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2月14日の中国会社法改正セミナー:セミナー資料の目次(予定)

中国の会社法改正について、2月14日にオンラインセミナーでお話させていただく予定になっていますので、そのセミナー資料の目次をご紹介します。 下記は現時点で手元に用意してある資料案によるものですが、当日は時間の関係で全部はお話できない可能性がありますので、その点はどうぞご容赦くださ...

2022年1月18日火曜日

1月第2週:①環境汚染の懲罰的賠償に関する司法解釈、②不動産登記と納税手続の一体化、③PCR検査をめぐる不備

①環境汚染の懲罰的賠償に関する司法解釈

中国では環境関連の規制を引き続き強化していますが、環境汚染行為については従来のような政府機関による立入検査による行政処罰のほかに、市民からの通報による取締も活発に行われるようになっています。
民事上の賠償を通じた抑止を図る発想も導入されており、今回、懲罰的賠償の適用に関して規定した司法解釈が出されたことで、今後さらに適用事例が増えてくる可能性も考えられます。
日系企業は環境対応におけるノウハウは豊富であり、恣意的な法執行が行われない公平・公正な競争環境が実現することは日系企業にとって概ね有利と考えられます。環境設備を購入だけして正常に運転していないような状況が改善され、環境関連設備などの市場での普及が進むことを期待しています。

②不動産登記と納税手続の一体化

不動産登記と納税手続の情報共有をさらに推進していく旨の通知が出ました。
不動産登記部門が税務局に不動産登記と納税手続に関する情報を共有し、税務局側では納税完了の情報を不動産登記部門にフィードバックするという仕組みが導入されていきます。さらに、この部門間の情報共有だけでなく、「省対省」の情報共有モデルを実現するということが書かれています。
大きな考え方として、中国では企業の活力を高めるために税金や社保負担、各種行政費用などの低減を進めてきていますが、税率や費用金額を下げる一方で、税の捕捉率(日本では所得税についてクロヨンとかトーゴーサンという言い方がありましたが、本来納税されるべき税がどれだけ実際に納税されているかの比率です。)を高めるためのシステム化、プラットフォーム化が進められています。
ただ、今この不動産関連融資の規制などが厳しくなってきているところに、さらに不動産取引関連の税の捕捉率を高めていくとなると、不動産市況にはさらに悪影響がありそうです。
私の普段の仕事との関係でも、今までですら、「不動産投資が見つかって税金を払うことになるのは嫌なので、不動産は登記をせずに置こう」というような考えで不動産登記をせず、不動産投資をめぐるトラブルになっている例が多いのに、ますます不動産登記がされなくなってトラブルが増えてしまうのではないか?ということも少し心配になってしまいます。
取引先に不動産投資が好きなオーナー社長がいらっしゃる場合には、少しご注意いただいた方が良いかもしれません。

③PCR検査をめぐる不備

PCR検査を受託する会社を傘下に持つ中国の某上場企業で、検査にまつわる不備が報道され、株価が大幅に下落するという事件が起きています。
現在のところ、子会社従業員が逮捕されたという以外にはまだ正式な発表はありませんが、サンプルを紛失したことを隠すために偽の検査結果を提出した、大量の検査を受注して提出期限に間に合わず陰性として結果を報告した、といったような行為があったのではないかと疑われているようです。
PCR検査をめぐっては日本でも一時期問題になった事例がありましたが、逮捕者まで出て強い取締を受けるのを見ると、やはり日本とは違った厳しさがあるようです。

2022年1月12日水曜日

1月第1週:①外資参入のネガティブリスト改正、②要素市場化配置改革、③動産と権利担保の統一登記弁法、④企業抹消手続の手引き改訂

新年あけましておめでとうございます。
毎年、年末は駆け込みで多数の法令が出てくる時期なのですが、今年はそれほどでもなく、平穏なスタートとなった印象です。
いつもどおり、毎週のワークショップ資料作成の過程で見ていた法令の中から、いくつかピックアップしてコメントいたします。


①外資参入のネガティブリスト改正

年末に外資参入許可ネガティブリストが改正されました。他にもさまざまなところで紹介されているので詳しくは省略しますが、自動車業界は外資規制の撤廃で再編が加速するかもしれません。
「中国内での投資禁止」分野が「中国国外での上場許可」と表裏一体のように紐づけられた部分があります。昔ながらのいわゆるVIEスキームによって海外に上場している会社はいわば既存不適格のような状態になってしまうものも出てくるのでは?という気がしますが、ニューヨーク上場を廃止して香港市場での上場に移るような例が促進されていくのでしょうか。

②要素市場化配置改革

「要素市場化配置」に関する新たな通知が出ています。
土地、労働力、資本、技術など、生産活動や経済活動に用いられるリソース(要素)の配置について、中国に存在する構造的な問題を市場メカニズムを通じて解消していこうということで、各要素を市場で取引しやすくする政策が推し進められています。
これらの従来からある要素に加えて、最近ではデータも重要な要素として市場化を進めることが志向されていることは各位もご存じのとおりです。「原始データは国外に出ない、データは利用可能だが不可視である」というキャッチフレーズは、目指されている取引モデルを分かりやすく示していると言えるでしょう。
その他、資源や環境も「要素」に含まれます。大きな政策方向性に関する文書であり、直ちに各企業の活動に影響するものではなさそうですが、技術やデータが取引所で取引される商品として流通していく時代に入ったということを示すものとして、新年にふさわしい話題でもあろうかと思います。

③動産と権利担保の統一登記弁法

昨年から、動産担保の登記は債権担保登記と同じく中国人民銀行のプラットフォーム上に統一して登記されることになっているのですが、これについて新しい登記弁法が発布されています。
以前も触れたことがありますが、これら登記については基本的に登記機関では真実性についてのチェックが行われていないばかりか、さらに、「共同申請ではなく担保権者側が」単独でオンライン登記申請ができるということになっている部分があり、間違いがあるときには担保設定者側が自ら異議登記を出さなければならないという、日本の方々から見ると少し違和感のある設計になっているところがあります。
ですから、実は与信管理や債権回収の面では非常に重要な規定ですので、詳しくはまた何かの機会にご紹介したいと思っています。

④企業抹消手続の手引き改訂

企業の閉鎖に伴う登記抹消については近年、規制緩和が進んでいますが、これに伴って抹消手続の手引きが改訂されました。2019年版からの改訂ということで、最後の図表も大きく変わっています。
簡易抹消手続や、プラットフォームでのワンストップ処理など、新たな仕組みが導入されていることが見て取れますし、それ以外の項目でも、解散清算活動の中で処理すべき項目などが細かく記載されています。
数年経つと状況が一変していますので、検討の際には改めて最新版を見ていただくことをお勧めします。


それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


2021年12月28日火曜日

12月第4週:①サプライヤー向けの文書から「炎上」、②ライブコマースの有名タレントの脱税、③コールドチェーン物流発展計画、④来週は休載

①サプライヤー向けの文書から「炎上」

今回はインテルがサプライヤー向けに発行したレターに「新疆地区の労働者、製品・サービスの不使用を確保する必要がある」との記述があったことが物議を醸して「炎上」し、謝罪と釈明に追い込まれた事例を取り上げました。
背景として、日本でも報道されているとおり、アメリカで新疆ウイグル自治区の製品の輸入を原則的に禁止する法律が成立し、半年後から禁輸措置が有効になるとのことです。
 (ジェトロ様Webサイトより)
今後、輸入製品が強制労働に依拠していないと証明する際に必要な証拠について定めるガイダンスが策定されていくとのことですが、半年後に米国に届いた時点で禁輸対象なのかどうかを判断しようとすると、そこから遡って必要な書類を揃える段取りも必要です。なるべく早期に具体的な企業対応が判明してもらえればと願うばかりです。
これまでも米中摩擦をめぐっては難しい話題が多かったですが、企業にとっては非常に敏感な話題です。冒頭の話題も、「この謝罪のしかたで鎮火できるのだろうか?」という気もしますので、今後の状況の推移を含めて見ることで参考にしたいところです。今後も類似の問題は容易に発生し得ることに留意しつつ、対応の参考となる情報を集めていきたいと思います。

②ライブコマースの有名タレントの脱税

ライブコマースの有名なインフルエンサーが、2年間で6億元以上の脱税をしていたということで、追徴課税と滞納金と罰金を合わせた金額が13億元以上(日本円では200億円以上)にのぼるとのこと。
数年前に大きな話題になった范氷氷氏のときは、同じく追徴課税や罰金などで合わせて8億元ほど(日本円で150億円近く)だったとのことですから、ライブコマースがどれほど急激に伸びているのか、税務当局の調査能力が向上しているのか、さまざまな変化があることが推測できるようにも思います。
企業としては、多額の広告費を投じて宣伝を依頼したインフルエンサーがスキャンダルを起こしてしまうと、企業イメージのダウンにもつながることになります。しかし、完全な対策というのはあり得ないことでもあるので、今後、さらに広告に関する契約のあり方も問われてくるのではないかと思います。冗談ではなく、このような事態に対応できる保険が中国でも必要になるような気もしています。

③コールドチェーン物流発展計画

「第14次5ヶ年計画期間におけるコールドチェーン物流の発展計画」が公表されています。農産品の流通段階での損失を減らし、高品質の食材が供給されることで、農村振興・農業収入の増加にも寄与するとのこと。2025年までに初歩的に全国と海外までをつなぐコールドチェーン物流を整備し、2035年には世界最先端水準までの進展を図るとの計画です。
輸送される品目の項目としても幅広くカバーするということで、①肉製品、②果物・野菜、③水産品、④乳製品、⑤冷凍食品、⑥医薬品、と並んでいます。
話はいつもどおり脱線しますが、新型コロナの感染状況について、一時期、日本では比較的流行が抑えられている要因として私が最も好んでおり且つそれなりに説得力がありそうに感じる仮説は、「ワクチンの輸送過程における冷凍保管の丁寧さ」によってワクチンの効果が高く維持された状態で接種場所まで届けられているのではないか?というものです。確かに、海外でお住まいになられたことのある方々であれば、誰しも、「確かに、日本ほど丁寧には運んでくれていないかも」と思われるのではないでしょうか。
また、アイスクリームは普通の冷凍食品などと比べても扱いが難しいらしく、アイスクリームの売上もその国のコールドチェーン物流の水準が上がるとともに増えていくというお話を聞いたことがあります。大雪のニュースを見ながらですが、アイスクリームがどこでも買えること、個人的にはとてもありがたいことと感じています。
こういった話を見るにつけ、日本にはまだまだ世界に誇れる技術や技能があふれているように感じます。

④来週は休載

来週はお正月休みのため休載いたします。
皆様、今年も一年、いろいろありましたが、どうもありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。


2021年12月21日火曜日

12月第3週:①会社株主が「返済説明」に署名したら?、②登録商標を示す「○R」表示、③市場参入許可ネガティブリストに違反している事例

①会社株主が「返済説明」に署名したら?

株主有限責任の原則は、日本でも中国でも共通です。そして、中国では日本とは異なり、会社の債務について代表者やオーナーが個人保証を提供する商慣習は存在せず、会社の負債について個人保証を見かけることは極めて稀です。したがって、会社の実質的オーナーとの間で売掛金の回収について何度も話し合いをしたのに、結局、最後には「会社の負債は個人と関係ない」ということで回収が得られないままになってしまう事例も生じやすいことになります。
会社の負債について株主から返済意向が示されたとしても、それはあくまで会社としての負債の承認であると考える。それは法的には正しいのですが、しかしながら、実際の訴訟の場面では、個人が個人として責任を負担する意思を示したと解釈できる場合もあります。
今回はそのような事例を取り上げました。資料のp.4です。
債権回収のための交渉過程で、後日のために有利な材料を一つでも積んでおいていただきたく、この「返済説明」を代表者やオーナーに差し入れてもらうという手法は、覚えておいていただければと思います。

②登録商標を示す「○R」表示

商標一般違法行為についての新しい通知が出ています。
中国で商標の問題と言えば、いわゆるニセモノ、つまり権利がない第三者が登録商標を勝手に使ってしまう、少しだけ文字や図柄をアレンジして似たような表示をする、そういった問題がすぐに思い当たります。
しかし、実は、「権利者であったとしても」登録商標の表示を勝手にアレンジして使っていると、行政処罰を受けることがあります。例えば、漢字と英語で構成されている商標で勝手にその位置を入れ替えてしまう、図形と文字で構成される商標の図形を一部変更する、といったような場合に、そのまま「登録商標です」と記載している場合には、《商標法》第49条第1項違反として是正要求を受け、是正しない場合は商標の登録が取り消されることになります。商標について「●●は当社の登録商標です。」と書いてあれば分かりやすいのですがそうではなく、登録商標の表示の横に付される「○R」マークのみが付されている場合でも、これはRegistered(登録済み)を示す記号ですから、やはり登録商標として表示しているのと同じです。
非常にマニアックなお話ではありますが、商標登録をした表示をアレンジする場合には改めての登録が必要になること、ご留意ください。

③市場参入許可ネガティブリストに違反している事例

発展改革委員会から、市場参入許可ネガティブリストに違反している事例を収集する旨の通知が出ています。
いわゆるネガティブリストは、《ビジネス環境最適化条例》でも規定されている内外資問わず適用される中国の規制改革の重要な要素ですが、地方政府がこれを無視して独自の審査を行っているとか、逆に企業がネガティブリストで制限・禁止されている事業に違法に参入しているといった状況があるようで、今回の通知では、別紙で18個の事例が挙げられており、地方政府や業界団体主導で他省の業者を排除していた事例なども紹介されています。
このような事例について各地方、各部門が定期的な調査を行って国家発展改革委員会に報告するように求めるという内容ですので、今後はさらにさまざまな事例についての情報が集積されていき、予見可能性も高まっていくものと期待されます。
少し脱線しますが、補助金の申請もコネが無いと受理してもらえない、政府機関から紹介されたコンサルティング会社に依頼しないと申請しても通らない、といったようなことは外資系企業に限らず中国国内ではありふれた光景のようです。中国の政府機関は、日本と違って申請要件などを懇切丁寧に説明してくれたりはしないですので、このうちには、相当数、実際に申請要件を満たせていない、申請書類に不備・不足があるといったケースが含まれているはずであって、決して「コネ」の問題が全てではないと思いますが、一部そういった疑いを招くケースもあるのでしょう。
どのような申請の場面でも、窓口での指導を期待するのではなくて、きちんと根拠となる法令等を見て、申請要件を満たすかどうか確認いただければと思います。

2021年12月15日水曜日

12月第2週:①中小企業に対する未払金の精算、②国有金融機関の資産の譲渡に関する新たな通知、③期限切れ間際の特許の活用、④5G消息(メッセージ)の商業利用

①中小企業に対する未払金の精算

資料p.2について。
近年はこの時期になると見慣れた号令になってきた印象もありますが、国務院常務会議から各政府機関や事業単位に対して、中小企業に対する支払を遅らせている買掛金や工事代金などをきちんと支払うように、という呼びかけが出されています。
《中小企業代金支払保障条例》が昨年9月から施行されており、政府機関や大企業については、毎年3月31日までに前の年の中小企業への未払金の契約数量・金額等の情報を公表しなければならないというルールが始まっています。
各企業の財務や営業のご担当者は、長期未回収になっている売掛金が、取引先側できちんと公示されているかどうか、一度見てみていただくのは如何でしょうか。

②国有金融機関の資産の譲渡に関する新たな通知

国有系の金融機関が保有している資産の譲渡に関する新しい通知が出ています。
昨今の恒大集団の件などもあり、企業が自らの有する資産の換価を進めていく動きは今後も推進されていくことが見込まれるところですが、国有系の金融機関やそのグループ会社(地方政府が出資しているものを含みます)の有する株式等の資産の譲渡については、国有資産監督管理委員会の定めた《金融企業国有資産譲渡管理弁法》が従来から存在しており、国有資産の一部である財産が廉価で売却されてしまうことがないように厳格な手続が定められています。つまり、国有資産は迅速・機敏に譲渡して換価することが制度上できないことになっています。
今回の上記通知でも、資産評価や公開取引などの手続を厳格に履践するように求めているわけですが、一点、注目すべき点として、広く譲受人を募る公開取引をせずに直接、第三者への譲渡契約を締結できる場面の一つとして、「投資合意や契約で約定した条項の履行として退出する場合」や「契約の約定に基づき第三者に優先購入権を行使する場合」には、国有金融機関内部の決裁プロセスを経て、直接に譲渡を行うことができるとしている点があります。
今回の通知は国有系金融機関やそのグループ会社が出資している株式・出資持分などの譲渡に関するものですが、金融機関でない一般の国有企業に関しても、合弁契約や投資契約において優先購入権や売渡請求権を約定しておくことは改めて重要になってくると思われます。

③期限切れ間際の特許の活用

かねてから特許紛争を繰り返している中国の電器メーカー2社の間での紛争について、日系企業から権利期間の満了を目前にした特許を買い取って、その特許に基づいて相手方に対して賠償請求するという新しい「手口」が開発されたようで、裁判所もそのような権利行使を認めたという事例が出ていました。資料p.4の事例です。
日系企業各社は多数の特許を中国でも登録されていると思いますが、既に権利期間満了を間近に控えているものも多いと思われます。そういった場合、このように中国企業において活用いただく可能性もあるかと思いますので、一つのアイデアとして考慮していただくと可能性が広がるのではないかと思います。

④5G消息(メッセージ)の商業利用

日本ではリッチコミュニケーションサービス(RCS)と呼ばれるようですが、従来のショートメッセージの機能を拡充して、テキストのみならず画像や動画を使った相互通信ができるようになり、アプリのインストールや「お気に入り」登録などをせずとも、ショートメッセージから直接、予約や購入ができるというものだそうです。日本で言うと、「+メッセージ」というアプリもこれに該当するそうです。
この「5G消息」の商業利用が徐々に進んでおり、冬季五輪でも運用されるとのこと。中国聯通、中国電信、中国移動といった通信事業者がそれぞれ商業利用への投入を進めており、中国移動が工商銀行と共同でリリースしたデジタル人民元サービスも既に10月から始まっているそうです。
確かにアプリがたくさんになり過ぎて分からなくなりますし、便利になるのは良いことなのですが、今でもショートメッセージはどれが本物でどれがニセモノだろうか?と迷ってしまうくらいですから、一ユーザーとしては、正しく活用できるようについていくのは大変なような気もします。一方で、ビジネスのうえでは欠かせない存在となってくることが予想されますから、是非、ユーザーに使いやすいものが開発されていくことを期待したいです。

2021年12月10日金曜日

セミナーに登壇させていただきました。(中国《データ安全法》と《個人情報保護法》に関する対応)

昨日、標記のセミナーに登壇させていただきました。
相変わらず拙いお話で、一時間半という短い時間でしたが、
参加者の方々皆様、熱心にお聞きくださっていたようで、
改めて関係者各位に御礼申し上げます。
2分で分かる!という触れ込みでありながら、
実際には一時間半かけても話し尽くせないところがあったため
そこはどうなのか?というご指摘もあろうかと思いますが、
どうぞご寛容を賜れますようお願いいたします。

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日本国際貿易促進協会京都総局 様
【終了】2021.12.09(木) 第113回専門セミナー(ウエブセミナー)
演題『中国データ安全法(データセキュリティ法)と、中国個人情報保護法に関する対応』
講師 金藤 力 氏(弁護士法人キャストグローバル大阪事務所 代表弁護士・中小企業診断士)



2021年12月7日火曜日

12月第1週:①インターネット医療と処方箋、②消費者保護のダブルスタンダード、③交通運輸業界の「新業態」の就労人員の権益保障

①インターネット医療と処方箋

《インターネット診療監督管理細則(意見募集稿)》に関する記事が出ていました。2018年に《インターネット診療管理弁法(試行)》などのインターネット診療に関する法令が発布されましたが、その後、細則は未だ整理されていなかったとのこと。
この試行弁法では、初診の患者に対してはインターネット診療は不可としつつ、オンラインでのデジタル処方箋発行を一定の条件のもとで認めています。DTP薬局(Direct to Patient)がオンライン診療のうえで処方箋が発行できるような仕組みができれば、病院に長蛇の列を作るような必要もなくなり、非常に効率的になるように思われるわけですが、利便性ゆえに様々な新しい問題も起こり得ます。
今回のこの記事では、「統方」(医師の薬品使用につき統計し、それを医薬販売員に提供して、その薬品使用に応じたリベートを渡す行為)、「補方」(先に薬品を販売して後で処方箋を補充する行為。すなわち医師の関与なく患者と薬局がどの薬を使うか決めてしまう。)といった行為を禁止対象としています。日本でも昔から「薬漬け医療」という言葉もあり、過剰な投薬が行われる問題についての対策が講じられてきました。適切に使われてこそ大きなメリットをもたらす医薬品のことですから、経済目的の不正な方法がはびこらないように、効率的な管理が広まって、より効率的に正しく入手できるようになって欲しいものです。
折しも日本でもオンライン診療のガイドラインの見直しが行われており、オンライン診療の普及には逆にオフラインの「かかりつけ医師」(日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師)の方々の活動が重要になってくる面もあるなど、オンラインとオフラインの連係を取る仕組みが今後も大切になるのは日本も中国も共通なのだろうと思います。

②消費者保護のダブルスタンダード

資料p.3の記事について。
10年も前に書いた論稿でも書きましたし、その後も何度も同じことを色んな場面で申し上げているところですが、「中国国内における消費者保護は、中国以外の諸外国(日本を含む)における消費者保護に比べて、同様に設定されていなければならない」というのは、法律の世界でもそうですが、それ以上に、マーケティングの観点からは必須と言えます。
今回は、この典型的な問題で、カナダグースのダウンジャケットが「炎上」したという記事をご紹介しました。すっかり寒くなって、ダウンジャケットが活躍する時期ですので、こういった時期に販売に悪影響が及ぶ話題は、会社の方々としてはメーカーも販売店も驚かれただろうなと思います。
特に製品のリコールなどの場面では、「中国人の生命・身体の安全は、他国の方々よりも軽いと言うのですか?」という極めてまっとうなご指摘を招くことになります。
日本企業各社の製品は、世界でも有数の繊細と思える日本文化の中で暮らす日本の消費者の方々の目を通ってきたものですから、中国の消費者の方々は日本の消費者の方々よりはまだしも大らかではないかな?と思い、堂々と「ご不満があればどうぞおっしゃってください」と販売すれば良さそうにも思うのですが、なにぶんにも実際に応対する店舗や販売者の方々もまた中国の方々ですから、応対に不備が生じることもあります。
クレーム対応は企業の顔の一つですから、どうか日本企業各社は面倒に思わずに、堂々と中国でも展開していっていただければと希望しています。

③交通運輸業界の「新業態」の就労人員の権益保障

Uber(Eatsではない方)、滴滴のなどインターネット配車サービスについて、運転手と乗客に向けてプラットフォームが公示すべき価格計算ルールについて、8部門から連合で新たな政策意見が発布されました。今後、滴滴で配車サービスを利用した後、精算のときには、乗客が支払った総額がいくら、運転手の労働報酬がいくら、その総額から報酬を差し引いた「手数料」がいくら、ということを表示することが求められるとのことです。
また、これらのサービスで働く運転手について、社会保険に参加することを支援していくとの記載もあります。完全に労働関係が掲載させている場合でなくても、配車サービスのプラットフォーム企業が運転手を社会保険に参加させるように促していくそうで、段々と「従業員」ではない労働者の方々が社会保険の仕組みに参加していく仕組みに変わっています。
先日、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用についての講演を拝聴する機会があって、(薄々感づいてはいたものの)やっぱり日本は特殊なのだなと改めて思ったところですが、「中国だから」の一言で片づけるのではなく、我々が慣れ親しんだ日本の制度と正しく比較のうえで、人事労務の管理を考えていただければと思います。

2021年11月30日火曜日

11月第4週:①労働契約の「解除」と「終了」、②「潼関バーガー」など地域ブランド、③新時代の高齢者業務に関する意見

①労働契約の「解除」と「終了」

中国の人事労務や労働法に関しては、解雇・雇止めのときに発生する「経済補償金」がよく話題になるところですが、今回はその解雇・雇止めの場面について、なかなか興味深い事例が新聞で紹介されていたので、ご紹介しています。
労働契約の「解除」と「終了」は、それぞれ中国の《労働契約法》で解除事由や終了事由が列挙されています。
労働契約の「解除」とは、懲戒解雇・リストラや自主退職などの場面で労働契約関係が終わることであり、労働契約の「終了」とは、定年退職や会社の解散・清算などによって労働契約関係が終わる場面です。
いずれも、世間一般にいう「退職」「離職」であって、従業員の地位を失うという点で違いはありませんので、法律の専門家でもなければ、この2つの用語の違いにあまり神経質にこだわることはないでしょう。(専門家ですら、人事労務を専門にしていないのか、両者を混同されているのを見かけることがあります。)
しかし、この事例では、無断欠勤を理由とする解雇のときに、「労働契約『終了』通知書」と書いてしまったために、裁判所から「本件では『終了』事由は無い」と揚げ足を取られてしまい、解雇無効という判決を出されてしまいました。
この事案の経緯からすると、体調不良を理由とした配置転換が議論されていたようで、配置転換の妥当性や手続についての争いがあったと推測され、この点についての判断に微妙な部分があったので分かりやすい理由を判決理由として挙げた(つまり、違法解雇と判断された本当の理由は別にある)のではないかと考えられますが、企業側からすれば、雇用者側を負けさせるのに便利な口実を与えてしまったことは確かだと言えるでしょう。
言葉一つのことと侮ることなく、スキのない文書管理を心掛けていただければと思います。

②「潼関バーガー」など地域ブランド

陕西省の潼関という地域の名物で、「潼関肉挟饃」という中華式ハンバーガーがあるそうですが、この名物にまつわる商標の事例が知的財産権局から紹介されたということで、記事になっていました。
日本でも地域団体商標制度という地域ブランドを商標として登録する制度があり、陶器の「久谷焼」の例が有名ですが、中国でも地理的標識を集団商標として登録出願することができる「集団商標」という制度があります。「潼関肉挟饃」はこの集団商標として、潼関肉挟饃協会という協会が登録しており、事業者に対して商標使用費の支払を求めて提訴したところ、区域内の事業者から「加盟費」を徴収する権利は無いとされました。また、河南省の「逍遥鎮」という地名も逍遥鎮胡辣湯協会という協会により商標登録されているところ、これは単なる普通商標ということですが、同様に「会費」を徴収する根拠にはならないとのことです。
中国でもこのような地域の業種協会はたくさんあり、反独占法(独禁法)のカルテル摘発事例でもよく見かけるのですが、どうも日本の同じような協会とは少し毛色が違うようなところもあるように感じます。

③新時代の高齢者業務に関する意見

人口の高齢化に対応する国家戦略を積極的に推し進め、高齢者の達成感、幸福感、安心感を高めようということで、新時代の高齢業務についての政策意見が公表されています。
日本の報道でも紹介されていますが、中でも、家庭内における養老、個人の自身による養老という部分を重視している部分は注意を引きます。
在宅で地域コミュニティのネットワークを生かした養老サービスということで、「コミュニティ+不動産管理+養老サービス」の組合せによるモデルがまず掲げられています。その次には養老施設の充実も挙げられていますが、これは経済困難・独居・要介護などの事情がある高齢者向けのものと位置づけられ、施設ありきではなく、まずは在宅での養老をという方向性を打ち出しています。
近年は高齢者に厳しい風潮もときに見られる世の中ですが、「高齢者友好型社会」ということで、社会の敬老の雰囲気を高めていこうということも言われており、これも中国の特徴かと思います。アプリや最新機器を使った健康管理などが目を引きがちですが、それだけではなく、公園で皆が太極拳をしている風景や道端でマージャンに興じている姿なども思い浮かべながら、高齢者サービスを考えていただくのも、中国の高齢者向け事業を考えるうえでの一つの視点になるかと思います。

2021年11月23日火曜日

11月第3週:①中国企業の国外での独禁法コンプライアンス、②知的財産の資産としての活用、③安全生産の特別取締活動

①中国企業の国外での独禁法コンプライアンス

市場監督管理総局から《企業の国外反独占コンプライアンス指針》が発布されました。中国企業が中国国外で活動するにあたり、カルテル等の独禁法違反事件を発生させないように、業種協会への加入前における調査や留意事項、競争業者間で合弁・提携などを行う場合や自社の市場シェアが高い場合の潜在的危険などが説明されています。
中国が《反独占法》を制定してから、まだ10数年しか経過していませんので、まだまだ多くの中国企業では「独禁法のない世界」で育ってきた方々が経営陣に多数いらっしゃいます。もちろん、若手の方々であっても、日本の会社のような独禁法のコンプライアンス教育など受けていないわけですから、おそらく、中国企業内部の独禁法コンプライアンスの意識は日本企業の方々とは差があるものと推測します。
コロナ禍の前は、大挙して海外旅行に繰り出す中国からの団体観光客のマナーが新聞などで取りざたされることも多かったですが(少し懐かしいですね)、中国企業各社が外国にあっても中国国内と同じように振る舞うことは、言われてみればありそうな光景にも思えるので、このようなガイドラインはあった方が良いような気がします。

②知的財産の資産としての活用

先月からの引き続きの話題ですが、早速、特許権の質権設定に関して、より幅広く登記を認める法令改正がありました。
中国企業各社は経済的インセンティブの有無に対して非常に敏感ですから、知的財産権を担保として資金調達ができる機会が広まっていけば、さらに知的財産自身の開発も促進されることが見込まれます。
以前にも少し述べましたが、日系企業各社においても、知的財産を現地法人に持たせて資金調達に役立てることを合弁会社の中国側パートナーから求められる機会が増えてくると見込まれますので、大きな方向性としては知っておいていただければと思います。

③安全生産の特別取締活動

安全生産の特別取締活動が行われます。来年4月から7月にかけて検査が行われますが、その前に11月から来年3月にかけて、各社が自主検査・是正活動を行うことが求められています。
工場での事故防止活動については、日系各企業では平素から取り組みが行われていると思いますが、逆に形式面で、研修はしているのに研修実施記録を残していない場合などがありますので、形式面で資料が整っているかどうか、見直してみる機会としていただくのも良いのではないでしょうか。


2021年11月17日水曜日

中国《個人情報保護法》における同意取得のあり方

中国の話題です。
2021年11月14日付で《ネットワークデータ安全管理条例》の意見募集稿が出ましたが、この中に個人情報に関する同意取得の方法についての規定が若干含まれています。
「単独の同意」はどう取れば良いか?など実務上の疑問を解消する材料の一つになるかと思います。

タイトルから見て、個人情報に関する記述があるのを見逃してしまう方がいらっしゃるかもしれませんので、念のためにて。

2021年11月16日火曜日

11月第2週:①外国人の養老保険(年金)受領問題に関する通達、②個人の破産事件と初の「破産人」、③虚偽訴訟の典型事例、④原料薬産業の発展

①外国人の養老保険(年金)受領問題に関する通達

外国籍で中国の社会保険に加入している方々について、養老保険待遇を受ける(年金を受給する)ときの条件についての通達が出ていました。
定年退職年齢に達したとき、その地方での社会保険加入年数が10年に満たない場合には、前に10年以上の納付実績がある地方で養老保険待遇を受けることなどが示されています。ちなみに、中国での永住権を取得している場合には、中国籍の方々と同じく、納付年数が足りなくても最低年数に達するまで納付を延長して、年金を受給することができるそうです。
日本は年金が地方ごとに分かれておらず、全国で統一的に運用されていますから、何の規定なのかピンと来ない方が多いと思われますが、中国では日本とは異なり地方ごとに社会保険の取扱いが異なるために、どの地方で年金を受け取れるのかという問題が生じます。
ちなみに、実はこの問題は外国人に限ったことではありません。多くの日系企業で、定年退職する従業員が増えてきていますが、これも年金を受給できない従業員が発生するなど、トラブルが多くなっています。中国赴任歴が長い方々でもこれまで出遭わなかった新たな問題ですので、是非、「我が社で定年に近い人はどれくらいいるだろうか?」と一度興味を持って見てみていただければと思います。

②個人の破産事件と初の「破産人」

pptには目次のみ挙げていますが、個人破産の事例について。
「中国で初めての個人破産制度が深センで先行開始」という記事をキャスト中国ビジネスで3月に掲載しましたが、その後、第1号の事件については7月16日に再生(重整)計画が債権者集会で採択されて裁判所に認可され、初の個人再生事例となっていました。
ワークショップでは7月第4週に「全国初の個人破産事件の裁定が確定: 男性が75万元の負債を負って再生を申請」という記事をご紹介していましたが、これは個人再生の事例でした。クレジットカード会社など10社からの負債約56万元について、破産清算では弁済率が33.34%にしかならないところ、再建計画では36ヶ月かけて元本全額を弁済するという計画となったようです。
一方、今回は新たに、上記のような再生ではなく、「破産宣告」を受けた事例が発生して、初めての「破産人」(個人の破産者)として報道等で取り上げられています。
中国の「破産宣告」(中国語でもそのまま「破产宣告」です。)は、申立て受理後に破産要件を満たすときに宣告され、受理が決定された次のステップとなります。破産宣告によって個人は破産者となり、その財産は破産財産となります。
破産宣告に先立って、破産者が引き続き持つことができる財産や支出することができる生活費の金額などにつき管財人が意見を述べ、債権者集会で採択されました。こうして、破産宣告の日から3年間の「考察期間」が始まり、この期間は財産状況の報告義務や高額消費の制限などが引き続き課されることになります。
今後、おそらく全国にも展開される参考になる事例と思われますので、与信管理のご担当者の方々などは一度ご覧いただくと具体的なイメージがつかめて良いのではないかと思います。

③虚偽訴訟の典型事例

虚偽訴訟についての典型事例が紹介されています。債務逃れのために債務を仮装することは犯罪行為でもあります。裁判所も、まっとうな債権者が害されることがないように、執行逃れのための担保設定などには厳しく対応するようですから、裁判所への情報提供なども考えていただくのが良いかと思います。

④原料薬産業の発展

原料薬(原薬)の発展に関する実施方案が出ています。
その解説を見てみると、現状としては、(1)企業のR&Dの能力が不足しており、国際市場では全世界の原料薬貿易額の4分の1程度を占めているものの大部分は付加価値の低いものである、(2)都市化によって原料薬生産企業の移転が必要なのに環境容量不足などの問題がある、(3)生産過程中で用いる溶剤・試薬などの種類が多く、排出量が大きく成分が複雑なため処理が難しい、といった問題が指摘されています。
先端技術を駆使した新薬開発の促進などが方向性として挙げられており、高性能な生産設備や生産過程で用いられる消耗材料を導入していくことを重視するとされていますので、医薬業界に限らず幅広い分野に関係するかもしれません。


2021年11月9日火曜日

11月第1週:①IT企業に対する個人情報保護などの「524」活動、②美容広告のガイドライン(容貌焦慮)、③安全生産の企業等級

①IT企業に対する個人情報保護などの「524」活動

 IT企業に対する個人情報保護などを含む対応を求める通知が出ています。5つの改善、2つのリスト、4つの向上ということで、短縮して「524」活動と名付けられています。
 名宛人となっているのは中国移動など基礎電信事業者のほかインターネット企業であり、Tencentをはじめとした大手IT企業の主要サービスを列挙したリスト39社分が第一弾として掲載されています。
 今年12月や来年3月を〆切として各種の対応を求めており、アプリやポップアップのウインドウを閉じるボタンを分かりやすく表示すべきことや、カスタマーサービスの月平均応答時間を30秒以内にする目標などが掲げられ、なかなかに細かいことを言われています。アプリやWebサイトの仕様、カスタマーサービスの体制などに影響してくると思われますので、関係ありそうな企業の方はご一読ください。

②美容広告のガイドライン(容貌焦慮)

 自分の外見に自信が持てない、容姿に不安を感じている、そのような心境を指す「容貌焦慮」という言葉が流行しているそうです。今回は美容医療の広告に関するガイドラインが発布されており、このような「容貌焦慮」を生み出してしまうような広告や、容姿の良し悪しと貧富や素養を結びつけるような広告などが、重点的な取締対象とされています。
 日本でも、外見のコンプレックスを煽るような広告はかえって嫌悪・忌避されるということが言われていますが、外見による差別については「ルッキズム」という言葉も話題になっているようですし、少し注意すべき世の中になっているようです。
 ここでいう美容医療は創傷性又は侵襲性の医学技術方法で容貌を修復・再生することを指し、医療機関が行うものですから、適法な資質を有する医療機関でなければならないことは当然で、日系企業に直接関係するわけではなさそうですが、マーケティングの考え方として、一つ、こういった流れを作ろうとしていることは知っておいた方がよさそうです。
 ちなみに、日本でも今年7月に医療広告規制におけるウェブサイトの事例開設というのが出ておりまして、医療機関のマーケティングに携わる方々にとっては参考になるものと思われますので、URLをご紹介しておきます。

③安全生産の企業等級

 税関や外貨管理の規制上は以前から取り入れられている企業の等級分類によって優遇を与える制度ですが、安全生産の分野でも取り入れられることになりました。早速、今月から開始とのことです。
 詳しくはまた別の機会にご紹介しようかとも考えていますが、労災保険料率が下がる、安全生産責任保険の保険料率が下がるなどの優遇が得られるようですので、一度ご検討いただくのも良いのではないかと思います。

2021年11月3日水曜日

10月第4週:①個人情報保護法の施行を迎えての対応、②不動産税の試行拡大、③中小企業に対する段階的納税猶予、④データ安全法に基づく出国安全評価弁法の意見募集

①個人情報保護法の施行を迎えての対応

11月1日、《個人情報保護法》の施行日を迎えました。成立・公布後、国慶節休暇を挟んだこともあり、準備万端とはいかない部分もありますが、施行日が近づくにつれ、各企業における取り組みも進みつつあるようです。ただ、《個人情報保護法》による規制は多岐にわたりますので、11月1日までに全ての対応を終えた企業は少ないものと思われ、何に優先して取り組むのかという悩みもあるようです。
この点について、今回、中国消費者協会からは、企業に対して5点、消費者に対して5点、それぞれに向けた注意喚起が発表されており、企業における取り組みの参考になるかと思われます。
但し、私個人としては、各企業の優先順位は一律ではないはずであろうと考えています。事業活動の状況によって事実上問題になりやすい部分とそうでない部分を分けてみて、それによって優先順位を決めて対応した方が現実的でしょう。

②不動産税の試行拡大

5月にご紹介したとおり、「住宅は住むために用いるものであり、投機のために用いるものではない」(「房子是用来住的,不是用来炒的」)ということで、中国では不動産の価格抑制政策が打ち出されています。
今回は、一部地域における不動産税改革の試行についての政策が出て、日本でも報道されています。建物については「房産税(建物税)」、土地については「城鎮土地使用税」が以前から存在していましたが、さらに「房地産税(不動産税)」が課されるということになるようです。既に2011年から、上海では2件目以降の住居、重慶では別荘や高級住宅について課税されていたようですので、まったく新たな税というわけでもなく課税範囲が拡大されるだけのようではあります。土地払下収入に依存していた地方財政からの脱却ということも背景の一つにあるようです。
日本でバブル崩壊に至ったきっかけとしては、不動産向け融資の総量規制と、いわゆる地価税の導入が挙げられることがあります。今の中国の施策を見ると、ついつい日本のバブル崩壊を連想してしまうのですが、中国政府の方々は当然ながら、日本の経験を十分研究したうえで施策を決定しているはずですから、歴史の新たな経験則が生み出されていくのか、興味が湧くところです。
脱線ですが、日本でバブル経済と税金に関する記事を見ていると、明治時代の「ウサギ税」という税金のことが紹介されていました。中国では古酒や骨董品も高値で取引されているようですが、もしかすると今後は何か変わった税金が誕生するのかも?と想像してみたりもします。

③中小企業に対する段階的納税猶予

国際商品市況の高騰、生産コスト上昇などによる影響は製造業について特に大きなものとなっています。そのため、国務院は第4四半期につき中小企業に対して企業所得税や増値税などの納税猶予措置を打ち出しています。年間売上高2000万元以下の製造業の小型・零細企業(個人事業者を含む)については全額の納税猶予、年間売上高2000万元から4億元の製造業の中型企業については50%の納税猶予、特別困難企業については全額猶予となっています。納税猶予は11月1日から来年1月の申告期終了までとなっています。
また、同じ記事で、国外機関投資家が国内債券市場で得た利息収入について企業所得税と増値税を徴収免除する政策が2025年12月31日まで延長されたことが発表されていました。最近話題になっている社債市場でのデフォルトをめぐる不安を解消するための措置と思われます。

④データ安全法に基づく出国安全評価弁法の意見募集

国家インターネット情報弁公室から、重要データの国外移転時に必要となる出国安全評価の細則の意見募集が出ています。《データ安全法》第31条に基づき別途制定することとされていたものです。
「重要データ」については先日もお伝えしたとおり工業データ一般についてのデータ安全管理弁法も意見募集中です。
また、この意見募集稿では、個人情報保護法により国外移転時に必要となる安全評価についても対象としています(意見募集稿の第2条)。《個人情報保護法》第40条では一定数量以上の個人情報処理者に国外移転時の安全評価を求めているのですが、この意見募集稿では、100万人以上の個人情報処理者がその一部を国外提供する場合か、「累計で」10万人以上の個人情報又は1万人以上の機微な個人情報を国外提供する場合を対象としているようです(同第4条)。(なお、《個人情報保護法》第55条で個人情報の国外移転の場面一般に求められる「個人情報保護影響評価」と混同してしまわないようにご留意ください。)


2021年11月1日月曜日

ユーザー名称やプロフィール画像の規制

中国で《インターネットユーザーアカウント名称情報管理規定》の意見募集が出ています。

http://cac.gov.cn/2021-10/26/c_1636843202454310.htm

個人ユーザーのアカウント名称は充分に個人の特徴を表現すべきとのこと。「なりすまし」は2015年の現行規定でも禁止でしたが、ユーザー名やプロフィール画像も要注意となるようです。


2015年の現行規定は下記URLからご覧いただけます。ご参考まで。

http://www.cac.gov.cn/2015-02/04/c_1114246561.htm

2021年10月27日水曜日

10月第3週:①対外的な活動はしないことが仕事の日、②「品質インフラ」(NQI)の充実、③知的財産権の故意侵害の認定基準?、④契約における特許保証条項、⑤石炭価格への介入措置

①対外的な活動はしないことが仕事の日

某大手企業が新製品発表会の日付の選択のせいで処罰されたという新聞記事がありました。本当に日付だけで?と半信半疑で、何か広告内容や宣伝方法に不備があったのでは?と思って行政処罰の内容を見てみたのですが、残念ながら、本当に、新製品発表の日付と時間帯の問題で炎上して社会を騒がせたからという理由だけのようでした。
「国の尊厳又は利益を損なった」という広告法の規定が根拠規定となっているのですが、ネットを見てみると、「なぜわざわざ7月7日、しかも夜10時に?」というコメントから段々と盛り上がり、製品がカメラであったということもあって、原爆投下時の写真や、日本の敗戦直後の写真などが次々と掲示板にアップされて、確かに大炎上してしまっていたようです。
ただ、日付と時間だけでここまで盛り上がるとは、今回はちょっと驚きでした。
5月9日、7月7日、9月18日、12月13日、このあたりの日付は要注意です。
以前は、中国に赴任する方々は必ず赴任前研修などで教えてもらっていたと思うのですが、私も中国赴任してから10年以上経ったので、最近は忘れていることも多いです。
この現象・事態そのものが是か非かという議論はともかくとして、中国ビジネスにかかわる一人としては、とりあえず改めて、この4つの日は「対外的には何もしないのが仕事の日」と認識しておこうと思います。

②「品質インフラ」(NQI)の充実

「品質インフラ(质量基础设施)」は、英語のNQI(National Quality Infrastructure)から来ているそうで、標準化、適合性評価、計量、認定といった品質関連の枠組みを指すそうです。
こういった品質インフラについて、ワンストップの公共サービスを提供することで、中小企業の技術的能力や信頼性の不足を解消して、個々の企業の製品・サービスの品質、ひいては産業チェーン全体の飛躍につなげようという考えが示されています。
言われてみると、工場見学などにうかがったときのことを思い出すと、大企業と中小企業では、検査・測定用の機器の充実度合いが全く違うような印象があります。
検査は生産性に直接は影響せずにむしろコストを増やす、検査員が頑張ると製造担当部門から煙たがられる、そのような景色の中で、日常の場面では検査が軽んじられてしまうこともあります。しかし、実は高付加価値で競争力ある製品を展開していくには検査・軽量・測定の部分がそれを支えているということは確かにあると思いますので、その部分を重視しているというのは、「なるほど」と感じます。

③知的財産権の故意侵害の認定基準?

今年の3月第1週のワークショップでもご紹介しましたが、ここ数年で、《特許法》や《著作権法》などの知的財産関連法令の改正が行われ、知的財産分野では全面的に懲罰的賠償制度が導入済みとなっています。
懲罰的賠償の枠組みとしては、概ね、「故意」で且つ「情状が劣悪」な場合に懲罰賠償を命じることになっているのですが、このときご紹介した、故意侵害の認定にかかわる要素は、以下のようなものでした。
 ①通知又は警告を経た後も権利侵害行為を継続した
 ②被告が原告の関係者である
 ③以前に勤務や提携関係がある
 ④以前に業務取引や契約交渉をしたことがある
 ⑤海賊版又は登録商標冒用の行為である
 ⑥その他の事情
今回は、黒竜江省の知的財産権局から中央への照会があったようで、ある事情を「故意」の要素として考慮するのか、それとも「情状が劣悪」の要素として考慮するのか?という問題について、「前者(故意)は主観的要因、後者(情状劣悪)は客観的要因なので、両者を混同してはならない」という見解が示されています。
ですので、結論としては「それは故意かどうかの問題ではなく、情状劣悪かどうかの問題ですね」という回答になっており、通知文書のタイトルと違う内容でした。ときどきこういうこともあるのですが、故意認定の要因をおさらいする機会にはなりました。

④契約における特許保証条項

日本ではサプライヤーが顧客を訴えた構図となって一躍話題となっている、電磁鋼板をめぐる特許権侵害紛争ですが、中国ではごく普通の、サプライヤー間の特許紛争です。
日本での訴訟は、知的財産の仕事をなさっている方々はお分かりになると思いますが、実はこれは非常にショッキングでして、サプライヤーとの契約における特許保証条項の重要性が高まるのはもちろんなのですが、「特許保証条項さえあれば良いのか?」という新たな課題について考えてみる機会でもあります。
まさに法務部と知財部が連携して対応すべき課題と場面ですので、ぜひ話題にして交流してみていただければと思います。

⑤石炭価格への介入措置

石炭価格が過去最高を更新し続け、製造業のコスト負担を増やし、冬場に向けた暖房供給に対しても悪影響を及ぼしているということで、石炭価格に対する介入措置が検討されています。
中国の《価格法》では、重要な商品・サービスに顕著な価格高騰が見られる場合や、市場価格の全体水準に劇的な変動等の異常が生じた場合には、価格届出制度や、緊急価格凍結措置といった介入措置をとることが規定されています。
価格統制は、経済学の理論から言えば必要十分な供給がされなくなり、闇市場を生み出して二重価格構造を生み出すだけで、根本的な解決にならないということは、一般論としてはあるのだろうと思います。ただ、今の中国ほど強力に社会の動きを監視・統制して、闇市場が生まれることを十分に抑制できる能力があるという前提条件のもとならば、果たしてどのような効果が生じるのか、個人的には少しだけ興味があるところです。
世の中には、「高いから買うのをやめよう」と思うものと、「高くても買わざるを得ない」ものがあるので、とりあえず企業の運営に携わる一員としては、コストが高騰せずに済むことは良いことと思っています。

2021年10月20日水曜日

【動画】2分で解説!? 中国《データ安全法》と《個人情報保護法》への対応

昨日、セミナーに登壇させていただいたテーマについて、
試みにこのような動画を作成してみました。

2分で分かる!中国データ安全法(データセキュリティ法)と中国個人情報保護法に関する対応(Youtube動画)


3時間のセミナー、90ページの資料があるものでしたので、
本当にごく一部だけのご紹介ですが、どうぞ(文字通り)ご笑覧ください。


2021年10月19日火曜日

中国赴任の前に必ず教えてもらう日付


中国で、日系企業が気をつけるべき日付がいくつかあります(中国語で「国恥日」という)。昔は、中国に赴任する方々は赴任前研修などで必ず教えてもらったと思うのですが、私も毎年、忘れています。
5月9日、7月7日、9月18日、12月13日、このあたりは、中国のネットでもよく見かけるので、ビジネスに携わる方々は覚えておいて損は無いかと思います。

10月第2週:①中国の国家基準とISOなどの国際基準、②施設の「退役」費用の積み立て、③児童用化粧品の新規制、④決済用QRコードの規制、⑤石炭発電の電力卸売価格の変動幅拡大

①中国の国家基準とISOなどの国際基準

中国の国家基準を見ていると、最初の方に、「国際基準であるISO●●:●●を採用している」など、参照している国際基準が明記されているのをよく見かけます。
ISOなどの国際基準と中国の国家基準を見比べたとき、一見すると非常に似ているので、同じようなものと理解していると、意外な部分で少し中国独特の要素が入っていたり、逆に国際基準の一部が中国の国家基準には取り込まれていなかったり、といったこともあります。
今回公表された《国家標準化発展綱要》では、発展目標として、国家基準と国際基準の基幹技術指標の一致性の程度を大幅に引き上げ、国際基準の(国家基準への)転化率を85%以上に引き上げることを提唱しています。
グローバルで事業展開をしていく企業各社にとっては、ルールが共通である方が便利で助かることが多いと思います。中国の国家基準が世界をリードして国際基準に反映されていく場面も多くなってくるかもしれません。ただ、当面はまだ、「15%くらい、国際基準と違うところもある」というイメージを持っておいた方が良いようです。

②施設の「退役」費用の積み立て

重点危険廃棄物の集中処理施設については、従来から、《固体廃棄物環境汚染防止処理法》において、「退役」(=稼働終了)時において発生する費用を事前に積み立てておく管理が求められていました。今回は、そのうちの埋め立て処理場について、新たに「退役」費用の積み立て管理についての細則規定が出ました。
2016年に、化学工場跡地に建設された外国語学校の大勢の生徒らが体調不良を生じた「常州毒地事件」が大きく取り上げられ、化学工場跡地の有害物質の除去、土壌修復についての機運が高まって、2018年の《土壌汚染防止処理法》に至った大きなきっかけの一つになりました。危険廃棄物の処理施設は、当然ながら危険廃棄物が集積され、土壌や地下水への漏洩等の危険も大きいわけですから、稼働終了時における土壌修復費用も非常に多額にのぼることがあるのだろうと推測します。
日本でも、化学工場跡地で土壌汚染がある土地のうえにマンションが建設・分譲販売されて大きな問題として報道されたことがあったかと思います。いったん建物が建ってしまった後に問題が発覚すると非常に解決困難な状況に陥ることがありますから、やはり、更地になったタイミングでしっかり対応しておくことは大切なように思われます。そのとき、資金がないと何年も放置するか、そのまま目をつぶって新しい建物を建てて活用するか、非常に困った決断を迫られることになります。
今回は埋め立て処理場についての規定ですから直接関係は無いのですが、平時からの事前の積み立て、法律上の強制ではなくても、考えておくのは良いことと思います。(ただ、実際に積み立てようとしても、税制上の手当てが無いのでは難しいのですけれども。)

③児童用化粧品の新規制

《児童化粧品監督管理規定》という新しい規定が出ました。子供用の化粧品、キッズコスメということで、日本でも流行しているようです。
「誰にでも適する」とか「皆が使える」といったような、子どもでも使えることを明示又は暗示するような記載のある化粧品については、「保護者の監護のもとで使用してください」といったような警告表示を加えなければならないとのこと。
ここでいう「児童」は12歳以下の子どもですので、子どもがそういった注意書きを書いて理解できるのだろうか?(12歳当時の私を思い出すと、仮に理解できても無視するような...)という気もしますが、化粧品の企画・販売に携わる方々は、子供向けでなくても子供向け商品としての規制がかかってしまう可能性がある点にご注意ください。

④決済用QRコードの規制

中国で買物に行くと、商品の横に印刷されたQRコードが置いてあって、そのQRコードをスマホでスキャンして代金を支払う、そんな光景を目にすることがあると思います。日本でも随分と目にする機会が多くなってきました。
今回、このような「静態」QRコードについて、個人については、リモートや非対面での使用を原則禁止するとのこと。
個人が自分の決済用QRコードを提供して、決済代行に使わせることで何%かの手数料を得るという「跑分平台」というサービスがあり、2月頃にも一度、マネーロンダリング等に利用されていることをご紹介していましたが、QRコードをめぐる規制も実情に合わせて変わってくる部分があります。

⑤石炭発電の電力卸売価格の変動幅拡大

天然ガスの価格高騰、中国での事業にはさまざまなところで影響が出てきています。
今年ほど暖冬を願う冬も珍しいかもしれません。



2021年10月5日火曜日

9月第5週:①電力不足による操業停止、②全民医療保障計画、③仮想通貨の採掘(マイニング)活動の取締、④来週休載のお知らせ

①電力不足による操業停止

中国駐在経験者の方々はよくご存じかと思いますが、北京では建物の中は非常に暖かく、家の中では半袖で十分に過ごせるほどです。北京にいたときよりも上海にいたときの方が、よほど寒くて風邪をひいていました。さらに北方に出張することもありましたが、もちろん、一歩外に出れば厳寒で、マイナス10度を下回るような寒さですから、こんなに建物内を暖かくするにはさぞかし大量の石炭が必要だろうなと思いながら、巨大な火力発電所を眺めていたことを思い出します。
中国では、産業用の電力料金が、一般個人の住居向けの電力料金よりもかなり高めに設定されていることが多いですので、中国で工場運営にかかわられた方々は電力コストの高いことに驚かれたこともあるかもしれません。高いにもかかわらず供給が安定しない、なかなか困ったことですが、生産計画等については各社ともその都度、調整なさっていると思います。ただ、今般はどうも普段よりも急だったのか、工場での事故につながってしまったようで、新聞記事になっていました。急な停電でも重大な事故につながらないよう、社内の対応マニュアルに1ページ、足しておいていただければと思います。

②全民医療保障計画

2週間ほど前に、全民医療保障計画が国務院常務委員会を通過したというニュースをお知らせしていましたが、詳細内容が国務院弁公庁から発布されました。
主要指標が表になっていたり、かなり項目も多くなっていますので、医療・製薬などヘルスケア業界の方々はご覧いただけると参考になる箇所もあろうかと思います。

③仮想通貨の採掘(マイニング)活動の取締

発展改革委員会から、仮想通貨の採掘(マイニング)活動の取締についての通知が出ています。エネルギー消費・二酸化炭素排出量が多いわりには国民経済への貢献度が低く、産業・科学技術の発展にもあまり役立たないということで、「産業構造調整目録」の「淘汰類」に分類し、投資を禁止する産業とされました。
中国人民銀行からも、いわゆるステーブルコインであっても仮想通貨を貨幣として市場で流通させてはならないということ、国外の取引所がインターネットを通じて同様の活動を行うことも禁止されているということ、いずれも通知で明確にされています。
ブロックチェーン技術は役に立ちますが、仮想通貨は役に立たないということで、方向性としては数年前からはっきりしてきているところですが、改めて明確に意識しておきたいところです。

④来週の休載のお知らせ

なお、今週が国慶節の連休ですので、来週は休載させていただきます。