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公益通報者の匿名性: 「通報者探し」(通報者の探索)をしてはいけないことの根拠条文(日本)

最近何かと話題の公益通報について。 業務上、社内の不正などに関する内部告発について取り扱う機会が多いので(特に中国は匿名での内部通報は多いです。)、少し書き留めておきます。 匿名での通報があったときに、なぜ「通報者探し」(※)をしてはいけないのか?という点について、法令上の根拠条...

2022年12月27日火曜日

2022年12月19日月曜日

11月第2週:①重大・特大事件のファイリング、②生産安全刑事事件に関する司法解釈、③ディープフェイク(深度合成)

①重大・特大事件のファイリング

中共中央弁公庁、国務院弁公庁から、自然災害、事故災害、公共衛生事件、社会安全事件などの突発的事件に関する保存する価値のある歴史的記録についての通達が出ています。
事件についての対応や事後の回復などの各段階での記録を残し、政府機関内部で部門・レベルを跨いで共有することで活用を図っていくようです。

②生産安全刑事事件に関する司法解釈

最高人民法院、最高人民検察院から、生産安全刑事事件に関する司法解釈が出ました。
実務において問題がよく見られる、安全評価機関による証明文書発行に関する処罰などの規定が追加されたとのこと。
なお、「重大事故リスク」や「危険物品」に関する判断について司法鑑定を行うことなども規定されています。生産安全については国家基準・業界基準などが細かく規定していますので、このような基準も参照しておく必要があると思います。

③ディープフェイク(深度合成)

インターネットにおけるいわゆるディープフェイク(AIを使ったニセの動画や音声など)についての管理規定が出ました。
加工された動画などについて実際のものと混同されてしまうおそれがある場合には、目立つように、加工されたものであることを示す表示が必要であることなどが規定されています。
日本でも報道されていますが、音声や顔を加工して別人になりすますなど新型詐欺に使われることも多いようですので、今後さらに留意しておくべき分野かと思います。

2022年12月13日火曜日

12月第1週: ①「銀行」という表示の使用、②AI(人工知能)の司法における活用(英語併記)、③新型コロナウイルス対応に関する一連の規制緩和

①「銀行」という表示の使用

銀保監会ほか4部門から共同で、「銀行」という語句の使用についての通知が出ています。
銀行でない個人や会社が「銀行」を名乗ってはいけないことは当然ですが、それ以外に、「商品名」やサービス名称、さらにはアプリの名称などでの「銀行」という語句を用いた表示も、銀保監会の認可が必要になります。

②AI(人工知能)の司法における活用(英語併記)

最高人民法院から、人工知能(AI)の活用についての新しい意見が出ています。
証拠の審査、法令や類似案件の調査、裁判文書の作成など、全過程においてAIを活用するとなっています。
訴訟関連文書の送達や訴訟記録の作成、執行対象財産の調査などの事務作業の面でもAIを活用すること、さらには、偏向的な判決に関する事前警告など、クリーンな司法活動を守るためにも活用されるようです。
なお、この意見については、なぜか英語版も同時に併記されています。

③新型コロナウイルス対応に関する一連の規制緩和

日本でも報道されているように、中国国内での新型コロナ対応について規制緩和に関する通達が多数出ています。
中国のCDC(疾病予防制御センター)のほか、交通運輸部や文化観光部などの各部門でも新たな通知が出されています。
逐一のご紹介は省略しますが、来年は行動制限や移動制限が緩和されてくることが期待できるように思っています。


2022年12月5日月曜日

11月第5週:①個人情報保護認証マーク、②知的財産権運営プラットフォーム、③高齢者施設の非法集資の防止

①個人情報保護認証マーク

中国の個人情報保護認証に関する新しい規則が出て、認証マークが決められました。
この認証マークは2種類あり、国境を跨がない活動の場合と跨ぐ活動の場合で分けられています。国境を跨ぐ場合の認証マークを取得することで、《個人情報保護法》第38条に定める条件のうち一つを満たすことになると考えられます。
マークのPIPは個人情報処理(Personal Information Processing)の頭文字と思われます。
GB/T 35273《情報安全技術 個人情報安全規範》の条件を満たすことが、とても重要になってきそうです。

②知的財産権運営プラットフォーム

中国では知的財産権の取引や、科学技術成果の事業化、さらには知的財産権を活用した資金調達などのためのプラットフォームの構築が進められており、これについての新しい通知が国家知的財産権局から出ています。
名称について「国家知识产权运营(地名)交易服务/金融服务/特色服务平台」というような名称に統一するなど、各地方のものと国家レベルのものに分けて整備されていくとのこと。

③高齢者施設の非法集資の防止

民政部、公安部、市場監督管理総局、銀保監会の4部門連合で、高齢者施設における違法な資金集めの防止に関する新しい意見が出ています。
各地の民政部門において、赤色、橙色、黄色、緑色という分かりやすい4段階の等級を付けるなどの措置が挙げられています。


2022年11月28日月曜日

11月第4週:①商業為替手形の手形割引等に関する規則、②越境EC総合試験区の追加、③特許製品備案(届出)の条件及びフロー

①商業為替手形の手形割引等に関する規則

中国人民銀行から商業為替手形の引受・割引・再割引に関する管理弁法が出ています。
http://www.cbirc.gov.cn/cn/view/pages/ItemDetail.html?docId=1082286&itemId=928
現行の規定は1997年のものだったそうで、電子手形に関する規定などが追加されました。
中国で使われている手形はほとんどが約束手形ではなく為替手形ですので、実務にも影響がありそうです。特に、振出人と手形所持人との間の真実の取引関係についての審査を強化することが規定されている点は気になります。
また、為替手形の引受を行う銀行側でのリスク制御や、手形の引受・割引の際の情報開示などについても規定されています。

②越境EC総合試験区の追加

33の地域で新たに越境電子商務総合試験区の設置が認可されました。
中国への小売輸入だけでなく、中国からの輸出もありますし、越境ECに関する企業対企業(B2B)方式の各段階での技術標準などに関する記載もあります。

③特許製品備案(届出)の条件及びフロー

国家知的財産権局から、「特許製品備案」業務についての通知が出ています。
「特許製品備案」、企業にとっては届出証明を取得することで消費者の意思決定の参考に供することができ、また技術的先進性や特許市場での有効性の証明として各種政策支援を得るために用いることもできるとされています。
メーカーのみならず特許対象品を販売する企業も、権利者のみならずライセンシーの企業も、この届出の主体となることができるようです。

2022年11月22日火曜日

11月第3週:①反独占・反不正競争の典型案例、②「備案」(届出)管理の規範化、③渉外民商事事件の管轄

①反独占・反不正競争の典型案例

反独占法や反不正競争法に関する訴訟事件の十大典型事例が紹介されています。
反独占法の事例については、横方向(競争事業者間)の合意に関するものが多いようですが、縦方向(取引の相手方との間)での事例もあります。
反不正競争法の事例の方は多種多様です。「大衆点評」という「口コミサイト」のレビューについて、消費者が「いいね」や「お気に入り」、「高評価」をすると報酬がもらえるアプリがあるようで、これを利用して事実と異なるデータが掲載されたことについて不正競争と認定した事例などが紹介されています。
なお、独占行為に関する民事紛争についての司法解釈の改正についての意見募集も行われています。


②「備案」(届出)管理の規範化

「備案」(届出)の取扱いについて、河北省、浙江省、湖北省の3つの省で改革試行の活動が行われており、その経験を各省に共有する通知が出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-11/18/content_5727708.htm
市場参入の隠れた障壁を除去し、市場主体の活力を刺激することを目的とした活動です。「備案」の対象となっている事項について、行政機関の審査・同意を特定の活動のための条件としてはならないこと、電子営業許可証のデータベース等のルートで取得できる情報について行政備案を設定してはならないことなどが記載されています。

③渉外民商事事件の管轄

渉外民事・商事事件の管轄についての新しい規定が出ていました。
北京、天津、上海など9つの省・市では訴訟の対象額が4000万元以上の場合に一審の管轄が中級人民法院となり、その他の地域では2000万元以上が基準となります。
それぞれの地域の高級人民法院が渉外案件を扱う基層人民法院を指定していることもあり、渉外事件は管轄が通常の中国国内の訴訟と少し違いますので、ご留意ください。


2022年11月15日火曜日

11月第2週:①流行防止措置の改善、②中小企業のDX指南、③条約締結管理弁法

①流行防止措置の改善

新型コロナウイルスの流行防止措置の改善について、20ヶ条からなる新たな通知が出ています。
http://www.gov.cn/xinwen/2022-11/11/content_5726144.htm
濃厚接触者についての「7日間の集中隔離+3日間の自宅観察」を「5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離」に変更、リスク地区管理を「高中低」の3段階から2段階に変更などの内容です。
入国者の隔離措置も同様に「5+3」へと期間が短縮され且つ目的地での重複隔離は不要、重要なビジネス入国者やスポーツチームなど隔離免除者は「閉鎖管理区」内での滞在など、入国者に関する項目もいくつかあります。
閉鎖環境での業務を完了した後の高リスク職位人員については、「7日間の集中隔離+7日間の自宅隔離」から「5日間の自宅観察」となるようです。

②中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)指南

DXは世界的な趨勢であるということで、工業情報化部から中小企業のDXに関する指南が出されています。
中小企業のDXは単独ではなく各社との連携が大切ということで、中小企業だけでなく、中小企業向けにサービスを提供するプラットフォーム企業、それに地方政府へと向けた内容も含まれています。
また、最後に用語解説がついており、CAD(コンピュータ支援設計)やMES(製造実行システム)などの用語が掲載されています。

③条約締結管理弁法

他国との条約締結については以前から《条約締結手続法》という法律がありますが、これに基づき、《条約締結管理弁法》という新たな法令が国務院から出ています。
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-11/07/content_5725135.htm
外交・国防事務にかかわる条約や中華人民共和国の全「領土」に適用すべき性質の条約については香港・マカオの特別行政区の意見も聞いたうえで加入・批准することなど、一国二制度の中国独特のルールも規定されています。


2022年11月7日月曜日

11月第1週:①女性権益保障法の改正、②外商投資奨励産業目録2022年版、③ビジネス環境革新の全国展開

①女性権益保障法の改正

女性権益保障法が改正されました。
男女の雇用待遇の平等、結婚・妊娠等の事由による労働契約終了の禁止など、人事労務の分野でも見る機会の比較的多い法律です。今回の改正ではこの部分もさらに詳しく規定されているようで、雇用者である企業のセクハラの防止措置措置を講じる義務についても細かく列挙されています(第25条)。
また、今回の改正では、交際を口実に又は交際・離婚の終了後にして女性につきまとうことやプライバシー・個人情報を漏洩することの禁止(第29条)、離婚時における証拠収集困難がある場合の裁判所や政府関係部門などによる協力(第67条)などの新たな内容も追加されています。

②外商投資奨励産業目録2022年版

外商投資奨励産業目録が改正されました。
商務部のリリースでは、2020年版に比べて239項目の追加、167項目の修正があったこと、製造業を引き続き外商投資を奨励する重点方向とすることなどが紹介されています。
http://www.mofcom.gov.cn/article/xwfb/xwrcxw/202210/20221003363087.shtml

③ビジネス環境革新の全国展開

ビジネス環境の革新・改革について各地で試行されている中から、その経験を全国に展開していくことが推進されています。
企業の設立・変更手続が一括で行える仕組みなどを全国に普及させていくとのことです。
なお、9月にも北京・上海での試行内容を全国に展開していくことに関する通知が出ていました。


2022年10月31日月曜日

10月第4週:①製造業を重点とする外資利用拡大政策、②知的財産権による「専精特新」中小企業の発展、③全国一体化政務ビッグデータ体系の建設指南

①製造業を重点とする外資利用拡大政策

国家発改委、商務部など6部門から、外資利用拡大に関する若干の政策措置が公表されました。
7番目の項目として、「新型コロナウイルス流行拡大防止を前提としたうえで」多国籍企業・外資系企業の高級管理者、技術者及びその家族の入国の利便性を高めることが挙げられています。
9番目の項目では条件に適合する外資系企業の上場を支援することが挙げられています。また、3番目の項目として、外資プロジェクトに関する用地、環境、物流、人員の出入国などの面でのサービスの保障を強化することと合わせて、重大・重点外資プロジェクトの実施を推進する方針が示されるなど、製造業の外資系企業に関係しそうな項目が含まれています。

②知的財産権による「専精特新」中小企業の発展

国家知的財産権局と工業情報化部の連名で、知的財産による「専精特新」(専業、精密、特色、新規)中小企業の発展を促進する通知が出ています。
各地方が少なくとも年一回は「専精特新」中小企業向けの講習を行うこと、ISO56005の国際規格の実施を推進することなどが挙げられています。

③全国一体化政務ビッグデータ体系の建設指南

中国の各地方の有するデータの共通化・共有化が進められています。
全国一体化政務データ共有ハブには1.35万件のデータ資源が共有されており、のべ4000億回を超える利用があるとのこと。
とりわけ新型コロナウイルスの感染拡大防止においては、各地区からのデータ共有のニーズに応じる必要があり、地区・部門・レベルを超えた相互共有が行われ、31省(自治区・直轄市)で健康コードやPCR検査、ワクチン接種、隔離措置などに関するデータの利用がのべ3000億回を超えているとのこと。
ただ、各地でデータを重複して収集している、政務データの品質(網羅性、正確性、適時性)向上が必要であることなど課題も多いようです。
2023年末、2025年末を目標として、政務データ資源を目録管理に組み入れていくこととされています。
後半にいくつか図が掲載されており、これらの図が全体像を分かりやすく示しているように思います。
また、「可用不可見」ということで、身分認証やサンドボックスなど技術的手段によってデータ開放を進めることも記載され、市民生活に密接に関連し、社会の需要が切迫しており、業界の潜在力が顕著な政務データを優先して開放していくとのことです。