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中国で提出する書類の記入・署名: なぜ「ボールペン不可」「万年筆で記入」なのか?

中国に関係するビザ申請の関係書類や、中国で会社登記機関(市場監督管理局)や裁判所(人民法院)などの公的機関に提出する書類を記入したり署名したりするときに、「ボールペンで記入しないでください」「万年筆で記入してください」と言われたことはないでしょうか。

2024年7月25日木曜日

中国《会社法》改正: 董事や高級管理者が個人として第三者から訴えられる危険

今回は、新会社法における董事・総経理その他の中国現地法人の役員の方々の責任について少し書きます。

もともと以前から、董事に就任している方々は、出資払込未了や出資の不正な引出し、さらには解散清算などの場面で、会社の債権者から被告として訴えられることが(稀にですが)ありました。
このような場面についての会社法に関する2008年、2011年の各司法解釈などがあり、実際の裁判例でも董事が被告になっている例が見られます。

今回の改正会社法では、さらに、董事や高級管理者の職務執行により他人に損害を生じた場合について、故意・重過失のある董事や高級管理者が個人として、第三者に対して賠償責任を負担する旨の条文が追加されました。

改正《会社法》第191条:  董事及び高級管理者が職務を執行し、他人に損害をもたらした場合には、会社は、賠償責任を負わなければならない。董事又は高級管理者で故意又は重大な過失が存在するものも、賠償責任を負わなければならない。

厄介なのは、仮に会社と董事、株主と董事が責任免除の約束をしても、それによって会社の債権者や破産管財人・清算人などの第三者との関係では免責されず、第三者から訴えられる危険を避けられないという問題があることです。
会社が順調なうちは良いのですが、会社が倒産状態になった場合など、「会社を訴えても仕方がない」と債権者が判断するような場面では、個人の責任を追及される可能性が高くなってくるでしょう。

董事・総経理など中国現地法人の役員に就任されるときには、これまで以上に、ご自身が就任する会社の状況を適切に把握するよう気をつけていただくことをお勧めいたします。

また、セミナー等でもご紹介していますが、董事=清算義務者とする条文など、董事の責任に関する条文が拡充されていますので、万一の場合に備えて、役員賠償責任保険(D&O保険)に加入することもご検討いただく方がよいこともあるかもしれません。


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