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公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...

2023年5月9日火曜日

5月第1週:①国有企業・上場会社の会計事務所選任、②演出(公演・興行)市場秩序の管理強化

①国有企業・上場会社の会計事務所選任

財政部、国有資産監督管理委員会、証監会の3部門連合で、国有企業・上場会社の会計事務所選任についての通知が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2023-05/05/content_5754176.htm
選定のための評点をつけるときに、品質管理水準の比重を40%以上にすること、費用見積の比重を15%にすること、といった記載があります。
8年以上連続して同じ会計事務所を起用してはいけないということも規定されています。
日系企業には直接の影響はなさそうですが、合弁会社の中国側パートナーや取引先の上場会社などで会計監査が厳しくなり、これまでどおりの資金調達や取引ができなくなることもあり得ますので、少し気になる話題ではあります。

②演出(公演・興行)市場秩序の管理強化

新型コロナウイルスの流行による行動制限が緩和され、コンサートなどのイベントも活発になってくるということで、「黄牛(ダフ屋)」によるチケット高値転売の取締などに関する通知が出ています。
事業主体については従来から行政上の許認可の規制が厳しい分野ですが、出演者を主催者が勝手に変更してはいけないこと、雑技などの危険性が高い演目では安全管理や保険付保を促すことなども規定されています。
「口パク」は不可、ということなども書いてあるので、なかなかに規制が細かいです。


2023年5月2日火曜日

4月第4週:①《反スパイ法》改正、②対外貿易促進、③中国への渡航前の検査緩和

①《反スパイ法》改正

中国で邦人がスパイ容疑で身柄拘束される事例が少し前に話題になりましたが、これに関する《反スパイ法》という2014年にできた法律が改正されました。
これに先立って2021年4月に《反スパイ安全・防止業務規定》という国家安全部の規定があり、反スパイの教育・研修などを実施して安全・防止意識と対応能力の向上が求められ、重点単位リストによる管理なども定められていました。
今回の改正法では、従来からあった国外追放の規定のほかに、国外送還に関する規定が追加されるなどの変更があります。
詳しくは別の機会にご紹介予定です。

②対外貿易促進

対外貿易促進に関する新たな政策意見が公表されています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2023-04/25/content_5753130.htm
展覧会の強化や自動車輸出の支援、先進技術設備の輸入奨励などが挙げられています。

③中国への渡航前の検査緩和

日本から中国に渡航する際の手続がさらに緩和されるそうです。
従来はPCR検査が必要でしたが、4月29日から、自前の抗原検査キットでの検査でOKとなります。
(日本語ではよく読み取れませんが、中国語原文を見ると「自行使用抗原试剂盒」と書いてあります。)
税関アプリでの健康表明カードの記入は引き続き必要となっています。
また、残念ながら、ノービザ入国の復活はまだですので、引き続き、ビザの手配はお早めにお願いします。




2023年4月25日火曜日

4月第3週:①党内法規制定業務計画綱要、②2022年の十大知的財産権事件、③美容医療サービスのモデル契約書式

①党内法規制定業務計画綱要

中国共産党中央委員会から共産党内のさまざまなルールの制定に関する計画(2023~2027年)が公表されたということで、国務院のWebサイトでも紹介されていました。
http://www.gov.cn/zhengce/2023-04/18/content_5752088.htm
共産党内における党員規則や政治思想、党の歴史の教育など、さまざまなルールの制定が計画されています。党の紀律処分に関する条例の改正など、反腐敗に関するルールも更新が見込まれているようです。

②2022年の十大知的財産権事件

最高人民法院から、2022年の知的財産権関連の十大事件と、50件の典型案例が公表されています。
https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-397162.html
よく使われる検索キーワードを大量に含む広告ページを生成してインターネットの検索エンジンの管理秩序に干渉したということで不正競争行為と認定された事例や、NFT(Non-Fungible Token)の取引プラットフォームに贋作が掲載された場合にプラットフォーム事業者による権利侵害を認定した事例など、今年も目新しい事例が紹介されています。

③美容医療サービスのモデル契約書式

国家市場監督管理総局から、美容医療サービスに関して消費者と締結される契約書のモデル契約書式が公表されています。
クーリングオフや懲罰的賠償に関する条項などが明記されています。

2023年4月17日月曜日

4月第2週:①公衆マスク着用指南(2023年4月版)、②セクハラ防止制度(参考文書)、③工業製品の生産・販売の品質安全

①公衆マスク着用指南(2023年4月版)

マスク着用要否についての新しいガイドラインが出ました。
「露天広場、公園などの屋外場所」のほか、「人員が相対的に固定されている室内の業務場所や会議室など」についても、マスク着用不要の場面の一つになっています。
中国にいる方々や中国に出張なさる方々はご一読ください。

②セクハラ防止制度(参考文書)

少し前ですが、人力資源社会保障部弁公庁など6部門から連合で、業務場所におけるセクハラ防止・除去に関する制度の参考文書が公表されていました。
セクハラの被害者が「二次傷害」(二次被害)に遭わないように、加害者を被害者と接触しがたい業務職位に異動させることなどが記載されています。(逆に被害者を異動させてしまわないようにご注意を。)

③工業製品の生産・販売の品質安全

工業製品の生産・販売単位の品質安全主体責任に関する監督管理規定が出ています。
責任追及や処罰の対象となる「主要責任者」は法定代表者、【法定代表者の委託者】又は実質支配者を指すとされています(ともに第18条第4号)。
日系企業の場合、この「主要責任者」は工場長など社内のどなたかに委託をしておく方が安全かと思います。

2023年4月11日火曜日

4月第1週:①全国各地区の最低賃金基準、②輸入危険化学品の管理強化、③反外国制裁

①全国各地区の最低賃金基準

人力資源社会保障部のWebサイトに、2023年4月1日時点の各地の最低賃金の表が掲載されています。
http://www.mohrss.gov.cn/SYrlzyhshbzb/laodongguanxi_/fwyd/202304/t20230401_497838.html
例によって、この最低賃金の金額に社会保険の個人納付分を含むか含まないかは、各地方により異なっていますので、ご留意ください。

②輸入危険化学品の管理強化

税関総署から、輸入危険化学品の検査検疫の監督管理強化に関する公告が出ています。
「中国国際貿易単一窓口」というWeb上のプラットフォーム(https://www.singlewindow.cn/)から国連番号やラベルについて申告することなどが言及されています。

③反外国制裁

外交部から、米国の研究所などに反外国制裁法に基づく措置を講じる旨の決定がありました。
《反外国制裁法》第3条第2項は文字通り外国制裁ですが、第1項の内政干渉に対しても制裁が課される対象になります。
ジェトロのWebサイトでも紹介されていますので、詳細はそちらをご覧ください。

2023年4月4日火曜日

3月第5週:①知的財産法廷の年度報告と典型事例、②失業保険・労災保険料率の引き下げ継続、③贈賄犯罪の典型事例

①知的財産法廷の年度報告と典型事例

最高人民法院から、知的財産法廷の年度報告と典型事例20件が発表されていました。
年度報告には、平均審理期間165.2日(暦日)など、統計の数字が紹介されています。図が入っていて見やすいです。
自動車ディーラーの再販売価格制限について行政処罰が行われた後、購入者個人がディーラーに対して賠償を求めた事例(典型事例の事例19)など、興味深い事例もあります。

②失業保険・労災保険料率の引き下げ継続

人社部、財政部、国家税務総局から、失業保険・労災保険料率の引き下げ継続についての通知が出ていました。
各地で勝手に納付基数を引き下げたり社会保険費を減免するなど基金収入を減少させる政策を出してはいけない(四、)といった記述も見られます。

③贈賄犯罪の典型事例

贈賄犯罪の典型事例5件が新たに公表されました。
非国家業務人員(村の党書記)への贈賄の事例や、生産安全知識試験の合格証書取得のための贈賄の事例などが紹介されています。

④余談

4月から大阪・上海間の航空便が大幅に増えたそうで、航空券の価格も随分と下がっていました。1ヶ月前に見たときはまだまだ非常に高かったのですが、今はコロナ禍の前よりもお求めやすくなっているものもあるようです。


2023年3月27日月曜日

3月第4週:①《反独占法》関連の細則規定4件、②広告絶対化用語取締指針、③行政許可事項リスト

①《反独占法》関連の細則規定4件

《反独占法》関連で昨年6月から意見募集が行われていた細則規定のいくつかが正式に発布されました。
《経営者集中審査規定》:
《独占合意禁止規定》
《市場支配的地位濫用行為禁止規定》
《行政権力を濫用して競争を排除し、又は制限する行為を制止することにかかる暫定施行規定》
《独占合意禁止規定》については、意見募集稿第15条では市場シェアにつき15%という具体的数字が明記されていたのですが、今回の正式発布では「市場監督管理総局の定める標準」となり、具体的な数値は先送りになっています(第17条)。

②広告絶対化用語取締指針

「国家級」、「最高級」、「最良」等の表現は《広告法》第9条第3号で禁止されているのですが、このような「絶対化用語」の取締についての指針が出ています。
これらの用語を使っていても、それが販売しようとする商品に関するものではなく、単に事業者の理念や態度、目標を示すだけの記述であれば《広告法》の禁止対象には含まれないこと、医療・美容や投資、教育などの分野において使用される場合は社会的影響が軽微とは見なさないこと等が規定されています。

③行政許可事項リスト

国務院弁公庁から、行政許可事項リストの2023年版が公表されています。
昨年以降、行政許可を取得する必要がある事項は中央、地方それぞれリスト化されているので便利になっています。


2023年3月21日火曜日

3月第3週:①「立法法」改正、②電信分野の通報処理規定、③「3・15晩会」

①「立法法」改正

立法(法律・条例・規則などの制定)の権限や手続について定めた「立法法」が改正されました。http://www.npc.gov.cn/npc/kgfb/202303/eb5e0e60ff5f43f7a3bfa2a10bbee6ba.shtml
習近平新時代、中国式現代化による中華民族の偉大な復興の全面的推進、といった記載が追加されています。(第3条、第4条)
外資三法のときのように、まずは暫定的に執行を調整又は停止してみて、実践してみて実行可能であることが証明できたら改めて法律を改正するという条文が加わっています。(第16条)

②電信分野の通報処理規定

工業情報化部から、電信分野の通報処理に関する規定が出ています。
https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/tz/art/2023/art_9026e3292d20444589cfeffcced25973.html
違法行為発生地の通信監理局が処理を担当すること、通報から60日のうちに分類処理すべきことなどが規定されています。

③「3・15晩会」

今年も3月15日の世界消費者権利デーにCCTVで「3・15晩会」の放送がありました。残念ながら今年はリアルタイムでは見られなかったですが、ネットでも見られるようです。
個人的に面白いなと思ったのは、SNSの短編動画配信で、さまざまなトラブルを解決する正義漢がいて、その活動を高齢者の方々は好んで見ており、この正義の人を応援するためにその人が紹介する商品を購入するのだそうです。
ですが、実はそのトラブル解決には台本があって、登場する人たちは役者さんで、単なる商品を売るための手法とのこと。20元くらいの商品が199元で売れてしまうそうです。
その他、定番の美容やスマホの個人情報に関する問題、さらに最近はやりの「常連殺し(殺熟)」など紹介されていました。

2023年3月13日月曜日

3月第2週:①国務院機構改革方案、②最高人民法院の業務報告、③個人情報出境標準契約弁法

①国務院機構改革方案

国務院の機構改革方案が承認されました。
http://www.gov.cn/xinwen/2023-03/11/content_5745977.htm
最初に科学技術部の再構築が挙げられているのは、科学技術を重視する政策の表れかと思います。
次いで国家金融監督管理総局の新設、これは従来の銀保監会をベースに、人民銀行の金融集団の監督管理部門と証監会の投資家保護部門を統合する形になるようです。
一連の金融関連の部門の再編に続いては国家データ局の新設と続いています。

②最高人民法院の業務報告

最高人民法院のこの5年間の業務報告が発表されています。
この5年間での一審の受理件数が3370万件とのことですから、中国で如何に訴訟が多いかが分かります。
審理・終結した破産案件は4.7万件、うち重整(再生)事件は2801件あり、3285万社の企業の苦境脱出を助け、92.3万人の従業員の雇用を安定させたとあります。

③個人情報出境標準契約弁法

中国国内から国外への個人情報移転・提供のときに締結が求められる標準契約書式、正式発布になりました。6月1日から施行予定で、不適合の場合には施行日から6ヶ月のうちに是正を完了するように求められています(第13条)。
厳格にこの書式にしたがって契約を締結しなければならないこと、他の条項を追加することはできるが書式内容に抵触してはならないこと(第6条)、
契約締結後10営業日以内に、個人情報影響評価報告書とともに、現地のインターネット情報部門への届出をしなければならないこと(第7条)、
などが規定されていますので、半年以上時間があるとしても、なかなか対応は難しそうです。
中国国内の個人情報を中国国外に出さない、という対応にならざるを得ない部分もあるかと思います。