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2021年7月9日金曜日

7月第2週: ①中国IT企業の海外上場の記事、②違法なアプリの取締、③深センのデータ条例、④破産と虚偽訴訟、⑤2011年のことで処罰

①中国IT企業の海外上場の記事

日本では、中国IT企業の海外上場の規制強化というような見出しの記事を見かけましたが、おそらく、今回ご紹介している証券犯罪の取締強化に関する意見のことかと思います。
この意見は、全体としては、何度かご紹介している「康美」の巨額粉飾事件など、証券市場における違法行為によって中国国内の投資家が損害を受けないように保護しようという趣旨のように思われます。
ずっと下の方(五、とある部分)まで読まないと海外上場の話は出てこないのですが、こういうごく一部が拾い上げられて上記のような記事になっているというのは、記事を見ているだけでは分かりづらいですね。
今回のリニューアルで、「法令の全体像」を浅く広く伝えるのはやめて、一つでも二つでも、業務や事業に直接役立つ部分をクローズアップしてお届けすることにしたのですが、あまりにも一部だけを取り上げてしまうと誤解を招くこともあるので、その点はこの配信時のメールや勉強会などの機会になるべく補うようにしたいなと思っています。

②違法なアプリの取締

違法なアプリの取締についても、日本では「滴滴(Didi)」の件が注目されていますが、中国ではほとんど毎月のように100件を超えるようなアプリの取締が行われておりまして、今回もまた129件のアプリの取締の発表がありました。
著名企業のアプリや、一般の方々がよく使っているアプリも、この中に含まれています。(「滴滴」は今回のこのリストには入っていないようです。)
ライブ配信アプリなどは、広告宣伝や、ライブコマースなどに使われている場合もあり、アプリが使えなくなると売上にも影響するかもしれませんから、IT業界以外の方々でも、自社に関係するかどうか見ておいた方が良いこともあるかと思います。

③深センのデータ条例

深センのデータ条例ですが、「データ安全法」(データセキュリティ法)が成立して直ちにこのような条例を出すのは、
さすがアジアのシリコンバレーといわれる深セン、ハードウェアのみならずアプリ開発でも先進的な地域なのかなと思います。
内容としては、第一章の総則の後、第二章に個人情報(個人データ)に関する章が設けられており、かなり充実した規定ぶりになっているように思われます。第三章は公共データ、第四章はデータ要素市場、第五章がデータ安全という章建てになっています。
深セン限定の地方性法規ですから、詳細をご紹介する機会は無いかもしれませんが、他の地方でもこれに倣う可能性もありますから、参考としての価値はあろうかと思います。

④破産と虚偽訴訟

なお、「高額年俸」云々という記事は、人事労務のお話ではなく、何度もご紹介している「虚偽訴訟」の事例です。
破産した会社については、実務上、管財人から「とりあえず従業員の賃金だけは先に払わせてくれ」という要請が債権者に対して行われることがありまして、会社が破産するのは良いが、それがゆえに賃金が支払われずに騒動が起こると困る、ということで、法律上の順位よりも労働者保護が重視される傾向があります。
日本では未払賃金立替払制度という別のセーフティネットが担うこの役割、中国でも同じような制度があれば良いのにと思いますが、そうするとまた制度を不正に利用する手口を考える人も出てくるかもしれませんので、制度作りというのは国により状況により難しいものなのだなと思います。

⑤2011年のことで処罰

最後に、経営者集中(企業結合)の未申告で22件の罰金処罰が決定された件。
これも日本でも報道されていますが、なんと、10年前(2011年9月)に合弁会社を設立したときのことを取り上げて処罰しているものがあります。
私が知る限りでは、2011年9月当時は、(商務部の見解としては当時から申告が必要とのことでしたが)合弁会社設立時に申告が必要という明文規定はありませんでしたし、未申告の調査・処罰に関する弁法が発布されたのは2011年12月、初めての処罰事例が出たのは2014年のことでした。
ですから、2011年9月は予見可能性が十分ではなかったように思われるのですが、これを10年経った今、改めて取り上げて処罰したのは、なかなか衝撃的です。
行政処罰決定書からは読み取れませんが、もしかすると単純な会社設立ではなく、事業や資産を現物出資するなどM&Aに近い形で行われたのかもしれません。
ただ、規定も運用も明確でない時期のこととすると、それを処罰するのは少し過酷なようにも思えますね。



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