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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2021年4月30日金曜日

4月第4週:①個人情報保護法草案の二次審議稿(意見募集2回目)、②知的財産権宣伝週間・知財判決10大事例(OPPOの事例)、③半導体関連の奨励策対象企業の条件、④自動車部品の再製造、⑤生態製品、⑥「軽資産」企業

今週のキーワード:
ネットワークライブ配信マーケティング、人手不足職業ランキング、知的財産権の典型事例


①個人情報保護法草案の二次審議稿(意見募集2回目)

中国の個人情報保護法(草案)、二次審議稿が公表されました。
2回目の意見募集で、今回の意見募集の期間は4月29日から5月28日までとなっています。

ポイントとなる中国国外への個人情報提供についての規定は、昨年の意見募集稿と大きくは変わっていないようですが、
提供のための条件のうち一つであった国外の提供先との間の契約については、
・ 【国家ネットワーク情報部門が制定する標準契約に従って】国外の受領者と契約を締結し、双方の権利及び義務を約定し、かつ、その個人情報処理活動がこの法律所定の個人情報保護基準に達することを監督していること(第38条第3号)。
という【  】部分が追加されました。
この標準契約がどんな内容になるのかは不明ですが、
この点が不明のまま、法律としては成立してしまいそうな気もしています。
一方、以下の各部分は、前回の意見募集稿から特に変わりなさそうです。
・ 個人に対して「国外の情報受領者の連絡先」や「提供する個人情報の種類」などを告知したうえで、「単独の同意」を得なければならない(第39条)
・ 国外の情報処理者が中国国内に機構を設置又は代表を指定しなければならない(第52条→第53条)
その他の詳細は後日、機会があれば研究してみようと思います。

なお、個人情報安全技術に関する各種の国家基準は、この数ヶ月、多数の意見募集が出ています。
「中国の個人情報保護基準を満たす」と一言で言っても、国家基準に定めた各種の条件をクリアしていく必要があります。
日系企業の皆様は概ね B to B の取引が多く、顧客やユーザーの個人情報を扱うことは少ないと思うのですが、
関係する企業の方々におかれては、国家基準も見ることを忘れないようにご留意ください。


②知的財産権宣伝週間・知財判決10大事例(OPPOの事例)

ちなみに、今週は知的財産権宣伝週だったそうです。
4月26日がWIPOの「知的財産権の日」で、その前の一週間が宣伝週になっているとのこと。
ですので、今週は新聞では知的財産権の話題が多くなっていました。
知的財産権の10大事例はいつも参考になりますが、
pptでも紹介したOPPOの事例は、
権利者側がライセンス交渉中に他国で訴訟を提起した行為に対して、
FRAND義務違反を理由に「全世界にわたり他国で提訴してはならない」という保全裁定を出したものです。
中国が「国際知的財産権規則の追従者」から「国際知的所有権規則の指導者」に転換することについて重要な推進的意義を有するとのこと。
詳細は事例の原文をよく見て分析してみなければ分からないですが、
中国企業へのライセンス・アウトの交渉には大きな影響を与えそうに思います。

③半導体関連の奨励策対象企業の条件

なお、半導体関連の奨励策、対象企業となるための条件が公表されました。
企業所得税の減免税のほか、設備輸入免税などの政策を享受する基準となりますので、
条件を満たす会社は、日本からの輸出先顧客として有望ということにもなるかと思います。


④自動車部品の再製造

このほか、細かいですが、いくつか。

自動車部品の「再製造」に関する弁法が出ています。
もともと《廃棄機動車回収管理弁法》という弁法があり、廃車になった自動車から部品を取り出してリサイクルする場合のルールを規定しており、
いわゆる「5大アセンブリ(五大总成)」は再製造できる場合以外はスクラップにしなければならないことなどを定めていますが、
その再製造に関するルールの部分を明確にしたもののようです。

⑤生態製品

「生態製品」、あまり聞きなれない言葉ですが、
自然環境を観光資源などとして旅行などのサービスに提供することを意味するほか、
さらに、飲料などのブランド化による価値向上などといった形で、
環境資源の経済的価値を可視化していって「製品」にするというイメージでしょうか。
「定量化しにくく、担保にならず、取引しづらく、現金化しづらい」という環境資源の価値を
経済的に認識できる仕組みを構築していきましょう、ということが政策として打ち出されています。
具体的には、昨年11月に発表された生態製品価値実現の典型事例(第2集)を見ると、少しイメージはしやすいかと思います。
もし興味があればご覧ください。

⑥「軽資産」企業

「軽資産住宅リース企業」、これも馴染みのない言葉ですが、
「軽資産企業」とは、日本でも一時話題になった「持たない経営」、すなわち資産を自前で持つのではなくてアウトソーシングで調達して顧客に提供するビジネスモデルを採用している企業を指します。
ここでは、住宅の賃貸借の場面ですから、所有者から物件を借りて転貸するサブリース企業のことを意味します。
以前にご紹介したとおり、サブリース企業が賃料を持ち逃げする事例が多発しているらしいですので、その管理を強化するという通達のようです。


追伸:
 5月1日~5月5日が珍しく日本も中国も同時に5連休となりますので、
 来週の資料は休載とさせていただく予定です。
 直前のお知らせとなり恐縮ですが、ご了承くださいませ。




2021年4月23日金曜日

4月第3週:①証券業界での中国式集団訴訟、②会社の休眠を認める制度、③魔蠍(サソリ)...「パスワード教えて」は全て詐欺、④アプリの画面共有機能の悪用

今週のキーワード:
不動産抵当権登記、企業の「休眠」、独占処罰


①証券業界での中国式集団訴訟

「康美薬業」の事件については、
昨年5月第4週のワークショップ資料で「A株市場最大の粉飾事件」として取り上げました。
銀行払戻伝票の偽造、定期預通帳の偽造、固定資産の水増しなどによる巨額粉飾が発見され、
株価が9割近く蒸発したのに証監会による行政処罰の上限は60万元でしかないということで
問題視されていた事件です。
また、昨年8月第1週の資料でも、
中国版の集団訴訟が出航 『康美』などが投資家による損害賠償請求の大時代へというタイトルで、
《証券紛争の特別代表人訴訟にかかる若干の問題に関する規定》が発布されたことと、
これによる集団訴訟の初のケースは「康美」などの粉飾決算事件を起こした会社になるだろうという記事を紹介していました。
今回は、4月16日に中小投資者服務中心が50名以上の委託を受けて特別代表人訴訟を開始したことについて、
証監会も上場会社の粉飾という「悪性腫瘍」に対する「ゼロ容認」の態度に沿うものとして支持するとの記事です。
中国式集団訴訟がどのように運用されていくのか、今後も見ていきたいと思います。

②会社の休眠を認める制度

会社の「休眠」については、これまでずっと正面からこれを認める法的根拠はなく、
しかし実務上は非常に多数存在している状況が続いてきました。
登記や信用調査では特に変わった様子が見られないのに、
工場を訪れてみると誰もいない、登記されている住所には別の会社が入っている、
そんな経験をすることもよくありました。
今般、コロナ禍によって長期休業を余儀なくされた会社が多かったのか、
ようやく、会社の休業に関する制度が設けられるそうです。
今回の資料では、先行している南京市の事例を取り上げていますが、
実務運用が定着するまでは従来どおりの事実上の休眠の方が使いやすい場面が多そうに思います。
(逆に言えば、上記のような「隠れ休眠」状態の会社はまだまだ無くならないのではないかと。)

③魔蠍(サソリ)...「パスワード教えて」は全て詐欺

なお、「魔蠍データ」社の事件、魔蠍(サソリ)という名前からして既に怖いですが、
ネット金融会社や小規模銀行と提携して、個人の信用データを提供していた会社の起こした事件です。
ネット金融のプラットフォーム上に設置したプラグインで社会保険や信用調査センターなどのアカウントとパスワードを入力させ、
それらのアカウントを使った通話記録や各種データをコピーしていたとのこと。
しかも、ユーザーとの規約で「アカウントやパスワードは保存しません」と明記していたのに
実際には裏でしっかりこれらを利用してデータ収集を行っていたというトンデモナイ悪質事件でした。
日本でもそうですが、「パスワード教えて」は全て詐欺!ということで、基本を忘れずに暮らしていただきたいと思います。
(ちなみに、恥ずかしながら私自身、中国で電話の詐欺に引っかかりそうになったことがありました。
 中国語ができる人ほど引っかかってしまうらしいですので、充分お気をつけください。)

④アプリの画面共有機能の悪用

最後に、個人的には、「アプリの画面共有機能を利用した詐欺」の記事で、
『知らない人に画面共有しないように!』という注意喚起の記事から出ているのが気になります。
詳細な理由は書かれていませんが(犯罪の手口を広めると困るからですね)、
会社内部の会議や、よく知った取引先との会議以外では、画面共有機能はなるべく使わない方がよさそうです。


2021年4月15日木曜日

4月第2週:①会社に名義を貸して処罰、②中古車の履歴情報とプライバシー、③なぜか財政部が医薬企業を処罰

今週のキーワード:
輸出入食品安全管理、アリババ独占処罰、虚偽訴訟、中古車履歴情報権利侵害事案


①会社に名義を貸して処罰

虚偽訴訟の事例、
従業員が会社のために名前を貸した結果、
虚偽訴訟として犯罪者になってしまいました。
昔は一般の事業会社は「委託貸付」という方式で
銀行に名義を借りなければ他者への貸付はできませんでした。
今は、そのような貸付でも民事上は有効であることが実務上も確立されているので、
従業員の名義を借りる必要など全くなかったはずなのですが、
知識がなかったのか何か事情があったのか、不憫な事例であるように思います。
昔の知識で行動を決めてしまうことがないように、気をつけたいですね。

②中古車の履歴情報とプライバシー

中古車取引に関するアプリの事例、
プライバシーとは「知られたくない」情報全てを言うのではないことは当然として、
日本と同じように、何が個人情報で何が個人情報でないのかは
誰から見るかによって変わってしまうことがあります。
この事例では、他の情報と組み合わせて個人を特定することが可能であるとしても、
そのコストが大きければ、なお個人を特定可能であるとは言えないとしました。
技術の進展によって変わる部分もあるので、敏感な話題です。


③なぜか財政部が医薬企業を処罰

財政部が医薬企業を処罰したということで、
国家薬品監督局の間違いでは?と思って見てみましたら、
発票の虚偽発行や資金名目の偽装、帳簿の不備などによる処罰でした。
過去には著名な外資系企業が処罰を受けて大きな話題になったこともありましたし、
まだまだグレーなお金が流れる業界だということなのかもしれません。

アリババグループの発表レターの内容(中国反独占法処罰の件)

遅まきながらですが、4月10日のアリババの発表レターの内容(中国語繁体字版)、最初と最後の部分だけ、ざっと日本語にしてみます。粗いですがご参考まで。

https://www.alibabanews.com/

(英語版はこちら)https://www.alizila.com/a-letter-to-our-customers-and-to-the-community/


(仮訳ここから)

---------

尊敬するアリババの事業者、消費者、取引先及び投資者各位:

本日、我々は国家市場監督管理総局のアリババ集団に対する行政処罰決定を受領しました。この処罰に対し我々は誠実に受け入れ、必ず従います。この機会を借りて、アリババおよび全アリババスタッフ、事業者、消費者、取引先及び投資者の我々に対する信頼と寛容につき、我々の感謝の意を表し、また我々の将来長きにわたる健全な発展に対する考え及び行動を率直に伝えたいと思います。

過去数ヶ月にわたり、我々は全力で調査に協力し、国家のプラットフォーム経済に対する政策及び要求を真摯に学びました。業務の安定的な運営を確保すると同時に、システムの自主審査と改善を行いました。我々は、本日の処罰は、我々に対する注意喚起と鞭撻であり、業界発展に対する規範と保護であり、国家が公平な競争市場環境を守り、プラットフォーム経済の高品質の発展を推進する重要な措置であることを認識しました。


(中略)


今日はアリババ集団の発展の歴史・過程における極めて重要な一日であり、我々はここを新たなスタートとして、問題に正面から向き合い、鋭意革新していきます。政府の監督・管理及びサービス、社会各界の批判、寛容と支持は、アリババの継続的な成長の鍵です。これにつき、我々は心から感謝し、同時に畏敬の念を抱いています。顧客第一に、社会のために不断に長期的価値を創造する良い会社となることは、我々の初心であり、我々の存在及び発展の最大の意義でもあります。我々はこれにつき自信に満ちており、決して動揺することはありません。

---------

(仮訳おわり)


「我々」の箇所が英語版では「companies like ours」となっているなど、英語と中国語は機械的に一致しているわけではなさそうですので、両方読んでみると、より参考になるように思いました。



2021年4月8日木曜日

4月第1週:①デジタル人民元、②中国でも若者の製造業離れ

今週のキーワード: 
生産安全事故の予防と改善措置の実施状況評価弁法、求人難、分解可能プラスチック製品


①デジタル人民元

話題のデジタル人民元、スマホ決済アプリと同じような感覚で使えるらしいですが、
プライバシーは大丈夫なのか?という心配の声も上がっています。
ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)と違って中央銀行が管理するところ、
マネーロンダリングやテロ資金に使われないように制御する必要があるために、
完全に匿名にするわけにもいかないのでは?という疑問です。
------
Q. 携帯電話番号は実名制なので、匿名になりようがないのでは?
A. 確かに携帯電話番号と紐づいているが、電話会社はユーザー情報を中央銀行に開示しないので、完全に匿名だ。
Q. 匿名性とマネーロンダリング対策は両立しないのでは?
A. 大口取引には特別の「口座」を作って届出をさせるので、違法な取引を抑止できる。
------
日本や各国でも同じような議論があるのだろうと思われ、興味深く見ています。

②中国でも若者の製造業離れ

それと、若者の製造業離れという記事が出ていました。
どこの国も同じですね。



2021年4月2日金曜日

3月第5週:①「経営範囲」の今と昔、②半導体・ソフトウェア業界の輸入奨励、③発明者報奨の奨励、④上海市の実際の人口は?

 今週のキーワード:

新型消費、精神的損害賠償、免責条項、経営範囲登記の規範化


①「経営範囲」の今と昔

「経営範囲」、昔から中国子会社にかかわった皆さんには耳になじんだ言葉ですが、
その意味合いは昔に比べると随分変わりました。
今は経営活動を制限しない(=逸脱しても処罰されない)となってきています。
 ※ 個別業種の許可証は相変わらず必要ですので、ご注意ください。

②半導体・ソフトウェア業界の輸入奨励

半導体やソフトウェア業界での輸入奨励も出ていますので、
新年度のスタートにあたって、そちらもご覧いただくと
中国向け輸出の売れ筋が分かって良いかと思います。
「2030年」12月31日まで適用するそうですから、長期的に見てご検討ください。

 

③発明者報奨の奨励

政府系研究機関での話ですが、発明の実用化に伴って発明者に支払う報奨について、
社会保険納付基数に影響しない(翌年の社会保険料が上がらずに済む)とのこと。
通常の労働賃金の世界ではあまり見ない発想なので、興味深いところです。
 

④上海市の実際の人口は?

なお、上海の実際の人口について新たな管理規定が41日から施行され、
短期の滞在でも登録を強制されるのか?と話題になっています。
この点、個人については強制ではなく任意ですよ、というのが上海市政府の説明です。
https://www.shanghai.gov.cn/nw12344/20210401/4489006005e84766b26d14ac99378fdd.html
一方で、会社の方は、従業員を上海に来させるとシステム上で
新規増加従業員情報として入力しなければならないとのこと。
会社にとって特にメリットはなさそうなので、つい忘れてしまいそうですね。

2021年3月25日木曜日

3月第4週:①広交会オンライン開催、②アプリの個人情報取得範囲

今週のキーワード:
製造サービス業の発展推進、アプリの必要個人情報範囲、新職業、賃金報酬分配ガイドライン


①広交会オンライン開催

415日~24日の「広交会」(広州交易会)」、オンラインでの開催となるそうです。
前回に引き続き参加企業の費用免除や、ECプラットフォームとの連携活動の費用免除など、
外国との貿易にかかわる企業の苦境を助けるために支援するとのことです。
http://www.mofcom.gov.cn/article/i/jyjl/l/202103/20210303047202.shtml
中国に駐在していた当時は、この時期に広州に出張すると
飛行機もホテルも非常に予約が取りづらくて困ったものでしたが、
(急な出張でホテルも予約しておらず彷徨う羽目になったのも、今では良い思い出です。)
今はこのコロナ禍でどうなっているのでしょうか。
 

②アプリの個人情報取得範囲

それと、新聞でも報道されていますが、スマホアプリの個人情報取得ができる範囲が制限されました。
従来から個人情報の収集は必要最低限にすべきというルールはありましたが、
やはり中国では「明確に禁止されていなければOK」という発想がまだまだ多いですので、
今後もこのように、こまごまと基準が明確にされていくことが予想されます。
今最も動きが早い分野でもありますので、どうぞお気をつけください。




2021年3月19日金曜日

3月第3週:①知財侵害の懲罰的賠償、②虚偽訴訟、③「技能人材」賃金報酬分配ガイドライン

 今週のキーワード:
ネットワーク取引監督管理弁法、「十四五」指標、「315晩会」、高級管理人員の同業競争事案


①知財侵害の懲罰的賠償

知財侵害の懲罰的賠償の典型事例が発表され、
小米やadidasの商標侵害事件などが挙げられています。
adidasの事例は、行政処罰がなされた後に、
さらに民事で5倍の懲罰的賠償請求に対して3倍の賠償が認められました。
製造工程のノウハウを侵害した事件でも、一審で2.5倍の懲罰的賠償が認められたところ、
さらに二審では上限となる5倍の懲罰的賠償まで認められた例が紹介されています。
 

②虚偽訴訟

虚偽訴訟については、日本と同じく、
債務逃れや強制執行逃れのための会社分割や破産事件、
さらには知人を債権者に仕立てた架空債権の請求事件などがあります。
面白いのは、「労働紛争」の虚偽訴訟も多いらしく、
例えば、以下のような形で「活用」されているようです。
①倒産しそうな会社で経営者が多額の報酬未払で会社を訴え、
 債権者からの強制執行を受ける前に報酬を持って逃げる。
②労務派遣会社と派遣先が共謀して、請負を偽装するために
 請負代金請求訴訟を起こし、裁判所で請負契約であるという認定を得て、
 これをお墨付きにして労務派遣に関する行政規制を免れる。
他にも社会保険を騙取するための虚偽訴訟などもあるようです。
 

③「技能人材」賃金報酬分配ガイドライン

「技能人材」の賃金報酬分配に関するガイドライン、参考であり法的拘束力はなく、
また、現場作業員に関するものですので従業員全般に関するものではありませんが、
業績連動給やキャリアプランなど、
かなり細かく社内の人事労務についての仕組みづくりについて言及されています。
未だに上司にお歳暮を贈る人が優遇されるような旧態依然とした会社も多いところ、
業務成績によって相当差をつけるような給与体系も推奨されていますので、
私自身、機会があれば細かく見て勉強しておきたいと思っています。

2021年3月16日火曜日

昨日の315晩会から一言

昨日の315晩会から、一言です。問題となった条項は以下のようなものでした。

「乙は如何なる方式でも(メディア、SNS、フォーラム、モーターショー等を含む)ネガティブな宣伝又は情報伝播を行わず、甲の正常な経営に悪影響を及ぼさないことを承諾する。」

「本合意の効力発生後、双方の間で合意した紛争の件(本件事件)は全て解決完了したものと見なし、乙は自発的に本件事件が直接又は間接にもたらす損失又は損害につき放棄する。」

いわゆる弁護士的な対応がビジネスとして正しいとは限らないこと、常に意識しておきたいと思います。

2021年3月12日金曜日

ネット販売の消費品リコールに関する記事を掲載いただきました。

【中国法務レポート】

インターネット販売消費品のリコール監督管理の強化に関する市場監督管理総局の公告


3月第2週:①中国の訴訟件数が減少、②ブラックリスト制裁は柔軟に、③「315晩会」は予定どおり放送

 今週のキーワード:
2021年立法計画、ネットワーク求人情報、チャットによる個人情報開示、デジタル化レシート


①中国の訴訟件数が減少

中国の訴訟受理件数、2004年以来初の減少とのこと。
新型コロナで裁判所の業務が停滞していたからでは?と思いきや、
訴訟に代わる多様な解決方法が整備されてきたからだそうです。
(確かに、ここ数年、訴訟受理前に裁判所が相手方に連絡して、
 和解の意向があるかどうか聞く運用になっています。)
 

②ブラックリスト制裁は柔軟に

いわゆるブラックリスト、信用失墜措置についても、
あまり厳しい適用はしないということで、債権回収には少し影響がありそうです。
 

③「315晩会」は予定どおり放送

なお、315日の消費者保護デーの特別番組「315晩会」、
去年はコロナ禍で放送延期でしたが、今年は日付どおり放送するそうです。
https://mp.weixin.qq.com/s/s9AtNZYQoTeIyqa2T53U4A


個人破産制度の記事を掲載しました。

中国で初めての個人破産制度が深センで先行開始

~《深セン経済特区個人破産条例》


2021年3月5日金曜日

3月第1週:①知財出願の乱発抑制、②定年延長が話題に、③深センで個人破産制度が始まる

今週のキーワード:
知的財産権の懲罰的賠償、定年延長、個人破産法規


①知財出願の乱発抑制

知的財産権侵害事件の懲罰的賠償に関する司法解釈が出まして、
故意・悪意の認定基準などが明確化されています。
さらに典型案例も発表して正確な理解を広める予定とのことです。
一方で、補助金を得るためなどの目的で、
ことさらに特許を分けて出願するなど出願を乱発する行為も見られるようで、
そのような出願の規制に関する通知も出ています。
知的財産も「量から質へ」の転換を図っているのですね。

②定年延長が話題に

現地法人側に関する話題としては、
定年延長が議論されているので、定年まで近い従業員の扱いには
少し気をつかうことになりそうです。

③深センで個人破産制度が始まる

また、個人的には、個人の破産制度が深センで始まったニュースが興味深いです。
今は深センに3年以上住んでいる人だけが対象のようですが、
大きな問題が起きなければ全国にも同じような制度が普及してくると思われます。


2021年2月26日金曜日

2月第4週:①「両会」開催前は警戒厳重、②上海での炭素排出枠管理

今週のキーワード: 
グリーン・低炭素循環発展、「初回違反の不処罰」、保証人の責任


来週、北京で「両会」(全人代+政治協商会議)が開催されます。
郵便物の検査が厳重になり、北京向けの郵便物は遅延が予想されますので、ご注意ください。
北京向け鉄道移動にPCR検査陰性証明が必要になるのもこの「両会」の関係です。
 
それと、上海で、炭素排出枠管理に入る企業リストが公表されました。
電力会社などだけでなく製造業の企業も入っています。
普通の企業にも影響が及んでくる段階に入ってきました。

2021年2月19日金曜日

2月第3週:①「茅台酒」は全身がお金に、②重大危険源の3責任者登録

今週のキーワード:重大危険源安全請負・保証責任制、防疫要求違反で解雇、茅台酒の怪現象、ネットの「批判」で権利侵害


春節らしい話題で、「茅台酒」という有名なお酒の記事が面白いですので、
旧正月の閑話休題ということで、少しご紹介しておきます。
 

このお酒、自分で飲む目的ではなく転売目的で箱買いする「転売ヤー」が多いので、
値段が高騰し、一般の小売店では定価ではもはや手に入らない状況だそうです。
そこで、対策として、
「(61箱の)箱売りはせず、必ず1瓶ずつバラ売りするように!」
という箱売り禁止令をメーカーが出したのですが、そうしたところ、
6瓶が入っている段ボール箱が高値で取引されることになってしまいました。
業界に詳しくない人は「ニセモノのお酒を入れるのでは?」と思うところ、
そうではなくて、小売店や転売業者が買って、正規の瓶酒を入れるそうです。
箱の状態で値段が変わるからだそうで、中国の商習慣は奥深いものですね。
 
今年も引き続き諸々勉強していきたいと思いますので、
どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。


なお、中国現地で危険化学品の使用・貯蔵がある会社様につきましては、
3つの責任者につきシステムでの登録が必要となっておりますので、
どうぞお忘れなきよう、お気をつけください。



2021年2月12日金曜日

2月第2週:(休載)2020年総集編

2020年総集編


昨年20202月の春節休暇明けから始めました中国法令・事例情報ワークショップ、
おかげさまで今年の春節で一周年を迎えました。
 
今週は、中国側が春節休暇ですので勝手ながら今週の資料は休刊とさせていただきまして、
代わりにこの1年の振り返りの資料をお送りします。
 
2020年は新型コロナ関連の法令やニュースが多かったですが、
敢えてそれ以外で今後に向けても重要と思われたページ、
毎月1つずつを抜粋しておきました。
 
それでは、来週以降も引き続きよろしくお願い申し上げます。

2021年2月10日水曜日

なぜか日本語の記事が出てこないとき

仕事柄、中国の法律関連のニュースを追いかけていますが、ときどき、中国では話題になっているのに、なぜか日本語の記事が全く出てこないことがあります。

不思議でもあり、また、興味深い現象でもあります。

そんな場合でも、SNSでは少し言及なさっている方もいて、なんだか親近感を覚えます。

2021年2月4日木曜日

2月第1週:①中国国外からの訴え提起、②汚染物質排出許可、③民間企業内の不正への刑法適用

今週のキーワード:
クロスボーダー訴訟のオンライン立件、契約解除時期の認定、映画・テレビ作品の権利侵害


外国人が当事者となる訴訟について、
オンラインでの訴え提起ができることになったとのことです。
開廷審理もオンラインで行うことができるようで、
日本よりも積極的にIT化を進めているので、
今後どうなっていくのか楽しみに思っています。

環境関連で、《汚染物質排出許可証》の管理条例が公布されまして、
従来よりも管理も処罰も随分と厳しくなったようです。
工程や材料の変更などによって、排出状況が従来から変化した場合、
再申請が必要になり、忘れると無許可排出として処罰されることになります。
以前からこの変更申請をうっかり忘れている事例はよく見られますので、
現地に工場などお持ちの場合は、十分にご注意ください。

もう一つ、民間企業での横領・背任などの犯罪行為について、
今後は積極的に犯罪として取り締まっていくようです。
某社でも社内での不正に関して100名以上を解雇したとのこと。
ヒトの行動習慣や考え方はすぐに変わることはないでしょうが、
取引先の仕入担当者からの不当な要求などが減ってくれることを期待します。


2021年1月28日木曜日

1月第4週:個人情報保護の典型事例(違法な製品の取引は保護しない)

今週のキーワード:
行政処罰法改正、「熊本豚骨」商標、個人情報保護の事例、人格権侵害停止命令


天津の人民法院が公表した個人情報保護の典型事例について。
315晩会」という消費者保護デーの有名な番組があるのですが、
2019年にその番組でスマホの個人情報を勝手に取り出していると批判された製品があり、
その製品の取引をしていた両社間で紛争になった民事訴訟の事例でした。
結論は、「違法な製品の取引なので裁判所はどちらも保護しない」ということで、
極端な結論なようにも思いますが、それがお手本として発表されています。
 
「双方が(違法製品の取引の)契約を締結して履行したのは、
 法律に対する偵察・挑戦にほかならない。」
という表現など見ていると、
やはり中国の裁判所は人民を導こうとする意識が強いのかな?という印象です。
よほどのことがないかぎり日系各社には関係ない話題だと思いますが、
豆知識として知っておいていただくと驚かずに済むという一例かと思います。


2021年1月21日木曜日

1月第3週:①企業名称登記管理、②AIスピーカーの不正競争事案

今週のキーワード:
企業名称登記管理規定、ワンストップ訴訟サービス、広東省各地の民法典「第一号事案」、スマート製品の音声コマンドに関する不正競争事件


企業名称登記管理規定の改正、31日からの施行です。
有名企業の名前を冠した詐欺的な会社が出てくるなどのトラブル、
従来からあるものですが、今後さらに増える可能性もあります。
名称だけで騙されないように、企業情報をきちんと見て、
素性を確かめたうえで取引する必要がありますので、ご留意ください。

それと、AIスピーカーの事件が興味を引きます。
音声コマンドで動かす製品は今後も増えてくると思われますが、
コマンド自体が他社特有のフレーズに似てしまうということはありそうです。
技術の進展に伴って、思いもよらぬ新しいトラブルも発生することがある、
そのような一例と理解しています。