注目の投稿

公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...

2021年4月30日金曜日

4月第4週:①個人情報保護法草案の二次審議稿(意見募集2回目)、②知的財産権宣伝週間・知財判決10大事例(OPPOの事例)、③半導体関連の奨励策対象企業の条件、④自動車部品の再製造、⑤生態製品、⑥「軽資産」企業

今週のキーワード:
ネットワークライブ配信マーケティング、人手不足職業ランキング、知的財産権の典型事例


①個人情報保護法草案の二次審議稿(意見募集2回目)

中国の個人情報保護法(草案)、二次審議稿が公表されました。
2回目の意見募集で、今回の意見募集の期間は4月29日から5月28日までとなっています。

ポイントとなる中国国外への個人情報提供についての規定は、昨年の意見募集稿と大きくは変わっていないようですが、
提供のための条件のうち一つであった国外の提供先との間の契約については、
・ 【国家ネットワーク情報部門が制定する標準契約に従って】国外の受領者と契約を締結し、双方の権利及び義務を約定し、かつ、その個人情報処理活動がこの法律所定の個人情報保護基準に達することを監督していること(第38条第3号)。
という【  】部分が追加されました。
この標準契約がどんな内容になるのかは不明ですが、
この点が不明のまま、法律としては成立してしまいそうな気もしています。
一方、以下の各部分は、前回の意見募集稿から特に変わりなさそうです。
・ 個人に対して「国外の情報受領者の連絡先」や「提供する個人情報の種類」などを告知したうえで、「単独の同意」を得なければならない(第39条)
・ 国外の情報処理者が中国国内に機構を設置又は代表を指定しなければならない(第52条→第53条)
その他の詳細は後日、機会があれば研究してみようと思います。

なお、個人情報安全技術に関する各種の国家基準は、この数ヶ月、多数の意見募集が出ています。
「中国の個人情報保護基準を満たす」と一言で言っても、国家基準に定めた各種の条件をクリアしていく必要があります。
日系企業の皆様は概ね B to B の取引が多く、顧客やユーザーの個人情報を扱うことは少ないと思うのですが、
関係する企業の方々におかれては、国家基準も見ることを忘れないようにご留意ください。


②知的財産権宣伝週間・知財判決10大事例(OPPOの事例)

ちなみに、今週は知的財産権宣伝週だったそうです。
4月26日がWIPOの「知的財産権の日」で、その前の一週間が宣伝週になっているとのこと。
ですので、今週は新聞では知的財産権の話題が多くなっていました。
知的財産権の10大事例はいつも参考になりますが、
pptでも紹介したOPPOの事例は、
権利者側がライセンス交渉中に他国で訴訟を提起した行為に対して、
FRAND義務違反を理由に「全世界にわたり他国で提訴してはならない」という保全裁定を出したものです。
中国が「国際知的財産権規則の追従者」から「国際知的所有権規則の指導者」に転換することについて重要な推進的意義を有するとのこと。
詳細は事例の原文をよく見て分析してみなければ分からないですが、
中国企業へのライセンス・アウトの交渉には大きな影響を与えそうに思います。

③半導体関連の奨励策対象企業の条件

なお、半導体関連の奨励策、対象企業となるための条件が公表されました。
企業所得税の減免税のほか、設備輸入免税などの政策を享受する基準となりますので、
条件を満たす会社は、日本からの輸出先顧客として有望ということにもなるかと思います。


④自動車部品の再製造

このほか、細かいですが、いくつか。

自動車部品の「再製造」に関する弁法が出ています。
もともと《廃棄機動車回収管理弁法》という弁法があり、廃車になった自動車から部品を取り出してリサイクルする場合のルールを規定しており、
いわゆる「5大アセンブリ(五大总成)」は再製造できる場合以外はスクラップにしなければならないことなどを定めていますが、
その再製造に関するルールの部分を明確にしたもののようです。

⑤生態製品

「生態製品」、あまり聞きなれない言葉ですが、
自然環境を観光資源などとして旅行などのサービスに提供することを意味するほか、
さらに、飲料などのブランド化による価値向上などといった形で、
環境資源の経済的価値を可視化していって「製品」にするというイメージでしょうか。
「定量化しにくく、担保にならず、取引しづらく、現金化しづらい」という環境資源の価値を
経済的に認識できる仕組みを構築していきましょう、ということが政策として打ち出されています。
具体的には、昨年11月に発表された生態製品価値実現の典型事例(第2集)を見ると、少しイメージはしやすいかと思います。
もし興味があればご覧ください。

⑥「軽資産」企業

「軽資産住宅リース企業」、これも馴染みのない言葉ですが、
「軽資産企業」とは、日本でも一時話題になった「持たない経営」、すなわち資産を自前で持つのではなくてアウトソーシングで調達して顧客に提供するビジネスモデルを採用している企業を指します。
ここでは、住宅の賃貸借の場面ですから、所有者から物件を借りて転貸するサブリース企業のことを意味します。
以前にご紹介したとおり、サブリース企業が賃料を持ち逃げする事例が多発しているらしいですので、その管理を強化するという通達のようです。


追伸:
 5月1日~5月5日が珍しく日本も中国も同時に5連休となりますので、
 来週の資料は休載とさせていただく予定です。
 直前のお知らせとなり恐縮ですが、ご了承くださいませ。




0 件のコメント:

コメントを投稿