①政府業務報告
毎年、全人代では国務院(政府)から全人代の代表の方々に対して、その一年の活動と次の一年に向けた方針の報告が行われます。
この政府業務報告は、中国政府が注力している分野などが全般的に述べられていますので、中国でのビジネスや投資に携わる方々は多くの方がご覧になっていると思います。
個人的には、今年は不動産について何か新しい言及が見られるか興味を持っていたのですが、従来どおり「住宅は住むために用いるものであり、投機のために用いるものではない」ということで、大きな方針転換は無いような印象でした。
毎年、前年分と比較してみると一層面白いだろうと思いつつ、ざっと眺める程度しかできないのが少し残念ですが、抽象的な記述が並ぶ中でも雰囲気が少し変わっている部分などもありますので、興味のある言葉が登場する部分だけでも、ご覧いただければと思います。
②全国商業秘密保護イノベーション試行業務方案
一部の地域において3年の時間をかけて、商業秘密保護をさらにレベルアップさせるという施策が打ち出されています。行政、司法、民事の多元的な保護制度によって、政府各部門が連動して互いに補いあう業務メカニズムを形成するとのこと。また、国際競争ルールとも連結された保護体系を構築するとのことです。
特許や著作権などの目に見えるものから、さらにノウハウなどの商業秘密に保護の範囲を広げるもので、企業においても十分に保護が得られるように、しっかりノウハウを認識・特定して管理することが求められるかと思います。
③手続代行業者の選定
商標局から、商標関連の代行業者の選定に関する注意喚起が出ていました。
内容としては、既に会社の法人登記を抹消されているのに、商標局の側での登録が残っているのを良いことに、そのまま新たな商標関連手続の代行業務を受託する業者がいて、代行を依頼した申請者が損害を被る事例が見られるとのことです。
手続代行を依頼するときには国家企業信用情報公示システムで登記状態を確認してください、とのこと。
とはいえ、毎回依頼するときに確認するのか?という疑問も湧きます。
商標に関する手続代行に限らず、普段の取引でも同じ問題は発生する可能性はあるので、取引先の名前を登録しておいて、登記状態に変化があったら自動的に通知が来るようなシステムやサービスがあれば良いのにと思います。
もし既にそのようなサービスがあり、ご存じの方がいらっしゃいましたら、是非、ご教示いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
④中小企業向け優遇政策(見逃し厳禁!)
今年、2022年1月から12月にかけて、中小企業が購入した500万元以上の設備や器具について、償却期間3年のものについては当年度に一括して全額を損金算入でき、同4年、5年、10年のものは50%を当年度に一括で損金算入して、残り50%を以降の年度で損金算入していくという優遇政策が出ています。もし今年、所得から控除しきれない部分があっても、以後5年間は控除ができることになっています。
中小企業の設備調達において、かなりの減税効果がありそうな施策となっています。
ただ、こちらの政策、自社でこの優遇を享受するか否かの選択をする必要があり、自動的に適用されるものではありません。
日本の中小企業関連の施策もそうなのですが、知らないと享受できず、知らないうちに「もったいない見逃し」をしている場合があります。
ここで言われている中小企業の範囲は相当広いですので、日系企業各社でも対象になり得る会社も少なからずありそうに思われます。是非、一度ご覧ください。
また、設備や器具を販売する側の企業の場合、単位価値が500万元を超えるか超えないか微妙なときには、500万元を超えるように設定した方がむしろ税制メリットを享受できて有利、ということも考えられるかもしれません。
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