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2024年1月31日水曜日

中国《会社法》改正: 持分譲渡につき他の株主の同意が不要に 【追記あり】

今回の《会社法》改正では、中外合弁会社の合弁パートナー同士の関係が大きく変わってしまう可能性がある改正項目があります。
それが、持分譲渡につき他の株主の同意を得る必要がなくなるという改正です。(現行法第71条、改正法第84条)

比較的早期から中国に進出している中外合弁会社の場合、法律上、「合弁当事者の一方は、第三者に対しその持分の全部または一部を譲渡する場合には、必ずほかの合弁当事者の同意を経る」ことが求められていましたので(廃止された「中外合資経営企業法実施条例」第20条第1項)、自社が知らない又は同意しないうちに合弁パートナーが変わってしまって見知らぬ会社と合弁事業をしなければならないという事態は起きませんでした。

また、「会社法」では、「(持分譲渡に)同意しない株主は、当該譲渡される出資持分を購入しなければならない。」としつつ、同時に、「会社定款に出資持分の譲渡について別段の定めのある場合には、当該定めに従う。」としていましたので、定款に定めを置いておくことで、同じように、自社の同意なく合弁パートナーが変わってしまうという事態を避けることができました。

それが今や、同意を求められることもなく、単に優先購入権を行使するかどうかの選択ができるだけになろうというのですから、変化は相当大きいと思います。

今回の改正でも、「会社定款に出資持分の譲渡について別段の定めのある場合には、当該定めに従う。」との条文はそのまま残っています。ですので、今回の改正にもかかわらず、従来どおり持分譲渡について他の株主の同意を要するという約定をすることは可能です。但し、それは定款で定めておく必要があります。

日本でいう株式譲渡制限のある会社ということですが、日本でも、譲渡を承認しない場合には、会社自身がその株式を買い取るか、その株式の買受人を誰か指定しなければならないことになっています。
ですので、「譲渡に同意しないならば買い取れ」というのは別に酷な話というわけでもなく、実は、日本とあまり変わりありません。
ただ、出資している合弁会社が買い取るのか、株主自身が買い取るのかでは、株主自身がキャッシュを出さなければならないかが違いますので、株主自身が買取を求められるという点では、少しだけ酷ではあります。
「会社に買い取らせる」という選択肢はあり得ますが、中国の一般の有限公司は自社株買いを基本的に認めませんので(少数株主による持分買取請求権行使の場面のみ明文規定があります)、できるのはできるのですが少し難度は高くなります。

ですので、この点については、できる限り、定款に何らかの約定を置くことで対策を講じておかれることをお勧めします。
この定款に定める内容としては、共同売却(Tag-along)の約定を置くこともできます。また、優先買取権は特に約定せずとも法律上ありますので、その優先買取権の行使のための前提条件の部分で、買受意向者に関する情報を開示させ、買受意向者との間で協議を行って同意するかどうかを決定する、そのようなプロセスを定款で定めておくことも一案でしょう。
さまざまな方法が考えられるかとは思いますが、どの方法であれ定款での定めが必要になる場合が多いと思われますので、定款変更の際には是非忘れずに検討ください。


【2/15追記】
 私自身、セミナーでお話をしているうちに改めて強く意識したのですが、「30日」という非常に短い期間のうちに、合弁パートナーが入れ替わるという重要事項について判断するのは極めて難しいと思われます。
 せめて、この「30日」を3ヶ月や6ヶ月といった現実的に判断が可能な期間に改めておくことは、定款で考慮すべき一つの重要な記載事項になるのではないでしょうか。

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