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中国で提出する書類の記入・署名: なぜ「ボールペン不可」「万年筆で記入」なのか?

中国に関係するビザ申請の関係書類や、中国で会社登記機関(市場監督管理局)や裁判所(人民法院)などの公的機関に提出する書類を記入したり署名したりするときに、「ボールペンで記入しないでください」「万年筆で記入してください」と言われたことはないでしょうか。

2024年6月13日木曜日

「終本」とは?(中国の民事執行法上の用語)

中国の会社の信用調査レポートなどの情報を見ていると、「終本」という見慣れない言葉が出てくることがあります。

この「終本」とは、中国語の「次执行程序(今回の執行手続は終結)」という中国の民事執行手続上の用語の略です。
強制執行の手続を進めてみたけれども、今回は完全に回収するには至らなかったので、いったん今回は手続終了として、後日改めて強制執行しましょう、というときに裁判所がこの「終本」という裁定をします。

「終本」の裁定書を見ると、通常、以下のように、執行手続が終了になった理由が書かれています。
・ 「執行すべき財産が無い」
・ 「既に担保が設定されている」
・ 「執行妨害を受けている」
・ 「債務者が行方不明」 等々...

この理由を見ていただくと分かるとおり、「終本」というのは、必ずしも執行可能な資産・資力がない状態を意味するものではありません。
「終本」は、「一部は回収できたが、完全な回収に至らなかった」という場面でも用いられます。
また、執行可能な財産はあるけれども、何者かが占拠してしまっていて裁判所が競売にかけることができないなど、諸々の事情によって強制執行手続で売却換価を進めることができないときに、幅広く、この「終本」という処理がなされます。


このように「今回はいったん終了する(けれど後日まだ続きがある)」という案件終結方法であることが、「終本」という手続の特徴です。
これに相応する手続は、日本の民事執行の手続には無いように思います。(もし私の不勉強でしたらご容赦ください。)
もちろん、債権の一部が回収未了のまま強制執行事件が終了しても、他に執行可能な財産があれば債権者は改めて強制執行を申し立てることもできますので、実質的には中国とあまり変わらないように思いますが、全額回収に至らなかった場合を区別して「また後日改めて」というニュアンスで手続が終わる仕組みを設けているところは、中国独特の事情によるものかと推測しています。

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