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中国で提出する書類の記入・署名: なぜ「ボールペン不可」「万年筆で記入」なのか?

中国に関係するビザ申請の関係書類や、中国で会社登記機関(市場監督管理局)や裁判所(人民法院)などの公的機関に提出する書類を記入したり署名したりするときに、「ボールペンで記入しないでください」「万年筆で記入してください」と言われたことはないでしょうか。

2024年9月2日月曜日

8月第4週: ①「顧客からの支払があれば支払う」という約定、②広告かどうかの判定(ステルスマーケティング)、③求人関係の取締強化

①「顧客からの入金があれば支払う」という約定

大企業から中小企業への代金支払について、第三者からの支払受領を前提条件として約定した場合(すなわち「当社顧客からの代金入金があれば、貴社に仕入代金を払います」という約定)の有効性に関して、最高人民法院が山東省高級人民法院からの照会に対して回答した内容が公表されています。
https://www.chinacourt.org/article/detail/2024/08/id/8082585.shtml
結論としては、このような約定は「無効」とされています。根拠は《中小企業代金支払保障条例》第6条及び第8条違反とのことです。(日本の「下請法」に似た法令で、大企業から中小企業に対する不合理な取引条件の禁止及び原則30日以内の代金支払義務を定めています。)
当該約定が無効になるだけであって、契約そのものが無効になるわけではありませんから、大企業側は中小企業側に対して仕入代金の支払をしなければなりません。その大企業が顧客からの代金を受け取ったかどうかを問わず、です。
日系企業から見ると「それは、当たり前では?」と思う内容なのですが、中国ビジネスにかかわっていると非常によく見る約定ですので、ビジネスにかかわる方々には是非知っておいていただき、何かのときには活用いただければと思います。

②広告かどうかの判定(ステルスマーケティング)

市場監督管理総局から、広告であることの明示に関する指南が出ています。各地の市場監督管理局が取締を行う際に参照する、取締の指針となるものです。
もともと中国では、広告について識別可能性、つまり「それが広告であると消費者が見分けることができる」ことが求められています。(《広告法》第14条第1項、《インターネット広告管理弁法》第9条)
広告であるときには、活字や音声で「広告」という標示をしなければなりません。
個人が好きな商品やサービスを個人的にお勧めするようなSNSの投稿などをどのように広告と区別するのかについては、日本でもステルスマーケティングについての規制が進んでいますが、今回の指南では、知識の紹介や体験の共有、消費者による評価などの形式を取りつつショッピングサイトへのURLを掲載しているようなものは取締・処罰の対象となることなどが説明されています。

③求人関係の取締強化

人力資源社会保障部と中央インターネット情報弁公室から、人材市場の管理強化に関する通知が出ています。求人・募集や人材紹介、マッチングサイトなど、オンラインで各種の人材関連サービスが展開されていますが、これらに関するものです。
https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202408/content_6971235.htm
虚偽の求人広告、求職者の個人情報の漏洩、就職差別、違法な料金徴収などの問題に対して、①アプリ、ショート動画、チャット等での無許可・無届出の職業仲介活動の取締、②国の身分認証プラットフォーム導入による個人情報の匿名化、などの対策を講じていくとのことです。


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