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中国で提出する書類の記入・署名: なぜ「ボールペン不可」「万年筆で記入」なのか?

中国に関係するビザ申請の関係書類や、中国で会社登記機関(市場監督管理局)や裁判所(人民法院)などの公的機関に提出する書類を記入したり署名したりするときに、「ボールペンで記入しないでください」「万年筆で記入してください」と言われたことはないでしょうか。

2024年8月23日金曜日

中国大陸からの旅客に対する、ノービザでの一時上陸許可(无签证过境)

日本に入国する中国国籍の方々をめぐるいくつかの出来事があったことで、中国から日本に来て日本で暮らされている中国の方々の生活にも影響が出ています。
日本側での話題ですが、中国からの入国をめぐる事項について、少し書き留めておきます。


まず前提として、日本への入国にあたっては韓国や香港を含む71の国・地域のパスポート所持者に対してはビザ免除措置があります。(外務省Webサイトより。)
しかし、中国はこのビザ免除措置の対象国には含まれていません。
※ ちなみに、これは日本に対するノービザ入国が停止されたままになっている理由の一つともされています。中国は日本に対しても相互に対等にビザ免除措置を進めるように求めており、今年5月時点でもその点は変わっていません。
ですから、香港・マカオ・台湾のパスポートではなく、中華人民共和国のパスポートをお持ちの方々が日本に入国するには、日本のビザを取得する必要があります。

ところが、ビザを申請してもビザが取得できない中国人の方々も多数います。
そして、その申請が通らない理由についてもいちいち説明されることはありませんし、何度も申請をやり直して通してもらうこともできません。
(この点については、在中国日本大使館のWebサイトでもご説明くださっていますので、ご参照ください。日中両文あり。)

そこで、抜け道的にビザなしで日本に入国するために、中国のSNSなどで「无签证过境」(ビザなしトランジット)として紹介されている手法があります。「SHORE PASS」(寄港地上陸許可)、「TRANSIT PASS」(通過上陸許可)といった乗り継ぎ旅客のための一時入国に関する一時上陸許可による方法です。(出入国在留管理庁Webサイトの説明など参照。)
SNSを見ていると、「事前に申請していなくてもビザなしで日本への入国に成功できた!」という体験談らしき情報がいくつもあり、これらの情報は、ビザ申請が通らないような方々にとっては非常に喜ばしい情報のようにも見えるようです。
一方、当然ながら、「トランジットの申請をしたのに入国できなかった!」という声もあります。
もともと、この通過上陸許可は、あくまでも入国審査で審査を受けて許可されれば上陸できるというものであって、「当然に許可されるはず」と期待できるようなものではありません。ANAでは、わざわざ中国国籍の方向けに説明をWebサイトに掲載してくださっています。(日中両文あり。)

先日ご紹介したとおり、中国側ではこのトランジットでのビザ免除措置を奨励・宣伝しているかのような雰囲気もあるので(※)、日本側でもそれと同じく比較的緩やかに審査を通過できるだろうと誤った見込みをもって申請する人もいるのでしょう。
しかし、上記の各Webサイトでも記載があるように、やはり、滞在を目的に来日されるのであれば、短期であっても然るべくビザを申請・取得したうえで来ていただくべきだろうと思っております。
※ なお、誤解のないように申し上げると、中国側でのこのトランジットのビザ免除についても、経験者の方に教えていただいたところによると、実際にはそう気軽なものではないと聞いております。どうぞご留意ください。


例えば、買い物目的と偽って入国した後、なんらかの犯罪行為を行って即座に出国して逃げるような目的で、このような方法で入国しようとする人がいるかもしれません。
実際に犯罪行為を行った直後に出国してしまっている人もいるようですから、そのようなことがあれば、審査も厳しくなって然るべきものだろうと思います。
中国は広い国ですから、本当に多種多様な人たちがいます。ごく一部の人たちの起こす好ましくない出来事によって正常な往来や交流まで阻害されてしまうことがないように願っています。

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