キーワードを大量に含む広告ページを生成してインターネットの検索エンジンの管理秩序に干渉したということで不正競争行為と認定された事例や、NFT(Non-Fungible Token)の取引プラットフォームに贋作が掲載された場合にプラットフォーム事業者による権利侵害を認定した事例など、今年も目新しい事例が紹介されています。

③美容医療サービスのモデル契約書式

国家市場監督管理総局から、美容医療サービスに関して消費者と締結される契約書のモデル契約書式が公表されています。
クーリングオフや懲罰的賠償に関する条項などが明記されています。

2023年4月17日月曜日

4月第2週:①公衆マスク着用指南(2023年4月版)、②セクハラ防止制度(参考文書)、③工業製品の生産・販売の品質安全

①公衆マスク着用指南(2023年4月版)

マスク着用要否についての新しいガイドラインが出ました。
「露天広場、公園などの屋外場所」のほか、「人員が相対的に固定されている室内の業務場所や会議室など」についても、マスク着用不要の場面の一つになっています。
中国にいる方々や中国に出張なさる方々はご一読ください。

②セクハラ防止制度(参考文書)

少し前ですが、人力資源社会保障部弁公庁など6部門から連合で、業務場所におけるセクハラ防止・除去に関する制度の参考文書が公表されていました。
セクハラの被害者が「二次傷害」(二次被害)に遭わないように、加害者を被害者と接触しがたい業務職位に異動させることなどが記載されています。(逆に被害者を異動させてしまわないようにご注意を。)

③工業製品の生産・販売の品質安全

工業製品の生産・販売単位の品質安全主体責任に関する監督管理規定が出ています。
責任追及や処罰の対象となる「主要責任者」は法定代表者、【法定代表者の委託者】又は実質支配者を指すとされています(ともに第18条第4号)。
日系企業の場合、この「主要責任者」は工場長など社内のどなたかに委託をしておく方が安全かと思います。

2023年4月11日火曜日

4月第1週:①全国各地区の最低賃金基準、②輸入危険化学品の管理強化、③台湾関連

①全国各地区の最低賃金基準

人力資源社会保障部のWebサイトに、2023年4月1日時点の各地の最低賃金の表が掲載されています。
http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/laodongguanxi_/fwyd/202304/t20230401_497838.html
例によって、この最低賃金の金額に社会保険の個人納付分を含むか含まないかは、各地方により異なっていますので、ご留意ください。

②輸入危険化学品の管理強化

税関総署から、輸入危険化学品の検査検疫の監督管理強化に関する公告が出ています。
「中国国際貿易単一窓口」というWeb上のプラットフォーム(https://www.singlewindow.cn/)から国連番号やラベルについて申告することなどが言及されています。

③台湾関連

外交部から、台湾の蔡英文総統による「台湾独立」活動に寄与したとして、米国の研究所などに反外国制裁法に基づく措置を講じる旨の決定がありました。
《反外国制裁法》第3条第2項は文字通り外国制裁ですが、第1項の内政干渉に対しても制裁が課される対象になります。以前はチベット問題でしたが、今回は台湾問題ですので、かなり身近な話題に感じます。
ジェトロのWebサイトでも紹介されていますので、詳細はそちらをご覧ください。

2023年4月4日火曜日

3月第5週:①知的財産法廷の年度報告と典型事例、②失業保険・労災保険料率の引き下げ継続、③贈賄犯罪の典型事例

①知的財産法廷の年度報告と典型事例

最高人民法院から、知的財産法廷の年度報告と典型事例20件が発表されていました。
年度報告には、平均審理期間165.2日(暦日)など、統計の数字が紹介されています。図が入っていて見やすいです。
自動車ディーラーの再販売価格制限について行政処罰が行われた後、購入者個人がディーラーに対して賠償を求めた事例(典型事例の事例19)など、興味深い事例もあります。

②失業保険・労災保険料率の引き下げ継続

人社部、財政部、国家税務総局から、失業保険・労災保険料率の引き下げ継続についての通知が出ていました。
各地で勝手に納付基数を引き下げたり社会保険費を減免するなど基金収入を減少させる政策を出してはいけない(四、)といった記述も見られます。

③贈賄犯罪の典型事例

贈賄犯罪の典型事例5件が新たに公表されました。
非国家業務人員(村の党書記)への贈賄の事例や、生産安全知識試験の合格証書取得のための贈賄の事例などが紹介されています。

④余談

4月から大阪・上海間の航空便が大幅に増えたそうで、航空券の価格も随分と下がっていました。1ヶ月前に見たときはまだまだ非常に高かったのですが、今はコロナ禍の前よりもお求めやすくなっているものもあるようです。


2023年3月27日月曜日

3月第4週:①《反独占法》関連の細則規定4件、②広告絶対化用語取締指針、③行政許可事項リスト

①《反独占法》関連の細則規定4件

《反独占法》関連で昨年6月から意見募集が行われていた細則規定のいくつかが正式に発布されました。
《経営者集中審査規定》:
《独占合意禁止規定》
《市場支配的地位濫用行為禁止規定》
《行政権力を濫用して競争を排除し、又は制限する行為を制止することにかかる暫定施行規定》
《独占合意禁止規定》については、意見募集稿第15条では市場シェアにつき15%という具体的数字が明記されていたのですが、今回の正式発布では「市場監督管理総局の定める標準」となり、具体的な数値は先送りになっています(第17条)。

②広告絶対化用語取締指針

「国家級」、「最高級」、「最良」等の表現は《広告法》第9条第3号で禁止されているのですが、このような「絶対化用語」の取締についての指針が出ています。
これらの用語を使っていても、それが販売しようとする商品に関するものではなく、単に事業者の理念や態度、目標を示すだけの記述であれば《広告法》の禁止対象には含まれないこと、医療・美容や投資、教育などの分野において使用される場合は社会的影響が軽微とは見なさないこと等が規定されています。

③行政許可事項リスト

国務院弁公庁から、行政許可事項リストの2023年版が公表されています。
昨年以降、行政許可を取得する必要がある事項は中央、地方それぞれリスト化されているので便利になっています。


2023年3月21日火曜日

3月第3週:①「立法法」改正、②電信分野の通報処理規定、③「3・15晩会」

①「立法法」改正

立法(法律・条例・規則などの制定)の権限や手続について定めた「立法法」が改正されました。http://www.npc.gov.cn/npc/kgfb/202303/eb5e0e60ff5f43f7a3bfa2a10bbee6ba.shtml
習近平新時代、中国式現代化による中華民族の偉大な復興の全面的推進、といった記載が追加されています。(第3条、第4条)
外資三法のときのように、まずは暫定的に執行を調整又は停止してみて、実践してみて実行可能であることが証明できたら改めて法律を改正するという条文が加わっています。(第16条)

②電信分野の通報処理規定

工業情報化部から、電信分野の通報処理に関する規定が出ています。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2023/art_9026e3292d20444589cfeffcced25973.html
違法行為発生地の通信監理局が処理を担当すること、通報から60日のうちに分類処理すべきことなどが規定されています。

③「3・15晩会」

今年も3月15日の世界消費者権利デーにCCTVで「3・15晩会」の放送がありました。残念ながら今年はリアルタイムでは見られなかったですが、ネットでも見られるようです。
個人的に面白いなと思ったのは、SNSの短編動画配信で、さまざまなトラブルを解決する正義漢がいて、その活動を高齢者の方々は好んで見ており、この正義の人を応援するためにその人が紹介する商品を購入するのだそうです。
ですが、実はそのトラブル解決には台本があって、登場する人たちは役者さんで、単なる商品を売るための手法とのこと。20元くらいの商品が199元で売れてしまうそうです。
その他、定番の美容やスマホの個人情報に関する問題、さらに最近はやりの「常連殺し(殺熟)」など紹介されていました。

2023年3月13日月曜日

3月第2週:①国務院機構改革方案、②最高人民法院の業務報告、③個人情報出境標準契約弁法

①国務院機構改革方案

国務院の機構改革方案が承認されました。
http://www.gov.cn/xinwen/2023-03/11/content_5745977.htm
最初に科学技術部の再構築が挙げられているのは、科学技術を重視する政策の表れかと思います。
次いで国家金融監督管理総局の新設、これは従来の銀保監会をベースに、人民銀行の金融集団の監督管理部門と証監会の投資家保護部門を統合する形になるようです。
一連の金融関連の部門の再編に続いては国家データ局の新設と続いています。

②最高人民法院の業務報告

最高人民法院のこの5年間の業務報告が発表されています。
この5年間での一審の受理件数が3370万件とのことですから、中国で如何に訴訟が多いかが分かります。
審理・終結した破産案件は4.7万件、うち重整(再生)事件は2801件あり、3285万社の企業の苦境脱出を助け、92.3万人の従業員の雇用を安定させたとあります。

③個人情報出境標準契約弁法

中国国内から国外への個人情報移転・提供のときに締結が求められる標準契約書式、正式発布になりました。6月1日から施行予定で、不適合の場合には施行日から6ヶ月のうちに是正を完了するように求められています(第13条)。
厳格にこの書式にしたがって契約を締結しなければならないこと、他の条項を追加することはできるが書式内容に抵触してはならないこと(第6条)、
契約締結後10営業日以内に、個人情報影響評価報告書とともに、現地のインターネット情報部門への届出をしなければならないこと(第7条)、
などが規定されていますので、半年以上時間があるとしても、なかなか対応は難しそうです。
中国国内の個人情報を中国国外に出さない、という対応にならざるを得ない部分もあるかと思います。

2023年3月10日金曜日

個人情報出国標準契約

お知らせが遅くなってしまいましたが、以前にお伝えしていた中国国内から国外への個人情報移転・提供のときに締結が求められる標準契約書式、正式発布になりました。6月1日から施行だそうです。



2023年3月6日月曜日

3月第1週:①政府業務報告、②ネットアプリのサービス能力向上、③刑事事件における弁護士の業務執行、④安全生産重大リスク検査

①政府業務報告

李国克首相による政府業務報告が活字でも公開されています。
今年は政府が変わる年ということで、この5年間の振り返りがあり、そのうちでは3年にわたった新型コロナウイルス対応についても述べられていました。
住宅については、「住宅は住むために用いるものであり、投機のために用いるものではない」と不動産価格の抑制について述べていた昨年に比べ、今年は若者向けの住宅問題の解決を挙げているなど、少し変化も見られます。

②ネットアプリのサービス能力向上

ネットアプリについて、ダウンロード・インストールや個人情報保護などを含む各種措置に関する通知が出ています。
プラットフォームでの動態的な監視の強化、SDK(ソフトウェア開発ツール)の仕様管理などの方針も見られます。
カスタマーサービスの月平均の反応期限30秒、人手による応答率85%とすることなど、数値を掲げている部分もあります。

③刑事事件における弁護士の業務執行

刑事事件での律師(中国弁護士)の活動に関する10ヶ条の意見が出ています。
https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202303/t20230302_605005.shtml#2
被疑者との面会が阻害された場合の対応などについて、律師協会も関与して弁護士の業務執行上の権利が確保されるべきことなどが規定されています。

④安全生産重大リスク検査

国務院の安全生産委員会が全国で重大リスクの検査活動を行っています。20の総合検査チームが河北省、上海市、江蘇省などに入って検査活動を行っているとのことです。