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2021年8月16日月曜日

8月第2週:①個人情報不正取得の処罰事例、②女性従業員の会食同席、③「鴻蒙」の商標、④職務発明の退職後出願、⑤家電業界の回収目標責任制、⑥商貿物流分野での行動計画

①個人情報不正取得の処罰事例

顔認識については司法解釈が出たことを前々回にご紹介しましたが、今回はその関連で、「315晩会」でも取り上げられたKOHLERの店舗での顔情報収集についての行政処罰決定書が7月26日付で出ていましたので、その事例を取り上げました。
全国222店舗に565台のカメラを設置し、220万件あまりの顔情報を取得したとのことで、罰金50万元の処罰を受けています。
3月15日に「315晩会」で報道されたので、翌々日3月17日に立件し、調査の結果、膨大な量の個人情報が集められていたことが判明したので4月20日に公安に移送したものの、6月22日に公安から不受理で戻ってきたので、改めて調査のうえ行政処罰した、と書かれています。
結果としては《消費者権益保護法》違反による行政処罰で終わっているわけですが、この経緯から見ると、一歩間違えると刑法上の個人情報不正取得罪(《刑法》第253条の1)で刑事犯罪として処罰されてしまうかもしれなかったようです。思いのほか重い罪になる可能性があるのですね。

②女性従業員の会食同席

ネットで話題になっている事例を取り上げている報道の中では、とある女性従業員が勤務時間外に顧客との食事(飲酒)に同席するように求められ性的被害に遭ったと述べている事例など、「8時間以外」(※勤務時間外、の意味。)の上司に絶対服従という風潮が蔓延しているとの問題意識が取り上げられています。上司の迫力に負けてお酒を飲むのも「No」と言えない、これも権力による圧迫の悪性の現れと言われています。
今はコロナ禍ですので、日本ではあまり機会は無いかもしれませんが、上司・部下が異性である場合には特に、中国でも、勤務時間外をめぐる習慣が変わってきている時代でもありますので、是非ご留意ください。

③「鴻蒙」の商標

Huaweiの新しいOS「鴻蒙」(Harmony)、米国からの制裁によりAndroid OSの最新バージョンが搭載できなくなることに対応するために開発したものですが、商標をめぐっては既に「鴻蒙」という別の登録された商標が存在していたようで、「鴻蒙HongMeng」というように中国語のピンイン表記と併記してみたり、「鴻蒙Harmony」と英語名称と併記してみたり、さまざまな工夫をして商標登録をしようと苦心しているようです。
このうち、「鴻蒙HongMeng」は中国語読みを併記したものですが、「鴻蒙」という先行商標の存在を理由に登録が拒絶され、Huaweiはこれを不服として裁判所に提訴していました。しかし、どうやら第一審ではHuaweiの訴えを退ける判決が出たようです。
OSの名称をコロコロ変えるわけにもいかないでしょうし、商標やブランド、商品名の命名は難しいものだなと思います。

④職務発明の退職後出願

職務発明について、会社を退職した人が退職後に特許出願してしまう事例につき、最高人民法院はさまざまな事情を考慮して決めると言っていますが、
判断要素が増えれば増えるほど、どういった結論が出るのか、予測可能性は小さくなっていくので、実務上は応対に困ることになってきます。
こういったトラブルに備えて、そこまで多くの事情を考慮せずとも結論が明確に見通せるように、会社内でも証拠を確保しておく習慣を作っていただくことを是非お勧めしたいところです。

⑤家電業界の回収目標責任制

家電業界について、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの4種類の製品については、メーカーによる回収目標責任制が奨励されています。
奨励とは言うものの、活動に取り組んでいる企業リストが公表されるほか、回収目標任務や実施状況の評価結果が公表されることになっています。
家電製品の更新・買換え消費を盛り上げていく政策の方向性の中では、必然的に古い家電製品の回収機能を販売・流通ネットワークの中に組み込んでいく必要がありますので、その面での政策的な措置が強化されている状況と理解しています。

⑥商貿物流分野での行動計画

商務部など9部門から、商貿物流分野での行動計画が出ています。
スマートラベルや自動搬送車両(AGV)、自動仕分機など先進的な流通配送システムの導入を進めることや、コールドチェーン物流のインフラ整備など、重点的に設備投資が行われそうな話題がそれなりに見て取れるように思われます。
また、小さな話題ですが、配送車両に対する駐車料金や反則金をみだりに徴収する例があるようで、「通行難、駐車難、積卸難」を解決するとされています。
また、業界団体による課題研究、コンサルティング、人材研修などの面での積極的な作用を発揮させるということも書かれていますので、日本と同じように、それぞれの業界に必要な法規制の情報が業界団体から発信されるようになれば便利になるだろうと期待しています。

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