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2023年6月13日火曜日

弁護士以外の者が代理人になれるかどうか(弁護士代理の原則)

中国の方々からのご相談を受けていると、「弁護士以外の者が代理人になることはできないのか? 自分が代理人になってはいけないか?」という質問を受けることがよくあります。
これは、日本の依頼者の方々からはあまり受けることがないご質問です。

「弁護士代理の原則」とは、日本において、訴訟の場面では原則として弁護士しか代理人になることはできないというルールのことを言います。
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日本「民事訴訟法」第54条(訴訟代理人の資格)
1 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
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一方、中国では、弁護士でなくても、訴訟代理人になることができます。つまり、弁護士代理の原則というのがありません。
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中国《民事訴訟法》
第61条  当事者及び法定代理人は、1名から2名を訴訟代理人として委任することができる。
 次に掲げる者は、訴訟代理人として委任されることができる。
 (一)弁護士及び基層法律サービス業務者
 (二)当事者の近親者又は業務人員
 (三)当事者の所在する社区及び単位並びに関係社会団体の推薦する公民
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このように、少なくとも訴訟の場面で見れば日中双方の制度は大きく異なっていますので、冒頭のような日本ではあまり聞かないようなご質問が出てくることになります。


ちなみに、日本でも、訴訟の場面ではなく、報酬を得る目的でなければ、弁護士でなくても代理人になることができる場合はあります。
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「弁護士法」第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
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ですので、訴訟以外の場面についてはご説明がなかなか難しいのですが、訴訟以外の場面であっても、非弁護士の代理人と称する方が介入している場合は、少なくとも日本の弁護士自身は、その案件に関わることが難しくなります。下記「弁護士職務基本規程」の規定があるためです。
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「弁護士職務基本規程」第11条(非弁護士との提携)
弁護士は、弁護士法第七十二条から第七十四条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる 相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
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中国の方々が弁護士でない人を代理人に立てて交渉しようとする場面を見かけても、お互いに背景が違うことを理解して冷静にご対応いただければと思います。


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