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2024年1月9日火曜日

2023年12月第5週: ①会社法改正、②刑法改正、③企業の抹消に関するガイドライン、④その他

①会社法改正

12月29日、会社法の改正が可決・公布に至りました。
12月第4週のブログ記事でも書いていたとおり、珍しく第四次審議稿まで審議が長引いていましたので、ようやくの成立となりました。
第三次審議稿と見比べると、まず最後の第266条(施行時期)の条文に第2項が追加されて、出資の払込期限(第47条、第228条)について既存の会社も新法に合わせるよう「徐々に調整」することとなっている点が目につきます。
これ以外には既存の会社についての記述はないので、他の部分は、既存の会社にあっては現行法のままで良いのか、今後の関連法令を待つことになります。
「解散」「破産」について事前に労働組合や従業員代表の意見聴取をしなければならないことが追加で明記されたこと(第17条第3項)も、実務的には、上場会社の場合の適時開示規制とどう整合させるか、悩ましいことになりそうです。
その他、第三次審議稿と比べて、条文の順番が入れ替わって条文番号が変更になっている箇所や、文言の変更・調整が行われた箇所があるようですが、詳細は私自身も比較しきれていませんので、おって寄稿など別の機会にご紹介したいと思います。

②刑法改正

同じく12月29日、刑法の改正も公布されました。
腐敗(社内での不正)及び贈賄についての7つの条文が改正されたもので、親族・知人の会社との取引を通じて所属企業の利益を損なう行為などにつき、従来は国有企業のみに適用されていたいくつかの条文が民間企業にも適用されることになります。
従来から他の条文でカバーされる場合が多かったものの、より適用しやすい条文が活用できることになり、社内での不正行為の抑止に寄与することが期待できます。
贈賄に関する条文の改正と合わせて、不正な資金の流れを絶ってコンプライアンス上の問題に巻き込まれることを予防するために活用できればと考えています。

③企業の抹消に関するガイドライン

市場監督管理総局・税関総署・国家税務総局から、企業の抹消に関するガイドラインが公表されました。2021年版からの改訂となります。
注目すべき点として、株主が音信不通になってしまった場合や、株主が既に死亡してしまっている場合、営業許可証や公印を紛失してしまった場合など、各種の手続困難についての指針を示しているので、今後、清算すべき状況にあるのに清算手続ができていない出資先の処理などに活用できるように思われます。

④その他

年末でしたので、その他、糧食安全保障法、慈善法、加工貿易発展のための10部門意見、速配市場管理弁法など多数の法令が出ていましたが、多忙ゆえご紹介できないこと、ご容赦ください。
来週以降、もし目立った法令等なければ、思い出して改めてご紹介したく。

それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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