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公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...

2022年8月1日月曜日

7月第4週:①脱炭素関連の国家基準の外国語版、②知的財産権鑑定業務の強化に関する指導意見、③「十四五」環境健康業務計画

①脱炭素関連の国家基準の外国語版

国家標準化管理委員会から、カーボンピークアウト(碳达峰)、カーボンニュートラル(碳中和)に関する国家基準の外国語版計画(44項目)が公表されています。
自動車の燃費改善製品使用の技術条件や、建設機械のエネルギー消費基礎データの測定・計算方法など、製品の脱炭素性能に関わるものも英語にしていくようです。

②知的財産権鑑定業務の強化

国家知的財産権局から、知的財産権の鑑定業務を強化するということで、指導意見が出ています。
https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/7/27/art_75_176870.html
主には知的財産権関連の専門的な事実面での問題について鑑定と分析を行うものであり、このような知的財産権鑑定の適用場面を広げていく方向性も示されています。

③「十四五」環境健康業務計画

生態環境部からは、第14次5ヶ年計画期間における環境健康面での業務計画が出ていました。
公衆の健康を保障するために、環境と健康のモニタリング・調査・リスク評価の制度を構築していくことなど、環境と健康をつなぎ合わせた環境保護活動について述べられています。




2022年7月25日月曜日

7月第3週: ①経営者集中の審査が地方でも、②展覧会への出展と知的財産権、③全国統一市場建設に寄与する30ヶ条

①経営者集中の審査が地方でも

中国のM&Aや新合弁会社設立に関して《反独占法》により要求されている経営者集中申告(独禁法上の企業結合届出)について、
8月1日から、簡易案件の審査を北京、上海、広東、重慶、陝西の5つの省・市に分散して行うことになるようです。

手続のルートが変わることで便利になる部分もあると思われますが、手続が従来どおり進まなくなることも出てくるかもしれません。

②展覧会への出展と知的財産権

展覧会や博覧会に出展される展示品が特許や商標などの知的財産権を侵害している場合、展覧会主催者はこれを撤去する措置を講じる義務があります。
この展覧会などにおける知的財産権の保護に関するガイドラインが公表されました。
展覧会参加前に出展企業が自ら展示品や包装・設計などについて他社の知的財産権を侵害していないことの承諾を提出すること、
主催者は政府機関と協力して、技術・法律の専門人員を配した「工作站」を設置して、その場で知的財産侵害等のクレームを受け付けて処理すること、
といった仕組みが規定されています。


【7/26追記】

③全国統一市場建設に寄与する最高人民法院の30ヶ条

《最高人民法院关于为加快建设全国统一大市场提供司法服务和保障的意见》(法发〔2022〕22号)
https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-367241.html
外国企業も平等に扱う(5.)、市場退出メカニズムを整備する(6.)といったような項目が並んでおり、
渉外案件の指導性案例を多言語で発信する(16.)といったような興味深い項目もあります。

合わせて、典型案例も公表されていました。
《人民法院助力全国统一大市场建设典型案例》
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-367251.html
事例四、名義株について実質株主による名義変更請求を認めた事例、
事例六、力帆股份という上場企業とその子会社10社の「重整」による再生事例、
事例十、許可証無しでの非法経営罪についての無罪事例、
といった事例が並んでいます。


2022年7月18日月曜日

7月第2週: ①天津濱海新区法院の十大ファイナンスリース典型事例、②職業分類の改訂(意見募集)、③ビットコインのマイニングに関する契約

①天津濱海新区法院の十大ファイナンスリース典型事例

天津濱海新区では比較的早くからファイナンスリースについて特区を設けて奨励しています。その濱海新区の人民法院からファイナンスリースについての十大事例が紹介されていました。
電子署名のみで締結された契約について資質のある第三者認証機関が発行した証明書をもって契約が有効に成立したものと認めた事例(事例二)、実際には被告本人に到達していなくても契約書上に記載された送達場所への送達をもって送達されたとみなした事例(事例三)など契約書の管理について参考になる事例もあります。
少し変わった事例では、誤った支払遅延情報(信用不良情報)の削除請求に関する事例(事例十)もあります。

②職業分類の改訂(意見募集)

《職業分類大典》という職業分類の一覧表があり、その改訂に関する意見募集が行われています。職業訓練や就労支援などの分野で使用されるものです。
「电子商务师」(eコマース師)、「互联网营销师」(インターネットマーケティング師)といったデジタル関係の職業が追加されたことや、「森林資源評価専業人員」といった環境保護関連の職業が追加されたことがポイントとして挙げられています。

③ビットコインのマイニングに関する契約

北京市第三中級人民法院から、ビットコインのマイニングを委託する契約の有効性に関する裁判例の発表がありました。
某会社がブロックチェーン事業を行う会社にマイニングを委託し、管理費用を支払う代わりに、マイニングされたビットコインを取得するという契約で、1000万元を支払った後、約18ビットコインの収益が支払われた後、その後ビットコインの引渡しがなされなくなったため、マイニングにより得られた残りのビットコインの引渡しを求めた事例でした。
裁判所は、仮装通貨(暗号資産)のマイニングは経済金融秩序を乱し、電力資源を浪費するなど公共利益に反するものとして、マイニングに関する契約を無効と認定しました。





2022年7月11日月曜日

7月第1週: ①データ出国安全評価弁法、②労働関係の指導案例7件、③北京への移動制限

①データ出国安全評価弁法

《データ安全法》による重要データの国外移転規制についての具体的規定が新たに一つ発布されました。
先週に引き続いて、《個人情報保護法》第38条第1項各号による個人情報の国外移転に関する話題でもあります。
データ出国安全評価を申請しなければならない場面は、以下の4つです(第4条)。
 (1)データ処理者が重要データを国外提供する場合。
 (2)基幹情報インフラストラクチャー運営者と100万人以上の個人情報を処理するデータ処理者が国外に対して個人情報を提供する場合。
 (3)前年1月1日から累計で国外に対して10万人の個人情報又は1万人の機微な個人情報を提供したデータ処理者が個人情報を国外に対して提供する場合。
 (4)国家ネットワーク情報部門が定める、データ出国安全評価の申請が必要なその他の状況。
施行日は9月1日からですが、既にデータの国外移転を行っており、この弁法の規定に適合していない場合でも、施行日から6ヶ月以内に是正すれば良いそうです(第20条)。
ですので、申請が必要になる場合でも、過去に遡って処罰されることもなさそうですし、また施行前に慌てて申請しなくても大丈夫なようですが、来年の2月末までには申請が必要となります。日本のお正月休みに加えて中国の春節休暇もありますので、年内を目途と考えておく方がよさそうです。

②労働関係の指導案例7件

最高人民法院から、新たな指導案例7件(179号~185号)が公表されました。今回は珍しく、労働法関連の事例が紹介されています。
合作契約名目での偽装請負に関する事例、賞与支給前に離職した従業員の賞与に関する事例、戸籍所在地による就職差別の事例など、人事労務管理に関する参考になる事例となっています。

③北京への移動制限

北京との正常な往来を保障するということで、北京との往来制限が見直されています。
他都市から北京への移動制限について、「14日のうちに1例以上の感染者が発生した県(市、区)」への立ち寄り履歴があると制限を受けていたところ、「14日」が「7日」に短縮されるなど緩和されます。
一方、7月11日から、人が集まる場所に入るときはワクチン接種済みであることが求められるようです。もっとも、ワクチン接種に適しない人などは不要ですし、PCR検査証明での代用なども可能という情報もあり、中国での規制も日々変化している様子です。

2022年7月4日月曜日

6月第5週:①個人情報の国外移転のための標準契約書式、②個人情報の国外移転のための認証実践指針、③《反独占法》改正に関する意見募集6件

①個人情報の国外移転のための標準契約書式

《個人情報保護法》第38条第1項第3号に定める標準契約の書式について、現在まで発布されておらず実務上「ルールを守りたくても守れない」困難を生じていたのですが、標準契約の具体的なイメージが持てる文案が公表されたことで、ようやく問題が解消されそうです。
この標準書式を見ると、同法同条第3項からすると受領者側も中国のルールを知らなければならないので当たり前のことではありますが、中国国内の提供者側が、外国の受領者側の求めに応じて、中国国内の関連法令及び技術基準の副本を提供しなければならないということも書いてあります。(書式第2条(五)部分)
もちろん、外国の受領者側の義務(書式第3条部分)も詳細に規定されており、この書式自体が、《個人情報保護法》対応のために何をしなければならないのかについてのマニュアル、チェックリストとして使えそうな内容になっています。もちろん、この書式を使って実際に個人情報の国外への提供を行おうとすれば、当然、守らなければならない内容でもあります。
現在はまだ意見募集段階であり、正式発布ではありませんが、事前に見て準備しておいた方がよい事項もありそうな気もいたします。

②個人情報の国外移転のための認証実践指針

もう一つ《個人情報保護法》第38条第1項各号の関係では、国のネットワーク安全・情報化部門の規定に従い専門業務機構の実施する国外移転に関する個人情報保護認証について、指針が公表されました。こちらは意見募集ではなく正式に公表されたものです。
《情報安全技術 個人情報安全規範》(GB/T 35273)に基づき認証機関が個人情報のクロスボーダー処理活動につき個人情報保護認証を行う際の実践指針ですので、これでようやく、認証機関に委託してこの認証を得る道も実際に開かれてくることになりそうに思います。
上記の①と合わせて、今までは「まだルールが決まっていないから」と言えたところ、ルールが整備されてきています。中国の《個人情報保護法》による国外移転についての規制の本格化に向けての地ならしが進んでいるのかもしれません。

③《反独占法》改正に関する意見募集6件

改正《反独占法》が8月1日から施行されますが、それに向けて、6つの関連する細則規定の改正についての意見募集が行われています。
《反独占法》の改正内容自体は直接に実務に影響するのか分かりづらい部分があるのですが、こちらの細則規定については、直接、実務を左右する部分が含まれています。

2022年6月28日火曜日

6月第4週: ①応急管理部の安全生産通報システム、②中国共産党の指導者・幹部親族による企業経営、③反独占法改正

①応急管理部の安全生産通報システム

企業の生産活動において安全面でのリスクがあるときや、事故があったのに隠匿・虚偽報告がなされているときに、誰でも通報できるシステムがリリースされました。
実名と匿名、両方の通報が可能であり、通報後の進捗状況を見ることも可能になっています。
(ちなみに、匿名通報の方を選ぶと、「もし事実が確認されても奨励金を受領することができませんが、よろしいですか?」というポップアップが表示されます。)
匿名でも連絡先は記入しないといけませんし、中国は電話もネットも実名制ですから、結局は身分が分かるのでは?とも思いますが、場所を選んで通報内容を記載すれば手軽に通報できるようになっています。
通報をきっかけにした調査等が入ることもあり得ますので、生産安全管理には引き続きご留意ください。

②中国共産党の指導者・幹部親族による企業経営

中国共産党の指導者・幹部の配偶者、子女とその配偶者が企業を経営することについての管理を強化するという通知が出ていました。
局レベル以上の指導者・幹部のこれら親族の方々については、企業を設立すること、私営企業や外資系企業の高級職位に就くこと、私募ファンドでの投資・就業、有償の社会仲介及び法律サービスなどの行為が制限の対象となります。
レベルの高い指導者・幹部であるほど制限も厳しくなるそうです。親族が事業をやめるか、本人の職位を調整するか、という対応になるとのこと。

③反独占法改正

《反独占法》が改正され、8月1日から施行となっています。
実務上よく問題になる取引相手方との間での転売価格に関する合意については、「安全港(セーフ・ハーバー)」制度が設けられ、「関係市場における市場占有率が反独占法律執行機構の規定する基準より低いことを証明できる場合」には、禁止対象にならないことが明文化されました。
ただ、具体的な市場占有率の基準がまだ明示されていませんので、基準が速やかに示されることを期待したいと思います。


2022年6月25日土曜日

(日本の話題)商法第512条、ご存じですか? (『サービス』の有償・無償について)

日本の商法には、商法第512条という規定があり、商人の行為は原則として有償である、つまり商人に何かを頼めば費用が発生するのが原則、ということになっています。
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日本「商法」
第五百十二条(報酬請求権) 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。
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ちなみに、細かい説明は省きますが、会社の行為は通常は「商人がその営業の範囲内において」行ったものと推定されます。

これは日本の商法上のルールですから、一般の消費者の方々や外国人の方々はご存じでなくても当然なのですが、ご相談を受けてお聞きしている話からすると、どうやら商法が適用されることが当然であるビジネスの場面でも、稀に、「合意がない限り何を頼んでも無償」という誤ったご認識を持たれている取引先や顧客の方々もいらっしゃるようです。

ちなみに、取引先に「『サービスで』これもやってよ!」と無償で何かをさせるというのは、下請法が適用される場面では、不当な経済上の利益の提供要請ということで下請法違反になります。
また、下請法が適用される場面でなくても、優越的地位の濫用(独禁法違反)に該当する場合もあります。


この商法第512条が適用された裁判例というと、例えば、 仙台高等裁判所昭和48年1月24日判決があります。
 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/997/023997_hanrei.pdf
この事例は、不動産仲介業者に対して、不動産の購入を希望する者が場所、広さ、価格などの自己の希望条件を示し、これに適合する物件を探すように依頼して、現場案内まで受けたにもかかわらず、結局はこの不動産仲介業者を通さずに(仲介費用も払わずに)、あろうことか別の業者を通じてその物件を購入してしまったという事例でした。
もちろん、この最初に物件を案内した不動産仲介業者には一定の報酬をもらう権利があるという判決になっています。
不動産仲介の場面ではよくあるトラブルと言えると思いますが、もちろん、他の様々な業務の場面でも同じ道理が成り立ちます。
似たようなお話はビジネスの日常でもたくさんあると思いますが、裁判例としてはあまり数は多くないように思います。日本では暗黙の常識として、不義理なことはしないという商売上のルールを皆さんが守っておられるからかもしれません。


私が社会人になった当時はまだビジネス上の常識として、「タダより高いものはない」といいますか、他人・他社に何かお願いするときは気持ちだけでも何か費用をお支払する意識があったと思うのですが、もしかするとそういう意識も薄れてきてしまっている部分もあるのかも?というように感じました。
(たまたま私が一緒にお仕事をさせてもらった方々が常識をわきまえた方々だったから、ということでもあるでしょうけれど。)
日本の会社にもそこにお勤めの方々にも余裕がなくなってしまっているからなのか、寂しい気持ちもしますが、共存共栄でお仕事を円滑に進めていただくことを少しでもお手伝いできることがあればと思っています。

2022年6月24日金曜日

「健康コード」に関する職権濫用事件

河南省鄭州市で起きた、感染の疑いがある方々の移動制限に使われている「健康コード」が濫用され、感染の疑いがない市民の方々の移動が制限された事件について、中国共産党中央紀律検査委員会でも処分に関する記事を掲載していました。

とある銀行の預金者の方々の「健康コード」を赤色(移動制限)にしたとのことです。
「健康コード」については、《個人情報保護法》成立の背景となった個人情報保護に関する意識の高まりの一つのきっかけにもなった面があるように思われます。当時から指摘されていた濫用の懸念が現実のものになったという意味で、なかなか重要な事件のように感じましたので、備忘のため書き留めておきます。

ちなみに、処分内容については、主犯格の疾病対策部門の部長は職務取消処分、副部長は降級処分になりましたが、ほか3名は過失記録(昇級・昇格停止など)の処分とのこと。いろいろと情状酌量すべき事情があったのかもしれません。

2022年6月21日火曜日

6月第3週:①応急管理部の「一案双罰」典型事例、②モバイルアプリ情報サービス管理規定の改正、③「COD除去剤」を用いた環境規制の潜脱

①応急管理部の「一案双罰」典型事例

応急管理部から、安全生産に関する処罰事例が公表されました。今回は、法人と責任者個人、双方に対する処罰(いわゆる両罰規定)の適用が大きく取り上げられています。
発生した事故について、法人と責任者個人の双方がそれぞれ処罰を受けるのはごく一般的な処理なのですが、今回、興味深いのは、これらの事例はいずれも検査によって安全生産管理体制の不備が指摘されたことで処罰が行われた事例であることです。
事故が起こったときの対応はもちろんですが、事故が起きていなくても管理不備で責任者の処罰につながってしまうことがあります。

②モバイルアプリ情報サービス管理規定の改正

スマホアプリなどに関する管理規定が改正されました。アプリ提供者がコンテンツがもたらす結果に対して責任を負うこと、したがって違法な情報が伝播しないよう自覚的に不良な情報に対して予防することを求めています。また、いわゆるボットを使ったアクセス水増しや高評価の捏造などによってユーザーをダウンロードするよう誘導することを禁止することなども規定されています。

③「COD除去剤」を用いた環境規制の潜脱

水質汚濁の指標の一つとして化学的酸素要求量(COD)という指標があるところ、この指標を下げることを目的とした「COD除去剤」という商品があるそうです。実際には排水の水質を向上させる効果がないのに、環境モニタリング設備で検出されるCODの数値だけを下げるということで、環境汚染の規制を不正に逃れるための手段と認定されて、会社に罰金20万元、主たる責任者であった被告に執行猶予付きの懲役刑が言い渡された事例が紹介されていました。便利過ぎる商品にはお気をつけください。