※ この記事は、中国のSNSアプリ「小紅書」(rednote)に掲載した記事の日本語版です。
一般の会社であれば株主が役員を選任することができますので、株主が役員を通じて会社の経営や財産の処分を決定することができます。また、利益があれば株主に配当する、会社を閉鎖して残余財産を株主に分配する、いずれも株主が決められます。
一方で、宗教法人については、株主がいません。宗教法人の事務については、代表役員や責任役員といった役員が決定することになっています。
では、これら役員は誰が選ぶのでしょうか?
宗教法人の役員の選び方については、宗教法人の「規則」(会社の定款のようなもの)で定めることになっていますが、もし規則に特段の定めがない場合、「責任役員の互選によつて定める」ことになっています。
つまり、誰が選任権を持っているのか、規則がとても重要になってきます。
通常の場合、神社の場合であれば神社本庁、お寺の場合なら浄土宗、日蓮宗などの宗派、さらには日本基督教団、天理教などの機関(包括宗教団体)の任命が必要です。神社本庁に所属する神社では規則に代表役員は宮司職にある者という定めがあるのが普通であり、それぞれの宗教によって規則は違います。
このように、単に今の役員が同意すればよいというものではないのですが、今の役員がその役職を譲り渡すような形で、「宗教法⼈の売買に類似した取引」が行われます。
しかも、「役員の地位をお金で売ります」とは堂々とは言えないので、実際の「宗教法⼈の売買に類似した取引」では、一例として、役員の地位の承継について表の契約書では「無償」と書いておいて、裏で覚書などで「●●円」の対価を約束するという方法が採用されています。中国でいう「陰陽契約」です。
(「●●円の支払いを受けるのと引き換えに、役員の辞任届を提出する」という約束になっています。)
表面上、適法に見えるように虚偽の申告をしているとも言えるでしょう。
(役員の地位が売買されているなどと知れば、信者が受け入れるはずがありませんから、秘密にするという約束のもと、そのような合意がされています。)
本来は、まずはその宗教の信者になり、修行をして、宗派から資格を認められて、住職などの宗教上の役職に就任し、その宗教上の役職についている人が宗教法人の役員になるはずです。
ただ、代表役員とか責任役員は、あくまで事務に関する権限を持つ人ですから、宗教上の機能や権限を持っているわけではありません。ですから、その宗教法人の「規則」次第ですが、必ずしも信者でなくても、修行を経ていなくても、役員になれる可能性はあるわけです。
もちろん、そのように誰でも役員になれるような組織で、宗教活動に対する理解もない人が事務の権限を持てるような法人は、宗教法人としての実態があるかどうか疑問です。公益事業以外の事業を行うことが許される場合でも、その収益は宗教法人又は公益事業のために使用しなければなりません。ですので、そのような宗教法人は事業の停止命令などの行政処分を受ける可能性があります。
2023年には、大阪でもお寺の乗っ取り事件があり、容疑者らが詐欺などの容疑で逮捕されていました。
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微力ながら、中国の方々に日本のルールをご理解いただける一助となるように願いつつ、日々、情報発信しております。
日本の皆様にとっては、説明が粗すぎるようにお感じになるところがあるかもしれませんが、私の語学力の限界によるところもございますので、どうぞご容赦ください。
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