今週のキーワード:
不動産抵当権登記、企業の「休眠」、独占処罰
①証券業界での中国式集団訴訟
「康美薬業」の事件については、
昨年5月第4週のワークショップ資料で「A株市場最大の粉飾事件」として取り上げました。
銀行払戻伝票の偽造、定期預通帳の偽造、固定資産の水増しなどによる巨額粉飾が発見され、
株価が9割近く蒸発したのに証監会による行政処罰の上限は60万元でしかないということで
問題視されていた事件です。
また、昨年8月第1週の資料でも、
「中国版の集団訴訟が出航 『康美』などが投資家による損害賠償請求の大時代へ」というタイトルで、
《証券紛争の特別代表人訴訟にかかる若干の問題に関する規定》が発布されたことと、
これによる集団訴訟の初のケースは「康美」などの粉飾決算事件を起こした会社になるだろうという記事を紹介していました。
今回は、4月16日に中小投資者服務中心が50名以上の委託を受けて特別代表人訴訟を開始したことについて、
今回は、4月16日に中小投資者服務中心が50名以上の委託を受けて特別代表人訴訟を開始したことについて、
証監会も上場会社の粉飾という「悪性腫瘍」に対する「ゼロ容認」の態度に沿うものとして支持するとの記事です。
中国式集団訴訟がどのように運用されていくのか、今後も見ていきたいと思います。
②会社の休眠を認める制度
会社の「休眠」については、これまでずっと正面からこれを認める法的根拠はなく、しかし実務上は非常に多数存在している状況が続いてきました。
登記や信用調査では特に変わった様子が見られないのに、
工場を訪れてみると誰もいない、登記されている住所には別の会社が入っている、
そんな経験をすることもよくありました。
今般、コロナ禍によって長期休業を余儀なくされた会社が多かったのか、
ようやく、会社の休業に関する制度が設けられるそうです。
今回の資料では、先行している南京市の事例を取り上げていますが、
実務運用が定着するまでは従来どおりの事実上の休眠の方が使いやすい場面が多そうに思います。
(逆に言えば、上記のような「隠れ休眠」状態の会社はまだまだ無くならないのではないかと。)
③魔蠍(サソリ)...「パスワード教えて」は全て詐欺
なお、「魔蠍データ」社の事件、魔蠍(サソリ)という名前からして既に怖いですが、
ネット金融会社や小規模銀行と提携して、個人の信用データを提供していた会社の起こした事件です。
ネット金融のプラットフォーム上に設置したプラグインで社会保険や信用調査センターなどのアカウントとパスワードを入力させ、
それらのアカウントを使った通話記録や各種データをコピーしていたとのこと。
しかも、ユーザーとの規約で「アカウントやパスワードは保存しません」と明記していたのに
実際には裏でしっかりこれらを利用してデータ収集を行っていたというトンデモナイ悪質事件でした。
日本でもそうですが、「パスワード教えて」は全て詐欺!ということで、基本を忘れずに暮らしていただきたいと思います。
(ちなみに、恥ずかしながら私自身、中国で電話の詐欺に引っかかりそうになったことがありました。
中国語ができる人ほど引っかかってしまうらしいですので、充分お気をつけください。)
④アプリの画面共有機能の悪用
最後に、個人的には、「アプリの画面共有機能を利用した詐欺」の記事で、
『知らない人に画面共有しないように!』という注意喚起の記事から出ているのが気になります。
詳細な理由は書かれていませんが(犯罪の手口を広めると困るからですね)、
会社内部の会議や、よく知った取引先との会議以外では、画面共有機能はなるべく使わない方がよさそうです。
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