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2021年9月8日水曜日

9月第1週:①経済・財政に関するネット情報の取締、②ダンプカーのナンバープレートをめぐる行政独占、③音楽の独占配信権を放棄、④医療サービス価格改革、⑤「十四五」就業促進計画


①経済・財政に関するネット情報の取締

国家インターネット情報弁公室では、ブログやSNSなどを通じて発信されている経済・財政類の情報について、10月26日まで、特別取締の第一段階を実施するとのこと。
財政部、中国人民銀行、証監会、銀保監会などの部門とともに、主に8つの類型の違法問題を打撃するとしています。
①経済・財政政策方針やマクロ経済データを曲解、②中国の経済・財政政策分野についての海外の報道をそのまま転載、③「独占スクープ」「関係者が語る」など非公開情報を騙ったデマ、④適法な経済・財政ニュースの一部に悪意ある編集を加えて転載、⑤「黒嘴」(SNS等を使って株式投資を勧めて会費を得るなどの違法行為を行う者)など市場攪乱行為、⑥ネガティブ情報の喧伝などによるゆすり・たかり、⑦社会的事件の喧伝により不安など情緒をあおって金融商品等を販売、⑧厳格な本人確認を経ずに政府部門関係者や専門家等の名義でアカウントを開設するなど。
会社の業務としてこれらの情報発信を行うことは通常は無いと思いますが、個人で何かつぶやいてしまうことはあるかもしれませんので、ご参考まで。

②ダンプカーのナンバープレートをめぐる行政独占

中国の《反独占法》は、民間の企業・団体のみならず、政府機関による行政独占も規制対象としており、行政権力の濫用による競争の排除・制限を禁じています。
今回は、深セン市の交通運輸局と公安局警察局が、ダンプカーのナンバープレートについて、全国的ルールとして定められているもの以外に、地方独自の届出番号や合格証取得を義務付けたことについて、他地域の運輸企業や個人の運転手が土砂の運送に従事するハードルを法的根拠なく高めているとして《反独占法》第37条違反として立件調査対象となりました。
各地域で業界団体を作らせ、そこでの研修を経た人にだけ特定業務に従事できる資格を付与するやり方も、比較的よく見られるところです。
「郷に入れば郷に従え」ということで、実務としてはそのようなローカルルールに従わざるを得ないのですが、ナンバープレートのように総数や枠が決まっているものなど、参入障壁が高そうな場合、市場監督管理局に相談してみるのも一案かもしれません。

③音楽の独占配信権を放棄

Tencentが運営しているQQ音楽という事業があるのですが、その事業に関して、2016年にTencentが中国音楽集団という会社の株式の60%超を取得したことがあり、それにつき7月に企業結合の届出をしていないということで処罰を受けていました。
この両社、アクティブユーザー数がそれぞれ1.6億人、2.3億人、市場シェアは33.96%と49.07%という圧倒的シェアで、この2社が結合することにより上流の版権元から独占的ライセンスを提供させたとのこと。
届出をしていなかった違反による罰金を支払うことのほか、市場競争状態を回復させるための措置として、上流の版権元から独占的ライセンスを受けていたものについて、独占権を放棄することを命じられていました。
今回はこれを受けてTencentが各版権元に対して独占権放棄の通知をしたとのことで、消費者にとっても、音楽配信市場に参入したい各社にとっても、音楽の配信を受けられるルートが増えることになります。
良い作品が良い形で流通するようになって欲しいと思います。

④医療サービス価格改革

医療サービス価格項目の改革について、今後3~5年で試行による経験を積み、2025年から全国に普及させるとの目標が示されています。
公立病院での医療サービスについては、現状では地方によって差があるのですが、そのサービス価格項目編製のルールを細かくしていくことで差を解消していく方向のようです。医療サービス価格の制定・調整ルールを綿密に設計することで、行政部門の自由裁量権を小さくするとも言及されています。
一方で、価格調整メカニズムの面では、一般的な医療サービス項目の基準価格は、都市ごとの就業人員の平均賃金によって定期的に調整することになっていることなど、多様な要素が考慮されるようですから、医療の場面でもデータの活用が今後も重要視されてくると思われます。
非公立の医療機関については、価格決定は市場メカニズムに委ねられることになっていますが、品質と価格が合うことなど、行政指導や公表措置などを通じて良好な価格秩序が維持されるようにするとのこと。医療保険を使うときは当然、医療保険基金から支払われる金額に拘束されるわけですが、それ以外の場面でも、医療サービスの価格の決め方については完全に自由ではないと理解しておいた方がよさそうです。

⑤「十四五」就業促進計画

都市部の新規就業者数増加などの目標と、そのための措置について定めた第14次5ヶ年計画期間の就業促進計画が発表されています。
新たな就業形態、さまざまな形での柔軟性ある就業、これまでの雇用慣行とは異なる就業形態が促進されることも見込まれます。
社会保険の登録など、関係する制度の運用についても今後は変化が生じてくると思われます。

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