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2023年12月11日月曜日

12月第2週:①民法典・契約編通則の司法解釈、②外国法の調査費用、③大気汚染改善

①民法典・契約編通則の司法解釈

民法典の契約編のうち通則部分についての司法解釈が出ました。
https://www.chinacourt.org/article/detail/2023/12/id/7681709.shtml
《民法典》の契約編として統合される前の《契約法》に関する司法解釈(一)及び(二)は、民法典の施行(契約法の廃止)に伴って廃止されており、《民法典》の条文に取り込まれた部分以外は空白が生じていたのですが、今回のこの司法解釈でその部分がアップデートされて補われる形になります。
条文数はそれほど多くないのですが、
  • 意向書や備忘録の形式で意向を示しただけで将来の契約締結を約束していないような場合には契約が成立したものとは認めない(第6条)、
  • 政治・経済・軍事など国家安全に悪影響を及ぼす契約、社会の安定を損なう契約、社会の善良な風俗に反する契約などは、法律・行政法規の強制性規定に違反していなくても無効とする(第17条)、
などなど、実際の取引に影響しそうな重要な内容もかなり含まれているようです。
債権譲渡についての規定も大幅に拡充されていますので、細かく読み込んでみる必要がありそうに思っています。

②外国法の調査費用

《渉外民事関係法律適用法》という国際私法のルールに関する法律(日本の「法の適用に関する通則法」、昔の「法例」に相当する法律)の司法解釈(二)が出ました。
https://www.chinacourt.org/law/detail/2023/12/id/150495.shtml
人民法院が外国法を適用しようとするとき、その調査方法はいくつかあるのですが、そのうち一つとして「中国・外国の法律専門家により提供されたもの」があります。このとき、人民法院はその専門家に対して出廷して質問を受けるように通知することができるのですが、現地での出廷が確実な困難な場合はオンラインで質問を受けることもできます。もっとも、単に外国法についての理解を述べるだけで、その他の法廷活動に関与することはできません。
ちなみに、このような外国法の調査のための費用については、「当事者間に約定があれば」その約定に従うものとされています。約定がない場合、裁判所が判決時に合理的負担を定めることができることとされていますので、思わぬ費用負担を生じないように、契約書の準拠法条項には「外国法調査費用は各自負担、裁判所による調査費用は敗訴者負担」など、何らかの約定を追加しておいた方がよさそうです。

③大気汚染改善

国務院から空気品質持続的改善行動計画が公表されています。
https://www.gov.cn/zhengce/content/202312/content_6919000.htm
PM2.5の削減や非化石燃料へのシフトなど、それぞれ具体的な数値目標が示されています。鉄鋼や自動車などの産業分野についての記述もあり、私には技術的な事項はよく分からないのですが、環境関連の事業には影響する部分があるのかもしれません。


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