①3・15晩会(「404エラー」の驚くべき原因)
今年も3月15日の消費者保護デーにCCTVの「3・15晩会」が放送されました。今年は日系企業に関わる話題はなく一安心でしたが、一つ、とても興味深い話題がありました。
企業活動において、消費者の「口コミ」はますます重要になっています。これら口コミをめぐる各種のマーケティング活動をバズマーケティングと呼ぶそうですが、中には、消費者を装って問答を自作自演したり検索エンジンの上位に表示されるよう操作したりする業務を受託する会社もあるそうです。
今回はそれらと並んで、「自社の評判を低下させる情報が記載されたページを『404エラー』で表示されないようにする」という手法が暴露されていました。
「404エラー」とは、「このURLは存在しません」という表示される、インターネットを閲覧しているとよく見かけるものです。この404エラーを活用する「技術的手段」を利用して、なんと、自社にとって不都合な記載のあるページを表示されなくすることができるとのこと。番組では、従業員への給与遅配などの書き込みがなされていた某企業から依頼を受けたバズマーケティング会社が、そのページにアクセスした人の画面に404エラーが表示させるように遮蔽し、企業にとって不都合な情報を見えないようにした事例が紹介されていました。
そう言われてよく見てみると、今週の資料でご紹介した事例の記事の中でも、「昨日は表示されていたのに、今日は表示されなくなっている」というものがありました。私自身、このような現象は中国政府による行政指導か何かによるものかと思い込んでしまっていたのですが、それ以外に、企業向けの民間による世論操作サービスによっても同様の現象が起きていることがある。これは個人的にはかなり驚きでした。
企業法務の業務においては、法的責任の有無と並んで、企業のレピュテーションリスクもよく考慮される事項です。その観点からすると、自社の悪評を見えなくする、良い情報だけが表示されるようになるという「世論浄化契約」によるサービスは、興味を引くものではあります。
ITの世界は次々にさまざまな手法が登場してくるので追いつくのが大変ですが、法的にどのような位置づけになるのか、私もこれから勉強してみたいと思います。
②薬品安全に関する刑事事件の司法解釈
薬品安全の刑事事件に関する新しい司法解釈が出ました。刑法改正で新たに薬品管理妨害罪という罪名が追加されていたところですが、今回の司法解釈では、無許可で薬品を製造する工場(「黒作坊」)やそのような無許可で製造された薬品をそれと知りつつ販売する行為が薬品管理妨害罪に該当すること等が規定されています。もちろん、その薬品がニセモノや粗悪品であった場合には、さらに重い虚偽・劣悪薬品の製造・販売罪として処罰されることになります。
医療保険基金は市民の「救命」のための資金であり、医療保険を利用して医薬品を騙し取って転売するなどの行為については厳しく取り締まるとされています。先日も処方箋を「後付け」で発行する例などをご紹介していましたが(2021年12月第1週)、薬品流通の利便性と適正確保の両立がIT技術の進歩によって高まっていくことを期待したいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿