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公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...

2022年10月3日月曜日

9月第4週:①増値税の控除未済にかかる税還付(留抵退税)をめぐる取締、②個人の住宅買い替え減税、③ネットワーク安全法改正の意見募集

①増値税の控除未済にかかる税還付(留抵退税)をめぐる取締

新たな法令が出たわけではありませんが、よく目にする話題としてご紹介いたします。
今年に入ってから、増値税の控除未済にかかる税還付をめぐる取締が強化されており、各地の税務局が競うように取締の実績を公表しています。
9月29日の新聞発表会(下記記事の六、部分)でも、引き続き重点的に取締を行っていることが紹介されています。
もともと今年に入って4月1日から、財政部/税務総局公告第14号などにより控除未済にかかる税還付(「留抵退税」。仕入税額控除ができていない分の増値税を還付する税制優遇政策)が推進されており、企業の資金繰りを支援するものとして大きく宣伝されていたのですが、その一方で、虚偽の申告をしてそのような税還付を騙取する犯罪行為を厳しく取り締まる旨の6部門連合での通知(税総稽査発〔2022〕42号)も出ていました。

日本でもコロナ禍で持続化給付金など補助金が支給されたとき、これに関する不正受給も起きていましたが、どこの国でも同じようなことがあるのだなと思います。
このような取締強化の活動によって、還付を受けた企業が後に税務局による調査を受ける場面も出てきています。不正に還付を受けておらずとも、何らかの嫌疑により調査を受けること自体、企業活動に影響がありますので、還付を受けた後はその後の調査が来たときもすぐに説明ができるように、少しの資料と心の準備は無いよりはある方がよさそうです。

②個人の住宅買い替え減税

企業の業務にはあまり関係ありませんが、中国経済の見通しや中国の方々による日本の不動産取得には少し影響するかもしれないと思いましたので、ご紹介します。
2022年10月1日から2023年12月31日までの間に、自己所有の住宅を売却して1年のうちに新しい住宅を購入した場合、既に納税した個人所得税が還付されるという減税政策が出ました。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n363/c5181858/content.html
同一都市内での買い替えのみが対象であり、また新たに購入する住宅と旧住宅売却時の納税者が直接に関係していなければならないという条件があります。
(買い替えの機会に子どもの名義にするときにも適用できるのでしょうか。)

③ネットワーク安全法改正の意見募集

ネットワーク安全法の改正についての意見募集が出ています。
http://www.cac.gov.cn/2022-09/14/c_1664781649609823.htm
概ね、罰則規定について処罰の種類と幅を調整する内容のようですが、一つ気になる条文案がありました。
第70条(国の安全を損なう情報、暴力的・色情的な情報、虚偽の情報などの発信・伝達に関する処罰)について、「法律、行政法規に規定がない場合」に関係主管部門が是正命令や警告、批判通知、違法所得没収といった処罰をするという新しい規定を追加するようです。
もともとの「第12条第2項並びにその他の法律及び行政法規により頒布又は伝送が禁止される情報を頒布し、又は伝送した場合」という規定自体、その他の法律・行政法規が何かが分かりにくいのですが、どのような行為が処罰対象となるのか分かりやすくなることを期待したいと思います。

2022年9月26日月曜日

9月第3週:①中央企業と紛らわしい企業リスト、②国家基準管理弁法改正(国家基準の外国語版と版権・著作権)、③クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起

①中央企業と紛らわしい企業リスト

国有資産監督管理委員会から、中央企業(中央政府が監督管理する国有企業)と紛らわしい名前の企業があるということで、そのような企業のリストが公表されていました。
今回のものは第二弾だそうで、第一弾は去年10月に出ていました。
これらのリストに掲載されている会社、社名に「中鉄」や「中建」などの文字が入っていて見た目は中央の国有企業の傘下のグループ企業のように見えるのですが、実は投資関係も提携関係もないそうです。
以前は中国は会社名称の審査が厳しかったですが、今はこのような紛らわしい社名でも登記・登録できてしまうようで、規制の変化の表れでもあるかと思います。

②国家基準管理弁法改正(国家基準の外国語版と版権・著作権)

中国の国家基準(GB:国家標準)に関する法令、《国家基準管理弁法》が改正されました。1990年施行以来の改正となります。
《標準化法》も2018年施行のものが1989年の施行以来の改正であったので、こちらも《標準化法》の改正を受けたものと理解してよいものと思います。強制性国家基準については、先に2020年に施行された《強制性国家標準管理弁法》が優先となります。
技術発展の過程にあって、発展を指導する必要がある又は標準化するに値する項目については、国家標準化指導性技術文書(GB/Z)という別の文書で定めることができることなどが定められています。
国家基準とその外国語版について、「版権」(=著作権。《著作権法》第62条)があることも明文で規定されています。国家基準自体に著作権があるので外国語版にもその著作権が及ぶことは当然ではありますが、参照する場合は国家標準化管理委員会のものを参照した方がよさそうです。
 参考1:国家標準化管理委員会の2013年の記事「標準版権管理」
 参考2:国家基準全文公開システム

③クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起

銀保監会の消費者権益保護局から、クレジットカードの貸し借りに関する注意喚起が出ていました。
クレジットカードを他人に貸すことは刑法上の詐欺罪などにも該当する可能性があることなど、ごく当たり前の内容ではありますが、これに合わせて、過大な借入や返済のための借入などに関する注意喚起も記載されています。

2022年9月19日月曜日

9月第2週:①科学研究の信用失墜行為、②自動車業界標準必須特許許諾指針(2022年版)、③市場主体の制度性取引コスト低減

①科学研究の信用失墜行為

科学研究における準則及び規範に対する違反があった場合に、「科研失信行為」として処罰する際の調査処理規則が発布されています。
https://www.most.gov.cn/xxgk/xinxifenlei/fdzdgknr/fgzc/gfxwj/gfxwj2022/202209/t20220907_182313.html
他人の研究成果の剽窃や研究データの改ざん、賄賂等の不正な手段による奨励・栄誉の取得などの行為を対象に、学位の取消や一定期間の財政性資金プロジェクトへの参与禁止などの処罰を科すこと、及びその処罰に至るまでの通報や調査などの規則が規定されています。
科学技術活動に従事するにあたっては、科学技術活動管理規範を遵守しなければならず、重大な違反がある場合は科学研究信義誠実重大信用失墜行為データベースに掲載されます(《科学技術進歩法》第107条第2項)。このデータベースへの組入れも処罰の一つとして列挙されています。

②自動車業界標準必須特許許諾指針(2022年版)

中国汽車技術研究中心(CATARC)と中国通信院(CAICT)が共同で、自動車業界の標準必須特許のライセンスに関するガイドライン(2022年版)を公表しています。
「標準必須特許」(SEP:Standard-Essential Patent)とは、日本でも目にする言葉ですが、ある技術標準・規格を実施するときに必ず使用することになる特許のことです。
内容としてはそれほど分厚いものではなく、原則的なルールが書かれているものですが、合理的なロイヤリティの計算のしかたとして、まず必要になる必須特許の全てのライセンスを受けるためのロイヤリティ上限を決めて、そこから実際に必要になる特許の割合を計算して決めるなどの考え方が示されています。

③市場主体の制度性取引コスト低減

国務院弁公庁から、ビジネス環境改善のための各種の取引コスト低減のための意見が出ています。
今年10月末までに市場参入障壁につき隠れた障壁を含めて整理すること、全国版のクロスボーダーサービス貿易のネガティブリストを公表すること、同じく10月末までに工事建設分野の入札等の業務の全過程オンライン処理及びデジタル証書の地区を跨ぐ相互承認を実現することなど、近い将来に各種の制度変更が予定されています。
2022年末までとされている項目も多数あるため、今後、年末にかけて取引に関する制度が変わる部分が多くなってくる見込みです。


2022年9月12日月曜日

9月第1週:①業種協会・商会の改革発展のための連席会議、②5G全連接工場、③ポップアップ情報のプッシュ送信、④中秋節・国慶節期間の省を跨ぐ移動

①業種協会・商会の改革発展のための連席会議

業種協会・商会の改革発展のための、省庁を跨いだ横断的な連席会議が設置されています。
もともと2007年に業種協会・商会の改革発展に関する指導意見が出ており、そこでは政府機関と業種協会・商会の分離という方針が示されていました。
http://www.gov.cn/gongbao/content/2007/content_663678.htm
2015年には、この分離のための工作組(ワーキングチーム)も設置されていましたが、今回はこの従来の工作組を廃止して、連席会議に切り替えるようです。
http://www.gov.cn/gongbao/content/2015/content_2901370.htm
http://www.gov.cn/gongbao/content/2015/content_2909259.htm
メンバーを見比べてみると、招集者となっている国家発展改革員会と民政部からは主任と部長がそれぞれ副主任、副部長となっており、参加する省庁も少し減り、必要に応じて参加する形に変更されています。
より個別の課題に機動的に対応できるように、ということかと思われます。

②5G全連接工場

《5G全連接工場建設指南》という文書が工業情報化部から公表されました。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-09/08/content_5708854.htm
各企業の工場の現場で、スタンドアローンで稼働している機器をネットワーク化していくことをサポートするとのことです。また、5Gによってリアルタイムで収集される膨大なデータの分析・活用のためのAIなどを活用したサービスについても言及されています。
分級分類建設ということで、「5G全連接」と一言でいっても作業場レベル、工場レベルで異なる類型のものであっても良いようです。また、業種ごとに重点項目がリスト化されています。

③ポップアップ情報のプッシュ送信

インターネットのサイトやアプリ、その他のシステムにおいてポップアップ情報をプッシュ送信するサービスに関する新しい管理規定が出ました。
ゴシップ情報(八卦、绯闻)や贅沢の見せびらかしなどの公序良俗に反する内容や、新聞でない「旧聞」を繰り返し送信することは禁止されています。
また、日本でもアフィリエイト広告の規制が話題になっていますが、広告情報については明確に『広告』と表示し、ワンクリックで閉じることができるようにすることなども求められています。

④中秋節・国慶節期間の省を跨ぐ移動

中秋節・国慶節の連休期間について、今年も連休は現地で過ごすことが提唱されています。
http://www.gov.cn/xinwen/2022-09/09/content_5709149.htm
飛行機や高速鉄道に乗るには48時間以内の陰性証明が必要であるほか、(強制ではなく任意で、移動を制限しない原則のもと)到着地での検査を行うことが奨励されています。
期間は9月10日~10月31日と書かれていますので、連休期間の前後も対象のようです。


2022年9月5日月曜日

8月第5週:①データ出国安全評価申請指南、②反電信ネットワーク詐欺法、③公安機関の反組織犯罪業務規定、④違法嫌疑社会組織リスト

①データ出国安全評価申請指南

《データ出国安全評価管理弁法》が9月1日から施行されました。これに合わせて、国家インターネット情報弁公室から、「データ出国安全評価申請指南(第一版)」という文書が公表されています。
申請書類のリストや申請資料の書式も掲載されています。

②反電信ネットワーク詐欺法

電信ネットワークの技術的手段を通じて、リモート・非接触などの方式で公私の財物を詐取する行為に対する各種の対策について横断的に定めた法律が出ました。
対策の根幹をなすユーザーの実名登録制度から始まり、電話の大量発信や自動切換などの機能を持つ機器設備やソフトウェア、プラットフォームなどの提供についても禁止しています。また、金融機関における顧客デューディリジェンスや、ネットに関しても仮想通貨を使ったマネーロンダリングなどの幇助行為を含めて禁止しています。

③公安機関の反組織犯罪業務規定

昨年末に公布され、今年5月1日から施行されている《反組織犯罪法》(中国語「反有组织犯罪法」)に関する業務規定が出ています。
国際協力の部分では詳細な規定は特に置かれていないようですし、全体としても《反組織犯罪法》に関する公安機関における対応を具体化したもので特に目新しいところはなさそうですが、①の電信ネットワーク詐欺に関する規定でも国外における活動についても対象とすることが規定されていますので、機会があればよく見ておこうと思います。

④違法嫌疑社会組織リスト

民政部から、2022年の第2回違法嫌疑社会組織リストが発表されています。
国际信用与能力认证协会(国際信用及び能力認証協会)など、いかにも公的な団体のような名称の社会組織が列挙されています。
参考までに、2022年第1回は以下のとおり、「全国企业联盟发展中心」(全国企業連盟発展センター)といった団体も挙げられていました。
似たような名称でも騙されてしまうことがないように、きちんとご確認ください。

2022年8月29日月曜日

8月第4週:①国産ブランド振興に関する指導意見、②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例、③法律援助手当の免税

①国産ブランド振興に関する指導意見

新時代のブランド建設の推進というテーマで、国家発展改革委員会など7部門からの7月29日付の指導意見が公表されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-08/25/content_5706856.htm
2025年までに一群の産業ブランド、地域ブランドを形成するなど初歩的な成果を挙げ、2035年には中国ブランドが世界のブランドの上位に入るようにするという目標を掲げています。
農業・工業・サービスの各分野と地域のブランドについてそれぞれブランド育成を進めるようですが、とりわけ、各企業においてブランドの国際化運営能力を高める、そのために国際的視野とブランド管理の素養を有する企業家や管理人材を育成する、といったことも言及されています。

②「養老詐欺」犯罪の6種の典型事例

最高人民法院では今年4月から、高齢者をターゲットとした各種詐欺犯罪に対して、各種の手口を公開して詐欺犯罪を打撃するための特別活動を展開しています。
今回は、このような高齢者を対象にした「養老」を名目にした詐欺について、6種の典型事例が公表されています。
(一)「養老基地」の優先入居権と毎月1~3%の固定収益をうたい文句にした投資勧誘
(二)高齢者向けマンションの優遇と高額の返戻をうたった投資勧誘
(三)書画・玉石などの買戻保証や値上がり保証をうたった商品販売
(四)高齢者の住宅抵当融資(以房養老)の名目をかたった融資金詐取
(五)養老保険の手続代行やより有利な待遇享受をうたった保険料詐取
(六)健康講座や無料相談活動を通じた保健品の高額販売

③法律援助手当の免税

法律援助機構が弁護士に対して支払う法律援助手当について増値税と個人所得税を免税にする旨の公告が出ていました。
日本の法律扶助のような仕組みが中国にもあるようで、以前からある《法律援助条例》に加えて、今年1月1日から新たに《法律援助法》という法律が施行されています。
労働組合や婦女連合会などが行う法律援助業務についても同様の免税措置が享受できるようです。中国でも法律が身近な話題になってくるのでしょうか。


2022年8月22日月曜日

8月第3週:①行政裁量権基準の制定・管理、②新型消費モデルプロジェクト、③農村での公衆トイレ建設強化、④過剰包装・高額販売の取締

①行政裁量権基準の制定・管理

国務院から行政裁量権基準の制定・管理に関する業務のさらなる規範化を求める意見が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-08/17/content_5705729.htm
行政裁量権の基準は、地方や部門の実際の状況に合わせて具体化・定量化して社会に対して公表することが求められています。
中国は経済面に限らず地域ごとの差が大きいですので、行政裁量権の基準も地方ごとに定めなければならない必要性は高そうです。
地方や部門ごとに基準を作っているため、基準が多すぎて混乱を生じているのではないか、という問題もあるようで、これについては下級機関は原則として上級機関の基準をそのまま適用するなど、重複・矛盾が生じないようにすべきとされています。
また、「以罰代管」(行政が違法行為を放任しておきながら処罰だけを行うこと)という問題も見られるので、違法行為の発生を予防するよう違反者への教育を重視することなども述べられています。
さらに、ビッグデータやAI、クラウドなどの情報システムを使って、行政人員に適切な指針を与えることも一つの措置として挙げられています。
何らかの行政規制の違反の懸念があるときにも、行政裁量権の基準を見てみると参考になるかもしれません。

②新型消費モデルプロジェクト

情報消費+農村振興による内需拡大のために、4月から新型消費モデルプロジェクトの申請が行われていたのですが、今回、そのリストが工業情報化部から公表されました。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2022/art_358fca6b535f42b1b09a9800750a05cc.html
中身を見てみると、「情報消費体験センター」と分類されているものがあり、これは展示・体験と販売・教育を一体化させた活動を行う場所で、有名な観光地のデジタル旅行が体験できる、メタバースが体験できる、といった場所があるようです。
また、オーダーメイド家具の「透明工場」(消費者が自分が注文した商品の生産進捗状況を知ることができる)、複雑な地形でもドローンを操作できるアプリケーション、といったものも入選しているようです。

③農村での公衆トイレ建設強化

農村での生活環境改善の施策の一環として、公衆トイレの建設を強化することについての通知が出ています。
技術的には、環境保護に適した、低コストでメンテナンスが容易な成熟した技術や、節水・省エネ、凍結防止、防臭などの新技術・新材料の採用が奨励されています。
経費を確保し、定期的な清掃、臭気を生じさせないことなど、建設するだけでなく正常に運営されることも重視されているようです。

④月餅の過剰包装・高額販売の取締

中秋節が近づいてきたので、市場監督管理総局が「月餅」の過剰包装や高額販売の集中取締を2ヶ月にわたり行うとの発表がありました。
https://www.samr.gov.cn/xw/zj/202208/t20220817_349322.html
食品・化粧品の販売を行う企業への指導なども行われるようです。

2022年8月15日月曜日

8月第2週:①市・県レベルの法治強化、②文化(コンテンツ)貿易の推進に関する27部門意見、③一部の罰金規定の撤廃・調整、④「一つの中国」に違反する地図の取締

①市・県レベルの法治強化

中央全面依法治国委員会という共産党機関から、市・県レベルの法治強化に関する意見が発布されています。
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-368761.html
習主席の法治思想を党の学校や幹部学院の重点カリキュラムとする(四)、郷鎮(街道)の党委員会においても党政の主要責任者を法治建設の責任者とする(八)、各地の実情に応じた立法が行えるようにする(十二)などの項目が列挙されています。
その中で、市・県レベルの党政機関の政策決定において「公職律師、法律顧問」の意見を取り入れる(十三)という項目があります。
「公職律師」とは、政府機関に雇用された公務員となっている中国弁護士のことで、行政機関が法律に依拠した行政をするレベルを高める立場にあります。法律専門職の活躍の場は中国でも広がっているようです。

②文化(コンテンツ)貿易の推進に関する27部門意見

商務部など27部門から、ネット動画やネット音楽、ネットゲーム、デジタル出版などのコンテンツの輸出についての意見が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-07/30/content_5703621.htm
世界に向けて中華文化を発信し、中国のコンテンツ面でのソフトパワーと中華文化の影響力を高めるための各種の措置とその担当部門が定められています。
著作物の輸出のみならず版権の輸出も拡大すること(九)、中国の伝統文化についての文化遺産をデジタル化して国外に提供すること(十一)、コンテンツを提供するプラットフォームの海外での影響力を高めること(十五)などが列挙されています。

③一部の罰金規定の撤廃・調整

国務院から、53項目の罰金の撤廃・調整に関する決定が発布されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-08/12/content_5705137.htm
調整については、ビジネス環境の改善のために、各政府部門に対して罰金額の引き下げを行うことを要請しており、各部門の部門規則について60日以内に改正案を報告するように求めています。
一方で、撤廃になったものは、事前認可制から事中事後管理制への変更に伴って該当する罰金が適用される場面がなくなったものや、上位法令にも罰則規定があってこれと不一致になってしまっていたものなどがあります。
法改正といえば罰則強化が取り上げられがちですが、このように緩和されるものもあります。

④「一つの中国」に違反する地図の取締

新しい法令が出たわけではありませんが、税関は「一つの中国」原則に違反する地図の取締を行っているようで、各地の税関での活動が報道されています。
魚釣島、大正島などの重要な島嶼の書き漏らしなどが《地図管理条例》などの関係規定に違反しているとのこと。
過去からときどき話題になる地図の件、ことあるごとに注目されるテーマであることを改めて認識しました。

2022年8月6日土曜日

8月第1週:①新型コロナ治癒後の就労差別の禁止、②証券違法行為による罰金・没収金の民事賠償への充当、③レストランでの調理済食品の提供

①新型コロナ治癒後の就労差別の禁止

中国の一部地域で「健康コード」(新型コロナ流行地域への立入履歴等を確認するツール)などを利用した就労差別があるということで、人力資源社会保障部と国家衛生健康委員会から緊急通知が出ています。
http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/laodongguanxi_/zcwj/202208/t20220801_480012.html
「阳过」(陽性になったことがある人)に対して、求人募集のときに差別する内容を掲載することや、労働者使用の過程での就業差別を禁止する旨が改めて述べられています。
中国ではもともと《伝染病予防法》第16条で感染者に対する差別を禁止しており、新たな規制ではないのですが、社会的に問題になったテーマに対して素早く対応しているということかと思います。

②証券違法行為による罰金・没収金の民事賠償への充当

粉飾決算など《証券法》違反の行為によって投資家に損害を与えた場合に課される罰金や没収金について、残りの財産が民事賠償責任を負担するのに不足する場合には、既に政府機関が徴収した罰金や没収金をこの民事賠償に充てることができるという規定が出ています。
http://www.csrc.gov.cn/csrc/c101954/c4914991/content.shtml
ただ、請求するには強制執行終結又は破産手続終結まで手続が進まなければならず、その後1年に限って請求を認めるということのようです。証監会が財政部に半年に一回、国庫からの資金返還を得て賠償に充てるということで、被害回復には有益と思われますが時間はかかりそうにも見えます。

③レストランでの調理済食品の提供

中国消費者協会の2022年上半期の消費者クレーム受理状況の発表がありました。
新鮮な豚肉だというので購入したところ冷凍肉であった、副作用の説明なしに眉のアートメイク施術を受けたら赤く腫れた、といった日常生活の身近な事例が色々と紹介されています。また、事例の紹介のほかに、レストランで提供する料理(出前を含む。)が事前に調理済みのものである場合、それを事前に告知しておかないと消費者の知る権利と選択権を害するという記述がありました。
チェーン店で提供されている料理はセントラルキッチンで調理されて店舗に運ばれるなど、事前に調理されているものも多いようで、とある企業では95%が事前調理済みとのこと。
何をどこまで説明すればよいのか明確であればよいのですが。