①中小企業に対する未払金の精算
資料p.2について。
近年はこの時期になると見慣れた号令になってきた印象もありますが、国務院常務会議から各政府機関や事業単位に対して、中小企業に対する支払を遅らせている買掛金や工事代金などをきちんと支払うように、という呼びかけが出されています。
《中小企業代金支払保障条例》が昨年9月から施行されており、政府機関や大企業については、毎年3月31日までに前の年の中小企業への未払金の契約数量・金額等の情報を公表しなければならないというルールが始まっています。
各企業の財務や営業のご担当者は、長期未回収になっている売掛金が、取引先側できちんと公示されているかどうか、一度見てみていただくのは如何でしょうか。
②国有金融機関の資産の譲渡に関する新たな通知
国有系の金融機関が保有している資産の譲渡に関する新しい通知が出ています。
昨今の恒大集団の件などもあり、企業が自らの有する資産の換価を進めていく動きは今後も推進されていくことが見込まれるところですが、国有系の金融機関やそのグループ会社(地方政府が出資しているものを含みます)の有する株式等の資産の譲渡については、国有資産監督管理委員会の定めた《金融企業国有資産譲渡管理弁法》が従来から存在しており、国有資産の一部である財産が廉価で売却されてしまうことがないように厳格な手続が定められています。つまり、国有資産は迅速・機敏に譲渡して換価することが制度上できないことになっています。
今回の上記通知でも、資産評価や公開取引などの手続を厳格に履践するように求めているわけですが、一点、注目すべき点として、広く譲受人を募る公開取引をせずに直接、第三者への譲渡契約を締結できる場面の一つとして、「投資合意や契約で約定した条項の履行として退出する場合」や「契約の約定に基づき第三者に優先購入権を行使する場合」には、国有金融機関内部の決裁プロセスを経て、直接に譲渡を行うことができるとしている点があります。
今回の通知は国有系金融機関やそのグループ会社が出資している株式・出資持分などの譲渡に関するものですが、金融機関でない一般の国有企業に関しても、合弁契約や投資契約において優先購入権や売渡請求権を約定しておくことは改めて重要になってくると思われます。
③期限切れ間際の特許の活用
かねてから特許紛争を繰り返している中国の電器メーカー2社の間での紛争について、日系企業から権利期間の満了を目前にした特許を買い取って、その特許に基づいて相手方に対して賠償請求するという新しい「手口」が開発されたようで、裁判所もそのような権利行使を認めたという事例が出ていました。資料p.4の事例です。
日系企業各社は多数の特許を中国でも登録されていると思いますが、既に権利期間満了を間近に控えているものも多いと思われます。そういった場合、このように中国企業において活用いただく可能性もあるかと思いますので、一つのアイデアとして考慮していただくと可能性が広がるのではないかと思います。
④5G消息(メッセージ)の商業利用
日本ではリッチコミュニケーションサービス(RCS)と呼ばれるようですが、従来のショートメッセージの機能を拡充して、テキストのみならず画像や動画を使った相互通信ができるようになり、アプリのインストールや「お気に入り」登録などをせずとも、ショートメッセージから直接、予約や購入ができるというものだそうです。日本で言うと、「+メッセージ」というアプリもこれに該当するそうです。
この「5G消息」の商業利用が徐々に進んでおり、冬季五輪でも運用されるとのこと。中国聯通、中国電信、中国移動といった通信事業者がそれぞれ商業利用への投入を進めており、中国移動が工商銀行と共同でリリースしたデジタル人民元サービスも既に10月から始まっているそうです。
確かにアプリがたくさんになり過ぎて分からなくなりますし、便利になるのは良いことなのですが、今でもショートメッセージはどれが本物でどれがニセモノだろうか?と迷ってしまうくらいですから、一ユーザーとしては、正しく活用できるようについていくのは大変なような気もします。一方で、ビジネスのうえでは欠かせない存在となってくることが予想されますから、是非、ユーザーに使いやすいものが開発されていくことを期待したいです。