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2021年8月6日金曜日

8月第1週:①オリンピックと全民健身計画、②半導体価格吊り上げ、③飲食チェーン店の衛生問題、④粉塵爆発防止、⑤一定の業務完了を期限とする労働契約、⑥発票と支払どちらが先か?

①オリンピックと全民健身計画

《全民健身計画(2021~2025年)》。ちょうどオリンピック期間に合わせて発表なさったのかなと思いますが、フィットネスクラブなど直接のサービスにかかわる企業のみならず、スポーツウェアやスポーツ用品などの業界にも関係します。さらに、日本と同じく、健康寿命を延ばすということも考えると、高齢者介護などにも関係するかもしれません。
2025年までの目標として、体育鍛錬への経常参加比率を38.5%、千人あたりの体育指導員2.16名、全国の体育産業の総規模は5兆元まで高めるとのこと。
普段はまったく運動しない不健康な私のような人間でも、オリンピックを見ていると何か運動でもしようかという気持ちになります。一人で家でできるオリンピック種目があると良いのですけれども。

②半導体価格吊り上げ

日本でも半導体不足の影響が各業界に広がっていますが、中国でも自動車業界での半導体不足が取りざたされています。自動車のスマート化に伴って需要も大きいところ、価格の吊り上げ行為も見られるようで、価格のモニタリング及び通報に基づいて政府部門の調査が開始されたとのこと。
中国の新聞記事を見ても、多くの自動車メーカーで半導体チップ不足が今年のうちは継続し、もしかすると来年も継続するかもしれないと見込んでいるようで、供給遅延や価格変動によるトラブルが起こりやすい環境にあります。

③飲食チェーン店の衛生問題

飲食チェーン店の衛生問題は消費者に近いこともあり話題になりやすいですが、新聞記者が潜入取材で店舗や工場に従業員として入り込んで、「ゴキブリがいる」とか「傷んだ果物を使っている」といったような記事を書かれることがあります。
今回ご紹介した記事の事例では、報道が出た後、各地の政府部門からの調査や行政指導が入り、しかも複数の政府機関が関与してくるので、企業としては対応に追われる結果となりました。
ネット社会ですから、情報が広がるのも早いですし、政府機関が動くのも早いですので、各企業においては「避難訓練」のような形でときどきシミュレーションしておかれないと、なかなか即座に正しく対応することは難しいのではないかというようにも思います。

④粉塵爆発防止

法令の面では、個人的には、《工貿企業粉塵防爆安全規定》が現場では大事だろうと思います。工場や倉庫では様々な粉末を保管されていると思いますが、火の気がないところでも、電気配線の劣化・腐食等によって火花が散って爆発が起こってしまうこともあるようです。
「可燃性粉塵目録」というリストがあり、各種の金属粉、繊維、樹脂粉末などが列挙されています。塗料・染料や防腐剤などもありますし、幅広い産業で留意いただく必要があるものですから、この機会に是非一度ご覧ください。

⑤一定の業務完了を期限とする労働契約

雇用契約の期間に関して、中国《労働契約法》では、①固定期間、②無固定期間、③一定の業務の完成を期限とする、これら3種類とされていますが、このうち③については、なかなか使いづらく、あまり普及していないように思っています。
教科書的には、(1)あるソフトウェアの開発、(2)ある建設工事の完了、(3)農産物の収穫時期だけの臨時雇用、といった例が挙げられているのですが、その都度、社会保険に加入させ、退職時に経済補償金を払うという実務処理は、実際には煩瑣でメリットもあまりないので、活用するのがなかなか困難です。また、賃金をなるべく長くもらうために、ゆっくり仕事をして開発や工事の完成を引き延ばした方が労働者にとって得になってしまう(企業の利益と整合しない)という問題もあります。
今回、北京市では、「企業の雇用の柔軟性を高めるために」として、この一定業務完成を期限とする労働契約についてモデル文書とその締結ガイドラインを出しています。少し期待して中身を見てみましたが、まだ上記のような困難が解消されるものではないようでした。

⑥発票と支払どちらが先か?

中国では代金を請求するとき「先に発票をください。発票がないと払えません」と言われることがあります。逆に自社から取引先への支払のときにも、会社の財務の人に「発票を持ってきてもらわないと経費精算できません」と言われることがあるのではないでしょうか。
一方、発票を発行する側は、その時点で増値税を納税することになりますので、発票を発行した後に代金支払を受けられないと、増値税だけ払って代金がもらえないという困ったことになります。ですので、本当は、支払を受けてから発票を発行したいところです。
どちらが正しい処理なのか、社内の処理もあってなかなか難しいですが、よくある話題なので事例を紹介しておきました。支払が先か発票が先か、もし話題になったときには是非この事例をご活用ください。
なお、「発票」は「インボイス」と訳されることがありますが、誤解を招きやすいので、私はいつも、そのまま「発票」とご説明しています。中国で事業をするなら「発票」は基礎の基礎ですから、正確に理解しておいていただければと思います。

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