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2024年9月9日月曜日

公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。
業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。

匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条文は以下のとおりとなります。
(※)通報者が誰なのかを突き止めようとすること。指針上は「通報者の探索」と表現されています。


【日本】
公益通報者保護法第11条第4項に基づいて内閣府が定めた指針第4-2(2)

*****
日本「公益通報者保護法」
第11条(事業者がとるべき措置)
1 (省略)
2 事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。
3 (省略)
4 内閣総理大臣は、第一項及び第二項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。
5~7 (省略)

公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)
第4 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第 11 条第2項関係)
2 事業者は、公益通報者を保護する体制の整備として、次の措置をとらなければならな
い。
(2) 範囲外共有等の防止に関する措置
 イ (省略)
 ロ 事業者の労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとる。
 ハ (省略)
*****

なお、この指針についてはQ&Aも作成されており、具体的にどのように調査を行うのかなど、有益な内容となっています。

(消費者庁Webサイト)

公益通報に限らず、社内での匿名の告発(俗にいう「密告」)など、通報への対応を行うときには、改めて一読いただくと「おさらい」として参考になりそうです。


【中国】
ちなみに、中国でも、通報者に関する秘密は保護されるべきとされており、裁判例でも、通報者に対して行った懲戒処分を無効とする裁判例などがあります。
詳細は機会があれば別途ご紹介したいと思います。

通報対応についてはそれなりのルールも作法もあるということを知っておいて、通報者への「二次被害」はもちろん、対応者の「二次災害」が起きないように、お役立てください。


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