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中国で提出する書類の記入・署名: なぜ「ボールペン不可」「万年筆で記入」なのか?

中国に関係するビザ申請の関係書類や、中国で会社登記機関(市場監督管理局)や裁判所(人民法院)などの公的機関に提出する書類を記入したり署名したりするときに、「ボールペンで記入しないでください」「万年筆で記入してください」と言われたことはないでしょうか。

2021年10月19日火曜日

中国赴任の前に必ず教えてもらう日付


中国で、日系企業が気をつけるべき日付がいくつかあります(中国語で「国恥日」という)。昔は、中国に赴任する方々は赴任前研修などで必ず教えてもらったと思うのですが、私も毎年、忘れています。
5月9日、7月7日、9月18日、12月13日、このあたりは、中国のネットでもよく見かけるので、ビジネスに携わる方々は覚えておいて損は無いかと思います。

10月第2週:①中国の国家基準とISOなどの国際基準、②施設の「退役」費用の積み立て、③児童用化粧品の新規制、④決済用QRコードの規制、⑤石炭発電の電力卸売価格の変動幅拡大

①中国の国家基準とISOなどの国際基準

中国の国家基準を見ていると、最初の方に、「国際基準であるISO●●:●●を採用している」など、参照している国際基準が明記されているのをよく見かけます。
ISOなどの国際基準と中国の国家基準を見比べたとき、一見すると非常に似ているので、同じようなものと理解していると、意外な部分で少し中国独特の要素が入っていたり、逆に国際基準の一部が中国の国家基準には取り込まれていなかったり、といったこともあります。
今回公表された《国家標準化発展綱要》では、発展目標として、国家基準と国際基準の基幹技術指標の一致性の程度を大幅に引き上げ、国際基準の(国家基準への)転化率を85%以上に引き上げることを提唱しています。
グローバルで事業展開をしていく企業各社にとっては、ルールが共通である方が便利で助かることが多いと思います。中国の国家基準が世界をリードして国際基準に反映されていく場面も多くなってくるかもしれません。ただ、当面はまだ、「15%くらい、国際基準と違うところもある」というイメージを持っておいた方が良いようです。

②施設の「退役」費用の積み立て

重点危険廃棄物の集中処理施設については、従来から、《固体廃棄物環境汚染防止処理法》において、「退役」(=稼働終了)時において発生する費用を事前に積み立てておく管理が求められていました。今回は、そのうちの埋め立て処理場について、新たに「退役」費用の積み立て管理についての細則規定が出ました。
2016年に、化学工場跡地に建設された外国語学校の大勢の生徒らが体調不良を生じた「常州毒地事件」が大きく取り上げられ、化学工場跡地の有害物質の除去、土壌修復についての機運が高まって、2018年の《土壌汚染防止処理法》に至った大きなきっかけの一つになりました。危険廃棄物の処理施設は、当然ながら危険廃棄物が集積され、土壌や地下水への漏洩等の危険も大きいわけですから、稼働終了時における土壌修復費用も非常に多額にのぼることがあるのだろうと推測します。
日本でも、化学工場跡地で土壌汚染がある土地のうえにマンションが建設・分譲販売されて大きな問題として報道されたことがあったかと思います。いったん建物が建ってしまった後に問題が発覚すると非常に解決困難な状況に陥ることがありますから、やはり、更地になったタイミングでしっかり対応しておくことは大切なように思われます。そのとき、資金がないと何年も放置するか、そのまま目をつぶって新しい建物を建てて活用するか、非常に困った決断を迫られることになります。
今回は埋め立て処理場についての規定ですから直接関係は無いのですが、平時からの事前の積み立て、法律上の強制ではなくても、考えておくのは良いことと思います。(ただ、実際に積み立てようとしても、税制上の手当てが無いのでは難しいのですけれども。)

③児童用化粧品の新規制

《児童化粧品監督管理規定》という新しい規定が出ました。子供用の化粧品、キッズコスメということで、日本でも流行しているようです。
「誰にでも適する」とか「皆が使える」といったような、子どもでも使えることを明示又は暗示するような記載のある化粧品については、「保護者の監護のもとで使用してください」といったような警告表示を加えなければならないとのこと。
ここでいう「児童」は12歳以下の子どもですので、子どもがそういった注意書きを書いて理解できるのだろうか?(12歳当時の私を思い出すと、仮に理解できても無視するような...)という気もしますが、化粧品の企画・販売に携わる方々は、子供向けでなくても子供向け商品としての規制がかかってしまう可能性がある点にご注意ください。

④決済用QRコードの規制

中国で買物に行くと、商品の横に印刷されたQRコードが置いてあって、そのQRコードをスマホでスキャンして代金を支払う、そんな光景を目にすることがあると思います。日本でも随分と目にする機会が多くなってきました。
今回、このような「静態」QRコードについて、個人については、リモートや非対面での使用を原則禁止するとのこと。
個人が自分の決済用QRコードを提供して、決済代行に使わせることで何%かの手数料を得るという「跑分平台」というサービスがあり、2月頃にも一度、マネーロンダリング等に利用されていることをご紹介していましたが、QRコードをめぐる規制も実情に合わせて変わってくる部分があります。

⑤石炭発電の電力卸売価格の変動幅拡大

天然ガスの価格高騰、中国での事業にはさまざまなところで影響が出てきています。
今年ほど暖冬を願う冬も珍しいかもしれません。



2021年10月5日火曜日

9月第5週:①電力不足による操業停止、②全民医療保障計画、③仮想通貨の採掘(マイニング)活動の取締、④来週休載のお知らせ

①電力不足による操業停止

中国駐在経験者の方々はよくご存じかと思いますが、北京では建物の中は非常に暖かく、家の中では半袖で十分に過ごせるほどです。北京にいたときよりも上海にいたときの方が、よほど寒くて風邪をひいていました。さらに北方に出張することもありましたが、もちろん、一歩外に出れば厳寒で、マイナス10度を下回るような寒さですから、こんなに建物内を暖かくするにはさぞかし大量の石炭が必要だろうなと思いながら、巨大な火力発電所を眺めていたことを思い出します。
中国では、産業用の電力料金が、一般個人の住居向けの電力料金よりもかなり高めに設定されていることが多いですので、中国で工場運営にかかわられた方々は電力コストの高いことに驚かれたこともあるかもしれません。高いにもかかわらず供給が安定しない、なかなか困ったことですが、生産計画等については各社ともその都度、調整なさっていると思います。ただ、今般はどうも普段よりも急だったのか、工場での事故につながってしまったようで、新聞記事になっていました。急な停電でも重大な事故につながらないよう、社内の対応マニュアルに1ページ、足しておいていただければと思います。

②全民医療保障計画

2週間ほど前に、全民医療保障計画が国務院常務委員会を通過したというニュースをお知らせしていましたが、詳細内容が国務院弁公庁から発布されました。
主要指標が表になっていたり、かなり項目も多くなっていますので、医療・製薬などヘルスケア業界の方々はご覧いただけると参考になる箇所もあろうかと思います。

③仮想通貨の採掘(マイニング)活動の取締

発展改革委員会から、仮想通貨の採掘(マイニング)活動の取締についての通知が出ています。エネルギー消費・二酸化炭素排出量が多いわりには国民経済への貢献度が低く、産業・科学技術の発展にもあまり役立たないということで、「産業構造調整目録」の「淘汰類」に分類し、投資を禁止する産業とされました。
中国人民銀行からも、いわゆるステーブルコインであっても仮想通貨を貨幣として市場で流通させてはならないということ、国外の取引所がインターネットを通じて同様の活動を行うことも禁止されているということ、いずれも通知で明確にされています。
ブロックチェーン技術は役に立ちますが、仮想通貨は役に立たないということで、方向性としては数年前からはっきりしてきているところですが、改めて明確に意識しておきたいところです。

④来週の休載のお知らせ

なお、今週が国慶節の連休ですので、来週は休載させていただきます。


2021年9月28日火曜日

9月第4週:①ソフトウェアのアップデート時の条項、②高層ビル火災と電動自転車、③知的財産権強国、④恒大集団関連の記事

①ソフトウェアのアップデート時の条項

とあるEV(電気自動車)のメーカーがあり、そのメーカーが展開している車種では、オンラインでのアップグレードによってソフトウェアが更新でき、運転支援などの機能が向上していって最高でL4の自動運転機能まで実現できるという触れ込みになっています。
しかし、そのEVメーカーからの更新通知を受けた車両オーナーからの話によると、「個人のナビゲーション及び音楽再生の履歴の収集」などプライバシーに関する条項があり、且つ、その更新通知には「同意しない」のボタンがなく「閲読して同意しました」のボタンしかないとのこと。しかも、その同意ボタンを押さないと、引き続きクルマを使うことができなくなったそうです。しかも、今回が初めてではなく、7月にも同様にアプリの更新で「不同意」を押すとアプリが強制終了され、アプリが使用できず、クルマの機能が使えなくなってしまうということがあったとのこと。
自動運転と、OTA(Over the Air)技術によるオンライン更新、この2つの技術はまさに車の両輪のように今後の新たな車種での技術を牽引していくはずですが、更新のたびに意に沿わない条項に同意しなければクルマが使えなくなるようですと、消費者からの苦情が絶えないことになりそうです。しかし、ソフトウェアが更新されずバラバラなまま運用されているというのも危険なように思います。
個人情報保護法やデータ安全法にも関わる新たな課題、どのように解決されていくのか気になります。

②高層ビル火災と電動自転車

6月に民間用の高層建築についての消防管理規定が発布された関係によるものなのか、中国のビルにおける火災のニュースを目にすることが増えた印象があります。
電動自転車を建物内に持ち込んで充電していると、そこから出火して火災になってしまうことがあります。2009年以降だけで、この原因による火災で3名以上がなくなった事故が70件以上あるとのこと。バッテリーも使っているうちに劣化してくると思いますし、耐用年数もあるはずですが、車検のように何年かごとにチェックする仕組みがないと、危ないまま使ってしまっていることもあるのではないかという気もします。
充電場所を決めて防火設備を設置する、過剰充電の遮断機能をつける、といった規制が設けられていますので、電動自転車の駐輪と充電にはお気をつけください。
ついでに脱線しますと、かつて私が上海にいたころ、マンションで大きな火災事故があり、そのあおりを受けて建設中の工場の消防検査が非常に厳しくなってしまい、操業開始が大きく遅れてしまったという事例がありました。また、北京では事務所の隣の部屋が消防検査に不合格になり、ずっと使えない状態になっていたこともありました。(私自身も「こんなに要るだろうか?」と思いながら何本も消火器を買い揃えたことを覚えています。)
それ以降、大きな火災のニュースには個人的にはいつも気をつけるようにしています。「対岸の火事」と思わずに、消防検査が厳しくなることを予測する一つの材料をご理解ください。

③知的財産権強国

「知的財産権強国」建設のための2035年までの綱要が公表されました。
綱要ですので、特に具体的なことが書かれているわけではないのですが、特許集約型産業の育成に力を入れることが大きな目標として掲げられており、さらには知的財産権取引価格の統計発布メカニズムを構築することや、国有知的財産権の帰属及び権益分配メカニズムを改革することといったように、知的財産権の価値の実現・運用のメカニズムを整備していくことが掲げられています。
また、知的財産権を担保とする知的財産権融資モデルについてもイノベーションを模索していく、著作権取引プラットフォーム、作品の資産評価、登録認証などサービスについても整備していく、といった施策が掲げられています。
もちろん、データについても、データの開放とプライバシーの調整処理を改善して、知的財産権としての価値を有するデータ資源の市場価値を実現させるための制度を整備していくとのことです。
その他、人材育成などを含めたさまざまな施策が挙げられていますので、今後も具体的にどのような制度が導入・運用されていくのか注目していきたいと思います。

④恒大集団関連の記事

毎週さまざまな中国のニュース記事を見ていますが、恒大集団に関する記事については、かなり大きな影響が出ていると取り上げているものもあれば、逆に中国語版リーマンショックなんてあり得ないとするもの、さらには比較的中立・客観的な記事まで、なかなかバリエーションに富んでいます。
普段、中国でのニュースの内容は方向としては似たり寄ったりという感じなのですが、今回は両極端な記事を含めてバラバラな印象で、どれかの記事を取り上げるとその記事を支持しているような印象になってしまうかと思い、選べませんでした。
一方で、日本でのこの恒大集団の件についてのニュースなど見ていると、どちらかというと悲観的なものに偏っているようで、「共同富裕」だから救済できないというような内容にある程度方向が揃っているように感じるところもあります。あくまで個人的な印象だけですが、「皆がそう言っている」という状況の方が情報を選ぶ苦労が無くてむしろ楽なのだなぁと実感したこの数日でした。

2021年9月21日火曜日

9月第3週:①ネットに対する規制は今後も強化の方向、②国民皆保険計画、③世界ロボット大会、④税関の企業等級分類の改正

①ネットに対する規制は今後も強化の方向

中共中央弁公庁、国務院弁公庁から、《ネットワーク文明建設の強化に関する意見》が発布されています。
オンラインゲームの規制などが最近は話題ですが、中国政府として、ネット空間における思想や道徳の面での対応を強めていくことが示されています。青少年の保護についてプラットフォームの責任を強化するなど、今後も新たな規制が導入されてくると見込まれます。
「清朗」「浄網」といった一連のネット環境の改善のための活動もさらに推し進めるとのこと。個人情報保護法やデータ安全法の執行も含めて、一般市民の法的知識・素養を高めていくことも掲げられています。
歴史虚無主義に反対する、品性・人徳が高いネット文明環境を形成する、といったことも述べられているので、中国のネットユーザーも視野に入れたコンテンツの制作・提供にも影響してくると思います。

②国民皆保険計画

第14次5ヶ年計画期間における全民医療保障計画が公表されました。
「全民保険加入(国民皆保険)」計画を確実に実行していくということで、都市居住者が居住地・就業地で保険加入することを推進、また、柔軟性就業人員(個人請負などの形態での就労者)について保険参加のための戸籍面での制限を緩和するとされています。商業健康保険、特に高齢者向けの保険商品も発展させていきましょう、とのこと。
また、省を跨ぐ医療保険の手続について、オンラインで精算できるようにするということも掲げられています。他の省で病院に行っても地元の省で医療保険の精算をしなければならないという手続負担が軽減されていくことが見込まれます。

③世界ロボット大会

9月12日まで北京で「世界ロボット大会」が行われたということで、外骨格ロボット、手術ロボット、柔性ロボットアームなどの製造・物流業務で使われるロボットのほか、掃除ロボット、配膳ロボット、ロボット犬といったサービス・娯楽ロボット、さらに消防ロボット、AIゴミ集積所といった特殊ロボットなど、さまざまなロボットが展示されたそうです。
記事によると、中国の工業ロボット市場規模は8年連続で世界第一位とのことで、国家統計局のデータでは2016年から2020年にかけて工業ロボット生産量も年平均31%伸びたとのこと。医療・養老・教育といった分野でのサービスロボット、特殊ロボットの需要も伸びていくことが期待されています。
もちろん、工業分野においても、労働集約型産業における求人難・人件費高騰を受けて、ロボットによる代替が進んでいくことも見込まれています。ハイエンド分野ではまだまだ中国国産メーカーのシェアは低いそうですが、全体としての国産シェアは高まっているとのこと。中国的特色あるロボット、どんなものが出てくるのか楽しみです。

④税関の企業等級分類の改正

税関の企業等級分類が4段階→3段階に変わりました。
ご参考まで。

2021年9月15日水曜日

9月第2週:①食品・化粧品過剰包装の国家基準、②文化・道徳に関する通知、③販売員の使う資料(コロナ予防に有効?)、④ワクチン接種とスーパー入店、⑤「建設単位」≠建設会社

①食品・化粧品過剰包装の国家基準

食品・化粧品の過剰包装の制限についての強制性国家基準GB 23350-2021が改正されました。改正前のものは2009年版だったそうで、この新たな国家基準は「2023年」9月1日から(つまり2年後に)施行となります。
法律レベルでも《固体廃棄物環境汚染防止処理法》第68条において、過剰包装を制限する国家基準を遵守すべきことが規定されています。商品が市場に出ていって販売され終わるまでの期間を考えても、2年はずいぶん長いなと感じます。
ちょうど中秋節ですから、過剰包装の代表格としてどうしても頭に浮かんでしまうのは「月餅」です。特に北京にいた頃は、お菓子を買っているのか箱を買っているのか分からないほど、箱の方が立派でした。月餅は日持ちするので早めに買う人も多いのですが、さすがに、去年の月餅というのは無いでしょうし...。
一方で、化粧品は、これから企画することを考える場合には、市場に出て全てが売り切れるまでには2年以上かかりそうですから、今から新しい基準に適合させるようにしておく方が良さそうです。
今回の改正では、中身の重量又は体積と最も外側の包装の体積や、包装が何層になっているかなどが変わったようです。全文は下記URLからご覧ください。
 中国 国家基準全文公開システム: http://openstd.samr.gov.cn/bzgk/gb/
国家基準の改正に合わせて商品の仕様変更が必要なのに、その施行日までに仕様変更をするのを忘れていたり、間に合わなかったり、という事例をときどき見かけます。法律は直接に商品仕様に影響することは多くないですが、国家基準は例えば包装で言えばラベルの色や注意書きのフォントなど細かく具体的なことが書いてあることが多く(今回の過剰包装かどうかという問題とは別ですが)、機能や形状の面でもダイレクトに商品仕様の変更が必要になってくることが多いですので、国家基準、ゆめゆめ軽視することのないようにした方がよろしいかと思います。

②文化・道徳に関する通知

社会的に影響力が大きい著名人の方々については、スキャンダルが発生すると影響が大きいです。ですので、芸能人をはじめとする文化・芸術分野の人たちには、憲法や著作権法、税法などの重要な法律法規をしっかり学習してもらうように、ということが文化観光部からの新たな通知で発布されています。
「実際の業務と結びつけた形での法律教育を行うこと」と書かれており、これは私も企業内弁護士時代の経験から非常に重要と思っており、常に意識していることでもありますし、このワークショップの趣旨・目的でもあります。
また、ビジネスの面で言うと、違法行為をした、非道徳的・非模範的なことをした人員に対しては、舞台やプラットフォームを提供してはいけない、ということも規定されています。
せっかく高いギャラを払っているイメージキャラクターのタレントさんのCMが使えなくなる、商品を紹介してもらっているSNSが閉鎖される、そのようなことも起こりやすくなっていると思いますので、宣伝・広告関係の契約書には「道徳を守り、模範的な行動を」ということを書かないといけないのかな?とも考えています。

③販売員の使う資料(コロナ予防に有効?)

日本の新聞でも報道されていますが、ヤクルトが上海の某スーパーで「善玉菌は新型コロナウイルスの予防において重要な作用がある」という内容の宣伝チラシを配り、消費者からの通報を受けて直ちに回収したものの、市場監督管理局から罰金の処罰を受けたとのこと。
少し脱線しますが、ヤクルトといえば、マーケティングの世界ではヤクルトレディによる販売方式が非常に特徴あるものとして有名です。これまで、中国の労働者はどこかの「単位」(企業など)に所属して賃金をもらうスタイルが基本だったのですが、最近では、新たな就業形態の促進ということで、宅配などいわゆるギグワーカー(個人事業主?)として働く人も増えていますから、ヤクルトレディのような仕組みも中国では広まるかもしれません。
そのようなとき、個々人がどんな販売促進資料を持って商品を売りに回っているか、きちんとチェックすることは難しいのでは?という気もします。

④ワクチン接種とスーパー入店

中国では以前から「健康コード」というQRコードを使った行動制限がありますが、現在はさらにワクチン接種記録もスマホのQRコードで表示されるようになっており、この2つのQRコードでの感染予防が行われています。
中国の一部の地方では、ワクチン接種を加速するために、ワクチンを接種していない人たちはスーパーマーケットや病院などの公共スペースへの立入を制限するという措置を採っていることがあるらしいです。ただ、このような制限措置については、ワクチン未接種の人たちに非常に不便をもたらすということで、そのような措置を採っている地方に対しては是正を求めているとのこと。ワクチンを打ちたくても打てない人もいるでしょうから、スーパーに買い物にも行けないというのは、さすがに少しやり過ぎということでしょう。
中国ではワクチン接種回数は累計21億回以上、接種完了した人の数は9億6972万人とのことで、かなりの人たちがワクチン接種を済ませているようですが、これから中秋節、国慶節の連休期間に向けて引き続き感染予防が呼びかけられています。

⑤「建設単位」≠建設会社

工事建設分野における農民工への賃金支払を確保するための2つの法令が出ています。
工事を発注する側の企業に義務が課されている部分もありますので、建設業界以外の会社でも知っておいていただければと思います。
ちなみに、工事関係の法令ではよく「建設単位」という言葉が出てくるのですが、これが日本語訳では概ねそのまま「建設単位」となっているか、「建設会社」「建設企業」のように意訳されていたりしますので、非常に誤解が生じやすいです。
「建設単位」は、日本語にいう「建設会社」(=実際に建設工事を行う建設業者)のことを指しているのではなくて、建設工事を発注する主体(工場や倉庫などを建設するために、その工事を発注する会社)のことを指している場面が多いですので、日本語訳を見るときに勘違いしてしまわないように十分ご注意ください。

2021年9月8日水曜日

9月第1週:①経済・財政に関するネット情報の取締、②ダンプカーのナンバープレートをめぐる行政独占、③音楽の独占配信権を放棄、④医療サービス価格改革、⑤「十四五」就業促進計画


①経済・財政に関するネット情報の取締

国家インターネット情報弁公室では、ブログやSNSなどを通じて発信されている経済・財政類の情報について、10月26日まで、特別取締の第一段階を実施するとのこと。
財政部、中国人民銀行、証監会、銀保監会などの部門とともに、主に8つの類型の違法問題を打撃するとしています。
①経済・財政政策方針やマクロ経済データを曲解、②中国の経済・財政政策分野についての海外の報道をそのまま転載、③「独占スクープ」「関係者が語る」など非公開情報を騙ったデマ、④適法な経済・財政ニュースの一部に悪意ある編集を加えて転載、⑤「黒嘴」(SNS等を使って株式投資を勧めて会費を得るなどの違法行為を行う者)など市場攪乱行為、⑥ネガティブ情報の喧伝などによるゆすり・たかり、⑦社会的事件の喧伝により不安など情緒をあおって金融商品等を販売、⑧厳格な本人確認を経ずに政府部門関係者や専門家等の名義でアカウントを開設するなど。
会社の業務としてこれらの情報発信を行うことは通常は無いと思いますが、個人で何かつぶやいてしまうことはあるかもしれませんので、ご参考まで。

②ダンプカーのナンバープレートをめぐる行政独占

中国の《反独占法》は、民間の企業・団体のみならず、政府機関による行政独占も規制対象としており、行政権力の濫用による競争の排除・制限を禁じています。
今回は、深セン市の交通運輸局と公安局警察局が、ダンプカーのナンバープレートについて、全国的ルールとして定められているもの以外に、地方独自の届出番号や合格証取得を義務付けたことについて、他地域の運輸企業や個人の運転手が土砂の運送に従事するハードルを法的根拠なく高めているとして《反独占法》第37条違反として立件調査対象となりました。
各地域で業界団体を作らせ、そこでの研修を経た人にだけ特定業務に従事できる資格を付与するやり方も、比較的よく見られるところです。
「郷に入れば郷に従え」ということで、実務としてはそのようなローカルルールに従わざるを得ないのですが、ナンバープレートのように総数や枠が決まっているものなど、参入障壁が高そうな場合、市場監督管理局に相談してみるのも一案かもしれません。

③音楽の独占配信権を放棄

Tencentが運営しているQQ音楽という事業があるのですが、その事業に関して、2016年にTencentが中国音楽集団という会社の株式の60%超を取得したことがあり、それにつき7月に企業結合の届出をしていないということで処罰を受けていました。
この両社、アクティブユーザー数がそれぞれ1.6億人、2.3億人、市場シェアは33.96%と49.07%という圧倒的シェアで、この2社が結合することにより上流の版権元から独占的ライセンスを提供させたとのこと。
届出をしていなかった違反による罰金を支払うことのほか、市場競争状態を回復させるための措置として、上流の版権元から独占的ライセンスを受けていたものについて、独占権を放棄することを命じられていました。
今回はこれを受けてTencentが各版権元に対して独占権放棄の通知をしたとのことで、消費者にとっても、音楽配信市場に参入したい各社にとっても、音楽の配信を受けられるルートが増えることになります。
良い作品が良い形で流通するようになって欲しいと思います。

④医療サービス価格改革

医療サービス価格項目の改革について、今後3~5年で試行による経験を積み、2025年から全国に普及させるとの目標が示されています。
公立病院での医療サービスについては、現状では地方によって差があるのですが、そのサービス価格項目編製のルールを細かくしていくことで差を解消していく方向のようです。医療サービス価格の制定・調整ルールを綿密に設計することで、行政部門の自由裁量権を小さくするとも言及されています。
一方で、価格調整メカニズムの面では、一般的な医療サービス項目の基準価格は、都市ごとの就業人員の平均賃金によって定期的に調整することになっていることなど、多様な要素が考慮されるようですから、医療の場面でもデータの活用が今後も重要視されてくると思われます。
非公立の医療機関については、価格決定は市場メカニズムに委ねられることになっていますが、品質と価格が合うことなど、行政指導や公表措置などを通じて良好な価格秩序が維持されるようにするとのこと。医療保険を使うときは当然、医療保険基金から支払われる金額に拘束されるわけですが、それ以外の場面でも、医療サービスの価格の決め方については完全に自由ではないと理解しておいた方がよさそうです。

⑤「十四五」就業促進計画

都市部の新規就業者数増加などの目標と、そのための措置について定めた第14次5ヶ年計画期間の就業促進計画が発表されています。
新たな就業形態、さまざまな形での柔軟性ある就業、これまでの雇用慣行とは異なる就業形態が促進されることも見込まれます。
社会保険の登録など、関係する制度の運用についても今後は変化が生じてくると思われます。

2021年8月31日火曜日

8月第4週:①自動車データ安全管理若干規定、②会社の「休眠」制度、③「農民工」(出稼ぎ労働者)、④食品安全関連の6件の著名事件

①自動車データ安全管理若干規定

自動車関連のデータセキュリティに関する規定が発布されました。施行は《データ安全法》と《個人情報保護法》のちょうど中間、10月1日の予定です。内容から考えて、「2022年」の10月なのでは?と不思議に思い、2回、3回と見直してみましたが、やっぱり今年、「2021年10月1日」と書いてありました。
ずっと以前からあるカーナビや地図案内アプリはもちろん、日本では最近「あおり運転」の問題があって搭載が増えたドライブレコーダー、カメラやレーダーなどを使ったセーフティ・サポートカーなど、自動車の走行に関しては敏感な地図データ、運転者の個人データなどを含めて、多くのデータが収集・処理されますし、今後はもっとその傾向が加速するでしょう。
今回の規定では、「重要データ」は中国国内に保存しなければならないことが定められました(第11条)。安全評価を受けて認められれば中国国外に提供することもできるようですが、安全評価時に明確にした目的・範囲・方式及びデータの種類・規模などの範囲を超えることができません(第12条)。《データ安全法》第31条では、従来から《ネットワーク安全法》で規制されていた範囲以外の「重要データ」の国外移転について、別途の安全管理弁法を制定することとされていましたが、今回のこの自動車データの安全規定がそのうちの一つということになるのでしょう。
草案段階では、「個人情報」も中国国内での保存となっていたようですが、正式発布された内容では、対象は「重要データ」に限られています。「重要データ」には、顔やナンバープレートなど社外の画像データや、10万人を超える個人にかかわる個人情報などが含まれますが(第3条)、それ以外の個人情報の国外提供の安全管理については、別途、関係する法令の規定に従うとされています。
(ちなみに、「重要データ」の一番目にはもちろん、軍の施設や党の機関などの重要な敏感区域に関する地理情報や人員・車両の通行量などのデータが挙げられています。うっかりこれらの情報を国外に持ち出すと、スパイの嫌疑を受けることにもなりそうです。)
データの保管場所を変えるのは10月1日までにできそうな事柄には思えませんので、先んじて中国にデータセンターを確保していた各企業の方々は非常に先見の明があったということになりそうですね。
このほか、4つの原則(第6条)が掲げられていますが、このうち「デフォルト不収集」原則というのは、毎回の運転時にデフォルトの設定としてデータを収集しない設定にするようにすることが提唱されています。本人が自主的な設定で変更することは可であるものの、データ収集にあたっての告知事項が細かく、さらに、ユーザーマニュアルや車載画面、音声、アプリなどで目立つ方式で告知しなければならないとされているので(第7条)、もし毎回の設定になると、なかなか面倒なようにも思います。
その他、自動車業界に限らず、《データ安全法》と《個人情報保護法》のもとでは同様の規制が多方面で見られるようになるのではないかという気もしますので、是非、参考にしていただければと思います。

②会社の「休眠」制度

以前にもご紹介したことがあったかと思いますが、会社の「休眠」制度が正式に全国で適用されるものとして国務院から規定されました。企業等の登記に関する規定の一部で定められています。
「休眠」の登記をすることによる具体的効果がどうなのか、今後の運用を見ながら考えていかなければなりませんが、事実上「休眠」状態にある会社は既に多数存在しているのが実態ですので、それらの会社はわざわざ「休眠」登記の申請をすることはなさそうな気もします。
一点、中国ではペーパーカンパニーは認められないと長らく言われてきましたが、今回のこの条例では文書送達場所をもって登録住所と見なすとされています。「休眠」状態であればバーチャルオフィスも何もなくてもOKとなりましたので、この点は一つ、無駄なオフィス賃料を節約できて良いことかと思います。
一方で、取引先管理という観点では、債務の支払をしないまま「休眠」状態に入ってしまう会社も出てくると思われます。会社が運営している状態ならば、継続的な収益から弁済を受けることも期待することもできますし、売掛金や在庫商品などからの回収も図れるのですが、事業活動が止まってしまうと取引先としては困ることも増えそうです。(ただ、これまでは登記や届出の制度がなかっただけで、事実上は知らないうちに休眠してしまっている会社もありましたから、実はそれほど実務面での影響は無いのかもしれません。)

③「農民工」(出稼ぎ労働者)

「農民工」と言えば、上海万博や北京五輪の当時に建設現場などでよく見かけたような、農村から大きな布団を持って都市に出てきて働く出稼ぎ労働者をイメージします。しかし、現在、北京に出稼ぎに来ている人たちのうち半数以上は、肉体労働ではなくIT業界などで働いているそうです。
80年代以降に生まれた比較的若い世代の出稼ぎ労働者は、農業にほとんど従事したこともなく、報酬の多寡だけではなく自身の将来性などを考慮して仕事を選ぶ、といった傾向がみられるとのこと。
特段の技能を要しないローエンドの製造業などで働き、流動性が比較的高い伝統的な出稼ぎ労働者が農村からほぼ無限に供給された時代は終わりを迎え、都市化のための新たな戸籍制度も推進されてきています。
10年で大きく変わった中国、「農民工」という言葉のイメージも少し変えていかないといけないようです。

④食品安全関連の6件の著名事件

「民有所呼,我有所应」。民衆の呼ぶ声があればそれに応えるということで、今年4月以来話題となった食品安全関連の6件の著名事件(火鍋店や喫茶店、ファーストフード店やスーパーなど)について、それぞれ厳しく取り締まった状況が発表されています。
「四个最严」、4つの面から最も厳しい取り締まりがなされたとのことで、①問題が発見された店舗だけでなく同ブランドの全店舗を対象とした調査、②末端の店舗だけでなく本部及び地域支部への行政指導、③店舗だけでなく店長や責任者個人への処罰、④当該企業だけでなくサプライチェーンの上下流の同業関係企業にも調査を広げる、といったことが紹介されています。
食品安全には「ゼロリスク」はないが、あらゆる違法行為に「ゼロ容認」を貫くとのこと。これまでも、取引先や同業他社で何らかの事故や不備があると我が社にも調査が波及してくるという事例は目にしたことがありますが、今後はさらにそういった展開も予測しておくべきということになりそうです。


2021年8月24日火曜日

セミナー告知: 中国《データ安全法(データセキュリティ法)》、《個人情報保護法》の対応

中国の《個人情報保護法》が成立して、11月1日施行まで、およそ2ヶ月となります。
10月には国慶節休暇期間もありますので、対応は早めに進めておいた方が良い部分もあるかもしれません。

日本では、施行までの準備期間も長く設定されていることが多いですし、どのような対応を取れば良いかについても、公的機関や各種業界団体からさまざまな形での情報発信がなされ、比較的取り組みやすい親切な環境があります。
しかし、中国ではそういった便利な情報が少なく、今回の中国《個人情報保護法》についても、具体的に何をすれば良いのか、分かりやすい情報はあまり見当たりません。
また、中国《個人情報保護法》の内容についてネット上で参照することができる記事も、現在のところ、まだ過去の意見募集稿に関する古いものが多いようです。(ネットの記事を参照する際は気をつけてみてください。)

ちょうど10月19日に登壇させていただくセミナーもありますので、この機会にお知らせしておきます。


化学工業日報社様主催:
10/19ライブ配信《ビジネスセミナー》
『中国データ安全法(データセキュリティ法)と、中国個人情報保護法に関する対応』

2021年8月23日月曜日

8月第3週:①個人情報保護法が成立! ②基幹情報インフラ安全保護条例、③保険を解約して再契約させる違法行為、④「刷酸(ピーリング?)」美容施術は医療行為

①個人情報保護法が成立!

中国の《個人情報保護法》がついに成立しました。6月に成立した《データ安全法》と並行して審議されていたので、そろそろかと思っていましたが、8月18日に第三次審査稿が出たという発表があってから数日での正式公布という急展開となりました。
正式公布になった全文は、下記URLから見ることができます。
(今回配信の資料では、まだ、第三次審査稿が出たという発表までしか反映できておりません。ご容赦ください。)
施行は11月1日からとなっています。
詳細はまだ見ていませんが、個人との間で契約を結ぶために必要な情報や、会社が個人を雇用するために必要な情報の処理は、同意不要になったようで、少し安心しています(第13条第1項第2号)。もちろん、同意なしでできる範囲は限られるので、結局は同意を得なければならないということも考えられますが、これは今後の課題となります。
一方、個人情報の国境を跨いだ提供については、単独の同意が必要であること(第39条)など、概ね従来の意見募集稿と変わりないようですから、これらについては今後、各企業においても対応が必要になる部分と思われます。
ちょうどお盆休みのうちにセミナーの資料を作成しておりまして、残念ながらその資料の内容は修正しなければならなくなりましたが、10月のセミナーでしたので、開催直前の変更ではなくてよかったとホッと胸をなでおろしています。

なお、同じく8月20日付で、自動車データ安全管理に関する若干の規定(試行)も発布されています。こちらでも個人情報に関する規定がありますし、中国国外へのデータ提供についての安全評価制度が導入されているなど、実務に影響がありそうですが、こちらも今回の資料では間に合いませんでしたので、来週以降取り上げます。

②基幹情報インフラ安全保護条例

基幹情報インフラストラクチャ―安全保護条例も発布されています。
ネットワーク安全法(サイバーセキュリティ法)では、基幹情報インフラの安全を非常に重視しており、その運営者には通常のネットワークに比して段違いに重い各種の義務を課しています。
(些事ですが、ネットワーク安全法はまさにネットワークの安全に関するものであり、サイバー空間はネットワークの中にあるとか限らないのでは?と常々疑問に思っています。ですので、私は頑固にずっとネットワーク安全法と呼んでいます。)
滴滴の一件でも話題になった《ネットワーク安全審査弁法》もありますが、銀行ATM一つとっても問題が生じると多数の人たちに非常に不便を生じることを考えると、この方面での規制が厳重になるのは自然かとも思います。
《ネットワーク安全法》で定められていた「専門のネットワーク安全管理機構の設置」及び「ネットワーク安全管理責任者及び基幹職位の人員に対する安全背景審査の実施」について、より具体的な規定が出るかと少し期待していましたが、見たところその部分は特に従来と変わりないようです。
テロ対策との関係でも求められている「安全背景審査」、オリンピック関係者のお話もありましたが、今の時代、どこでも人選にあたって従来とは異なる配慮が必要になっているのだなと思います。

③保険を解約して再契約させる違法行為

今回のニュース記事の中では、社内不正関連の題材として、保険の勧誘について、元の保険を解約して改めて契約させるという違法行為が摘発されていた事件を取り上げました。
日本でもかんぽの事例がありましたが、全然異なる点として、日本のかんぽの問題は過剰なノルマをこなそうという「会社のため」の真面目さの表れでしたが、こちらの中国の事例は「新規顧客獲得」インセンティブをせしめるための「個人のため」の不正行為でした。日本のかんぽの事例は被害者は個人の消費者でしたが、中国のこの事例は被害者は保険会社である、という点も異なります。(保険会社の従業員になりすまして販売している点も異なります。この点は、オレオレ詐欺にも似ていますね。)
ただ、保険の業界に限らず、営業活動について様々なインセンティブを付与している例は多いと思いますので、その制度を悪用している人がいないか、内部統制にかかわる方々には視点として持っておいていただければと思います。
また、異なる背景、異なる動機であっても、現れてくる現象としては共通ということもありますので、やはり、何らかの現象に違和感を感じて察知する感性は日ごろから磨いておきたいなと思っています。

④「刷酸(ピーリング?)」美容施術は、医療行為

国家薬品監督管理局から発表された注意喚起情報によると、「刷酸」という美容用語が流行しているとのこと。
「刷酸」とは、美容施術の一種で、角質除去・保湿、新陳代謝促進、毛穴をきれいにする、といったように美容に良いとされているのですが、腫れ、シミ、痛みなどの副作用も出てくることがあり、傷跡が残ってしまうこともあるそうです。
ですので、「刷酸治療」は必ず医療資質のある病院や診療所で、研修を受けた専門スタッフの施術を受けるようにしてください、という注意喚起になっています。
化粧品の中でも「酸で皮膚を入れ換える」といったような宣伝をしているものがあるらしいですが、化粧品は医療作用があるものではないので、「刷酸治療」とは本質的に別のものだということも説明されています。ですから、化粧品についてこのような宣伝をしてはいけないと言われています。
いつもセミナー等で申し上げていることですが、日本での宣伝文句をそのまま中国語に訳していると、中国では違法となってしまう場面がありますので、どうぞご留意ください。