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2021年11月30日火曜日

11月第4週:①労働契約の「解除」と「終了」、②「潼関バーガー」など地域ブランド、③新時代の高齢者業務に関する意見

①労働契約の「解除」と「終了」

中国の人事労務や労働法に関しては、解雇・雇止めのときに発生する「経済補償金」がよく話題になるところですが、今回はその解雇・雇止めの場面について、なかなか興味深い事例が新聞で紹介されていたので、ご紹介しています。
労働契約の「解除」と「終了」は、それぞれ中国の《労働契約法》で解除事由や終了事由が列挙されています。
労働契約の「解除」とは、懲戒解雇・リストラや自主退職などの場面で労働契約関係が終わることであり、労働契約の「終了」とは、定年退職や会社の解散・清算などによって労働契約関係が終わる場面です。
いずれも、世間一般にいう「退職」「離職」であって、従業員の地位を失うという点で違いはありませんので、法律の専門家でもなければ、この2つの用語の違いにあまり神経質にこだわることはないでしょう。(専門家ですら、人事労務を専門にしていないのか、両者を混同されているのを見かけることがあります。)
しかし、この事例では、無断欠勤を理由とする解雇のときに、「労働契約『終了』通知書」と書いてしまったために、裁判所から「本件では『終了』事由は無い」と揚げ足を取られてしまい、解雇無効という判決を出されてしまいました。
この事案の経緯からすると、体調不良を理由とした配置転換が議論されていたようで、配置転換の妥当性や手続についての争いがあったと推測され、この点についての判断に微妙な部分があったので分かりやすい理由を判決理由として挙げた(つまり、違法解雇と判断された本当の理由は別にある)のではないかと考えられますが、企業側からすれば、雇用者側を負けさせるのに便利な口実を与えてしまったことは確かだと言えるでしょう。
言葉一つのことと侮ることなく、スキのない文書管理を心掛けていただければと思います。

②「潼関バーガー」など地域ブランド

陕西省の潼関という地域の名物で、「潼関肉挟饃」という中華式ハンバーガーがあるそうですが、この名物にまつわる商標の事例が知的財産権局から紹介されたということで、記事になっていました。
日本でも地域団体商標制度という地域ブランドを商標として登録する制度があり、陶器の「久谷焼」の例が有名ですが、中国でも地理的標識を集団商標として登録出願することができる「集団商標」という制度があります。「潼関肉挟饃」はこの集団商標として、潼関肉挟饃協会という協会が登録しており、事業者に対して商標使用費の支払を求めて提訴したところ、区域内の事業者から「加盟費」を徴収する権利は無いとされました。また、河南省の「逍遥鎮」という地名も逍遥鎮胡辣湯協会という協会により商標登録されているところ、これは単なる普通商標ということですが、同様に「会費」を徴収する根拠にはならないとのことです。
中国でもこのような地域の業種協会はたくさんあり、反独占法(独禁法)のカルテル摘発事例でもよく見かけるのですが、どうも日本の同じような協会とは少し毛色が違うようなところもあるように感じます。

③新時代の高齢者業務に関する意見

人口の高齢化に対応する国家戦略を積極的に推し進め、高齢者の達成感、幸福感、安心感を高めようということで、新時代の高齢業務についての政策意見が公表されています。
日本の報道でも紹介されていますが、中でも、家庭内における養老、個人の自身による養老という部分を重視している部分は注意を引きます。
在宅で地域コミュニティのネットワークを生かした養老サービスということで、「コミュニティ+不動産管理+養老サービス」の組合せによるモデルがまず掲げられています。その次には養老施設の充実も挙げられていますが、これは経済困難・独居・要介護などの事情がある高齢者向けのものと位置づけられ、施設ありきではなく、まずは在宅での養老をという方向性を打ち出しています。
近年は高齢者に厳しい風潮もときに見られる世の中ですが、「高齢者友好型社会」ということで、社会の敬老の雰囲気を高めていこうということも言われており、これも中国の特徴かと思います。アプリや最新機器を使った健康管理などが目を引きがちですが、それだけではなく、公園で皆が太極拳をしている風景や道端でマージャンに興じている姿なども思い浮かべながら、高齢者サービスを考えていただくのも、中国の高齢者向け事業を考えるうえでの一つの視点になるかと思います。

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