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中国で提出する書類の記入・署名: なぜ「ボールペン不可」「万年筆で記入」なのか?

中国に関係するビザ申請の関係書類や、中国で会社登記機関(市場監督管理局)や裁判所(人民法院)などの公的機関に提出する書類を記入したり署名したりするときに、「ボールペンで記入しないでください」「万年筆で記入してください」と言われたことはないでしょうか。

2022年11月15日火曜日

11月第2週:①流行防止措置の改善、②中小企業のDX指南、③条約締結管理弁法

①流行防止措置の改善

新型コロナウイルスの流行防止措置の改善について、20ヶ条からなる新たな通知が出ています。
http://www.gov.cn/xinwen/2022-11/11/content_5726144.htm
濃厚接触者についての「7日間の集中隔離+3日間の自宅観察」を「5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離」に変更、リスク地区管理を「高中低」の3段階から2段階に変更などの内容です。
入国者の隔離措置も同様に「5+3」へと期間が短縮され且つ目的地での重複隔離は不要、重要なビジネス入国者やスポーツチームなど隔離免除者は「閉鎖管理区」内での滞在など、入国者に関する項目もいくつかあります。
閉鎖環境での業務を完了した後の高リスク職位人員については、「7日間の集中隔離+7日間の自宅隔離」から「5日間の自宅観察」となるようです。

②中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)指南

DXは世界的な趨勢であるということで、工業情報化部から中小企業のDXに関する指南が出されています。
中小企業のDXは単独ではなく各社との連携が大切ということで、中小企業だけでなく、中小企業向けにサービスを提供するプラットフォーム企業、それに地方政府へと向けた内容も含まれています。
また、最後に用語解説がついており、CAD(コンピュータ支援設計)やMES(製造実行システム)などの用語が掲載されています。

③条約締結管理弁法

他国との条約締結については以前から《条約締結手続法》という法律がありますが、これに基づき、《条約締結管理弁法》という新たな法令が国務院から出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-11/07/content_5725135.htm
外交・国防事務にかかわる条約や中華人民共和国の全「領土」に適用すべき性質の条約については香港・マカオの特別行政区の意見も聞いたうえで加入・批准することなど、一国二制度の中国独特のルールも規定されています。


2022年11月7日月曜日

11月第1週:①女性権益保障法の改正、②外商投資奨励産業目録2022年版、③ビジネス環境革新の全国展開

①女性権益保障法の改正

女性権益保障法が改正されました。
男女の雇用待遇の平等、結婚・妊娠等の事由による労働契約終了の禁止など、人事労務の分野でも見る機会の比較的多い法律です。今回の改正ではこの部分もさらに詳しく規定されているようで、雇用者である企業のセクハラの防止措置措置を講じる義務についても細かく列挙されています(第25条)。
また、今回の改正では、交際を口実に又は交際・離婚の終了後にして女性につきまとうことやプライバシー・個人情報を漏洩することの禁止(第29条)、離婚時における証拠収集困難がある場合の裁判所や政府関係部門などによる協力(第67条)などの新たな内容も追加されています。

②外商投資奨励産業目録2022年版

外商投資奨励産業目録が改正されました。
商務部のリリースでは、2020年版に比べて239項目の追加、167項目の修正があったこと、製造業を引き続き外商投資を奨励する重点方向とすることなどが紹介されています。
http://www.mofcom.gov.cn/article/xwfb/xwrcxw/202210/20221003363087.shtml

③ビジネス環境革新の全国展開

ビジネス環境の革新・改革について各地で試行されている中から、その経験を全国に展開していくことが推進されています。
企業の設立・変更手続が一括で行える仕組みなどを全国に普及させていくとのことです。
なお、9月にも北京・上海での試行内容を全国に展開していくことに関する通知が出ていました。


2022年10月31日月曜日

10月第4週:①製造業を重点とする外資利用拡大政策、②知的財産権による「専精特新」中小企業の発展、③全国一体化政務ビッグデータ体系の建設指南

①製造業を重点とする外資利用拡大政策

国家発改委、商務部など6部門から、外資利用拡大に関する若干の政策措置が公表されました。
7番目の項目として、「新型コロナウイルス流行拡大防止を前提としたうえで」多国籍企業・外資系企業の高級管理者、技術者及びその家族の入国の利便性を高めることが挙げられています。
9番目の項目では条件に適合する外資系企業の上場を支援することが挙げられています。また、3番目の項目として、外資プロジェクトに関する用地、環境、物流、人員の出入国などの面でのサービスの保障を強化することと合わせて、重大・重点外資プロジェクトの実施を推進する方針が示されるなど、製造業の外資系企業に関係しそうな項目が含まれています。

②知的財産権による「専精特新」中小企業の発展

国家知的財産権局と工業情報化部の連名で、知的財産による「専精特新」(専業、精密、特色、新規)中小企業の発展を促進する通知が出ています。
各地方が少なくとも年一回は「専精特新」中小企業向けの講習を行うこと、ISO56005の国際規格の実施を推進することなどが挙げられています。

③全国一体化政務ビッグデータ体系の建設指南

中国の各地方の有するデータの共通化・共有化が進められています。
全国一体化政務データ共有ハブには1.35万件のデータ資源が共有されており、のべ4000億回を超える利用があるとのこと。
とりわけ新型コロナウイルスの感染拡大防止においては、各地区からのデータ共有のニーズに応じる必要があり、地区・部門・レベルを超えた相互共有が行われ、31省(自治区・直轄市)で健康コードやPCR検査、ワクチン接種、隔離措置などに関するデータの利用がのべ3000億回を超えているとのこと。
ただ、各地でデータを重複して収集している、政務データの品質(網羅性、正確性、適時性)向上が必要であることなど課題も多いようです。
2023年末、2025年末を目標として、政務データ資源を目録管理に組み入れていくこととされています。
後半にいくつか図が掲載されており、これらの図が全体像を分かりやすく示しているように思います。
また、「可用不可見」ということで、身分認証やサンドボックスなど技術的手段によってデータ開放を進めることも記載され、市民生活に密接に関連し、社会の需要が切迫しており、業界の潜在力が顕著な政務データを優先して開放していくとのことです。


2022年10月24日月曜日

10月第3週:①国家統計局発表の経済指標、②第20回共産党大会で

①国家統計局発表の経済指標

GDPの発表が遅れたことが日本では少し報道等でも取り上げられていましたが、統計局から第3四半期の経済統計が発表されていました。
やはり今年4月頃が最も落ち込みが大きかった時期であることが分かりやすく見て取れるような統計になっているように思います。

②第20回共産党大会で

先週は共産党大会があったせいか、あまり新法令に関する情報は見かけませんでした。
人事の変動に伴って各分野でこれまで示された方針とは異なる動きが出てくるかもしれませんので、少し気をつけて見ておきたいと思います。


2022年10月17日月曜日

10月第2週:①財務不正に関する財政部の通知、②CCC認証に関する規定の改正、③食品関連製品の品質安全監督管理暫定弁法、④賃料減免措置の継続

①財務不正に関する財政部の通知

各地方の財政局と各会計士協会、会計事務所に対して、監査の重点分野における財務不正の識別、監査リスクの抑制に関する通達が出ています。中国子会社の管理や内部監査に関わっておられる方々にもご参考になるかと思います。
中国語「舞弊」は何らかの事柄を偽って不当な利益を得る行為を広く指す言葉で、企業の内部での横領・背任行為を指す言葉として使われることもありますが、今回は「財務舞弊」ということで、財務諸表における各種の不正会計を対象として、会計事務所における注意力の向上を求める内容となっています。
別紙においては、「財務不正が起こりやすい分野及び重点対応措置」が列挙されています。このうちには、貨幣資金の過大計上や大株主による資金流用、建設仮勘定の不一致、貸倒引当金やその他資産の「減値」(会計上の減損)など、過去において比較的大きな事件になって注目されたことが思い起こされるような、典型的な不正会計の項目が並んでいます。また、売上などの収入の計上時期の操作や、中国国外における事業にまつわるリスク(中国にはあまり無い、第三者による代理受領など)、かなり細かく記載されています。
どちらかと言えば、本文よりも、別紙に見るべき内容が多いように思われますので、ご覧になる際には別紙も是非ご覧ください。

②CCC認証に関する規定の改正

中国強制的認証(China Compulsory Certification。略称「CCC」)に関する規定の改正がありました。
https://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/202210/t20221008_350551.html
といっても、内容が実質的に変わったものではなく、行政機関の組織機構改革に伴う担当部門の変更などを反映したにとどまるようです。
また、スピーカーやデータ端末など、リスクが比較的低く技術的に成熟している9種の電子・電器製品について、CCC認証の対象範囲から除外する旨の公告も出ていました。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-10/12/content_5717772.htm

③食品関連製品の品質安全監督管理暫定弁法

食品関連製品の品質管理に関する新しい弁法が、《食品安全法》《製品品質法》の下位規定として発布されています。
https://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/202209/t20220930_350531.html
ここでいう「食品関連製品」とは、食品そのものではなくて、食品に使われる包装材、容器、洗浄剤、消毒剤と、食品生産に使われる工具、設備のことです。
これらの物品を中国国内で製造、販売するときには、「食品接触用」「食品包装用」などの標記を付す必要があるなど、食品に準じた規制が適用されます。

④家賃減免措置の継続

国有資産監督管理委員会から中央及び地方の国有企業に対して、中小零細事業者向けの賃料減免業務の継続に関する通達が出ています。
中小零細事業者に対する3ヶ月分の賃料減免のほかに、養老・託児、飲食、宿泊などの業界では別途の賃料減免措置もあるようで、減免措置の適用漏れがないようにチェックするようです。


2022年10月10日月曜日

10月第1週: ①行政サービスの省を跨ぐ統一処理(跨省通办)、②行政サービスのワンストップ化推進(一件事一次办)、③税務行政許可事項リスト(2022年版)

①行政サービスの省を跨ぐ統一処理(跨省通办)

22項目の行政サービスについて新たに省を跨ぐ統一処理を求める意見が出ています。
来年6月末までに事項名称や必要書類などを全国で統一する予定とされています。
従業員の雇用関係でよく問題になる、社会保険や住宅積立金についての手続もこの22項目のリストに含まれていますので、人事労務管理の実務を担当している方々には影響がありそうです。
また、フリーランスや非正規雇用の方々の社会保険の手続についてもリストに含まれていますので、多様な雇用形態を支える周辺制度の整備という意味合いもあるように思われます。

②行政サービスのワンストップ化推進(一件事一次办)

企業や個人の行政手続の負担を低減しようということで、企業の設立から抹消まで、個人の出生から死後まで、一つの事項については一つの場所、一つの窓口で、一回の手続で完了できるようにするようにという指導意見が出ています。
私も北京の事務所を設立したときに自分で各政府部門に手続に行きましたが、縦割り行政で各政府部門に行かなければならない手間は日本も中国も同じだなと感じていました。
また、必要な資料を後で追加で要求されることで何度も足を運ばなければならないなど、行政手続の負担は諸々あります。
これらを2025年末までに簡素化していく予定のようです。

③税務行政許可事項リスト(2022年版)

税務行政許可事項リスト(2022年版)が公表されています。
以前は6つあった行政許可事項が、行政の簡素化で撤廃されていき、今回は一つだけが残ったという内容になっています。

2022年10月3日月曜日

9月第4週:①増値税の控除未済にかかる税還付(留抵退税)をめぐる取締、②個人の住宅買い替え減税、③ネットワーク安全法改正の意見募集

①増値税の控除未済にかかる税還付(留抵退税)をめぐる取締

新たな法令が出たわけではありませんが、よく目にする話題としてご紹介いたします。
今年に入ってから、増値税の控除未済にかかる税還付をめぐる取締が強化されており、各地の税務局が競うように取締の実績を公表しています。
9月29日の新聞発表会(下記記事の六、部分)でも、引き続き重点的に取締を行っていることが紹介されています。
もともと今年に入って4月1日から、財政部/税務総局公告第14号などにより控除未済にかかる税還付(「留抵退税」。仕入税額控除ができていない分の増値税を還付する税制優遇政策)が推進されており、企業の資金繰りを支援するものとして大きく宣伝されていたのですが、その一方で、虚偽の申告をしてそのような税還付を騙取する犯罪行為を厳しく取り締まる旨の6部門連合での通知(税総稽査発〔2022〕42号)も出ていました。

日本でもコロナ禍で持続化給付金など補助金が支給されたとき、これに関する不正受給も起きていましたが、どこの国でも同じようなことがあるのだなと思います。
このような取締強化の活動によって、還付を受けた企業が後に税務局による調査を受ける場面も出てきています。不正に還付を受けておらずとも、何らかの嫌疑により調査を受けること自体、企業活動に影響がありますので、還付を受けた後はその後の調査が来たときもすぐに説明ができるように、少しの資料と心の準備は無いよりはある方がよさそうです。

②個人の住宅買い替え減税

企業の業務にはあまり関係ありませんが、中国経済の見通しや中国の方々による日本の不動産取得には少し影響するかもしれないと思いましたので、ご紹介します。
2022年10月1日から2023年12月31日までの間に、自己所有の住宅を売却して1年のうちに新しい住宅を購入した場合、既に納税した個人所得税が還付されるという減税政策が出ました。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n363/c5181858/content.html
同一都市内での買い替えのみが対象であり、また新たに購入する住宅と旧住宅売却時の納税者が直接に関係していなければならないという条件があります。
(買い替えの機会に子どもの名義にするときにも適用できるのでしょうか。)

③ネットワーク安全法改正の意見募集

ネットワーク安全法の改正についての意見募集が出ています。
http://www.cac.gov.cn/2022-09/14/c_1664781649609823.htm
概ね、罰則規定について処罰の種類と幅を調整する内容のようですが、一つ気になる条文案がありました。
第70条(国の安全を損なう情報、暴力的・色情的な情報、虚偽の情報などの発信・伝達に関する処罰)について、「法律、行政法規に規定がない場合」に関係主管部門が是正命令や警告、批判通知、違法所得没収といった処罰をするという新しい規定を追加するようです。
もともとの「第12条第2項並びにその他の法律及び行政法規により頒布又は伝送が禁止される情報を頒布し、又は伝送した場合」という規定自体、その他の法律・行政法規が何かが分かりにくいのですが、どのような行為が処罰対象となるのか分かりやすくなることを期待したいと思います。

2022年9月26日月曜日

9月第3週:①中央企業と紛らわしい企業リスト、②国家基準管理弁法改正(国家基準の外国語版と版権・著作権)、③クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起

①中央企業と紛らわしい企業リスト

国有資産監督管理委員会から、中央企業(中央政府が監督管理する国有企業)と紛らわしい名前の企業があるということで、そのような企業のリストが公表されていました。
今回のものは第二弾だそうで、第一弾は去年10月に出ていました。
これらのリストに掲載されている会社、社名に「中鉄」や「中建」などの文字が入っていて見た目は中央の国有企業の傘下のグループ企業のように見えるのですが、実は投資関係も提携関係もないそうです。
以前は中国は会社名称の審査が厳しかったですが、今はこのような紛らわしい社名でも登記・登録できてしまうようで、規制の変化の表れでもあるかと思います。

②国家基準管理弁法改正(国家基準の外国語版と版権・著作権)

中国の国家基準(GB:国家標準)に関する法令、《国家基準管理弁法》が改正されました。1990年施行以来の改正となります。
《標準化法》も2018年施行のものが1989年の施行以来の改正であったので、こちらも《標準化法》の改正を受けたものと理解してよいものと思います。強制性国家基準については、先に2020年に施行された《強制性国家標準管理弁法》が優先となります。
技術発展の過程にあって、発展を指導する必要がある又は標準化するに値する項目については、国家標準化指導性技術文書(GB/Z)という別の文書で定めることができることなどが定められています。
国家基準とその外国語版について、「版権」(=著作権。《著作権法》第62条)があることも明文で規定されています。国家基準自体に著作権があるので外国語版にもその著作権が及ぶことは当然ではありますが、参照する場合は国家標準化管理委員会のものを参照した方がよさそうです。
 参考1:国家標準化管理委員会の2013年の記事「標準版権管理」
 参考2:国家基準全文公開システム

③クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起

銀保監会の消費者権益保護局から、クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起が出ていました。
クレジットカードを他人に貸すことは刑法上の詐欺罪などにも該当する可能性があることなど、ごく当たり前の内容ではありますが、これに合わせて、過大な借入や返済のための借入などに関する注意喚起も記載されています。